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Africa:電気と貧困。鶏/卵のソリューション

アフリカのいまを知ることは、世界のビジネスの未来の可能性を知ること──毎週火曜の夜は、アフリカのスタートアップが社会の何をどう解決しているかをレポートしています。

This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published

アフリカのいまを知ることは、世界のビジネスの未来の可能性を知ること──火曜夜にお届けしている「Africa」ニュースレターでは、毎週ひとつのスタートアップを取り上げ、彼らが社会の何をどう解決しているかをレポートしています。

アフリカは世界で最も電気代が高い場所であり、人口の半分以上は電気を使うことすらできません。貧しくて電気代を払えなかったり、遠隔地に住んでいて近くに電力網がなかったりするからです。

政府は電力の供給範囲を拡大したり、老朽化した電力インフラを刷新したり、負債に溺れた電力会社を救済したりする必要がありますが、リソースに乏しい政府は優先順位をつけるのに苦戦しています。その結果、アフリカの電力格差はビジネスの足かせとなり、サービスの利用を制限し、人びとを貧困に陥れ、生活の質を低下させているのです。今後アフリカの人口が急増するにつれ、こうした問題はさらに深刻化するでしょう。

そこで太陽光発電の出番です。安価で安定した持続可能な電力を人びとに行きわたらせようと、従来の電力網にアクセスできない人に太陽光発電システムを提供する企業が多く登場しています。Easy SolarM-Kopad.lightAzuri TechnologiesGreenlight Planetといった企業が、携帯電話を充電するためのソーラーランタンのような小さな家電から、家全体に電気を供給するためのソーラーシステムのような高機能なものまでさまざまな製品を提供しているのです。与信枠が限られている人にも初期投資がしやすいよう、こうしたサービスはユーザーが週や月単位で少しずつ料金を返済できる仕組みを取り入れています。

オフグリッド・ソリューションを広める機会は、電力格差とクリーンエネルギーへの移行の交差する場所にあるのです。

CHEAT SHEET

業界・虎の巻

  • どんな可能性が?:電気は生活に必要不可欠です。アフリカの人びとは電気を使いたいと思っているものの、政府が電力網を通じて提供する電力は多くの人にとって高価すぎるうえ、あらゆる場所に網羅的に届けられるわけではありません。サブサハラアフリカ地域では2019年の時点で電気を使えていた人は人口の半分以下に満たず、南スーダンやチャドでは10%以下です。これは、これらの地域に代替電力の市場があることを意味しています。
  • 課題は?:オフグリッド・ソリューションを実現してアフリカの電力を安価で利用しやすいものにするには、政府の懐疑的な態度を覆し、資金調達税金、輸送などの面でのハードルを乗り越えなくてはなりません。
  • ロードマップは?:十分なサービスを受けられない人びとに電気を供給する方法のひとつとして、低所得者や遠隔地に住む人びとに太陽光発電装置を提供し、初期投資額を分割で返済できるようにすることが挙げられます。
  • ステークホルダーは?:スウェーデンのインパクト投資プラットフォームであるTrineや米国の非営利インパクト投資ファンドAcumen、起業家育成銀行のオランダ開発金融公社(FMO)、投資アドバイザーであるARCH Emerging Markets PartnersのAfrica Renewable Power Fundなどが投資をおこなっています。

BY THE DIGITS

数字でみる

  • 53%:サブサハラアフリカで電力へのアクセスがない人の割合(2019年時点)
  • 93%:南スーダンで電力へのアクセスがない人の割合(2019年時点)
  • 500万ドル(約6億1,050万円):Easy Solarが2020年のシリーズAラウンドで調達した額
  • 22:2021年に資金調達を行なったアフリカのエネルギー関連スタートアップの数
  • 9:2021年に100万ドル(約1億2,210万円)以上の調達に成功したアフリカのエネルギー関連スタートアップの数
  • 1億400万ドル(約126億9,841万円):2021年にアフリカのエネルギー関連スタートアップが調達した資金の総額
  • 48%:アフリカのエネルギー関連スタートアップによる資金調達額の前年比増加率
  • 4.8%:2021年にアフリカの企業によって調達された資金のうちエネルギー関連スタートアップに回った資金の割合

