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Weekend:テックブーム終焉説を整理する

週の最後に、今週の注目ニュースをチェックしておきましょう。Quartzで配信し、世界の読者が話題にした5本のニュースのサマリーもお届けします。

This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published

週の最後に、今週の注目ニュースをチェックしておきましょう。Quartzで配信し、世界の読者が話題にした5本のニュースのサマリーもお届けします。

テック企業にとって、この1カ月はシンドイものでした。Robinhood(個人投資アプリ)やNoom(デジタルヘルス)などのスタートアップはレイオフを発表し、公開市場・非公開市場ともに株価が下落、ベンチャーキャピタル(VC)の取引量も減っています。好況は終わり、Twitterをみれば倹約のコツがあふれているほどです。

実際のところ、テックバブルを警戒する声は10年前から聞かれてきました。しかし、テック業界はそのたびに懸念を跳ね返してきたのです。では、今年こそ、その勢いは止まるのか? 必ずしも、そうとは限りません

アナリストや投資家の交わすことばのなかでも頻出なのが、「不確実性」(uncertainty)です。インフレや金利の上昇、ウクライナ戦争が大きく影響するなか、残り8カ月を切った2022年のことでさえ誰にも見通せません。一部の専門家は歴史的不況にテック企業が見舞われるとの見通しを掲げていますが、それよりは「ソフトランディング」するとみる方が妥当なところでしょう。楽観的な見方をすれば、VCにはまだ前例のないほどの投資資金があり、最終的にはそれらの投資を実施するでしょうし、仮に不況になったとしても、2008年の金融危機のような「大変動」ではなく、「マイルド」なものになりそうです。消費者や企業の技術に対する需要も、依然として旺盛なままです。

テック市場にとって最悪のシナリオは、経済の低迷が長引き、金利が大幅に上昇することです。その場合、2022年のほとんどの期間においてVC投資が妨げられ、最終的に金利は過去10年で見てもかなり高くなります。金利の上昇は、債券と比べて株式の魅力を低下させ、一部の投資家をVCから遠ざける可能性があります。

いまのところ、特にアーリーステージの企業については、まだ取引が続いています。しかし、心理的な要因で違いが出てきます。好ましくない状況が長引くほど、事態は悪化する可能性があるのです。米シンクタンク、マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(McKinsey Global Institute)のパートナーであるMichael Chuiは、「雰囲気は重要であり、それを予測するのはかなり難しい」とQuartzに語っています。ファウンダー・コレクティブ(Founder Collective)のマネージングパートナー、Eric Paleyは、「人は何かに投資することを夢見ることができなければならない。特に積極的な価格で」と指摘しています。

THE BACKSTORY

背景を整理すると…

  • 2010年代、VCは爆発的に成長した。VCはシリコンバレーやボストンだけに限られたニッチな分野から、年間数千億ドルを投資する巨大なグローバルアセットクラスへと成長を遂げました。VCは投資家に大きな利益をもたらし、さらに多くの資金が流れ込みました。
  • 昨年に至っては、スタートアップへの投資が記録を塗り替えた。新型コロナウイルスによる束の間の混乱の後、VCはパンデミック中にさらに多くの資金を投資しました。2021年のスタートアップ投資は、ほぼすべての地域とセクターで過去最高を記録しました。
  • そしていま、動揺するテック市場。これは、インフレ、金利上昇予測、そして、ウクライナ侵攻によるものです。上場しているテック企業の評価額が下がったことで、レイターステージのスタートアップへの期待値も下がらざるを得なくなり、こうした評価の「リセット」がテック業界に波紋を広げています。

