🌍 今週アフリカで起きたこと 9/6-9/12

英国女王の死は、アフリカにとって特別な意味をもちます。ナイジェリア出身の米国人教授のツイッター投稿が議論を呼んだ、今週のアフリカで起きていたこと。
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Photo: Quartz

Quartz Japan読者の皆さん、こんばんは。Quartz西アフリカ記者のアレクサンダー・オヌクウエです。

エリザベス2世の死は、アフリカにおける英国君主制のレガシーをめぐる議論を再燃させました。ナイジェリア出身のカーネギーメロン大学教授、ウジュ・アニヤは、大英帝国による支配と植民地主義という歴史的文脈の中で、女王の死の痛みが「耐え難いものでありますように」と率直な物言いで表現。ツイッターは、彼女の投稿を即座に削除しました。

ツイッターはこの投稿が「規則違反」にあたるとしていますが、一方で、言論の自由を否定する動きとして非難する声もあがっています。

アフリカにおける英国の支配は、当時のウィルソン内閣は「スエズ運河以東からの撤兵」を表明した1968年にいったんの終焉をみたとされています。しかしながら、以降数十年、英国はアフリカに影響を及ぼしてきました(英国も大きく関与したビアフラ戦争 -ナイジェリア内戦- が終結したのは1970年のことです)。

もちろん、その“影響”には、支援や開発資金援助という友好的なかたちをとったものもあります。ガーナ大統領やケニア次期大統領、ナイジェリア世界貿易機関(WTO)総裁らアフリカの指導者たちは、女王の死に際して深い哀悼と賞賛の意を表す声明を発表しています。

1952年からの長きにわたって君臨した女王の死に対する今回の反応は、いわゆる「部屋の中の象」──誰もが見て見ぬふりをする問題を真正面から取り上げたものといえるでしょう。その論点は、「抑圧された領土から豊かな利益を得てきた機関の代表としての女王を、どう受け止めるか」というものです。

王位は息子のチャールズ3世に譲られ、このレガシーをめぐる議論は続くでしょう。いずれにせよ、問いはシンプルです──英国はアフリカに対して、いつになったらその“負債”を全額を支払うのでしょうか?


STORIES THIS WEEK

アフリカで起きている事

  1. 「頭脳流出」は死語? 高速なインターネットが普及し、リモートワークがスタンダードになったアフリカでは、もはや大手企業に採用された際に引っ越す必要はありません。現在アフリカには71万6,000人の開発者たちがいますが、今後さらに数は増え世界の人材不足を解消していくでしょう。
  2. 学校に行けない子どもたち。国連教育科学文化機関(UNESCO)の新しい推計によると、初等・中等教育を受けられていない子どもの数は世界で2億4400万人いるといいます。特にサブサハラアフリカでは、世界で唯一この数字が過去20年にわたり悪化を続けてきました。アフリカ各地での紛争や政治的混乱のほか、ナイジェリアではボコ・ハラムによる女子生徒の拉致事件も就学率を下げる要因となっています。
  3. サイバー攻撃に揺れる南アフリカ。金融分野の成長が著しい南アフリカでは、サイバー犯罪が増加しています。2021年のサイバー犯罪を調査した国際刑事警察機構(ICPO)の報告書によると、南アフリカはサイバー犯罪の発生件数が世界第一位であり、2021年の1年間で2億3,000万件の犯罪が検出されたといいます。その一方、同国の銀行や保険会社のサイバーセキュリティは脆弱で、セキュリティ態勢の改善が求められています。
  4. 最高裁判決で株式市場に活気。ケニアの大統領選挙の正当性を争う訴訟で、最高裁判所がウィリアム・ルトの勝利を支持しました。この結果を受け金融市場は活気づきましたが、インフレや食糧価格の高騰、通貨の暴落、大量の失業者など、次期大統領が解決すべき課題は山積しています。
  5. テレビにも従量制を求める声。アフリカを代表する有料テレビ局Multichoiceが、ナイジェリアで課金方法の変更を迫られています。これまで同局は定額制を採用していましたが、ナイジェリアの上院議員たちは電気料金や携帯電話料金と同じように利用料に応じた従量制の課金を求めています。
  6. ハリケーン・ハンターがカーボベルデを飛行。2022年8月、米国海洋大気庁(NOAA)のハリケーン・ハンターが、初めてカーボベルデで飛行を行ないました。米国を襲う大型ハリケーンの多くはカーボベルデ近郊で生まれており、今回の飛行は暴風雨の発生メカニズムの理解に一役買うと期待されています。

CHARTING AFRICA’S SMARTPHONE SALES

チャートで見る

アフリカの5Gネットワークの拡大ペースは落ちていますが、デジタル革命の次のステップであるこの技術への期待は高まるばかりです。

5Gネットワークの試験運用を行なう国が増えるなか、市民は潮流に乗り遅れまいと5G対応スマートフォンへの買い替えを進めています。販売競争をリードしているのは中国製のスマートフォンで、中国のスマートフォンメーカーTranssion Holdingsのシェアは、今年の第2四半期時点で48パーセントにもなっています。

