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Obsession:オレオのひみつ

パクリ騒動から労組、宗教問題からグローバル展開まで…オレオの歩んだ奥深き1世紀をまとめました。ミルクを飲みながら、サクッとお読みください。

A .gif that shows a close-up of an Oreo that rapidly zooms out to a massive grid of Oreos, on a loop.
Image copyright: Giphy
This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published

Quartzが読者の皆さんと共有せずにはいられないストーリー。週に一度、夜にお届けする日本版ニュースレター「Obsessions」では、グローバル版の人気シリーズ「Obsessions」の翻訳のほか、力のこもったレポートやインサイトをお送りしていきます。

いま広く知られる「オレオ」(Oreo)は、実は「世界初のオレオ」ではありません(つまり、先行商品の類似品なのです)。その栄誉が送られるべきは、オレンジ色のパッケージでおなじみの「チーズイット」(Cheez-Its)を世に送り出した20世紀初頭の起業家ジェイコブ・ルーズが興したサンシャイン・ビスケットSunshine Biscuits)です。

その名も「ハイドロックス」(Hydrox)が発売されたのは、1908年。National Biscuit Company、のちのナビスコ(Nabisco)が1912年にバニラクリーム入りチョコレートサンドクッキー「オレオ」を発売する4年前のことでした。

オレオ成功の要因となったのは、マーケティングと、多少の幸運でした。一方のハイドロックスは、それはまあ世間に浸透することもなく、商品名も、現代のわたしたちからするとキッチン用洗剤の名前のよう。オレオの名前が正しくは何に由来するのかは不明ですが、1985年の時点で「世界で最も売れているクッキー」の名となりました。

現在、オレオは100カ国以上でさまざまなフレーバーも販売される「グローバルなクッキー」です。その魅力はいったいどこにあるのでしょう? ミルクでも飲みながら、考えてみましょう。

BY THE DIGITS

数字でみる

  • 1.86:ダブルスタッフオレオのクリームの量(通常のオレオ比)
  • 2.68:メガスタッフオレオのクリームの量(通常のオレオ比)
  • 2:オレオ1個をつくるのに必要な時間
  • 100:オレオが販売されている国の数
  • 400億個:オレオの年間生産量
  • 31億ドル(約3,000億円):2019年のグローバルでの売上

MILLION-DOLLAR QUESTION

オレオ人気のひみつ

A gif of stacked Oreos, only where the white filling is supposed to be, it appears instead to be pink and green and blue colors, in sort of a Hubble space picture kind of way.
Image copyright: Giphy

オレオは“完璧”なクッキーです。内容物はチョコレートとバニラ。ユダヤ教徒も食べられるコーシャーkosher)にして、乳製品不使用かつビーガン(ただし、非菜食主義者向けの製品もつくる工場で製造されているため、それがネックになる人もいます)。チョコレートクッキーはサクサクで、バニラフィリングはソフトでクリーミー。ラインナップもウエハースや薄型もあれば、「ダブルスタッフ」「メガスタッフ」といったクリームたっぷりのものもあります。

2011年にナビスコは巨大スナックフード会社モンデリーズMondelezの子会社となりましたが、同社は最近、オレオブランドの焼き菓子(マフィンやドーナツ、カップケーキ)を展開すると発表しています

モンデリーズは、長年にわたる優れたマーケティングを下敷きに、奇抜なフレーバーのオレオを導入してきました。

  • グリーンティー(中国)
  • 花火(どういうこと?) (米国)
  • ブルーベリーアイスクリーム(ニュージーランド)
  • キャンディーコーン(米国)
  • ドゥルセ・デ・レチェとバナナ(アルゼンチン)
  • ココナツ(インドネシア)
  • �アップルパイ(米国)
  • オレンジ風味(UAE)
  • ストロベリー・チーズケーキ(英国)

中国では、ストロー型のオレオも販売されており、ある広告キャンペーンでは、オリジナルのオレオのデザインになじめなかった消費者に、「ひねって、なめて、浸ける」ようすすめています。

QUOTABLE

こんなことばも

オレオは、矛盾を受け入れるクッキーだ。外側は黒いけど内側が明るい。それだけでなく、外側のデザインは豪華に装飾されているのに、内側はまったくシンプルなのだ。

──ポール・ゴールドバーガー(建築評論家、『New York Times』より)

ORIGIN STORY

パクリといわれて……

先述したハイドロックスとオレオのあいだには、常に緊張関係が続いてきました。とくにハイドロックスが仕掛けた広告キャンペーンでは、オレオを「偽者」と糾弾することに重点が置かれていました。あるポスターには、「パクリに騙されるな!」と書かれていたほどです。

1950年代半ばまで、オレオはその安さゆえに優位にありました。その後、ナビスコは販売価格を引き上げます。すると、まるでオレオが魔法でもかけられたかのように「プレミアムな選択肢」として顧客には響いたのです。

「米国人は、突如として手ごろな値段になったハイドロックスに群がった……のではなく、あらゆる意味で安物、つまり、小銭を集めるおじいちゃんが好むような、低予算のコピー商品として敬遠したのです」と、フードライターのステラ・パークスは説明しています。「実際のところ、1960年代になると、ハイドロックスの栄光の日々を覚えているのは、ほとんどおじいちゃんだけになっていました」

