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Startup:Monthly──「セレブに学ぶ」スキルアップの新体験

いま、米国ではオンライン上でカルチャースクールを展開するスタートアップが急成長を遂げています。Quartz Japanの毎週月曜夕方のニュースレター「Next Startup」、今週はリアルとオンラインの美味しいとこ取りの学習プラットフォーム、Monthlyを取り上げます。

This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
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Deep Dive: Next Startups

次のスタートアップ

[qz-japan-author usernames=”masaya kubota”]

Quartz読者のみなさん、こんにちは。毎週月曜の夕方は、WiLパートナーの久保田雅也さんのナビゲートで、「次なるスタートアップ」の最新動向をお届けします。

家にいる時間が増えたことで、自分と向き合う時間が自ずと増えた人は多いでしょう。閉塞的なムードが立ち込めるなかで英語や簿記の資格取得を目標にするなど、この期間を有効活用してスキルアップにチャレンジする人もいます。

資格取得などおカタイものでなくとも、「すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する」というアリストテレスの言葉を裏付けるように、いま、米国ではオンライン上でカルチャースクールを展開するスタートアップが急成長を遂げています。

今週お届けするQuartzの「Next Startup」では、リアルとオンラインの美味しいとこ取りの学習プラットフォーム「Monthly」を取り上げます。

Image copyright: MONTHLY
Monthly
・創業:2017年
・創業者:Max Deutsch, Valentin Perez
・調達総額:800万米ドル(約8億4,000万円)
・事業内容:オンライン学習プラットフォーム

WHO IS MONTHLY?

Monthlyとは

Monthlyは、オンラインで絵画、作曲、料理、工作などさまざまなカテゴリーの講座を提供しています。サービス名のとおり、1つの講座は1カ月で完結します。未経験者からはじめて、1カ月かけて自分の作品をつくります。

1クラスの定員は20人で、オンラインで実施されるため世界中から生徒が集まります。講座はライヴ形式で、講師と生徒のコミュニケーションがインタラクティブに行われます。

これだけでは特別な感じがしませんが、開講されるクラスの講師陣は錚々たる面々です。クリエイティブ分野のスターやセレブリティなど、雲の上の存在ともいえるスターが勢ぞろいしています。

Image copyright: MONTHLY
  • 元NASAのエンジニアで、フォロワー1,700万人を誇る発明家YouTuber、マーク・ローバー(Mark Rober)の機械工作講座
  • グラミー賞を受賞し全米ナンバーワンの曲も作曲したシンガーソングライター、ライアン・テダー(Ryan Tedder)による作曲講座
  • BTSやエド・シーランなども手がける超有名振付師のカイル・ハナガミ(Kyle Hanagami)のダンス講座
  • 全米に展開するベーカリーMilk Barの創業者で、全米版料理の鉄人シェフのクリスティアン・トシ(Christian Tosi)によるパン焼き講座

オンラインとはいえ、1カ月間、自分の憧れのクリエイターとの直々のコミュニケーションが約束されるとあれば、受講者にとっては喉から手が出るほど魅力的です。もちろん、腕前は一流なため、教え方も抜群です。

Image copyright: マーク・ローバーの講座/MONTHLY

2017年にスタートしたMonthlyですが、期せずして訪れたコロナが追い風となり、爆発的な成長を見せています。リモート環境で時間に余裕ができ、人びとには「何かスキルを身につけたい」「新しいことにチャレンジしてみたい」意識が芽生えました。

講師となるクリエイターにとっても、展示会やコンサートなどが軒並み中止になり、他の活動に時間を割く余裕が生まれました。昨年12月には著名VCからの資金調達も行い、すでに評価額は1億ドル(約110億円)に達しています。

INTERESTING POINT

巧みなモチベート

Monthlyが面白いと思える理由は、次の4つです。

まず、「スキル獲得」に見えて、その実態は「コミュニティとしての体験」にある点です。

Montlyでは世界中から集まった20人の仲間同士の交流、互いへの助言や賞賛が積極的に図られます。同じ目標に向かって取り組み、過程を共有しフィードバックし合うなかで、得難い友人や仲間と出会い、ともに切磋琢磨する体験こそが、このサービスの本質です。

Image copyright: MONTHLY

次に、講座の対象を「作品制作」に絞った点です。Monthlyには、語学やチェスなど、単なるスキルアップの講座はありません。

Monthlyの講座はいずれも1カ月間で各人が作品を完成させますが、途中で参加者同士のアドバイスや助け合いが奨励されます。アウトプットがあることで感想が伝えやすく、コミュニケーションが誘発される仕組みです。アート作品ゆえにInstagramなどで「映え」やすく、ストーリーテリングしやすいのが特徴です。

