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(last) Weekend:暗号資産に、冬来る

先週、暗号資産は、時価総額が大幅に目減りしました。過去最高の値からすると約半分になったのです。その背景で何が起きていたのか、これから何が起きうるのかを追います。

This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published

従来の金融専門家の多くは、暗号資産を「リスク資産」とみなしてきました

テック株やコモディティ投資、高利回り債などといった他の変動性の高い投資カテゴリーと同じように、その投資が成功するかどうかは、もっぱら投資家が安価な資本にアクセスできるかどうかに左右され、米連邦準備制度理事会(FRB)のような中央銀行が利上げの計画を示唆すると、投資家はリスク資産を捨てて、より安定した選択肢を選ぶ可能性が高くなります。

経験豊富なトレーダーにとって、ボラティリティ(価格変動性)は暗号資産の特徴であり、バグではありません。コインの価格が急激に上がったり下がったりするとき、暗号取引所間の価格差は、大きな裁定取引(価格差を利用して利益を得る取引)を生み出します。しかし、暗号資産の分野には経験の乏しいトレーダーも多く、彼らは最近の暴落で高い勉強料を払っています。かねてから「TradFi(伝統的金融)」における論点となっていた「分散投資」が、いま、人びとの話題に上り始めています。

暗号資産のポートフォリオでの第一のルールは、「失ってもいいものだけを投資すること」です。「新米投資家の場合、それは純資産の3%以下だ」と、暗号資産ヘッジファンド、ブロックフォース・キャピタル(Blockforce Capital)CEOのEric Ervinは言います。しかし、最近の暗号資産投資家の爆発的な増加は、ビットコインを買う以外の選択肢も提供しています。

個人投資家であれば、人気取引所であるコインベース(Coinbase、COIN)やビットコインマイニング企業のマラソン・デジタル(Marathon Digital、MARA)など、上場している暗号関連企業にひもづく上場投資信託(ETF)を購入することもできれば、IBMやナスダック(Nasdaq)のようにブロックチェーンに関心を示す有名企業への投資もできます。また、分散型金融(DeFi)プロトコル、NFT、メタバースの分野に手を伸ばせます。プロのトレーダーであれば、デリバティブ(金融派生商品)を利用して暗号資産に賭けることもできるでしょう。

暗号資産にとって最後の弱気相場となったのは、2018年。米証券取引委員会(SEC)が、ほとんどのイニシャル・コイン・オファリング(ICO、暗号資産を使った資金調達)が証券取引法違反にあたると判断したことで、ICOバブルが弾けたときでした。当時、クリプト業界はまだ黎明期であり、この暴落は、軌道に乗り始めたばかりの多くの企業に深刻な影響を与えました。4年後の現在、数多くの暗号関連企業が存在しており、暗号資産をめぐる変化が起きたとしても、このセクター全体が崩壊するというよりは、勝者が入れ替わる可能性の方が高いでしょう。

「忘れ去られた(前回の)弱気相場とは異なり、今回は、どのプロトコルがあまり発展しなかったのか、急速に勢いを失ったのかを見極める良い機会になる」と、Eric Ervinは言います。「つまり、こうしたものに手を出さないでいるだけで、あなたは有利な立場に立つことができる」。

THE BACKSTORY

変化のウラ側で

  • 暗号市場は過去3カ月でその価値の53%を失った。暗号資産はパンデミック時にブームとなりましたが、昨年11月に史上最高値を記録してから急落し、1兆4,000億ドル(約160兆円)の時価総額を失いました。
  • 暴落で企業のバランスシートから70億ドル(約8,060億円)が消えた。少なくとも26の上場企業が21万7240BTCを所有しており、これは流通している全ビットコインのおよそ1%にあたります。その半分以上は、ソフトウエア会社のマイクロストラテジー(MicroStrategy)が所有しています。
  • 暗号は安全な避難場所ではない。暗号資産の暴落の背景には、高いインフレ率、利上げの計画、伝統的な株式市場での暴落といった複合要因があるようです。これは、暗号資産を支持する人びとがよく訴える「暗号資産は、インフレや中央銀行の法定通貨政策に対するヘッジとして機能する」という主張の説得力を弱めるものです。

