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(last) Weekend:時代遅れ?の中国コロナ政策

世界各国のコロナ対策は「ロックダウン頼り」を脱却し、ワクチンによる「共生」へと移行しています。しかし、中国は当分の間、「ゼロコロナ」政策に固執することになるでしょう。

This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published

昨年12月下旬以降、「兵馬俑」で知られる中国・西安市の1,300万人の住民は、2年前に中国がパンデミックで初のロックダウンを行った武漢市の人びとが経験した絶望と苦しみを追体験しています。

2020年、新型コロナウイルスへの理解が深まり人びとがこの感染症から身を守ろうとするなか、世界は「ロックダウン」を共通して体験することになりました。しかし、いまではほとんどの国が、ロックダウンが経済やメンタルヘルスに与える負担を認識しており、この手法を捨て去りワクチンによる防御策に頼っています。

英国は「新型コロナとの共生」を目指している最右翼。新たな感染者が急増していても、ほとんどの経済活動はいつも通りに行われています。一方、中国は1日当たりの新規感染者が200人未満で、最近は死者が出ていないにもかかわらず、「ゼロコロナ」政策を堅持することを決めました。

ソーシャルメディア上では、多くの人びとが新たなロックダウンによる「犠牲」を共有しています。

ある妊婦は、新型コロナの陰性証明書が「48時間以内」という期限が切れていたため、地元病院で治療を受けることができず、死産しました。また、別の女性は、新型コロナ対策担当者に生理用ナプキンを懇願する動画をアップロードしています。食料と医薬品が不足している家庭からの助けを求める声も、西安でロックダウンが始まった当初から、ソーシャルメディアでよく見かける光景となりました。あるネットユーザーは、「新型コロナ以外の原因で死ねば、地元当局者にとっては問題ではない」と辛辣なジョークを飛ばしました。

渡航禁止、検査ガイドライン、ワクチン未接種者への罰則など、公衆衛生政策の多くは政治的なものです。感染者を限りなくゼロに近づける、という政策に固執する中国では、この傾向は特に顕著です。中国当局は、パンデミック初期のような状況や、最初に新型コロナについて警鐘を鳴らし、処分を受けた医師がこの病気で死去し、人びとの怒りが爆発したという記憶に、まだ怯えているのかもしれません。あるいは、経済が低迷し、何千人もの若者たちが解雇されるなか、政府はその権威主義的なアプローチが、依然として人びとの安全を守るために効果的であることを証明しなければならないと感じているのかもしれません。

以上のことから分かるように、中国は当分の間、「ゼロコロナ」政策に固執することになるでしょう。問題は、この新型コロナの危機的状況のコストが「危険」レベルにまで高くなるのか、なるとしたらそれはいつなのか、ということです。

Image copyright: Reuters / Thomas Peter

THE BACKSTORY

変化のウラ側で

  • 「ゼロコロナ」政策にこだわる理由。このアプローチは、過去2年間、中国が感染者数を抑えるのに役立ってきましたが、オミクロン株のように感染力の強い変異種が猛威を振るうなかで、感染者が少ない状況を維持し続けるのは難しいことが分かってきました。中国は現在、2,000万人が住む3つの都市をロックダウンしています。
  • 香港は中国の後を追っている。香港は独自の公衆衛生政策をもっているものの、中国当局の方針に忠実です。ここ数週間、さらに多くの人びとが政府の隔離施設に送られ、その中には、誕生日パーティーに出席し、その後、謝罪の言葉を述べることになった政府高官も含まれています。香港はまた、150カ国以上を対象に、その地域に滞在していた人びとが香港で航空機を乗り継ぐことを禁止しています。
  • 中国ワクチンには課題がある。中国の人口の80%以上がワクチンを接種していますが、調査によれば、シノバック(Sinovac、科興控股生物技術)製の不活性化ワクチン「CoronaVac」とシノファーム(Sinopharm、中国医薬集団)製ワクチンは、欧米諸国で広く接種されているmRNAワクチンよりも防御力が低いことが分かっています。国民の免疫レベルが低ければ、変異を続ける新型コロナウイルスを根絶しようとする中国当局の取り組みが、さらに難しくなる可能性があります。そしてもう一つ、気になる問題が。香港では80歳代の25%しかワクチンを接種していないのです。