Image copyright: MONTHLY

そして、1カ月とタイトな講座期間で、見逃しの効かないライヴ講座とした点です。

参加者には、週に5〜10時間をこれに割くようにと、わりと重めのコミットメントが求められます。しかも講座はライブなため、見逃せば録画でフォローも効きません。カリキュラムも素人が1カ月でマスターするにはハードな内容です。

あえて不便にし、負荷をかけることによって、受講生の真剣度を引き出しています。また同時に始めて同じ苦労をともにする仲間がいることで、時にライバル心もかき立てられながら、最後まで走り切ることができるように設計されています。

Image copyright: MONTHLY

最後に、なんといっても超一流のクリエイター講師を起用している点です。

カリキュラムの全体設計やコンテンツ制作など、Monthlyはオンラインのクラス運営に必要な手間を全て請け負っています。年収数億円のセレブクリエイターの負荷が、最小限になるようきめ細かくサポートし、クラスに集中できる環境を整えています。妥協なき超一流クリエイターを招くことができるのは講座の報酬では到底なく、面倒を全て丸投げできるサポートと、彼らにも得難い体験を提供できるクラスの設計・運営力と言えます。

HUMAN NEEDS

創造と表現の欲求

Monthlyのサービスは、創業者の1人マックス・ドイチュ(Max Deutsch)のブログ内でのユニークな試みがきっかけです。

ルービックキューブを20秒以内に組み立てる、ヘブライ語でテクノロジーの未来について30分間話す、3分間のフリースタイルラップなど、ドイチュは12カ月かけて12個のユニークなスキル習得にチャレンジし、その過程をブログ「Month to Master(M2M)」に綴りました。

Image copyright: マックス・ドイチュ(左)とバレンティン・ペレス(右)/VALENTIN PEREZ

やがてこのブログは読者が600万人に上る人気コンテンツに。この反響を受けて、ドイチュは、人々に内在するスキル向上やチャレンジによる進化の欲求に気づきます。やがて、ブラウン大学の同級生バレンティン・ペレス(Valentin Perez)とともにMonthlyを起業に至ります。

学習を体験に置き換えたこと、独学ではなくコミュニティとして設計したこと、手の届かない憧れのセレブ講師を起用したこと、など考え抜いた仕組みで業界の常識を覆したMonthly。

これまでオンライン学習業界では、ほとんどの受講者はやる気がないというのが通説だったそうです。しかし、Monthlyの業界平均を大きく上回る10倍の修了率は、この思い込みがある意味で間違いだったことを証明しています。

久保田雅也(くぼた・まさや)WiL パートナー。慶應義塾大学卒業後、伊藤忠商事、リーマン・ブラザーズ、バークレイズ証券を経て、WiL設立とともにパートナーとして参画。 慶應義塾大学経済学部卒。公認会計士試験2次試験合格(会計士補)。

🌏 ウェビナー第4回の申込み受付中!

世界各地で活躍する日本人VCが現地の声で伝えるウェビナーシリーズ、第4回は、インドにフォーカスします。開催は2月25日(木)。これからスタートアップに、そして日本企業に求められる役割を、現地からお届けします。ぜひお見逃しなく。

  • 日程:2月25日(木)11:00〜12:00(60分)
  • 登壇者:佐藤輝英さん(Founder, BEENEXT)、久保田雅也さん、Quartz Japan編集部員(モデレーター)
  • 参加費:無料(Quartz Japan会員限定)

Cloumn: What to watch for

デジタルレディネス

コロナショックに対して、世界がある程度耐えられた部分があるとすれば、それははデジタル化が一気に進んだことも一因でしょう。ビジネス、働き方、社会行動もデジタル化という代替的な手段を得て、DX(デジタルトランスフォーメーション)はわずか8カ月で5年分の進歩を遂げたとする調査もあります。米タフツ大学の調査チームは、各国の経済的回復力はDXによって支えられたとし、「経済悪化を緩和した要因の約20%を占める」と報告しました。特に、米国、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)はそれぞれ、他の先進国よりも経済成長への影響はありませんでした。

その一方、デジタルの進化が著しかった反面で経済が落ち込んだ英国では、旅行・観光からもたらされていたGDPの11%に響いたこと、さらに、政府がパンデミックにタイムリーに対応できなかったために国民の信頼の失墜を招いたと指摘されています。対照的なのは韓国で、高度なデジタルインフラストラクチャを使いこなし、コロナの情報がリアルタイムで国民に届いたと評価。DXに対応するための組織能力「デジタル・レディネス」が明暗を分けたようです。

(翻訳・編集:鳥山愛恵)

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