Daily Brief:ザポリージャ原発の危機

8月8日、世界で今起きていること。米国務長官がロシアに対抗してアフリカを訪問しているほか、ソフトバンクグループが決算を発表します。

DAILY BRIEF

世界で今起きていること

Quartz読者の皆さん、おはようございます。8月8日月曜日、今週も「世界で今起きていること」をお伝えします。 

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Photo: Alexander Ermochenko (Reuters)
  1. 国連の核監視団は、ウクライナの発電所について警戒している。ヨーロッパ最大級の原子力発電所であるザポリージャ原発は、週末に砲撃を受け、原子炉の1つが停止しました。国際原子力機関(IAEA)は、原発への攻撃に強い懸念を示しました。
    The UN’s nuclear watchdog is alarmed about a power station in Ukraine. The Zaporizhzhia plant, Europe’s largest nuclear power station, shut down one of its reactors after being shelled over the weekend.
  2. 中国が台湾付近で長距離の空爆訓練を実施。この訓練は、米国のナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問への対抗措置として中国が実施している大規模軍事演習の一環と考えられています。
    China ran long-range airstrike drills near Taiwan. The drills are thought to be some of the last extensive ones the country will launch in response to US house speaker Nancy Pelosi’s visit to the island.
  3. ウクライナからさらに穀物が出荷された。4隻の船が、16万トンの食料を黒海経由でヨーロッパ、アジア、中東に運んでいます。
    More grain left Ukraine. Four ships are bringing 160,000 metric tons of food goods to Europe, Asia, and the Middle East via the Black Sea.
  4. アントニー・ブリンケンがアフリカに上陸しました。米国の国務長官は昨日(7日)、南アフリカに到着し、コンゴ民主共和国とルワンダに向かいます。これは、アフリカ大陸で拡大するロシアの影響力に対抗するためのものと見なされています。
    Anthony Blinken landed in Africa. The US secretary of state was in South Africa yesterday, and will head to the Democratic Republic of the Congo and Rwanda in a tour that’s seen as a counter to growing Russian influence on the continent.
  5. ガザで停戦に合意。この停戦によって、40人以上の死者を出した週末のイスラエルとパレスチナ過激派による戦闘を終わらせることができます。
    A ceasefire is being negotiated in Gaza. A truce would end a weekend of violence between Israeli and Palestinain militants that left more than 40 people dead.
  6. インドで最も新しい航空会社が就航した。格安航空会社のアカサ・エア(Akasa Air)は昨日(7日)、ムンバイとアフマダーバードを結ぶ開業区間で商業運航を開始しました。
    India’s newest airline took off. Budget carrier Akasa Air began its commercial flights yesterday with an inaugural leg between Mumbai and Ahmedabad.

What to watch for

追い込まれたSBG

世界最大のテック・ベンチャー・キャピタル・ファンドを運営する日本のコングロマリット、ソフトバンクグループSBG)が本日(8日)、1Q(4-6月)の決算を発表します。その内容は、テック市場が低迷し役員退任も相次ぐなかで、数十億ドルの損失を計上するものになると予想されています。

SBGは、昨年11月に開始した75億ドル(約1兆円)に及ぶ自社株買いプログラムで資金の60%以上を使い果たしており、資金繰りは順調とはいえません。一方で、これまでに先渡売買契約によってアリババAlibaba、阿里巴巴)株の約3分の1を売却し、220億ドル(約2.9兆円)を調達しています。

出資する非公開企業の評価額下落が同社の利益の足を引っ張ると予測されるなか、SBG子会社である英チップメーカー、アームARM)のニューヨーク証券取引所でのIPOの可能性は、SBGに財務的な救済をもたらす可能性もあります。社長の孫正義は、この嵐を乗り切るため、ポートフォリオ投資により慎重な姿勢で臨むことになりそうです。


Turning up the heat on UPS

宅配ドライバーの悲劇

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Photo: Anthony Rosario

今年6月、米物流大手、UPSのドライバーが、ロサンゼルス地域で小包を配達中に亡くなりました。そのドライバー、24歳のエステバン・チャベスの家族は、彼の死の原因はトラック内が高温だったことによる熱中症だと考えています。

ここまでUPSのドライバーが入院したり勤務中に倒れたりしたとの報告が相次いでおり、なかには恐ろしい気温を示す温度計を写真に撮って公開している人もいます。

全米35万人のUPS労働者を代表するチームスターズ労組は、同社に対して改善を求めるキャンペーンを展開しています。この闘いは、気候変動が労働者の健康と安全にどのような影響を及ぼすかについての懸念が高まっていることを象徴しているともいえるでしょう。

以下、現状を数字でまとめてみました。

  • 0:UPSのトラックにはエアコンがない。ただしUPSによると「ドライバーの安全のために」車内カメラは設置されている
  • 71.7℃:ドライバーが記録したとされるUPSのトラックの車内温度
  • 2億6,000万ドル(約350億円):熱問題などの安全トレーニングプログラムに対して、UPSが毎年費やす金額

Surprising discoveries

世界のトリビア

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Photo: Carlos Barria (Reuters)
  1. 子犬が金メダルを求めてサーフィン。週末にカリフォルニア州パシフィカで開催されたワールド・ドッグサーフィン選手権では、とても可愛らしい光景が広がりました。
  2. チョリソーの星。フランスの物理学者、エティエンヌ・クライン(Étienne Klein)がツイートした「恒星」の写真は、実はソーセージの断面写真でした。
  3. メキシコで新種の小型カエルが6種類も発見された。このカエルたちは、あまりに小さいため、これまで発見されなかったのです。
  4. 人気戦争ゲームのファンが、プレイをよりリアルにするために軍事文書を流出させた。『War Thunder』(ウォーサンダー)の愛好家たちは、戦車に関する機密マニュアルが開発者たちをインスパイアすることを期待していたようです。
  5. 暑いとウミガメはメスが増える。海辺の砂の温度が性別に影響しますが、このところ暑い日が続いているため 、生まれたばかりの赤ちゃんはメスばかりです。