DAILY BRIEF
世界で今起きていること
Quartz読者の皆さん、おはようございます。9月27日の「世界で今起きていること」をお届けします。日本版ユースレターの配信は今週で終了します。詳しくはニュースレター末尾よりご確認ください。
- 英ポンドが史上最安値を更新した。英国が過去50年で最大の減税を行おうとするなか、ポンドは対ドルで5%急落しました。イングランド銀行(中央銀行)は即時の利上げは否定しました(が、現時点ですでに利上げをためらわない旨の発言も報じられています)。
The British pound hit a record low. It plunged 5% against the dollar as the UK is poised to make its biggest tax cut in 50 years. The Bank of England has ruled out an emergency rate raise. - TikTokは、英国で2,900万ドル(約41.9億円)の罰金を科される可能性がある。ソーシャルメディアプラットフォームのTikTokは、子どものプライバシー保護を怠り、国の定めるデータ保護法に違反した可能性があるとされています。
TikTok could face a $29 million fine (£27 million) in the UK. The social media platform may have failed to protect children’s privacy, violating a national data protection law. - EUは、ロシア産の石油価格に上限を設定する計画を延期する。ハンガリーやキプロスからの反対など、EU内部でも意見が一致せず、計画が行き詰まっています。一方で、現在稼働停止中のパイプライン「ノルドストリーム2」からのガス漏れが確認されました。
The EU will delay its plan to cap Russian oil prices. Internal disagreement, including dissent from Hungary and Cyprus, is stalling action. Meanwhile, the defunct Nord Stream 2 pipeline has sprung a leak. - アップルは、インドで最新のiPhoneの生産を開始した。iPhone 14は3週間前に発表されたばかりです。テック大手のアップルは、中国以外でのサプライチェーンの多角化を目指しています。
Apple started manufacturing its newest iPhone in India. Production began just three weeks after the model’s launch as the tech giant seeks to diversify its supply chain outside of China. - OECDは2023年の成長率予測を下方修正した。経済協力開発機構(OECD)によると、ロシアのウクライナ侵攻により、世界経済に2.8兆ドル(約405兆円)の損失が生じるとみられます。
The OECD slashed its 2023 growth forecast. Russia’s invasion of Ukraine will cost the global economy an estimated $2.8 trillion, according to the organization. - フィリピンは海外賭博企業175社を閉鎖する。フィリピン政府によるオンライン賭博の取り締まりにより、約4万人の中国人労働者が強制送還される見通しです。
The Philippines will close 175 offshore gambling firms. About 40,000 Chinese workers will be deported as the country cracks down on online betting. - 日本の岸田文雄首相は、米国のカマラ・ハリス副大統領と会談した。安倍晋三元首相の葬儀に対する抗議が続くなか、岸田首相とハリス副大統領は東京で会談し、台湾の安全保障問題について話し合いました(詳しくは下記で)。
Japanese prime minister Fumio Kishida met with US vice president Kamala Harris. The two met in Tokyo to discuss the issue of Taiwan’s security as protests over former prime minister Shinzo Abe’s funeral continue (see more below).
What to watch for
極右政権が現実に
もう数日すれば、イタリアの右翼政党「フラテッリ・ディターリア(イタリアの同胞、FDI)」の党首、ジョルジャ・メローニが正式に政権を樹立し、イタリア初の女性首相に就任することになります。25日に投開票が行われたイタリア総選挙は投票率こそ63%と低い数字だったものの、結果をみれば、国民の声は明確に、極右的な政権を選んだといえるものでした。
2018年のイタリア議会選挙では、メローニ率いるポスト・ファシスト集団は4.5%以下の得票率でした。それが今回の選挙の得票率は26%で第1党に。イタリアの右翼陣営が、両院で60%近くを占めることになりました。
新たに発足する連立政権は、ポピュリスト的な反中絶、反移民、反LGBTQ+を掲げています。メローニ自身は反NATO、反欧州の立場を否定していますが、彼女の「同盟者」たちとプーチンとのつながり(メローニを支持するマッテオ・サルヴィーニ[極右「同盟」党首]もシルヴィオ・ベルルスコーニ[中道右派「フォルツァ・イタリア」党首]もともにロシアと親密な関係にあるとされる)が彼女の外交政策にどのような影響を与えることになるか、注目されるところです。
(very expensive) state funeral
葬儀は高くつく
日本では今日(27日)、多くの抗議の声にもかかわらず、安倍晋三元首相の国葬が催されます。「日本経済を立て直した」として知られる安倍元首相ですが、国葬の栄誉に浴するのは、首相としては戦後2人目です。安倍元首相は(戦後)日本で最も長く政権を務めましたが、7月8日に行った選挙演説の最中に暗殺されました。
この公式の葬儀に対して、日本の世論は二極化しているようです。理由のひとつには、少なからぬ独裁的な傾向があった安倍元首相の業績に対して意見が分かれていることが挙げられます。別な理由として、国民の一部はこの葬儀を税金の軽々な使い方とみているようです。今回の国葬には16億6,000万円の費用がかかるとみられていますが、先週催された英国女王の葬儀よりも費用がかかっています。
葬儀には、217カ国から700人以上が参列するとみられています。すでに来日しているカマラ・ハリス米副大統領 のほか、インドのナレンドラ・モディ首相(女王の葬儀には出席しなかった)も弔問に訪れる予定です。
Surprising discoveries
世界のトリビア
- バンドのツアーバスが不足している。レンタル価格の高騰により、一部のアーティストはツアーに出るのが難くなっています。
- 腸のループはランダムに形成されるわけではない。腸がらせん状に広がるメカニズムから、わたしたちの他の臓器の発達の仕組みへの理解も深まることになりそうです。
- ハチのワクチンの開発が進んでいる。ワクチンの開発元であるダラン・アニマル・ヘルス(Dalan Animal Health)は、ハチを守るために360万ドル(約5.2億円)の資金を調達しました。
- アムステルダムの美術館が昆虫の安全地帯になっている。アムステルダム国立美術館(ライクスムゼーウム)では、3カ月間にわたってクモの巣を掃除しませんでしたが、これは芸術的なねらいによるものです。
- 新しいアートAIは、テキストからポケモンを生成する。ポケモンをゲットするのに、もはやポケモンボールはいりません。
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