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Africa:アフリカ最大ユニコーンの研究

今回はFlutterwave。アフリカのいまを知ることは、世界のビジネスの未来の可能性を知ること──毎週ひとつのスタートアップを取り上げ、社会の何をどう解決しているかをレポート。

This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published

アフリカのいまを知ることは、世界のビジネスの未来の可能性を知ること──火曜夜にお届けしている「Africa」ニュースレターでは、毎週ひとつのスタートアップを取り上げ、彼らが社会の何をどう解決しているかをレポートしています。

アフリカのどこにいようと、オンライン決済を使えばその処理を担うのはおそらく「Flutterwave」でしょう。サンフランシスコに本社を構えるFlutterwave が創業したのは2016年。現在、その事業のほぼすべてをアフリカに注力しており、UberやBooking.com、ナイジェリアのEC大手であるJumiaなど90万社以上の企業にサービスを提供しています。この大陸を理解し、30億ドル(約3,576億円)の評価額を誇るFlutterwaveがアフリカで最も価値のあるユニコーン企業であることは、ほぼ間違いありません。

ほんの数年前まで、アフリカのデジタル決済はまさに分断されていました。人びとが主に利用する支払い方法は国ごとに異なっており、例えば請求書の支払いに対して、南アフリカではデビットカードを使い、カメルーンでは銀行口座が利用されます。ある人がケニアでの買い物に使っているモバイルウォレットが、ナイジェリアの買い物で使えるとは限りません。各国の通貨が複雑に絡み合うなか、銀行やモバイルウォレット、カードのネットワークの間を縫うように決済がおこなわれていたのです。

ナイジェリア出身のオルグベンガ・アグブーラ(Olugbenga Agboola)とイーノルワ・アボイェジ(Iyinoluwa Aboyeji)は、物事を合理化するために2016年にFlutterwaveを始めました。同社は決済ソリューションをつくるためのデジタル決済プラットフォームを企業向けに提供しています。決済ソリューションは顧客に合わせてカスタマイズ可能で、さまざまな決済方法に対応できます。こうして多くのシステムを統合することで、Flutterwaveは実質的にアフリカのデジタル決済インフラを構築したのです。

いわば「パンアフリカ」というべき彼らのミッションこそが、その成功要因のひとつと言えます。Flutterwaveは創業当初からアフリカ大陸全体を視野に入れていました。それゆえ、同社は複数の国で事業を展開できるような大規模パートナーシップを模索し、アフリカの企業が世界中からの支払いを受けられるようにしたのです。こうしたパートナーシップのひとつが、中国のEC大手アリババとの提携でした。これにより、アフリカの企業は10億人のAlipayユーザーから支払いを受けられるようになりました。

しかし、Flutterwaveにとって最初のきっかけとなった分断そのものがなくなることはないと、同社の最高商務責任者(CCO)を務めるイフェオルワ・オリオケ(Ifeoluwa Orioke)は話します。アフリカの決済事情は今後もダイナミックに変化し続け、異なる決済方法が地域ごとに進化していくことでしょう。そして、Flutterwaveの役割は、それを可能にすることだとオリオケは言います。

CHEAT SHEET

業界・虎の巻

🌍 どうやって成長した?:Flutterwaveは創業から2017年までの1年間で1,000万件以上の商取引、計12億ドル(約1,430億円)相当を処理しました。さらに現在までに同社は2億件以上の取引を処理し、その額は実に計160億ドル(約1兆9,074億円)以上に上ります。現在、Flutterwaveはアフリカ大陸内の34カ国以上の国々で事業を展開しています。

💰 初期投資家は?:2017年にFlutterwaveが1,000万ドル(約11億9,217万円)を調達したシリーズAラウンドには、Y CombinatorやGreycroft Partners、Green Visor、Glynn Capitalが参加しました。それ以前には、Omidyar NetworkやSocial Capital、CRE Venture Capital、HOF Capitalなどが出資しています。

💡 競争上の優位性は?:Flutterwaveのパンアフリカモデルはひとつの国で足場を固めてから他国で展開し始めるというものではありませんでした。最初から大陸全体で事業を展開することに注力していたのです。

