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Africa:Africa:アフリカで進化するクレカ──Union54

アフリカのいまを知ることは、世界のビジネスの未来の可能性を知ること──火曜夜のニュースレターでは、毎週ひとつのスタートアップを取り上げ、社会の何をどう解決しているかをレポート。

This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published

アフリカのいまを知ることは、世界のビジネスの未来の可能性を知ること──火曜夜にお届けしている「Africa」ニュースレターでは、毎週ひとつのスタートアップを取り上げ、彼らが社会の何をどう解決しているかをレポートしています。

アフリカで、ファイナンシャルインクルージョン(金融包摂)を実現できるかどうか。それは、人びとが従来の銀行やクレジットカードを利用できるか次第だとされてきました。

しかし、デジタルサービスの普及が進むいま、より幅広い決済手段へのニーズが高まっています。グローバルサプライチェーンにアクセスしやすくなり、Eコマースも増加しています。一方で銀行に紐づくカードにかかるコストは依然として大きいため、人びとはやがて新しい決済方法へと流れていくかもしれません。

こうしたトレンドのなかで、いま、いくつもの新しいスタートアップがフィジカル/デジタルどちらの形態のクレジットカード、デビットカードを独自に開発しています。銀行と連携したフィジカルなカードの発行には長い時間とコストがかかりますが、バーチャルカードの発行は迅速かつ安価で、利便性にも長けており、銀行というボトルネックを回避できます。

また、バーチャルカードは、都市外の住民をはじめ経済的に疎外されている多くのアフリカの人びとにとって、唯一の選択肢である可能性もあります。バーチャルカードの開発はスタートアップにとっても潜在顧客にとってもウィン・ウィンとなりうるのです。

CHEAT SHEET

業界・虎の巻

  • どんな可能性が?:Eコマースの台頭やグローバルサプライチェーンへのアクセス向上により、アフリカでは買い手と売り手の双方に大きなメリットがもたらされています。しかし、そのメリットを享受するには、銀行が提供するデビットカードやクレジットカードが必要になることが多い、というのが現状です。
  • 課題は?:アフリカではごく一部の人しかクレジットカードやデビットカードを利用できません。例えば、ザンビアの成人人口のうちデビットカードを利用しているのはわずか10%です。
  • ロードマップは?:バーチャルカードによって、フィンテック企業は普及するモバイルデバイスのメリットを生かし、カードをより利用しやすいものにできるでしょう。
  • ステークホルダーは?:モバイルマネー事業者やEコマース企業、フィンテック企業、金融機関、デジタル企業、消費者。

BY THE DIGITS

数字でみる

  • 40.3%:2019~21年に資金調達を行なったフィンテックスタートアップのうち、決済・送金事業を行なっている企業の割合
  • 59%:アフリカの決済・送金のスタートアップのうち、ナイジェリア、南アフリカ、ケニアに拠点をもつ企業の割合
  • 5億4,300万ドル(約694億7,287万円):2015〜21年にかけてフィンテックスタートアップに投資された約9億ドル(約1,151億4,841万円)のうち、ベンチャーキャピタルから決済・送金スタートアップに投資された額
  • 22億ドル(約2,814億7,389万円):2022年1~4月にかけてアフリカのスタートアップに投資された資金の額

THE CASE STUDY

ケーススタディ

  • 企業名:Union54
  • 創業年:2021年
  • 本社所在地:ザンビア
  • 創業者:Perseus Mlambo、Alessandra Martini
  • 最新の評価額:非公開

ザンビアの企業として初めてYコンビネーターの支援を受けたUnion54は、起業家カップルであるペルセウス・ムランボ(Perseus Mlambo)とアレッサンドラ・マルティニ(Alessandra Martini)が2021年に興したスタートアップです。

同社はふたりが6年前に創業したZazuというチャレンジャーバンク(大手銀行や従来の銀行にはない、テクノロジーを駆使した独自の金融サービスを提供するニッチな銀行)のスピンオフとして創業しました。Union54の社名は「アフリカ54カ国の統合」に由来しており、アフリカ大陸全体でサービスを提供したいという同社の志を表しています。

ふたりの最初の事業であるZazuは、利用者向けのデビットカードの発行業務を従来型の銀行に委託していましたが、発行に大幅な遅れが出るなどファイナンシャルインクルージョンを向上させられていないというこれまでの銀行を象徴するような問題に直面したと言います。人口の10%しかデビットカードを利用していないザンビアではいまだ現金主義で、カード決済は増加の見込みがないものとみられていました。

