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Africa:Twitter禁止で国民が払ったツケ

Quartz Japanの毎週木曜夜のニュースレターは、この1週間アフリカで起きたことを総まとめ。あらたな市場、あらたな産業が生まれる瞬間を定点観測するニュースレターです

Image copyright: Reuters / Afolabi Sotunde
This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published

ナイジェリア政府は1月12日、Twitterの禁止令を解除すると発表しました。ツイッターがナイジェリア政府の要求を飲むことに同意したからというのがその理由です。政府からの要求には、現地法人の設立と納税に加え、ナイジェリアの法執行機関がツイッターに同国法に反する投稿への対応を求めるための窓口の開設含まれていました

ナイジェリアでTwitterの使用が禁止されたのは昨年6月5日のことでした。その数日前、ツイッターは同国のムハマドゥ・ブハリ大統領による投稿を、規約違反を理由に削除していました。ただし、ブハリ政権はこの禁止令は削除への報復ではなく、同社にナイジェリアの国家安全保障上の利益と一致した行動をとってもらうためだとしています。

その後、ナイジェリアではMTNやAirtelといった国内通信大手のネットワークからTwitterへのアクセスが遮断され、 ブハリ大統領をはじめ、すべての政府系アカウントが投稿を停止しました。一部の政府関係者は、知名度が低いインドのソーシャルメディアプラットフォーム「Koo」に移行しています

しかし、ナイジェリア人にとって、Twitterは大切な市民活動の場です。テロ組織ボコ・ハラムによる女子生徒拉致事件への抗議と被害者への支援を求める「#BringBackOurGirls」や2015年の選挙運動、警察部隊の暴力に抗議する「EndSARS」なども、Twitterを通じて広がっています。それゆえ個人や市民社会組織、さらには企業も、VPNなどを使ってこの措置を回避しました。

Image copyright: Reuters/Temilade Adelaja

7カ月におよぶ協議の結果、ツイッターと政府は合意に達しました。ツイッターは「ナイジェリアに深くコミットする」と投稿し、政府は同社が「ナイジェリアのより広い地域をカバーするために、より多くのビジネスモデルを改善・開発できるようになる」と述べました。

しかし、222日間の禁止令は経済的な悪影響を及ぼしました。2021年のインターネット遮断のコストに関する報告書によると、ナイジェリアは禁止令の結果、14億5,000万ドル(約1,658億8,491万円)の損失を出し、その年の「インターネット遮断による経済的損失」が世界で2番目に大きい国になりました。ナイジェリアの損失額は、同じくインターネットの遮断が実施されたエチオピア、スーダン、ウガンダの3カ国を合わせた額の3倍に上ります。

アムネスティ・インターナショナルはTwitter禁止令について、違法行為であり「表現の自由の権利に対する攻撃」だったと主張しています。一方のナイジェリア政府は、「国民的犠牲」によって「計り知れない」利益(例えば、ツイッターから得られることになった税収や、サイバー犯罪の減少など)がもたらされたと述べています。

主張の是非は議論の余地がありますが、この禁止令が解除されたことは事実。いまのところ、より多くのナイジェリア人が、サッカー・アフリカネイションズカップ(AFCON)などのイベントやさらに重要な2023年の大統領選挙に向けて、自由にオンラインでの会話に参加できるようになりました。

STORIES THIS WEEK

今週アフリカで起きた事

  1. EUが入域制限緩和。EUがオミクロン株への対応として南部アフリカ地域の7カ国を対象に発動していた入域制限策を解除しました
  2. 小切手から電子取引へ。ウガンダの中央銀行であるウガンダ銀行が、電子マネーやモバイルマネーによる決済を促進させようとしています。同行は1月15日より自国通貨および外貨で約2,800ドル相当以上の小切手の扱いを取りやめました。
  3. 暗号資産取引所がAFCONのスポンサーに。世界最大の暗号資産取引所であるバイナンスが、サッカーのアフリカ大陸選手権であるアフリカネイションズカップ(AFCON)の「公式・独占暗号通貨・ブロックチェーンスポンサー」になりました。AFCONは大陸最大のスポーツ大会で、視聴者数は全世界で3億人を超えるといわれています。バイナンスは銀行口座をもたない人が多いアフリカでの知名度を上げる狙いです。
  4. NYの火災でガンビア人たちが犠牲に。1月9日、米ニューヨーク市ブロンクス区にある9階建てのアパート「ツインパークス・ノースウェスト・ビル」で火災が発生し、17人が亡くなりました。犠牲者の多くはガンビア人であり、コミュニティは悲しみに包まれています。1972年に建てられ、手ごろな価格で入居できる住宅として称賛されていたこのビルには、法律で定められている消火設備や屋外の非常階段がなく、誰かが意図的に閉めない限りドアが開きっぱなしになっているなど多くの問題があったといい、消防署が調査を進めています。