BRIEF HISTORY

オレオの歴史

  • 1908:サンシャイン・ビスケットがハイドロックの販売を開始
  • 1912:ナショナル・ビスケット・カンパニーがオレオ販売を開始。
  • 1974:ダブルスタッフオレオ販売開始
  • 1985:ギネスブックが「世界で最も売れているクッキー」としてオレオを認定
  • 1991:オレンジ色のフィリング(味は同じバニラ風味)の「ハロウィーン・オレオ」発売
  • 1992:「ミニ・オレオ」発売
  • 1992:パロディシンガーのアル・ヤンコビックが、オレオを題材にした「The White Stuff」をリリース。New Kids on the Blockのパロディ
  • 1996:キーブラー(Keebler)がサンシャイン・ビスケットを買収
  • 1999:キーブラーは、ハイドロックスをドロクシーズ(Droxies)にブランド変更
  • 2000:クラフトフーズ(Kraft Foods)がナビスコを買収
  • 2004:もうひとつの定番「ゴールデン・オレオ」デビュー
  • 2006:オレオは「中国で最も売れているクッキー」に
  • 2006:オレオの原材料がトランス脂肪酸不使用に
  • 2012:クラフトフーズからモンデリーズ・インターナショナルがスピンオフ
  • 2014:ルーフブランズ(Leaf Brands)がハイドロックスの商標を獲得
  • 2015:ハイドロックスが新しい所有者のもと、販売店の棚に復活

EXPLAIN IT LIKE I’M 5!

ボイコットされるオレオ

Image copyright: AP Photo
Cookies aren’t free.

「わたしは家族に向けて、ナビスコ製品に対して次のように行動するよう言い渡している。『Chips Ahoy』を食べてはならない。『Bubble Yum』を噛んではならない。『Life Savers』をもぐもぐしてはならないし、『Doublemint』の砂糖不使用の代用品として『Care Free』で喜びを得ようとするなどもってのほか」

1988年、モンロー・E.・プライスは『New York Times』に、こう書いています。「オレオクッキーまでも、ボイコットしているのだ(泣)」

当時、論争の的となったのは、オレオそのものではなく、その親会社の問題でした。1985年、ナビスコはR.J.レイノルズ・タバコ・カンパニーと合併し、巨大タバコブランドと巨大クッキーブランドが“結ばれて”しまったのです。

時が経ち、最近起きている不買運動といえば、その焦点は労働組合にあります。2017年、モンデリーズは米国工場を閉鎖し、雇用をメキシコに移しました。これを受け、米国最大の労働組合団体であるAFL-CIOはオレオのボイコットを呼びかけました。直近でも、2021年夏にオレオ工場の労働者が劣悪な労働条件に抗議してストライキを行っており、ボイコットを求める新たな声が上がっています。

take me down this 🐰 hole!

コーシャー化のコスト

オレオのクリームがコーシャーであると先に記しましたが、1990年代初頭まで、クリームにはラードが含まれていました。そのため、豚を使わないハイドロックスは、オレオが“クッキーの王様”として君臨したのちも、ユダヤ系米国人の家庭では長く定番となっていました

1998年、正教組合がオレオをコーシャー認定したとき、ジャーナリストでありラビでもあるジョシュア・ハマーマンは、「サンタクロースとビッグマックを除けば、オレオは長い間、厳格なユダヤ教徒の子どもたちにとって最も悪名高いタブーだった」と記しています。

ハマーンにとって、禁じられたオレオは、自分が他者であることを示すしるしでもありました。彼はちょっと皮肉っぽく、こうも記しています。「オレオを否定すること。それはわたしにとって、エジプト虜囚からまっすぐ続くものだった。オレオはわたしに不愉快なほどの違和感を覚えさせ、その違和感には誇りすら感じたものだった」

Image copyright: Reuters/Aly Song
Kraft’s research lab in China once experimented with an Oreo that replaced the cookie’s traditional filling with gum.

オレオのコーシャー化について、実際にコンサルティングに関わったコーネル大学教授のジョー・リーゲンスタインによると、「おそらく、非コーシャーからコーシャへと転換した企業事例の中で最も高価なもの」であり、完了するまでに時間にして3年、金額にいたっては数百万ドルがかかったとされています。リーゲンシュタイン曰く、ナビスコが工場に所有する100機のフットボール場サイズのオーブンは、豚由来の残留物を除去するためにバーナーでの焼却洗浄を要したほか、それぞれ15万ドルをかけてオーブンのプラスチックベルトを完全に交換しなければならなかったといいます。

コーシャー化されて以降、オレオのクリームには動物性食品は一切使われておらず、部分的に水素添加した植物性油脂が使用されています。2006年に米国食品医薬品局(FDA)がトランス脂肪酸のガイドラインを厳格化したことで、ナビスコは自社を代表するクリームを非水素添加植物油への切り替えを余儀なくされました

今日のニュースレターはScott Nover、Annaliese Griffin、Julia Malleckがお届けしました。日本版は年吉聡太が担当しています。

Watch This!

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An image of a chef in a kitchen biting into an Oreo while holding a glass of milk. Two images of plates filled with Oreos are on either side of her head. The text reads "Original gourmet" and in the lower left side, "bon appetit."
Image copyright: YouTube

米誌『Bon Appétit』の動画では、オレオを大解剖。オレオをゼロから自作しています。自分もつくってみたい!という向きには、こちらのレシピもおすすめです。

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