Skip to navigationSkip to content

Climate:#11 ビーガン入門・発展編

先週お送りした「基礎編」に引き続き、今日はビーガンにまつわる話をさらに深く掘り下げてみました。ビーガン運動は飲食物に限らないのです。

This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
Published
Image copyright: REUTERS/Leon Kuegeler
月曜夜のニュースレター「Climate Economy」では、毎週ひとつのテーマについて、世界は気候変動をどう見ているのかどんな解決を見出そうとしているかをお伝えしていきます。

IPCCの最新の報告書オックスフォード大学の最新研究などにおいて、肉や乳製品などの動物性食品の消費量の削減は重要な気候変動対策として位置づけられています。しかし、ビーガン運動は飲食物に限りません。医薬品や衣類、化粧品やペットのえさまで、生活のあらゆる場面で動物由来製品の不要な消費を止めようというのです。

先週お送りした「基礎編」に引き続き、今日はビーガンにまつわる話をさらに深く掘り下げてみました。

By the Digits

数字でみる

  • 14.5%:畜産部門からの温室効果ガス排出が世界の排出量に占める割合。国際連合食糧農業機関の調査によると、畜産部門の排出の65%は牛の飼育が原因で、活動別に見ると、トウモロコシやダイズなどの飼料の栽培と牛の反すうが主な排出源となっている
  • 800億匹以上:2019年に世界で屠殺された陸上動物の総数。1961年に比べると、牛は約2倍、豚は約4倍、そして鶏は約10倍のペースで増加
  • 400万ユーロ:100%植物性代替肉スタートアップのHeuraが12時間で集めた資金の総額。資金調達はクラウドファンディングサイト「Crowdcube」で行われ、約4,500名の出資者のうち約半数が18〜35歳の若手投資家で、42%以上が女性。HeuraのCEOは、新たな資金を使って「栄養面でも環境面でも」動物性の肉に優る商品を開発したいと語っている

Speedin’ Up

加速中!

1961年には約23kgだった世界の1人当たりの肉の年間消費量は、2013年には約43kgまで増加しました。

Prismatic Perspective

多角的にみるヴィーガン

🐶 ペットもベジタリアン。2,536匹の飼い犬を対象に1年間行われた最新の研究調査によると、100%植物性のドッグフードを食べている犬は、そうでない犬よりも健康的であるという結果が出ました。主な理由として、肥満の予防が挙げられています。世界の植物性ドッグフード市場は、2021年に約93億ドルだったものが、2028年までには約150億ドルにまで成長すると見込まれています。

🐂 「肉を食べる」という抵抗。インドのカースト制度では「牛肉を食べる=汚れている=不可触民」という図式が存在し、牛肉を食べる人に対する差別が宗教的に正当化されるという問題が発生しています。ナレンドラ・モディ首相の所属政党である「インド人民党」は、宗教的な理由から2017年5月に国家規模で牛の屠畜を禁止する法律の導入を試み、その後も人民党が与党である地域では同様の禁止令が出されました。これに対して、民族主義政治への抵抗運動としてあえて牛肉を食べるという動きもあります。「食の倫理」の複雑さを示す好例です。

🐦 誰が殺すのか。最新のレビュー論文によると、屠畜場労働者はその他の部門の労働者に比べ精神病(特にうつや不安)の発症率が高く、またより頻繁に暴力的な態度をとる傾向もあるという結果が出ました。屠畜場での労働は過酷であり、例えば英国では同部門の約62%がEU国籍の外国人労働者です。英国では屠畜場労働者が不足しており、働いてくれる人に向けて政府が特別に就労ビザを発行するなどの対策が採られていますが、それでも2021年のクリスマスでは七面鳥が不足するという事態が発生しました。肉の需要の低下はこうした問題の解決にも大きく寄与します。

🍔 新たなファンを生み出す。新たなバーガーキングは今年3月から1カ月間イギリスのレスター・スクウェア店のメニューを100%ビーガンにするという実験を行いました。広報担当者によると、同店はビーガンだけでなく幅広い客層から支持されたため、人気のビーガンメニューの全国展開も検討しているとのこと。ちなみに、バーガーキングは2030年までにメニューの50%を「肉なし」にするという約束を掲げています。

💉 世界初の100%植物性新型コロナワクチン。「Covifenz」は今年2月、カナダで承認されましたが、世界保健機関(WHO)はメーカーのMedicagoとたばこ会社フィリップ・モリスのつながりを問題視し、これを理由にCovienzの承認を拒否しました。これを受けて、Medicagoは企業所有権の再編成を検討しています。なお、Covifenzは現在英国、米国、ブラジル、アルゼンチン、そして日本で臨床試験が進行中です。

An Authentic Leader

「自然体」のリーダー

米国では昨年2月にコーリー・ブッカー上院議員が、ビーガン議員としては初めて農業・栄養・林業委員に就任しました。

Image copyright: REUTERS/Elizabeth Frantz

ガンジーの自伝に影響を受けて学生時代から菜食主義を実践してきたというブッカー議員は、2014年に動物由来製品の不要な消費を完全に止め、ビーガンになりました。『VegNews』が2019年に行ったインタビューでは、「ビーガンでいると政治的に不利ではないか」という質問に対してブッカー議員はこう答えています。

政府や政治家から食生活に口出しされたいなどと思う人はいないだろう。ここはアメリカだし、わたし個人も選択の自由を信じている。だから、これもまたわたし個人の選択であって、他の人の食生活に口出ししようなどとは思わない。
とはいえ、アメリカの多くの人たちがそうであるように、わたしもまた食べ物について話すのが大好きだ。みなさんもSNSに食べ物に関する投稿をするでしょう。わたしはただ、堂々と自分の価値観に忠実な生き方をしたいと思っているだけだ。
もちろん、ベジタリアンだったころに「リブ肉を食べないヤツがアフリカ系アメリカ人から票を得て当選するなんてあり得ないね」と言われたこともあったけど、そのときわたしは笑ってこう答えた。「まず相手の人となりや心のあり方に興味をもち、相手が善意をもっているかどうかに興味をもってくれるのが、ニューアークのよいところだし、アメリカの人びとのよいところなんじゃないかな」ってね。
もちろん、だからといっていつもみんなが同じ意見をもつべきとは思わないけど、自然体でいる方が誰とでもうまく付き合える気がする。

2020年大統領選挙にも立候補したブッカー議員は、現在米国における工業型農場の廃止を目指して政治活動をしています。

One 🍱 Thing

ちなみに……

日本の伝統食である精進料理はビーガンです。修行のための質素な食生活というイメージもあるかもしれませんが、近年では高級料理としても世界的に注目されています。代表例として、ミシュラン2つ星を獲得した東京の精進料理店『醍醐』が挙げられます。

🎧 Quartz Japanでは平日毎朝のニュースレター「Daily Brief」のトップニュースを声でお届けするPodcastも配信しています。

👀 TwitterFacebookでも最新ニュースをお届け。

👇 このニュースレターはTwitter、Facebookでシェアできます。転送も、どうぞご自由に(転送された方へ! 登録はこちらから)。