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Africa:アフリカのAirBnB、その名はBangalo

観光業界が、コロナ規制から立ち直ろうとしています。アフリカへの国内外からの観光客の増加が見込まれるなか、柔軟な支払い方法やモバイルマネーの普及がカギとなりそうです。

This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
  • Sota Toshiyoshi
By Sota Toshiyoshi

Editor in Chief (Quartz Japan)

Published
Bongalo member brief artwork
アフリカのいまを知ることは、世界のビジネスの未来の可能性を知ること──火曜夜にお届けしている「Africa」ニュースレターでは、毎週ひとつのスタートアップを取り上げ、彼らが社会の何をどう解決しているかをレポートしています。

パンデミック以前、世界はアフリカで成長中のホスピタリティ業界の将来性に注目していました。Jumiaによる2019年版「Hospitality Report」では、旅行業および観光業がアフリカ大陸の経済を牽引する主要な産業とされており、同セクターが2018年のGDP(1,942億ドル[約25兆3,558億円])に占める割合は8.5%と、2年前の7.8%から増加していたのです。ほんの数年前まで、ホスピタリティ業界はアフリカで直接的・間接的に2,470万人の雇用を生み出しており、アフリカの観光業界はアジアに次いで世界で2番目に高い成長率を見せていました。

そしていま、COVID-19による旅行まわりの規制が解除されるにつれ、この産業に対する楽観的な見方が再び高まりつつあります。アフリカ大陸内の移動については特にそうで、アフリカの若く革新的な人びとは新しい体験を探しています都市化の進展アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)単一アフリカ航空輸送市場(SAATM)の取り組みも相まって、アフリカでは域内では今後さらに移動がしやすくなるでしょう。すでにエチオピアやガーナ、ルワンダ、ケニアといった国々ではビザなしでの旅行や到着ビザの発給も始まりました。

宿泊施設の面では、世界最大級のホテルチェーン各社がアフリカ市場を獲得するために10億ドル(数千億円)規模の競争を展開しており、アフリカ最大のホテルオペレーターであるアコーホテルズ(ソフィテルやイビスなどのブランドを所有)をはじめとする各社が事業の拡大を進めています。パンデミック以前はAirbnbもアフリカに13万件以上の宿泊先を掲載しており、ナイジェリアやガーナ、モザンビークはゲストが最も急増している8つの市場のひとつに含まれていました。

グローバル企業が潤沢な資金を武器に大きな野心を抱く一方、現地のスタートアップはモバイルマネー決済やインターネット接続が行きわたってない地域での展開といった面で一定のアドバンテージをもっています。


THE CHEAT SHEET

ビジネスとしての可能性

💡 期待される理由:アフリカはいまも魅力的な観光地であり、感染防止に関する規制が緩和されたことにより国内外からの観光客の増加が見込まれます。また、安価な料金、柔軟な支払い方法、モバイルマネーの普及もまた、特に短期滞在の分野でチャンスを生み出すでしょう。

🤔 解決すべき課題:テクノロジープラットフォームが世界各地で旅行やホスピタリティの楽しみ方革新を起こしています。しかし、アフリカは電力の供給不足や不安定なインターネットなど、依然としてインフラの問題を抱えてもいます。またホスピタリティ分野における高度人材の不足や、労働者の確保・維持の難しさといった課題もあります。

🌍 これからのロードマップ:アフリカのスタートアップは時間をかけて事業を成長させるのに十分な資金が確保できず苦戦しがちです。ベンチャーキャピタルを惹きつけ、アフリカ市場にいるより多くの消費者に地元で生産された商品やサービスを購入してもらうために、よりよい戦略を立てる必要があります。

💰 注目すべきステークホルダー:Airbnbはアフリカ大陸のホストとゲストの両方から最も信頼されているプラットフォームです。またBooking.comやVrbo、TripAdvisor、Expedia、Homestay.com、atraveoといった多国籍企業に加え、NwanndoやAfricabookings、Viatu、Kumba Africaといったアフリカ市場専門のスタートアップも事業を展開しています。


BY THE DIGITS

数字でみる

コロナ後に関する数字はまだ出ていません。ここではコロナ流行前のアフリカのホスピタリティ部門の可能性を示唆する数字を紹介します。

  • 5.6%:アフリカの観光業界の前年比成長率(2018年)
  • 1億1,000万人:2027年までにアフリカを訪れると見込まれる観光客数
  • 74%:オンラインで旅行を計画する人の割合(全世界)
  • 7万5,000室:アフリカで利用可能な短期賃貸やホテルの部屋数
  • 910億ドル:短期賃貸の世界的リーダーであるAirbnbの時価総額

THE CASE STUDY

アフリカのAirBnB

企業名:Bongalo
創業年:2017年
本社所在地:ルワンダ
創業者:Nghombombong Minuifuong
時価総額:非公開

Bongaloはアフリカで普及が進むモバイルマネーを利用した旅行宿泊の予約・決済プラットフォームとして設立されました。アフリカの多くの国では、他の主要な旅行プラットフォームでの決済が一筋縄ではいかないのです。

「アフリカのAirbnbのホストが支払いを受ける方法は通常、Payoneerのプリペイドカードしかありません」と、Bongaloの創業者であるンゴムボムボン・ミヌイフォン(Nghombombong Minuifuong)は言います。「Payoneerを購入して配送を待ち、それをAirbnbのアカウントに紐づけます。予約が入ったらカードにデポジットが外国通貨で振り込まれるので、ATMに行って現金を現地通貨に換金して引き出さなくてはなりません。このとき、ホストは少なくとも為替手数料、カードの利用料、そしてAribnbの手数料という3つの手数料を払うことになります。これを止めるのが、わたしたちがしようとしていることのひとつです」

Bongalo team hard at work.