A BITCOIN BOOM

ブームの終焉

パンデミックにおけるビットコインの高騰は、金融緩和政策によって投資家がハイリスク資産に資金を投入しやすくなったことが一因でした。FRBが金融引き締めに転じたいま、こうした投資家が安価な資本にアクセスできる機会は減っています。

WHAT TO WATCH FOR NEXT

これから注目すべきこと

  1. 暗号資産の「感触」をどう追跡する? 最も人気のある指標の1つは「相対力指数(RSI)」。資産がその「真の」価値に対して、買われ過ぎたり売られ過ぎたりしていないかを投資家に知らせることを目的としています。また、ボラティリティ、購入量、Google検索トレンド、ソーシャルメディアなどを考慮した「クリプト・フィア・アンド・グリード(恐怖と欲望)指数」もあります。
  2. NFTは低迷期を乗り切れるのか? NFTは、オーストリア学派の考え方や「ビットコインがインフレをヘッジする」という主張を人びとに売り込むことなく、暗号資産に価値を生み出す方法として、暗号資産の支持者たちに注目されています。暗号市場全体が低迷しているにもかかわらず、主要NFTプラットフォームの取引量は依然として堅調で、主要コレクションの価格は維持または上昇していると、クリプト資産貸付企業ジェネシストレーディング(Genesis Trading)のマーケットインサイト責任者であるNoelle Achesonは述べています。
  3. アルトコインは主流になるのか? アルトコインの多くは、強気相場においてビットコインやイーサリアムよりもはるかに高い変動を示しますが、より厳しい暴落も経験しています。これまでアルトコインを「買い」リストの上位に入れていなかった暗号ファイナンシャルアドバイザーは、より多くの主流コインが価値を失い、アルトコインが素早く新機能を追加していけば、その考えを変えるかもしれません。
  4. ミームコインはいつまで存在できるのか? ミームコインにビジネス上の目的はなく、ただ面白半分に存在しているのです。昨年11月以降、ドージコイン(DOGE)はその価値の半分を失い、「ミームコインから生まれたミームコイン」である「Shiba Inu(柴犬コイン)」に至っては、70%も下落しています。これらのコインの起源をめぐるばかげたストーリーは、投資家にとってより重要なものになっていくのでしょうか。
  5. エルサルバドルはどうなった? 昨年、ナジブ・ブケレ大統領は、ビットコインを法定通貨として採用すると表明しました。彼はビットコインを追加購入していますが、こうした動きに対して国民は不信感を抱き始めています。

ONE 🗽 THING

目減りする給与

ニューヨーク市長のエリック・アダムスは、「給与をビットコインとイーサリアムで受け取る」と約束しましたが、彼が本当に言おうとしていたのは、「給与を米ドルで受け取り、そこから暗号資産を購入する」ということでした。(バーボンの「パピー・ヴァン・ウィンクル」に給料をつぎ込んで、「バーボンで給与をもらった」と言うようなものです)。

今回の暴落で、アダムスの奇妙な公約をめぐる事態はさらに悪化しています。『The New York Post』の試算によると、市長が隔週で支給される税引き後給与5,900ドル(約67.9万円)を、1月21日にビットコインとイーサリアムに均等に変換した場合、24日までに1,000ドル(約11.5万円)以上の損失を出したことになります。これは、暗号資産がそれぞれ16%と24%下落したため。誰かが(上昇傾向にある銘柄の価格が一時的に下落したタイミングで購入する)押し目買いをするのを待つべきでした。

A GIF of New York City mayor Eric Adams saying I didnt say woe is me, I say why not me.

今日のニュースレターは、Nate DiCamillo(経済レポーター、dipはチップ用にしか買わない)とScott Nover(新興産業レポーター、「Bored Ape Yacht Club」ではなく”a bored ape without a yacht club”)がお届けしました。

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