🤔 リスクファクターは?:決済方法や支払い手段の進化は、競合他社に多くの機会を与えます。数十カ国に顧客を抱えている場合は特に、です。

BY THE DIGITS

数字でみる

  • 2億件以上:Flutterwaveが創業からいままでに処理した取引の数
  • 160億ドル(約1兆9,074億円)以上:Flutterwaveが処理した取引額
  • 30億ドル(約3,576億円):2022年2月時点でのFlutterwaveの評価額
  • 90万社以上:Flutterwaveがサービスを提供している企業(全世界)
  • 2億5,000万ドル(約298億円):2022年のFlutterwaveの資金調達額
  • 77社:2021年に100万ドル(約1億1,921万)以上の調達に成功したアフリカのフィンテックスタートアップの数
  • 48%:2021年にアフリカの企業によって調達された資金のうち、フィンテックスタートアップに回った資金の割合
  • 93%:2021年にアフリカの企業によって調達された資金のうち、ナイジェリア、エジプト、南アフリカ、ケニアにわたった資金の割合

IN CONVERSATION WITH

キーパーソンの発言集

FlutterwaveのCCOを務めるイフェオルワ・オリオケは、金融分野での10年近い経験(そしてモバイル決済アプリを手がける会社を共同創業した経験)を経て、2018年に同社に入社しました。彼とのインタビューから、興味深い発言を紹介します。

  • Flutterwaveのミッションについて:「アフリカのため、アフリカ人のため、そしてビジネスのためにアフリカの決済を簡単にすること」
  • 規制について:「フィンテックの成長速度を見てわかるとおり、フィンテック企業はあらゆる場所で誕生しています。これは規制当局が正しいことをしている証拠です」
  • Flutterwaveのビジネスモデルについて:「例えば水道の配管は、蛇口をひねるだけでは壁の裏側に何があるかわかりませんよね。でも蛇口の色や形状、メーカーに関係なく水は流れます。そんなインフラとしての役割を、わたしたちはアフリカの決済の現場で果たそうとしているのです」

FINTECH DEALS TO WATCH

注目すべきディール

  • アフリカに特化したピアツーピア決済サービスのChipper Cashは、2021年のシリーズCラウンドで1億ドル(約119億円)を調達しました。同社は、個人と企業向けにクロスボーダー決済ソリューションを提供しています。
  • ナイジェリアの決済会社であるPaystackは、2020年にアメリカの決済大手Stripeに買収されました。その買収額は2億ドル(約238億円)以上と伝えられています。Paystackはオンラインおよびオフライン用の決済サービスを統合するAPIを提供しています。
  • ナイジェリアのデジタル決済企業Interswitchは、2019年にVisaから2億ドル(約238億円)の出資を受けました。同社はデビッドカードの発行を手がけているほか、デビットカードネットワークとオンライン決済プラットフォームやPOS端末をつなげるシステムも提供しています。
  • 南アフリカ発のデジタル決済企業であるMFS Africaは、2021年に株式と債券による資金調達ラウンドで1億ドル(約119億円)を調達しました。同社はアフリカ各国のモバイルマネーのユーザーとサービスプロバイダーをつなぐことで、金融ソリューションへのアクセスを提供しています。

🎵 今週の「Weekly Africa」は、コンゴ民主共和国のTaby Leyの「Muzina」を聴きながら、東アフリカ特派員のCarlos Mureithiがお届けしました。日本版の翻訳は川鍋明日香、編集は年吉聡太が担当しています。

One 🤔 Thing

ちなみに……

Flutterwaveはアメリカのサンフランシスコに本社を構えています。近年は同社のように、アフリカでのビジネスに注力するスタートアップが財務的な理由などから米国に本社をおくケースが増えているといいます。これをきっかけに、アフリカンスタートアップの定義やアフリカに本拠地を構えずにアフリカのユーザー向けにサービスを展開することのメリットなどに関する議論が始まりました。

💎 「Weekly Africa」は、毎週火曜、アフリカの地で新たな産業が生まれる瞬間を定点観測するニュースレターです。

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