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🌍 今週アフリカで起きたこと 8/16-8/22

今夜のニュースレターでは、この1週間、アフリカで起きたニュースのほか、現地のスタートアップの情報をお届けします。

This story was published on our Quartz Japan newsletter, A glimpse at the future of the global economy-in Japanese.
Published

皆さん、こんばんは。Quartz Africaのエディター、Ciku Kimeriaです。

NFTやアルトコインなど、純粋に“デジタル”な資産を所有することは、もはや奇妙なことではありません。また、米国では「Robinhood」のような個人向け投資アプリが大成功を収めましたが、これは自分ひとりではアマゾンやアップルといった株を所有できずとも、何百万人もが持ち寄ることでそれを実現できると理解したことにあるといえます。

ナイジェリア生まれのプラットフォーム「Cue ARTSPLIT 」は、同様のコンセプトをアフリカのアート界にもちこみました。このプラットフォームが目指すのは、ユーザーがそれぞれ数ドルという少額でアフリカ人アーティストの作品の一部を所有できる世界です。

運営・製品担当エグゼクティブディレクターのOnyinye Anyaegbuによると、プラットフォーム上に掲載された対象のアートワークは10万分割され、ユーザーは入札によって所有し二次市場で取引することができるといいます。

資金調達額は500万ドル。今年4月のサービス開始以来、アプリ上での取引額は約100万ドルに上ります。54カ国8,000人のユーザーを抱え、アフリカのトップアーティストによる55の作品が出品されるなど、サービスは初期段階にあるものの、将来には期待が集まります。

数カ月前に開催された最初のオークションでは、アフリカで最も影響力のあるアーティストのひとりであるBen Enwonwuによる1977年の作品「Agbogho Mmuo」が落札されています。従来の世界市場におけるアフリカのアート作品は、けっして妥当な評価を受けていたとはいえません。が、このオークションでは応募が殺到し、最低落札価格0.5ドルから入札終了時には1.05ドルまで価格が上昇しました。

Cue ARTSPLITの面白さはどこにあるのでしょうか。まず、参入障壁を低くしたこと。そして、個人がどのようにアートを評価しているかが明らかになること。最大のものは、アートへの投資をエリート主義ではなくすることにあるといえるでしょう。


STORIES THIS WEEK

アフリカで起きている事

Image copyright: THOMAS MUKOYA
  1. ケニア国民は機械集計に懐疑的。ケニアはこの数年で、テック領域において大きな進歩を遂げました。しかし、テクノロジーに精通した国民たちも選挙の際には手作業による票の集計を望んでいるようです。先週のニュースレターでもお伝えした通り、8月9日に投票が行なわれた大統領選挙でも、ハッキングの懸念を理由に集計は手作業で行なわれました。
  1. …不確実なケニアの未来。そのケニアの大統領選挙で勝利宣言を行ったのは、現副大統領のウィリアム・ルトでした。しかし、結果に対して選挙管理委員会7人のうち4人が責任をもてないと表明。対立候補も異議申し立てを検討していることから、次期大統領が誰になるかは法廷で争われることになるかもしれません。 ケニアのマクロ経済の将来は、この膠着状態が解消されるまで不確実性に満ちています。
  1. アフリカから欧米へ。この2年の「大量離職時代」の到来により、IT人材は不足するばかりです。こうしたなかマイクロソフトとアマゾンは、アフリカのソフトウェア開発者を雇用し、北米やヨーロッパへの移住を支援することを約束しています。
  1. キリマンジャロがオンラインに。タンザニアは、アフリカで最も高い山であるキリマンジャロの標高3,720m地点に高速ブロードバンドネットワークを敷設しました。観光客が長年待ち望んでいたInstagramやTikTokへの投稿が可能になったことから、同国のICT担当大臣を務めるナペ・ナウイエはこの出来事を歴史的な出来事と呼びました。また、転落事故などの緊急時の連絡もとりやすくなり、安全面の向上も期待されています。
  1. 止まらないインフレ。ナイジェリアのインフレ率が17年ぶりの高水準に達しています。アフリカ最大の経済大国であるナイジェリアでは、7月までの6カ月連続でインフレが進み、2005年以来最も高いインフレ率を記録しました。

CHARTING GHANA’S INTEREST RATES

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マクロ経済が苦境に立たされているのは、ナイジェリアとケニアだけではありません。ガーナでもインフレが進行中で、7月のインフレ率は31.7%にもなりました。これを受け、ガーナ中央銀行は緊急の金融政策委員会を招集し、過去20年間で最大の利上げを実施しています。