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Graphic: Quartz

DEALMAKER

今週の注目ディール

  • ナイジェリアで金融サービスを提供するNowNow Digital Systemsは、シードラウンドでNeoVision VenturesとDLF Family Officeから1,300万ドル(約18億5,264万円)を調達しました。NowNowはナイジェリアで代理店銀行サービスを運営しており、競合にはOPayやTeamAptなどがいます。
  • グーグルがアフリカの黒人が創業したアーリーステージのスタートアップに最高10万ドルの助成金を提供する「Black Founders Fund in Africa」の第二期生を発表しました。投資先は計60社にのぼり、助成金の総額は400万ドル(約5億7,004万円)となっています。投資先で最も多かったのはナイジェリアの企業で、創業者の男女比は半々でした。

CASE STUDY

今週のスタートアップ

  • 企業名:Kwik
  • 本社所在地:ラゴス(ナイジェリア)

Kwikは2019年創業の物流スタートアップで、企業や個人向けに配送や決済、フルフィルメントサービスを提供しています。2022年7月にはSNSを通じて商品を販売するソーシャルベンダーをターゲットにしたECツール「Kwikstore」もローンチしました。このKwikstoreを使えば、ベンダーは専門知識がなくともすぐにオンラインストアを開設できるのです。

ベンダーは自分のストアへのリンクを使い、商品やサービスをソーシャルメディアやメッセージングプラットフォーム上で宣伝できます。Kwikのデリバリーサービスとも連携しているので、注文への対応も同じプラットフォームで完結します。

配達を担当するのは「Kwikster」と呼ばれるドライバーたちで、要件を満たすバイクやヴァン、トラックを所有している人なら誰でもドライバー登録が可能です。同社曰く、1,700万人を擁するアフリカ最大の都市ラゴスでも、2時間以内に荷物を届けられるといいます。また、このサービスには運送保険やリアルタイムの荷物追跡、距離に応じた料金設定、電子配達証明も含まれています。

Kwikの創業者で最高経営責任(CEO)のロマン・ポワロ=レリグ(Romain Poirot-Lellig)は、同社の配送サービスを「少しプレミアムなサービス」と表現します。配送を依頼する顧客の大半は老舗企業や中小企業で、同社は2022年1月時点で10万人以上のB2Bユーザーがいるそうです。

ポワロ=レリグによると、いまは商品総量のオンラインおよびオフラインを拠点とする中小企業が占めており、約40%を製薬大手やスペアパーツ販売店などの大企業が、銀行や法律事務所が10%を占めているといいます。しかし、今後はKwikstoreの導入によって、より多くの中小企業やオンラインベンダーが登録してくれるだろうと彼は期待しています。「D2Cはアフリカの大きなトレンドです。われわれはビジネスの規模に関係なく、加盟店がD2Cを実現できるよう支援しています」

さらに、Kwikは「KwikPay」という名でECベンダー向けの決済ソリューションも提供しています。KwikPayは現金やカード、銀行振込みによる支払いの回収、処理、送金を担っており、支払いはオンラインまたは配達先で行なえます。

2022年3月、KwikはシリーズAラウンドで200万ドル(約2億8,563万円)を調達しました。このラウンドはフィンテックに特化したファンドXBTO Venturesが主導し、新規および既存の株主からの出資も複数あったということです。

ポワロ=レリグいわく、Kwikの業績は黒字だといいます。今回の資金調達により、Kwikはサービスを拡大し、アフリカの業者にとっての”スーパーアプリ”になることを目指すということです。同社は今後、在庫管理や融資などのサービスも提供予定だといいます。

IN CONVERSATION WITH

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Photo: KWIK

📈 Kwikstoreの立ち上げは配送サービスからのピボットなの?:「ピボットではありません。私たちはアフリカのマーチャント、特にソーシャルベンダーの仕事をより楽にしたいと考えています。そのために、配送プラットフォームとソーシャル・ベンディング・プラットフォームをリンクさせたかったのです」

🤑 中小企業が大企業を抜いて最大の顧客となったことについて:「Kwikstoreに加え、年内にはほかのサービスも展開予定なので、弊社のプラットフォームを利用する中小企業は今後もどんどん増えていくと予想しています」

🔨 大きな課題について:「アフリカの物流と電子商取引における最大の壁は、公式な住所システムの欠如です。この分野の成長に拍車をかけるには、政府がこの問題に取り組む必要があるでしょう」

📳 スーパーアプリを目指すことについて:「わたしたちは加盟店がスマートフォンひとつで融資や在庫管理、保険、配送などのビジネスを運営できる“ワンストップショップ”を提供したいと考えています」


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