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Asia:コロナ後の気候変動のゆくえ

Image copyright: Reuters/William Hong
End of the road?
This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
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Asia Explosion

爆発するアジア

Quartz読者のみなさん、こんにちは。パンデミックで世界が取り戻したと思っていた青い空は、再び黒く汚されようとしています。中国をはじめアジア・世界各国の気候変動リスクに対する取り組みを紹介します。英語版(参考)はこちら

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Reuters/William Hong

気候変動リスクに対する各国政府の投資は、世界的な経済危機をきっかけに動いてきたという歴史があります。例えば2009年、米オバマ政権が投入した900億ドル(約9兆6,500億円)の復興資金は、今日のクリーンエネルギー市場の活況の基盤をつくったといえます。

それゆえ、COVID-19のパンデミックが発生したとき、エコノミストの多くは、環境への配慮を優先することで“よりよい環境を取り戻す”べきだと世界の指導者たちに呼びかけてきました。実際、世界的な景気後退の副産物としてCO2排出量大幅に削減され、“グリーンな政府支出”は従来の景気刺激策よりも大きな利益を得るというメリットも挙げられていました。

しかし、今のところ、環境汚染国は気候変動リスクを挽回する機会を逃しているようです。

DRY MONEY

資金が枯渇している

7月9日、国際エネルギー機関(IEA)が主催したオンラインサミット後。元国連事務総長の潘基文をはじめとする経済学者たちは、公開した書簡において、「ほとんどの景気刺激策は、気候変動からの回復をその復興計画に組み込んでいない」と警告しています。

先立つこと6月、IEAは各国政府に対し、再生可能エネルギーシステム、自動車や建築物の効率化に関する法律の施行、水素燃料などのテクノロジーの研究開発などに対し、今後3年間で年間1兆ドル(約107兆円)を投じるよう勧告していました。

しかし、各国においてその現実が訪れる気配はありません

Image copyright: REUTERS/THOMAS PETER

「残念なことに、主要経済国の一部は低炭素資源への支援を行っているものの、化石燃料支援がそれを上回っています」と、世界資源研究所の研究者ジョエル・イェーガーも述べています。

China, India, South Korea and Japan

中国、そしてアジア

中国は、“刺激的”な支出を投じ、表面的には事を正しく運んでいるようにみえます。

同国では、2025年までに1.4兆ドル(約150兆円)を費やして経済を強化しようとしています。その投資の多くは、AIをはじめとするインフラ整備や華為技術(ファーウェイ)やアリババのようなテック企業だけでなく、電気自動車をはじめとする低炭素の公共交通機関を支援するべく使われることになっています。

しかしその一方で、石炭への依存が倍増しています。

中国のCO2排出量は、ロックダウンの最中に25%減少しました。が、5月にはパンデミック前のレベルを上回るまでに急増。その主な要因は、石炭火力発電所の活動が増加したことにあるようです。中国は新たな発電所の建造許可を強化するとされていますが、CO2排出量の増加に拍車をかけることは間違いありません。

Image copyright: REUTERS/DANISH SIDDIQUI

イェーガー氏によると、中国は今年、過去2年間の合計よりも多くの石炭火力発電所の建造許可を出しています。中国では、建造から10年未満の新たな石炭火力発電所が大半を占めており、それら施設の運転寿命は数十年残されています。中国は、さらに、今年中に石油・ガス生産の拡大を目指しているともされています。

中国以外にも、インドの復興計画には、石炭資源のインフラ整備に対する66億ドル(約7,080億円)が含まれています。韓国では、最大手の石炭プラント会社に対する20億ドル(約2,140億円)の救済措置が決定しました。日本は7月9日に海外の石炭プラントへの公的支援を打ち切ると発表しています。

United States

ここぞとばかりの米国

一方、米国ではどうでしょうか。月曜日に発表された連邦政府のデータによると、5,600社の化石燃料企業が、少なくとも30億ドル(約3,200億円)の給与保護融資を受けていることが明らかになっています。6月に発表された3兆ドル(約320兆円)の景気刺激策には、航空会社に対する600億ドルのほか、トラック運送など気候汚染産業への数十億ドルが含まれていました。

Image copyright: REUTERS/STEPHEN LAM

英国に拠点を置くVivid Economicsの分析(6月)によると、パンデミック以降、米国は少なくとも4,790億ドルを「過去に環境に有害であることが証明されている分野に無制限の支援を提供する」ために費やしてきました。

同分析によると、景気刺激策の資金にはバイオ燃料に対する1億ドルも含まれているといいます。しかし、コロンビア大学の気候経済学者、ノア・カウフマンは、「CO2排出量を直接規制する政策がなければ、絵に描いた餅にすぎない」と警告しています。

トランプ政権はパンデミックを契機とばかりに、インフラプロジェクトに対する環境影響評価を免除したほか、アラスカ北極圏の広大な地域を新たな石油掘削の対象として開放するなど、規制の撤廃を着実に進めているように映ります。

medium-term measures

パンデミックの先に

こうした傾向のなかにおいて、欧州は独特な存在だといえるでしょう。6月初旬、欧州委員会は8,500億ドルのグリーン復興パッケージを発表しました。その中には、化石燃料に依存している地域経済に対して、化石燃料からの「正しい移行」を支援する450億ドルなどが含まれています。

さらに先週、欧州委員会は、2024年までに水素燃料の生産量を6倍に増やす計画を発表しました。各国は独自の方針で取り組んでおり、低炭素あるいはゼロカーボンであることを条件にした自動車購入への補助金を提供している国もあります。ちなみに、先週水曜には、英国が37億ドルのグリーンインフラパッケージを発表しています。

Image copyright: REUTERS

クリントン政権時代のエネルギー担当高官で、コロンビア大学上級研究員のデビッド・サンダロウは次のように述べています。

「世界経済の先行きには、まだ何年も“上り坂”の期間があり、気候変動にもっと真摯に向き合う機会は残されている。災害復興(という短期的な対策)を超えて、中期的な対策としてグリーンエネルギーの優先順位により目を向けるべきだ」

This week’s top stories

今週の注目ニュース4選

  1. Googleがインドで過去最大の投資。米Googleは7月13日に開催したオンラインイベント「Google for India 2020」で、インドのデジタル経済移行を促進するために今後5〜7年で約100億ドル(約1兆円)を投じることを発表。「デジタル化ファンド」を設け、インドで投資を行います。インド市場において、Googleとして過去最大の計画です。
  2. “ソロ社会”が加速する韓国。行政安全省が公表したデータによると、2020年6月末時点で韓国で最も一般的な生活形態は単身世帯でした。住民登録がある人口のうち、単身世帯は約877万世帯で全体の39%を占めます。2018年末と比較すると6.9%の増加。なお、2番目に多いのは2人家族で、同4.3%増。全体の23.1%を占めます。
  3. 中国・浙江省でコロナワクチン工場を着工。5億5,000万元(約84億3,000万円)を投じ、新型コロナウイルスワクチン専用の製造拠点の建設が始まりました。中国疾病対策センター(CCDCP)は、この秋に最初のワクチンが国内で製造される見通しを示しており、早ければ来年3月にも大量生産を開始する予定です。
  4. タイ、同性パートナーシップ合法化へ。7月8日、タイ政府は同性カップルに男女の夫婦と同等の権利を付与する法案を承認、閣議決定しました。同法案は、同性カップルの結婚を事実上認めるもの。可決、成立した場合、同性カップルの養子縁組が認められるほか、相続権の主張や、財産など資産の共同管理が可能。政府広報は「タイ社会がすべての性別の人々の平等を推進する上でのマイルストーンだ」と語りました。

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