Image copyright: Quartz

DEALMAKER

今週の注目ディール

  • 農産物の生産者と小売業者をつなぐ役割を担うiProcure(ケニア)は、シリーズBラウンドで借入と株式によって1,020万ドル(約13億9,630万円)を調達しました。このラウンドには、Investisseurs & Partenaires (I&P)やNovastar Ventures、Ceniarth、英国の開発金融機関であるBritish International Investment(BII)などが参加しました。
  • 簿記スタートアップのPastel(ナイジェリア)がシードラウンドで550万ドル(約7億5,290万円)を調達しました。このラウンドはTLcom Capitalが主導し、Global Founders Capital(GFC)、Golden Palm Investments、DFS Labs、Ulu Ventures、Plug and Play、Soma Capitalなどが参加しました。Pastelは2021年に創業し、4万5,000の中小企業が同社のアプリを使って帳簿をつけています。

THE CASE STUDY

今週のスタートアップ

  • 社名:Sayna
  • 分野:エドテック
  • 本社所在地:アンタナナリボ(マダガスカル)

マティーナ・ラザフィマエファは、15歳のときに母国マダガスカルからフランスに移住しました。彼女にとって、フランスの教育費の安さは衝撃的だったといいます。公立学校は無料で、私立学校の多くも国の補助金のおかげで学費が安かったからです。

なぜマダガスカルの教育も同じように安くて受けやすいものにならないのか──。そう自問したことが、彼女がエドテックの道に進むきっかけとなりました。

Image copyright: SAYNA

彼女は2018年に資金を調達してマダガスカルに戻り、のちにSaynaと名付けられることになるエドテックスタートアップを立ち上げました。同社が当時提供していたのは、若者にデジタルスキルを教え、起業とIT人材をつなぐことを目的とした対面式の学習プログラムです。

しかし、教室用の新しいイスと机が納品されたのと同時期に、マダガスカル政府はCOVID-19を理由にすべての教育機関の休校を発表しました。パンデミックにより、ラザフィマエファはビジネスモデルの全面的な見直しを迫られたのです。

デジタルへのシフトをするなかで、Saynaは「Sayna Academy」と「Sayna Work」のふたつにわかれました。前者はバックエンドやフロントエンドの開発、UI・UXデザイン、SEO対策などあらゆる分野のモジュールを定額で学べる場です。料金は月額9.90ユーロ(約1,360円)で、動画やオーディオによるレッスン、ウェビナーといったオリジナルの教材が用意されているほか、オンラインコミュニティの活発なやりとりを通じて受講生同士が協力し合いながら学習を進められるようになっています。

「Sayna Work」は、企業がSaynaの人材プールにアクセスできるようにし、求人情報とそれに合った人材をマッチングしています。これまで450人以上がSaynaで学び、同社は世界銀行や通信企業Orangeのマダガスカル支社であるOrange Madagascarなどの組織などとも提携してきました。

Saynaは現在、コートジボワールやカメルーン、アルジェリアなどほかのアフリカ諸国にも事業を拡大しています。2021年には投資ファンドInvestisseurs & Partenaires(I&P)が主導するアフリカのデジタルスタートアップに焦点を当てたプログラム「I&P Acceleration Technologies」から資金提供も受けました。2022年には、Orange VenturesやLaunch Africa Ventures、MAIC Investors Clubから60万ドル(約8,213万円)を調達し、プラットフォームのさらなる発展を目指しています。

Saynaは2022年9月にモバイルゲームの発表と「Sayna Work」のプラットフォームのリニューアルも控えています。「ベータテストのために1,500人が登録しています」と、ラザフィマエファは話します。

Saynaは新しいモバイルゲームによって学習内容をゲーム化し、生徒によりインタラクティブで魅力的な体験を提供し、大事なデジタルスキルを身に付けてもらうことを期待しています。このサービスはまずマダガスカルとアフリカのほかの国々でローンチされますが、将来的には世界中から利用できるようにすることを目指しているといいます。

IN CONVERSATION WITH

  • 🎮 どうしてモバイルゲームをつくることに? 「生徒のニーズを考え、チームとして決断しました。生徒たちがどこでも学習できるようにしなくてはなりません。バスの中でもです」
  • 👩🏽‍💻 Saynaの生徒の就業率はどうですか? 「コースを修了した学生の9割が仕事を見つけています。クライアントには、世界銀行やOrange Madagascar、Axian、Access Bank、ASECなどがいます」
  • 🌏 モバイルゲームを海外展開する予定は? 「マダガスカルをはじめとするアフリカと、フランスをはじめとするヨーロッパでモバイルゲームを展開したいと思っています。ITスキルを身に着けたいと思っているのはアフリカの人びとだけではないことに気づいたからです」

アフリカのいまを知ることは、世界のビジネスの未来の可能性を知ること──。Quartz Japanでは毎週1通、夜配信のニュースレターでアフリカの1週間のニュースのほか、現地のスタートアップの情報などをお届けします。今夜のニュースレターはAsuka Kawanabe、Sota Toshiyoshiが担当しました。