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Weekend:バイデンの置き土産

週の最後に、今週の注目ニュースをチェックしておきましょう。Quartzで配信し世界の読者が話題にした、注目ニュース5本のサマリーもお届けします。

Quartz
This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published
週の最後に、今週の注目ニュースをチェックしておきましょう。Quartzで配信し、世界の読者が話題にした5本のニュースのサマリーもお届けします。

米国は長い間、台湾に対して「あいまい戦略(戦略的あいまいさ)」をとってきました。中国の台湾への軍事的侵略にどう対応するか、意図的にあいまいにしてきたのです。

しかし、先週まで韓国、そして日本を訪問中のジョー・バイデン大統領の一連の発言は、そのあいまいさを不安定な状況に置いたかのようにみえます。日本滞在中のバイデンは、中国が台湾を攻撃した場合に米国は軍事介入すると発言し、ホワイトハウスの側近はこの発言の火消しに走りしました。

ロシアのウクライナ侵攻以降、米国では「あいまい戦略」から「明確戦略(戦略的明確さ)」への移行が活発に議論されています。ウクライナのケースは、中国が台湾を攻撃して「統一」を迫る可能性と多くの点で比較され、前者が成功すれば後者の可能性が高まると主張するアナリストもいます。

しかし、「あいまい戦略」がロシア・ウクライナ/中国・台湾の力学にどのように影響するのかは、実のところあまり議論されていません。また、米中間の競争が激化するなか、その戦略が果たして耐えうるかということも──。

まず、ロシアとウクライナから見ていきましょう。米国に限らず西側の政策は、長らく「あいまい戦略」そのものだったと言っていいでしょう。2008年、北大西洋条約機構(NATO)はウクライナを西側諸国の防衛同盟にゆくゆくは迎え入れると約束しましたが、その時期については明言しませんでした。そして、NATOの約束から10年以上経ったいまも、ウクライナは加盟を認められていません。

昨年末、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ国境に相当数の兵力を集め始めたことで、ワシントンは「明解戦略」に舵を切りました。ロシアの侵攻を阻止するための幅広い情報キャンペーンの一環として、米国は機密指定を解除した情報を先取りして共有し、何をすべきか、何をしないかを明確にしたのです(ロシアへの制裁とウクライナへの援助はYES、派兵と飛行禁止区域の設定はNO、といった具合に)。

さて、中国と台湾に目を向けてみましょう。バイデンがあいまいさを欠いた態度を示したのは、今回のアジア歴訪が3度目です。そのたびにホワイトハウスは、台湾に対する米国の政策に変更はない、とフォローしています。変化したのは大きく成長した中国の軍事力です。

米国がインド太平洋地域でより大きな役割を果たそうとするとき、台湾海峡の現状を長い間定義してきた「計算」も、変化する可能性があります。米国にとって大きな問題は、抑止力としてあいまいさと明確さのどちらがより効果的か、ということです。これについては、誰も完全に明らかにはできていません。


THE BACKSTORY

背景を整理すると……

  • いつから「あいまい」なのか。1955〜79年まで、米国と中華民国(台湾は正式にはこう呼ばれていた)は、「武力攻撃と共産主義による破壊活動」を撃退するための相互援助を約束する協定を結んでいました。しかし、1970年代の中華人民共和国との国交正常化の一環として、米国はこの協定を脱退(pdf)。それ以降、米台関係は台湾関係法によって規定され、「戦略的あいまいさ」の時代が始まったのです。
  • すべて「あいまい」とは限らない。政策の名前に「あいまいさ」が含まれている場合、何があいまいなままなのかについて専門家の意見が完全に一致しないのは、特に驚くべきことではありません。ホワイトハウスの「nothing to see here」(ここには見るものはない)というスタンスを支持する一つの解釈は、米国は常に、中国によるいわれのない行動に備えて台湾を軍事的に支援することを約束してきた、つまり、台湾が独立を求める方向に振れていない場合でも、米国はそれを行うというものです。台湾特有の政治的に不安定な状態を維持することが、関係者にとって最も安定した結果をもたらすという考え方です。
  • 米国は台湾に武器を提供し続けている。米国は、中国との国交を正常化した後も、台湾への防衛のための武器売却を継続してきました。4月、米国務省は台湾への9,500万ドル(約120億円)規模の武器売却を承認しましたが、これはバイデンが大統領になってから3回目の売却となります。

WHAT TO WATCH FOR NEXT

注目すべき4つの動き

  1. ロシアとウクライナ。ロシアは領土を獲得できるのでしょうか? 経済的なダメージはどの程度なのでしょうか? そして、NATOはいつまでその決意を維持できるのでしょうか? ロシアの侵攻がもたらす結果は、中国と米国の台湾への考え方に影響を与える可能性があります。
  1. 台湾の選挙。もし、中国が「分離主義者」のレッテルを貼る現副総統、頼清徳が2024年の選挙で台湾の総統になれば、「中国が台湾に対して軍事行動を起こす確率は高まるだろう」と、米シンクタンク、ランド研究所(RAND Corporation)のアナリスト、Derek Grossmanは書いています
  1. 共産党指導部の会議。中国の習近平国家主席は、秋に開かれる党大会で3期目の続投を確実にすると見られています。ここでの長々とした演説で、中国の進むべき道についてのビジョンを示す予定です。
  1. インド太平洋経済枠組み(IPEF)。台湾に関するバイデンの発言が見出しを独占するなか、先週、彼はアジアにおける米国の関与を形作る新しい経済「枠組み」も発表しました。14カ国からなるこの協定に中国は含まれておらず、完全な貿易協定というわけでもありません。これは主に象徴的な意味合いが強く、米国主導の同盟関係や経済協力を強化することを目的としています。

今日のニュースレターは、QuartzのMary Hui(レポーター)がお届けしました。

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A man eats a Shake Shack burger in front of New York Stock Exchange
Image copyright: Reuters/Brendan McDermid
Almost perfect.
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