🐻‍❄️ 手口を一挙公開! グリーンウォッシュ

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Image: PHOTO ILLUSTRATION BY QUARTZ; PHOTOGRAPH BY TONE FOTOGRAFIA

Quartz読者の皆さん、こんばんは。8月2日夜、今日のニュースレターでは、グリーンウォッシュに陥った企業と、その戦略から身を守る方法をお伝えします。

気候変動に対する関心の高まりは、企業にとってはビジネスチャンスでもあります。一方で、消費者は偽のエコロジーをうたった製品やサービスにうんざりしており、企業に対して説明責任と信頼性を高める努力をするよう求める声が高まっているのです。こうした状況で巧妙なグリーンウォッシュが増え、それを見つけ出すのはさらに難しくなっています。

同時に、被害の規模も拡大しています。専門団体の調査によれば、グリーンウォッシュは真偽を判断するのは難しいものの一見信頼できそうな情報やデータが提供されていると効果的に機能するようです。

例えば、オーストラリアの研究者たちが2022年に行った調査では、航空券を買う場合、消費者は単に環境に優しいことをうたう航空会社より、フライトのカーボンオフセットをしていると主張する広告にだまされやすい傾向があることが明らかになっています。つまり、ほんの少し具体性を高めるだけで大きな差が出るのです。

一方で、グリーンウォッシングが明るみに出ると、ブランドの信頼性に深刻な影響が及ぶこともわかっています。つまり、意図的であれ無意識であれ、グリーンウォッシュをしている企業は顧客を失う可能性のある危ない橋を渡っているのです。

さらに問題なのは、気候変動が進みパリ協定の期限が迫りつつあるなかで、グリーンウォッシュによって環境対策は進んでいるという幻想が生じてしまう点です。こうなれば、政治家やビジネスリーダーたちは実効性のある行動を起こす代わりに、偽りの栄光に浸ろうとするでしょう。

グリーンウォッシュを監視する団体チェンジング・マーケット財団(Changing Markets Foundation)のジョージ・ハーディングロールス(George Harding-Rolls)は、「グリーンウォッシュのために必要とされている変化の大きさが覆い隠されてしまいます」と話します。「これは、わたしたちに正しい方向に進んでいるという錯覚を起こさせる、いわば社会的偽薬のようなものなのです」

グリーンウォッシュの手法には、エコロジーを連想させる写真を使うといった古典的で単純なやり方から、投資商品や企業データに見られる高度で洗練されたものまで、さまざまな種類があります。Quartzではこれらを調べて類型化し、どうすればグリーンウォッシュを見破れるかを考えてみました。少しだけ手間をかければ、消費者も投資家も偽の環境への取り組みにだまされるのを防ぐことができます。


#1 Put a Polar bear on it

ホッキョクグマの写真

製品のパッケージや企業の広告に、大自然の風景や動物(特にホッキョクグマ)の写真を使う手法。

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Image: シェブロンは石油や天然ガスの生産では世界最大手のうちの1社で、今後も化石燃料の採掘を拡大していく方針を示しています

だまされないためには:よく知られた動植物、ソーラーパネル、リサイクルのロゴマーク、緑色といったイメージ戦略には注意してください。また、科学的に聞こえる単語や漠然とした表現は疑ってかかる必要があります。「グリーン」や「持続可能」といった言葉は実質的にはほぼ何にでも使えるからです。

第三者機関(理想的には政府機関)による認証がなされているかを確認するようにしましょう。何かがおかしいと感じたら、その直感は当たっていることが多いはずです。また、環境にとって最良の選択肢は「買わない」ことであるのも覚えておいてください。


#2 Distraction tactics

ごまかし戦略

環境配慮型の製品をいくつか提供する陰で、本業では環境汚染につながることをしていることは珍しくありません。

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Image: これは、気候変動に対して責任があるのは企業ではなく消費者だと思わせるために、大手石油企業が考え出したものともいわれます

だまされないためには:エネルギー、金融、農業、交易、運輸など炭素排出量の多い分野では、事業の大半の低炭素化を実現した企業はほとんど存在しません。こうした企業が環境について宣伝している場合、背後には別の事情が隠されていると考えるべきです。

企業名と「排出量」や「化石燃料」といった単語で検索をかけて、その企業が気候変動に及ぼしている影響をきちんと把握してから、彼らの環境への取り組みを支援するかを決めるようにしましょう。


#3 Awful offsets

カーボンオフセットの嘘

実際には排出量が相殺されないカーボンクレジットを提供する、もしくは効果の不明な排出権取引制度に基づいてカーボンニュートラルを主張する手法です。

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Image: 国際企業25社を対象にした調査では、アマゾンやグラクソ・スミスクライン(GSK)を含む19社が、事業の脱炭素化に向けて排出枠制度に頼る計画であることがわかっています

だまされないためには:排出権取引制度を巡っては、数値の算出方法が曖昧だったり、オフセット手段の矛盾や偽装などが問題になることが多く、排出量を確実かつ恒久的に相殺できるものはほとんどないというのが現実です。さらに個々の事例についてきちんと検証することは難しいため、企業の脱炭素化を厳格に査定する場合、カーボンオフセットを計算に含めることは認められていません。

言い換えれば、企業がカーボンオフセットをしていると主張しても、本当にオフセットが行われているという保証はまったくないのです。カーボンオフセットはむしろ、結果のわからないギャンブルのようなものだと考えるべきでしょう。民間のカーボンクレジットについては、ベラ(Verra)やゴールド・スタンダード(Gold Standard)といったレジストラーで詳細を知ることができます。


#4 Shady shareholders

本当に「物言う」株主?