Bongaloは希望の宿泊場所を予約したいゲストと自分の施設を掲載したいホストの両方のためのプラットフォームです。モバイルマネーのウォレットとUSSDコードを使うことで、複数の手数料を回避しつつ安全な決済取引を実現しています。ミヌイフォンはこのプラットフォームを「アフリカのAirbnb 」と呼んでいます。

Bongaloのチームは現在、開発者と旅行の専門家、マーケティング担当者など9人で構成されており、2020年時点での評価額は約200万ドル(約2億6,113万円)でした。事業を展開しているカメルーンとルワンダではこれまで6,000件以上の宿泊場所を掲載し、2,000件の決済取引を処理しています。同社によると、過去3年間で予約は年平均60%、掲載数は80%のペースで増加しているそうです。

これまでのところBongaloはグーグルのBlack Founders Fund Africaからしか資金調達をしていませんが、ミヌイフォンは今後事業をコートジボワールやセネガル、ケニア、ガーナ、ウガンダに拡大しようと意気込んでいます。


IN CONVERSATION WITH

5年後にはユニコーンに

ンゴムボムボン・ミヌイフォンはカメルーンのQuanteq Institute Bamendaでウェブ開発とビジネス分析を学んだのち、農産物のEコマーススタートアップに就職し経験を積みました。

その後、分離主義紛争の激化をきっかけに2017年にルワンダへ逃れ、キガリでBongaloを創業。現在は同社の最高経営責任者(CEO)を務めています。以下、ミヌイフォンとのインタビューから、興味深い発言を紹介します。

Founder of Bongalo

──アフリカで旅行を楽しむ人は増えますか?

わたしたちはアフリカ大陸内の旅行の促進に力を入れるためにBongaloを開発しました。普通のホテルの半額以下で泊まれる場所を予約できるプラットフォームを提供し、より便利に、より多くのアメニティを提供すれば、旅行は安くなるんです。

──あらたな事業に挑むのに、規制などの問題はありませんか?

ルワンダの規制環境は非常に柔軟で、よく整備されています。官僚主義でもなく、すべてが迅速に行われているんです。通常のプロセスを踏むだけで合法的にビジネスを立ち上げられます。ルワンダではたったの24時間で会社を登記できるので、すぐに事業を始められるのです。アフリカのほかの国の多くでも同じようなことが起きていますよ。

──Bongaloの目標は?

5年後にはユニコーン企業となり、アフリカの20カ国以上の国で事業を展開したいと思っています。また、予約をたくさん回すことも考えています。事業を通じて直接的・間接的に何千人という規模の雇用を創出したいとも思っているので、こうした目標の実現に向けて懸命に取り組んでいるところです。


ALTERNATIVE MEDICINE DEALS TO 👀

注目すべきディール

  • ホスピタリティ分野に特化したアフリカの独立系投資プラットフォームKasada Capital Managementは2022年3月、ケープタウンを象徴するケープ・グレース・ホテルを買収し、南アフリカのホスピタリティ部門に参入しました。この買収にあたり、Kasada Capital Managementは国際金融公社(IFC)とプロパルコからの1億6,000万ドル(約209億円)の債務枠を確保しています。
  • ホテルやレストラン、食品事業者と農場を直接仕入れのためにつなぐラゴスのスタートアップVendeaseは、2021年10月にシードラウンドで320万ドル(約4億1,780万円)を調達しました。このラウンドはサンフランシスコのVCであるGlobal Founders Capitalが主導し、Y Combinator、Hustle Fund、Liquid 2 Ventures、Hack VC、Soma Capitalなども参加しています。
  • 自動車予約プラットフォームを運営するナイジェリアのPlentywakaは、アフリカで事業を拡大するために120万ドル(約1億5,667万円)のシード資金を調達し、ガーナのスタートアップStabusの買収も発表しました。このラウンドはトロントの投資ファンドであるThe Xchangeが主導し、Techstars、SOSV、ShockVentures、Argentil Capital Partners、ODBA & Co Venturesのほか、エンジェル投資家が参加しました。

🎵 今週の「Weekly Africa」は、Wams Klassic(カメルーン)の「Newsman」を聴きながら、カメルーンのヤウンデ在住のコントリビューターのAmindeh Blaise Atabongがお届けしました。日本版の翻訳は川鍋明日香、編集は年吉聡太が担当しています。

ONE 🏘️ THING

ちなみに……

ポストコロナで旅行が再開され、職場ではハイブリッドワークが定着し、「ワーケーション」が盛り上がるなか、短期賃貸が宿泊の選択肢としてホテルをしのぐ勢いで人気を博すようになるだろうという調査結果が発表されています。旅行者向けの宿泊施設の市場規模は5,700億ドル(約74兆4,222億円)と推計されていますが、短期賃貸の市場規模は2030年までに1,112億ドル(約14兆5,188億円)に達すると予測されています。


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