THE CASE STUDY

ケーススタディ

  • 企業名:Easy Solar
  • 創業年:2016年
  • 本社所在地:フリータウン(シオラレオネ)/シオラレオネとリベリアで事業展開
  • 創業者:Nthabiseng Mosia(現CMO)、Alexandre Tourre(現CEO)、Eric Silverman(現セールス&オペレーションディレクター)
  • 直近の資金調達:2020年のシリーズAラウンドで500万ドル(約6億1,042万円)を調達

シオラレオネとリベリアで事業を展開するEasy Solarは、電気を利用できていない人に安価で利用しやすいエネルギーと金融サービスを提供すべく活動しています。

同社が販売する製品は、照明として、携帯電話の充電器として利用できるソーラーランタンからテレビや扇風機などの家電がついたソーラーホームシステム、また家庭から商業、工業でも利用できる高電圧のシステムまで実にさまざま。これらのシステムを手ごろな価格で提供するために、Easy Solarは従量課金制の支払いオプションも提供しています。

A woman using the Easy Solar controller

Easy Solarの製品は、同社が幅広い代理店や店舗をつないで構築した顧客向けの販売ネットワークで購入できるようになっています。このネットワークのベンダーが、製品の販売やアフターサービスのほか、ユーザーから代金を現金で集金する役割も担うのです。Easy Solarいわく、現在同社はシエラレオネの家庭の10%に相当する10万戸に電力を供給しているといいます。

Easy Solarは高価でアクセスしづらい従来の電力供給システムに対するソリューションを提供することで、エネルギー、エンドユーザー向けの小売流通マイクロファイナンスという3つの分野それぞれの問題を解決しようとしています。

IN CONVERSATION WITH

キーパーソンの発言集

Portrait of Alexandre Tourre, Easysolar co-founder

アレクサンドル・トゥール(Alexandre Tourre)はEasy Solarの3人の共同創業者のひとりです。工学とコンピュータサイエンス、金融アドバイザーのバックグラウンドをもち、過去にはフランスのPwCで5年働き、ケニアのSafaricomではモバイルマネー/ファイナンシャルインクルージョンを6カ月担当した経歴があります。Easy Solarはトゥールら共同創業者たちがコロンビア大学国際公共政策大学院でのプロジェクトとして始めたものでした。以下、トゥールとのインタビューから、興味深い発言を紹介します。

  • Easy Solarのビジネス戦略について:「わたしたちの目標は、最も革新的な新しいモデルになることではありませんでした。エネルギーへのアクセスは非常に大きな問題ですが、人口増加のスピードが家庭への電力供給のスピードを上回っているがゆえになかなか改善されません。そこで私たちはいかにしてできるだけ早く、多くの人びとにエネルギーを提供するかに注力しました」
  • 成長計画について:「広く早く事業を拡大することよりも、現在の市場で深く掘り下げていくことの方が重要だと強く信じています」
  • �規制環境について:「オフグリッドの電力供給にオープンで前向きな国で事業を展開しています」

ENERGY DEALS TO WATCH

注目すべきディール

  • ラゴスを拠点にハイブリッド再生可能エネルギーを提供しているDaystar Powerは、2021年に総額6,200万ドル(約75億6,928万円)を調達しました。同社は100%太陽光発電で電力を供給する「Solar-as-a-Service」と蓄電池もついたハイブリッドパワーソリューション「Power-as-a-Service」を提供しています。
  • ケニアのエネルギーリース会社Solarise Africaは、2021年に債務による590万ドル(約7億2,030万円)の資金調達を行ないました。同社は屋上や地上に自家消費用の太陽光発電システムを設置するプロジェクトを専門としています。
  • 南アフリカの再生可能エネルギースタートアップのSun Exchangeは、2020年に400万ドル(約4億8,834万)を調達しました。同社は個人からソーラーパネルの購入資金を募り、パネルを企業にリースすることでその利益の一部を出資者に還元するビジネスモデルをとっています

🎵 今週の「Weekly Africa」は、サントメ・プリンシペのCalema ft. Soraia Ramos, Pérola & Manecas Costaの「Kua Buarue」を聴きながら、東アフリカ特派員のCarlos Mureithiがお届けしました。日本版の翻訳は川鍋明日香、編集は年吉聡太が担当しています。

ONE 🌄 THING

ちなみに……

モロッコのワルザザート太陽熱発電所(別名ヌール発電所)は世界最大の集光型太陽光発電所で、その総出力は510MWにもなります。

💎 「Weekly Africa」は、毎週火曜、アフリカの地で新たな産業が生まれる瞬間を定点観測するニュースレターです。

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