SPOTLIGHT ON AN INNOVATOR

アフリカンイノベイター

A stylized portrait of Quartz Africa 2021 innovator, Jasmine Samantar

ソマリアにおいて、安定した電力供給は贅沢品です。ディーゼル発電機が空気を汚染しながら発電した電力供給網を利用できるのは、一部の裕福な人々に限られます。

こうしたなか、ニューヨークの国連本部に赴任した若きソマリア外交官だったジャスミン・サマンター(Jasmine Samantar)は、エネルギー供給こそがあらゆる開発目標になると考えました。そこで彼女は、太陽光発電システム向けのマイクロファイナンス事業を始めます。しかし、彼女のクライアントである小規模な商店や飲食店の経営者たちは、すぐに使えて営業の利になるオーダーメイドの太陽光発電システムを求めていました。

ソマリアで女性主導のクリーンエネルギー・スタートアップが資金を調達するのは難しかったと、現在28歳のサマンターは振り返ります(「インターンだと思われていました」)。

しかし、いまでは38人のエンジニアとマーケティングスタッフからなるチームを結成し、太陽電池を使った移動式キッチン医療機器用バックパック家庭用照明キットなどすぐに使えるソーラーハードウェアを設計、製造、販売しています。彼女の製品は東アフリカの9,000人以上の人々に届けられ、ユーザーたちは可処分所得を平均70%増やせたといいます。

Quartz Africaの「Innovators 2021」リストでは、サマンターをはじめとするアフリカの女性イノベーターたちの先駆的な取り組みを紹介しています。

DEALMAKER

今週のディールメーカー

  • コートジボワールのeコマース・スタートアップであるANKAが、プレシリーズAのラウンドで620万ドル(約7億857万円)を調達しました。ラウンドのリードインベスターはフランスのベンチャーキャピタル(VC)であるInvestisseurs & Partenairesで、VestedWorldEnigmoGroupe PrunayRising Tide AfricaSAVIU Venturesも投資に加わっています。ANKAは2016年の事業開始以来、計810万ドル(約9億2,571万円)を調達したことになります。
  • 消費者向け金融を手がけるケニアのLipa Laterが、タンザニアやガーナ、ナイジェリアへのサービス拡大のために1,200万ドル(約13億7,142万円)を調達しましたCauris FinanceLateral Frontiers VCGreenHouse CapitalSOSVSayani InvestmentsAxian Financial Servicesなどが投資に加わっています。Lipa Laterはアフリカの「buy-now-pay-later(後払い決済)」分野を担うスタートアップのひとつで、アフリカの小売業者との提携をさらに増やしていく予定です。
  • ナイジェリアの人材系スタートアップSeamlessHR1,000万ドル(約11億4,285万円)を調達しました。ラウンドはTLcom Capitalが主導し、Capria VenturesLateral Frontier VenturesEnza CapitalIngressive Capitalなどが参加しています。SeamlessHRはクラウドベースの人事・給与管理システムを提供しており、PwCやFlutterwave、TGI Groupなどの企業を顧客に抱えています。

OTHER THINGS WE LIKED

その他の気になること

  1. 斬新なアフリカ建築を訪ねて。『Guardian』紙のオリバー・ウェインライト(Oliver Wainwright)が、セネガルで1960年の独立後に増えた建築物のデザインについて書いています。この時期に建てられた建築は西洋の影響を排除したものが多く、三角形の建造物やロケット型のオベリスク、石積みの土などが特徴的です。
  2. タンザニアにインターネットを。タンザニアの人口のうちインターネットを利用しているのはわずか20%ほどです。こうしたなか、英国の企業であるWorld Mobileがタンザニアのザンジバル島とペンバ島全域にインターネットを提供すべく気球を使ったハイブリッドネットワークを立ち上げようとしていると、『CNN』のトム・ペイジ(Tom Page)が書いています。
  3. ザンビアを低税率のスタートアップハブに。ザンビアではFlutterwaveやChipper Cashを含む約40のスタートアップ企業が、同国でスタートアップを経営しやすくするための規制の策定に取り組んでいますRest of World』のアブバカル・イドリス(Abubakar Idris)が、この取り組みについて詳述しています。
  4. ブロンクス区に初めて移住したガンビア人。多くのガンビア人を含む17人が亡くなる火災が発生したツインパークス・ノースウェスト・ビル。このビルにガンビア人が多く住むようになったきっかけは、1970年代にガンビア人でダイヤモンド商のアブドゥリー・トゥーレイが入居したことだったといいます。イスラム学者としての顔ももっていたトゥーレイがこの地でいかにイスラムコミュニティを育てたか、『New York Times』のキミコ・ドゥ・フレタス=タムラ(Kimiko de Freytas-Tamura)が書いています

🎵 今週の「Weekly Africa」は、モロッコのOuidadによる「Zina」を聴きながらお届け。翻訳・川鍋明日香、編集・年吉聡太でお送りしました。

💎 毎週木曜夜は、この1週間アフリカで起きたことを総まとめ。あらたな市場、あらたな産業が生まれる瞬間を定点観測するニュースレターです。

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