そこで、Union54はもっとシンプルな方法を考えました。ほかのフィンテックや企業がフィジカル/バーチャルな形態で独自のカードを生成するためのソフトウェアを開発したのです。「わたしたちは独自のアプローチをとりました。アフリカ各国でそれぞれ成功を収めているさまざまなフィンテック企業が、Union54によって史上初めて統合されたのです。Union54によって、企業はユーザーに自社でデビットカードを発行できるようになりました」と、ムランボは言います。「さらに、わたしたちはオンライン決済やEコマース決済のためのバーチャルカードも処理できます。わたしたちは、さまざまなフィンテック企業がデビットカードを導入できるようにするという意味で唯一無二の地位にいます」

2022年4月にシードエクステンション(追加拡張投資)で1,200万ドル(約15億3,531万円)を調達したUnion54によると、これまで100社以上のフィンテック企業と20以上のウェブサイトが同社のソフトウェアを利用しているといいます。ムランボいわく、今回調達した資金はザンビア国外への進出に使うということです。

IN CONVERSATION WITH

キーパーソンの発言集

ペルセウス・ムランボはUnion54の共同創業者で最高経営責任者(CEO)です。彼は銀行の機能を解体し、アフリカのすべての消費者がデビットカードやクレジットカードを使えるようにすることが必要だと考えています。以下、ムランボとのインタビューから、興味深い発言を紹介します。

  • Yコンビネーターの影響について:「ザンビアの企業として初めてYコンビネーターのアクセラレータープログラムに参加したことは、わたしたちの野心を物語っていると言えるでしょう。市場はザンビアだけではありません。アフリカ大陸全体を潜在市場と考えているのです」
  • 潜在顧客について:「海外からの送金を受け取る人が、もっと簡単にフィジカルなクレジットカードを入手できるようにするというアイデアには、送金会社も興味を示しています。送金会社が自社のプラットフォームとクレジットカードを紐づければ、ユーザーは自分のサイトで買い物をすることもできるようになるでしょう」
  • フィンテック周りの規制緩和について:「アフリカ各国の規制当局と話すなかでわかったのは、フィンテックが大陸に定着することを彼らはしっかり理解しているということです。また、急速なイノベーションと技術開発によってビジネスモデルが常に変化していることもわかっています」
  • アフリカの頭脳流出について:「いま、AmazonやFacebookから多くの人材が流れてきています。こうした人たちはFlutterwaveのようなアフリカのスタートアップの成功を見て、給料が下がってでも参加したいと思ったと語っています。家族がいるので移住はできないものの、アフリカの企業で働きたいと思うのはその成功を確信しているからこそでしょう。そういう意味で、アフリカの頭脳流出は徐々に改善されていると思います。また、いまは資金調達をできる企業も増え、給料も高くなっています」

FINTECH DEALS TO 👀

注目すべきディール

  • ナイジェリアのフィンテックスタートアップであるCredPalは、クレジットカードの全国展開のために2020年に150万ドル(約1億9,191万円)を調達し、その後の2022年には後払い決済(BNPL)部門の強化のためにさらに1,500万ドル(約19億1,914万円)を調達しました。同社の後払い決済は現在4,000の加盟店で利用でき、85,000人のユーザーがいるということです。
  • アフリカのモバイルウォレットをひとつのAPIに統合することを目指すpawaPayは、2021年に900万ドル(約11億5,148万円)のシードファイナンスを実施しました。同社はこの資金でモバイルマネー決済ソリューションのための人材を増やし、事業を拡大し、新たな地域の市場開拓に挑むといいます。
  • ウガンダのフィンテック企業Asaakは、2022年1月にプレシリーズAラウンドで3,000万ドル(約38億3,828万円)を調達しました。同社は事業者むけにボダボダ(タクシーや配送用に使われるバイク)購入のための融資を行なっており、この資金を製品開発や他地域への参入に使う予定だということです。

🎵 今週の「Weekly Africa」は、ジンバブエのJah Prayzahによる「Munyaradzi(Comforter)」を聴きながら、ハラレ在住のコントリビューター、Tawanda Karomboがお届けしました。日本版の翻訳は川鍋明日香が担当しています。

ONE 💳 THING

ちなみに……

アフリカ最大の通信会社のひとつであるSafaricomは最近、Visaとの提携によるバーチャルカードの導入を発表しました。これによって、SafaricomのジョイントベンチャーであるM-Pesaのユーザーは世界のほぼどこからでも金銭の支払いや受け取りができるようになります。

3,000万人以上の顧客とM-Pesaに対応している320万社の企業からなるネットワークを有するSafaricomは、アフリカのモバイルマネー業界の最前線にいる企業のひとつです。今回発表されたバーチャルカードは6月に導入される予定です

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