資産運用会社は独自の環境目標を掲げる一方で、議決権を保有する企業の株主総会では環境関連の議題に反対票を投じることがよくあります。

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Image: 環境問題の解決に取り組む企業に特化した上場投資信託(ETF)商品を販売するEngine No. 1も、2022年、銀行やエネルギー企業の株主総会で環境関連の提案に反対票を投じています

だまされないためには:環境保護団体ケアーズ(Cares)は、株主総会での環境関連の議題を集めたデータベースを公開しています。資産運用会社は大半が株主総会での決議の詳細を公表しているため(株主総会から投票結果の公表まで長い時間がかかることもありますが)、誰が賛成し誰が反対したかは簡単に確認することができます。

個人で退職金や年金を運用している場合、資金を預けている資産運用会社に気候変動に対する方針を尋ね、自分は気候変動関連の議題には賛成票を投じたいと伝えましょう。資産運用会社がそれはできないと答えたら、資金を別の会社に移すことを検討してください。


#5 WTF is ESG?

実態のないESG

ESG(環境、社会、ガバナンス)の評価方法は誤解を招きやすく、また気候変動への影響は軽視されることが多くあります。

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Image: 証券取引委員会(SEC)は最近だけでも、ゴールドマンサックスを含む少なくとも3社に対してこうした調査を行っています

だまされないためには:ESGには明確な定義がなく、気候変動への対策がなされているかについての指標としては適切ではありません。個人で投資をしている場合、購入を考えているファンドに化石燃料関連銘柄や大量のCO2を排出する企業の株式が含まれていないかを、きちんと確認してください。一方、SECは悪質なグリーンウォッシュを減らすために、投資商品に「ESG」という言葉を使う場合のルールの策定を進めています。


#6 Lame lobbying

陰のロビー活動

表向きは環境への配慮を謳う企業でも、実際は気候変動対策に対して批判的で、ロビイストを雇って環境政策や規制の策定を阻止するよう働きかけている経営陣の姿も……。

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Image: 2021年、エクソンモービル(Exxon Mobil)のロビイストが、同社が気候変動を否定する業界団体に多額の資金を提供していることを認める内容の発言をしたインタビューテープが公開されています

だまされないためには:大手金融機関や公益企業、エネルギー企業はほとんどが、米国商工会議所や米国石油協会といった環境政策に積極的に反対する団体に所属しています。企業に対してロビー活動全般を自らの気候変動目標と合致させるよう求める年金基金や機関投資家の数は年々増えています。


#7 Hiding behind acronyms

アライアンスには要注意

環境分野の「アライアンス」や「イニシアチブ」の大半は、参加していても何も意味しないことが多いのです。

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Image: H&Mが採用していた素材の環境負荷についてのスコア表示は、ファッション業界ではよく知られているけれど正確ではない指標に基づくものでした

だまされないためには:複数の企業が自主的に協力して作った環境関連の団体や認証制度は、疑ってかかったほうが賢明です。これは企業が本気で環境問題に取り組んでいることの証明ではなく、単に低コストのマーケティング戦略である場合が多いからです。

アライアンスやイニシアチブのウェブサイトにアクセスして、参加資格や実際に行動に移すまでのタイムラインを調べてみましょう(参加してから何年も何もしなくていい団体もあるからです)。また、実際に参加している企業の数も確認してみてください。企業数が多いほど、参加資格は適当な可能性があります。


#8 Garbage goal-setting

無意味な目標設定

排出量削減の目標は掲げていても、内容が科学的でなかったりパリ協定に準拠していない場合も。

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Image: 「ネットゼロ」を目指すと宣言している上場企業702社のうち、65%は実現に向けた計画が曖昧で、最低限の基準を満たしていません

だまされないためには:企業の排出量削減目標を見るときには、まず自社だけでなくサプライチェーンなども含めた「スコープ3」基準での排出量かを確認するようにしましょう。エネルギー分野を含むCO2排出量の多い企業では、サプライヤーや顧客が主要な排出源であるのに、削減目標からは除外されていることが多いためです。

また、達成期限が5〜10年のような長期スパンである場合も注意が必要です。金融サービス会社MSCIは、企業の掲げる気候変動目標がパリ協定に準拠しているかをまとめたデータベースを運営しています。


#9 Smokescreen statistics

データのいいとこ取り

気候変動関連のデータを公表しているものの、良い点は強調して悪い点は隠すというような操作も珍しくありません。

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Image: 英国の規制当局は2020年、格安航空会社ライアンエアー(RyanAir)が誤解を招くような統計を使っていたとしています

だまされないためには:排出原単位(intensity)という単語が出てきたら注意が必要です。これは一定量のものを生産する過程で排出されるCO2の量のことですが、その企業の総排出量とは異なります。

SECの新しいルールでは、企業の気候変動関連のデータ開示内容にある程度の基準が設けられる見通しですが、サプライヤーや取引相手による排出が「重要」かの判断は各企業に委ねられています。つまり、それぞれの企業がサプライチェーンは問題ではないと考えた場合、そこからの排出データを提示する必要はないのです。


今日のニュースレターは米国のAmanda ShendrukとTim McDonnell、UKのChihiro Okaと日本のSota Toshiyoshiがお届けしました。


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