WHAT TO WATCH FOR NEXT

注目すべき4つの動き

  1. 大手VC。VCの巨人であるソフトバンクグループ(SBG)は先週、スタートアップへの投資を少なくとも半減させる計画を発表しました。米タイガー・グローバル(Tiger Global)のような他の巨大ファンドも同じような動きを見せれば、資金調達はさらに難しくなるでしょう。
  2. ナスダック。このハイテク指数は業界の指標であり、歴史的にVCの資金調達と強い相関があります。
  3. 暗号資産。ビットコインは急落し、「ステーブルコイン」のテラUSDはその呼び名からほど遠い状況で、暗号資産取引所を運営するコインベース(Coinbase)の株価は年初から79%下落しました。暗号関連のスタートアップはテック業界では明るい話題の一つでしたが、その状況もすぐに変わるかもしれません。
  4. IPO。今週、非公開でIPOを申請した食料品デリバリーのインスタカート(Instacart)は、2カ月前に評価額を40%引き下げました。インスタカートがこの調整後の価格かそれ以上で上場すれば、テック業界にとって良い兆しとなります。一方、IPO後に株価が急落したり、IPOを取りやめたりすることになれば、あと6週間は業界にとっての「冬」が続くと予想されます。

今日のニュースレターは、QuartzのWalter Frick(エグゼクティブ・エディター)がお届けしました。

5 GREAT STORIES FROM Quartz

話題のニュース5選

  1. 👶 あなたが寝ている間に……。それまで元気だった赤ん坊が眠っている間に突然死亡してしまう病気、乳幼児突然死症候群(SIDS)。米国だけでも、毎年何千人もの乳児がSIDSで亡くなっています。『eBioMedicine』誌に発表された新しい研究結果は、SIDSに生物学的な要素がある可能性を示唆するものでした。研究の主執筆者であるオーストラリアのウェストミード小児病院の睡眠研究者カーメル・ハリントンは、「親は自分の過失だと思い、罪悪感に押しつぶされそうになっている」と指摘していますが、そうした親にとってこの研究結果は救いをもたらすものだといえるでしょう。
  2. 🚙 EVを買うなら、ニュージャージー州。気候政策シンクタンクのエネルギー・イノベーションは、電気自動車(EV)オーナーが支払うことになる月々のコストをガソリン車のコストと米国50州で比較。その結果、ニュージャージー州の住民がもっとも有利な条件でEVを所有できることがわかりました。同州は米国で最も多くのEVインセンティブを提供しており、例えばEV購入者には5,000ドルのサポートや消費税(通常6.625%)も免除されます。
  3. 😓 ウクライナ戦争→企業のロシア撤退→失業率の上昇。マクドナルドのロシア撤退により、国内850件の店舗で働く6万2,000人の従業員の先行きは暗いものになりました。同様にロシア撤退を決めたルノーは4万5,000人を雇用しており、イケアは1万5千人の従業員に8月末までは給与を支払うとしています。『Bloomberg』が今年4月に実施した調査によると、2022年第1四半期には4.6%前後で推移していたロシアの失業率は、年末までに9%まで上昇する可能性が高いとされています
  4. 📉 マイアミコインの暴落。米マイアミ市では2021年8月から暗号通貨「マイアミコイン」を発行、市長がビットコインで給与を受け取るなど、クリプトを市政の柱にしようとアクティブに動いてきました。しかし、9月のピーク時から約95%下落し、5月13日現在でわずか0.0032ドルにまで落ち込んでいます。ちなみにクリプトに期待を寄せている自治体はマイアミだけでなく、ニューヨーク市がマイアミコイン同様の暗号通貨を発表したほか(2021年11月)、テキサス州オースティン市も続こうとしています。また、同州フォートワースでは、近々市役所でビットコインのマイニングリグを稼働させる予定としています
  5. 👩‍❤️‍💋‍👨 物理的にあなたを守るバリアを提供します(ブランド談)。ラテックス製の使い捨てショーツ「Lorals」は、セックスの前戯やオーラルセックスの際に着用者を感染症から守ると謳い登場しました。このたび、食品医薬品局(FDA)が、同製品を性病予防のアイテムとして認可しました。あるユーザーは『New York Times』に対して、肌触りはうたい文句通りに皮膚にそっくりで、バニラフレーバーなため「クッキーを食べているような」味だったと語っています。

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