LIVIN’ ON A PRAYER

希望をもって生きる

英国では現在、ワクチン接種の義務付けはほとんどなく、入国前の新型コロナ検査も求めていません。無料検査の廃止さえ検討しているのです。このアプローチには批判もありますが、スペインなど他の国も制限の緩和を検討しています。

では、「新型コロナとの共生」政策は、英国でどのように作用しているのでしょうか。この政策にとって有利なポイントとしては、英国の症例数は、オミクロン株の増加がすでにピークに達している可能性を示唆しています。

WHAT TO WATCH FOR NEXT

これから注目すべきこと

  1. 風変わりなオリンピックになる。東京オリンピックはこれまでもっとも異質な、ロックダウンされたオリンピックになるかと思われていましたが、開幕が3週間後に迫った北京での冬季大会はさらに密閉度の高い大会になりそうです。海外からの観客の参加は検討すらされていないため(参加するには数週間の隔離が必要)、新疆ウイグル自治区の収容所への抗議に端を発する外交ボイコットも、あまり目立たなくなるでしょう。
  2. さらに多くの都市でロックダウン。港湾都市である天津と南部の大都市・上海で新たな感染が確認され、この2都市は部分的なロックダウンを実施したり、都市間の移動を停止したりすることになりました。こうした新しい感染拡大がオリンピックに影響を与えるかどうかは、中国当局にとって最大の関心事。特に天津が首都・北京からクルマで1時間ほどの距離であることを考えればなおさらです。
  3. サプライチェーンにも影響。「ゼロコロナ」政策によって都市機能全体が麻痺し、時には数週間にわたり、労働者は工場に行くことができず、トラック運転手は港に行くことができなくなります。トヨタ、サムスン(Samsung)、フォルクスワーゲン(Volkswagen)、そして、ナイキ(Nike)やユニクロ(Uniqlo)といったアパレルメーカーのサプライヤーは、いずれも生産に影響を受けており、アジアから米西海岸への輸送コストは先週から16%上昇しています。
  4. 中国のGDPは。中国は月曜日(17日)に第4四半期と2021年のGDPを発表します。2021年の中国経済は、依然として堅調な輸出のおかげもあり、約8%成長した、というのが大方の見方ですが、消費と投資が減速するなか、中国が2022年もこうした成長率を維持するのは難しいかもしれません。
  5. 政治的なシグナル。この秋、中国共産党は5年に1度の党大会を開く予定です。通常の流れであれば、2期10年に及び権力を握ってきた習近平国家主席は後継者を指名するはずですが、習近平は3期目に突入する可能性が高いとみられています。党大会が終わるまでは、中国が新型コロナに対する警戒を緩めることはないでしょう。

ONE 📊 THING

データの「盲点」

Image copyright: REUTERS/REUTERS/FLORENCE LO/ILLUSTRATION

中国政府はオリンピックに関する議論の流れを変えるだけでなく、話題を提供しようとしています。中国は、このオリンピックをデジタル人民元の主要なプロモーション手段にしようとしています。海外からの観光客はこの仮想通貨を使ってオリンピックの宿泊費や交通費を支払うことができるようになるほか、ATMでは外貨をこの仮想通貨に換金し、デジタル人民元カードで持ち運ぶことができます。しかし、依然として、このデジタル通貨を普及させるのは、困難な戦いになりそうです

今日のニュースレターは、Tripti Lahiri(アジア・エディター)とJane Li(テックレポーター)、Courtney Vinopal(ブレーキングニュース・レポーター)がお届けしました。

💎 先週の注目ニュースを深掘りする「(last) Weekend」ニュースレターは、毎週月曜の夜にお届けしています。

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