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Need to Know:なぜ? 中国「ゼロコロナ」政策

御曹司のSNSでの批判に同調する声も多数…中国の「ゼロコロナ」政策がいまどんな事態を巻き起こしているか、なぜ当局は撤回しないのか、これから状況はどう発展するのか、まとめてみました。

Medical workers in protective suits wave at Changchun residents during a farewell ceremony
This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published
ニュースレター「Need to Know」は、世界のビジネスの風向きを変えようとしているモノ・コト・ヒトをひとつ取り上げ、「いま知るべきこと」をまとめるシリーズです。

中国国内で当局をあえて公然と批判する人は、そう多くはありません。しかしつい先日、不動産開発大手の大連万達集団を率いる王健林(Wang Jianlin)の息子、王思聡(Wang Sicong)が北京の「ゼロコロナ」政策を批判し、注目を浴びています。

王思聡は「Weibo」で4,000万以上のフォロワーを抱えるインフルエンサー。その彼がポストした動画は、当局が軽度の新型コロナに対する治療薬として推奨している漢方薬「蓮花清遠」(Lianhua Qingwen)の効能に疑問を差し挟む内容でした。

19日現在、王思聡は「関連法規に違反した」としてWeiboをバンされていますが、中国のソーシャルメディアでは、王思聡を支持する声が散見されます。曰く、「わたしはCOVID検査を断固拒否する」、あるいは「毎朝実施される検査は、陰性か陽性かを見極めるのではなく、自分の卑屈さと根性とを試す踏み絵だ」、などなど……。

王思聡のWeiboアカウントには、その恵まれた社会的地位にもかかわらず「草の根に関すること」を気にかける彼を賞賛するコメントが残され、一時、1万7,000近くの「いいね」が寄せられました。


THE BACKSTORY

中国で起きていること

Image copyright: REUTERS/Brenda Goh
Ornamental lights decorate an empty street amid the coronavirus disease (COVID-19) outbreak in Shanghai, China April 20, 2022. REUTERS/Brenda Goh
  • 上海は麻痺状態に。3月28日、中国・上海は2段階に分けて8日間のロックダウンをスタートしました。これは、4月5日に解除される予定でしたが、そうはなりませんでした。さらに、一部地域では予定よりも早く封鎖が始まり、自宅待機命令が数週間に及んでいる人もいます。
  • ゼロコロナ政策は香港では失敗した。年初段階での香港の新型コロナウイルスによる死亡者数は200人余りでした。しかし、オミクロン株の強い感染力に加えて、香港の高齢者のワクチン接種率が比較的低かったこともあり、その後、中国本土全体よりも多い約8,000人の死者が出ています。また、中国本土でも、高齢者の一部はワクチン接種が完了していません。

The cost of containment

ゼロコロナは高くつく

中国は従来の輸出・インフラ主導の経済モデルから脱却し、代わりに国内消費とイノベーションに注力しようとしています。この、いわゆる「質の高い」経済成長の追求は当局による不動産債務規制の強化につながり、昨年の不動産開発会社、エバーグランデグループ(Evergrande Group、中国恒大集団)の危機を招きました。中国は、「未来の中国」のために、過去に下してきた決断を受け止めながら、変革を推し進めているのです。

習近平国家主席は厳格な「ゼロコロナ」政策をとっていますが、中国の消費者はロックダウンによって大きな打撃を受けており、上海での市民生活は、食料品探しに限って許可されています。また、米EVメーカーのテスラ(Tesla)のような製造業者は貴重な生産日数を失っており、ゼロコロナ政策は中国の輸出にも打撃を与えることになるでしょう。

Man with bicycle walks by Xi Jinping posters
Take his word for it?

自身の3期目続投が確実視される党大会を数カ月後に控えた習近平が、いま、この政策を撤回するとは考えられません。一方、来年の2期目の任期満了をもって退任する意向の李克強首相は、現在、頻繁に経済への警鐘を鳴らしています。今週、李は「下向きの経済圧力」が高まっていることを警告し、地方政府関係者に「危機感を強める」よう呼びかけました。中国の今年のGDP目標である5.5%を達成するためには、最大2兆3,000億ドル(約290兆円)の地方インフラ投資を含む、さらなる政府の景気刺激策が必要となるでしょう。


WHAT TO WATCH FOR NEXT

これから起きること

  1. 上海のピークは? 4月上旬、上海の1日当たりの新規感染者数は、2020年に武漢で記録された「中国の都市としての最高記録」を抜きました。1日の感染者数はまだ数千人規模で、この勢いが衰えるまでロックダウンは解除されないかもしれません。
  1. わざとらしいプロパガンダ。防護服に身を包んだ中国のボランティアは「ビッグホワイト」または「大白」(ダーバイ)と呼ばれており、これはディズニー映画『ベイマックス』の白いロボットに由来するニックネームです。国営メディアは、大白の献身的な活動を示す逸話で埋め尽くされており、中国が厳しい現実を美化するために子どもっぽい言葉を使った例です。
  1. コロナによるGDPへの打撃。3月、フランスの投資銀行、ナティクシス(Natixis)は、中国の流動性の急激な低下は、月曜日(18日)に発表される予定の第1四半期GDPを1.8ポイント押し下げる可能性があると予測しました。年間予測は、4.5%から5%の間で推移しています。
  1. 失業の増加。アリババ(Alibaba、阿里巴巴)のような中国のハイテク大手がレイオフを進めるなか、失業への懸念はすでに大きくなっていましたが、ロックダウンが状況をさらに悪化させています。雇用を増やすために、中国は何ができるのでしょうか?
  1. そして、2023年は? 中国民用航空局の予測では、2023年から2025年にかけて国内・国際旅行の増加期になるとみており、つまり、それまではゼロコロナ政策に大きな変化はないことが示唆されているのです。

China backs traditional medicine

伝統医学への回帰?

Image copyright: REUTERS/Aly Song

中国はパンデミックの初期から、米国や欧州の製薬会社の抗ウイルス剤に代わるものとして、漢方薬の調合薬を推奨していました。

そうした漢方のひとつである蓮花清遠に対し、王思聡はWeiboに投稿した動画で、これが世界保健機関(WHO)からCOVID治療薬として推奨されたことが果たしてあるかと繰り返し問うていました。また、現在は削除されている別の投稿では、中国証券取引委員会に対し、この薬の製造元である石家荘以嶺薬業Shijiazhuang Yiling)を調査するよう求めたとも伝えられています。国内上場している同社の株価は19日に10%急落し、翌20日にはさらに10%下落しました。

鳳仙花やスイカズラなどからなる蓮花清遠は、「肺のエネルギーを解放する」と謳われていますが、その効果を実証するのに十分なテストは実施されていません。シンガポールでは昨年11月、政府がこれによる治療に対して注意喚起。また、Bloombergによると、WHOもこの使用を推奨してはいません。

Quartzでは石家荘以嶺薬業にコメントを求めましたが、返答は得られませんでした。ただし、同社は国内メディアに対し、フェイク情報や中傷に対しては法的手段を使って自衛していく述べています


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