Africa:今こそ求められる「気候変動レンズ」

Africa Rising

躍動するアフリカ

Quartz読者のみなさん、こんにちは。COVID-19が世界中に大きな影響を及ぼしている一方で、そもそも世界に課せられていた課題の多くが、解決されることなく残されています。英文記事はこちら(参考)。

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Image: REUTERS/MIKE HUTCHINGS

NOAA国立環境情報センターによると、2020年1〜3月は、1880年以来で第2位となる、記録的な猛暑に見舞われました。アフリカにおける気候適応コストは、地球温暖化が進みさらに2℃上昇した場合、2050年までで年間500億ドルに達すると予測されています

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米シンクタンクのブルッキングス研究所のアナリストのように、気候変動に伴うリスクは、少なく見積もっても、COVID-19がもたらすリスクと同程度になる可能性があると指摘する声もあるのです。

climate-lens investing

気候変動レンズ

ブルッキングス研究所によるレポートによると、太陽光や風力エネルギーなど、再生可能エネルギーの市場での競争力を高めるために必要なのは、「政策立案者が強力な環境基準を約束すること」だとされています。

さらに必要なのが「化石燃料に対する補助金を廃止するための長期的な枠組みを提供すること」。これらによって、再生可能エネルギーに対する高い信頼を醸成することで、投資家はグリーン投資の固定費を負担するようになるはずだと、レポートは伝えています。

また、アフリカのプライベートエクイティ業界団体AVCAの調査によると、アフリカの投資家は、気候変動というレンズを通してリスクを評価し、投資の機会を伺っているといいます。気候変動が世界で急速に進行しているなか、アフリカはその影響に対して最も脆弱な大陸であることを考えれば、これは理にかなっているといえるでしょう。

awareness  to measurement

次のステータスへ

アフリカのみならず、投資家の77%は投資を行う際、気候変動リスクを「時々」あるいは「定期的に」考慮しているといいます。

投資家の大多数(95%)は、投資先企業が気候変動によって直面するリスクを、90%が二酸化炭素排出量を懸念し、半数以上の投資家がいかにリスクを軽減するかとともに、それを投資機会と考えているのです。

そして、アフリカにおける気候変動リスクを考慮している投資家の大半は、エネルギーだけでなく、農業(62%)や水(44%)への投資が最適であるとも考えているようです。

AVCAは、「ステータスはすでに“認識”から“測定”へと移行しています。我々は、企業が気候リスクと機会についてよりよい判断を下すために必要なデータを提供しています」と述べています。
AVCAは、「ステータスはすでに“認識”から“測定”へと移行しています。我々は、企業が気候リスクと機会についてよりよい判断を下すために必要なデータを提供しています」と述べています。

過去10年にわたり、アフリカ大陸における再生可能エネルギーへの投資は増加傾向にあります。BloombergNEFによると、サブサハラ・アフリカ地域では、2017年に23億ドルだった投資額が2018年には74億ドルと急増しています。

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※ 本ニュースレターは予告とは異なる内容でお送りしました。


This week’s top stories

今週の注目ニュース

  1. 南アフリカでワクチン臨床試験がスタート。今週にも開始される臨床試験は、COVID-19の予防向けに開発されているワクチン(開発番号:ChAdOx1 nCoV-19)についてのもので、アフリカ全土からの参加者が接種を受ける予定です。試験が行われるウィットウォーターズランド大学教授のShabir Madhiは「南アフリカとアフリカにとって画期的な瞬間」だと語っています。
  2. …しかしロックダウンの影響はビジネスをさらに圧迫。2020年第1四半期の南アフリカの失業率が発表されましたが、その数値は30.1%と過去最高値となりました。労働市場の見通しは依然として暗く、鉄鋼業(ArcelorMittal South Africa Ltd)や食品生産業(Tiger Brands)をはじめ、同国内の大手企業は軒並み雇用削減計画を発表しています。
  3. 原料輸出国が4.4億ドルの経済支援パッケージを承認。アフリカ第2の銅生産国であるザンビア。パンデミック以前から増え続ける国債額に悩まされてきましたが、世界がロックダウンの方針をとるなか、原材料に対する国債需要の低下がさらに拍車をかけていました。同国中央銀行は、2020年のGDPが2.6%縮小するとの予測も発表しています。

(翻訳・編集:年吉聡太)


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