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MILLENNIALS NOW
ミレニアルズの今を知る
Quartz読者のみなさん、こんにちは。毎週木曜日の夕方は、「ミレニアル世代」のトレンドを、注目のビジネスニュースとともに紹介していきます。
デートアプリを使った「出会い」は、数年前までは日本でそこまで浸透していませんでした。しかし、ここ最近では、デートアプリを使ってボーイフレンドやガールフレンド、パートナーを見つけることは世界中どこを見ても、当たり前のことになってきました。
また、個々のライフスタイルに比重を置いたり、人生に多くの選択肢を持つミレニアル世代やZ世代にとって、「出会い」「付き合う」「結婚」などの概念が前の世代とは違ってきています。
2017年、アメリカでは、カップルのおよそ40%がオンラインで出会ったと、スタンフォード大学の社会学者Michael RosenfeldとSonia Hausen、そしてニューメキシコ大学のReuben Thomas の最新の研究によって明らかになっています。なお、同性カップルに関しては、同年、60%以上がオンラインで出会っているといいます。
また、同研究において明らかなのは、友人の紹介を通して出会うことが減ったこと。1995年から2017年までの間、33%のカップルが友人経由で知り合ったが、それが20%までに減少しています。
先述のReuben Thomasは「これまでパートナーを見つけるには自分のコミュニティ内で行うことだったが、今はもう個々で完結してしまうようになった」と話しています。
こういったデートアプリのマーケットは年々拡大しており、40億ドル以上(約4,500億円)とも言われる市場が、こういった探求者たちの助けになっているのです。この数字は、2014年から2019年までの間にマーケットのシェアが11%も伸びているのです。そのため、今後もマーケットが拡大していくことは間違いありません。
Popular date apps(人気のデートアプリ)
デートアプリは世界中に多数存在しますが、よく知られているものやミレニアル世代に人気のものとしては下記が挙げられます。
Tinder(ティンダー)
- 国:アメリカ
- 設立:2012年
- 特徴:ミレニアル世代にも人気のアプリ。右、左へのスワイプ操作
Bumble(バンブル)
- 国:アメリカ
- 設立:2014年
- 特徴:“女性ファースト”で知られ、女性からアプローチしないと進展しない
Zoosk(ズースク)
- 国:アメリカ
- 設立:2007年
- 特徴:気になる相手にメッセージを送ったり、足跡をつける
Coffee Meets Bagel(コーヒー ミーツ ベーグル)
- 国:アメリカ
- 設立:2012年
- 特徴:アルゴリズムで恋人候補を厳選。マッチしやすい最適なプロフィールも選んでくれる
Plenty of Fish(プレンティ オブ フィッシュ)
- 国:カナダ
- 設立:2003年
- 特徴:掲示板システムを採用
Ok Cupid(オーケー キューピッド)
- 国:アメリカ
- 設立:2004年
- 特徴:多肢選択法やクイズ機能などを活用
Badoo(バドゥー)
- 国:ロシア(拠点はイギリス)
- 設立:2006年
- 特徴:写真や動画を投稿するSNSのような使い方
Match(マッチ)
- 国:アメリカ
- 設立:1995年
- 特徴:出会い系アプリの先駆け。結婚希望者向け
他にも、「直接会うこと」にフォーカスをしたマッチングアプリ「Dine」や、すれ違いを利用した近場にいる人から異性を探す「Happn」、1日10人のみの紹介に限定した「Hinge」、エンターテイメント業界にいる人のみ(セレブも多く使っている)が使えるVIP専用の「Raya」、同性向けの「Grindr」、空港内や通勤中の恋愛のみがしたい人向けの「BuckleUp」、飼い犬をマッチさせる「Twindog」、嫌いなものをあえてマッチさせる「Hater」、「3人」で楽しむ出会い系「Feeld」(以前は3nder)など、とにかくさまざまなアプローチを考えたアプリが多数存在しています。
New Wave
新しいデートスタイル
デートアプリの新しいものとしては、2015年にスタートした「The League(ザ リーグ)」が、対面型のシステムはもう古いと考え、ビデオチャットのデートアプリ「League Live(リーグ ライブ)」をローンチしました。
アプリの登録者は、3人続けて各2分ずつ(計6分間)、ビデオチャットのデートを毎週日曜日の21時(現地時間)から行うことが可能。このビデオチャットをすることで、写真と実物が違うということやなりすまし詐欺、スムーズではないやり取りなどといった問題を避けることができるのです。
「The League」の創設者でCEOのAmanda Bradfordは、「実際に会ってデートをするまでの時間の無駄を省くことができ、デートに対して期待をした無駄なエネルギーを使わずに済む」と話しています。実際に、このサービスを使ったユーザーは、他のサービスを使ったユーザーより3.5倍の確率で電話番号を交換し、実際にデートをしているという結果になっています。
Giving up(デートアプリからの脱却)
ただ、こういったマーケットが大きくなっていく反面、ミレニアル世代にとっては、アプリをやめたい、またはすでにやめたという人たちも多くいるのが現状です。その理由としては、オンラインデートで知り合っても長く関係性が続かない、ロマンティックな付き合いだけでなくひどい経験も多い、会話やメールのやりとりが続かない、詐欺などがあります。
Global Dating InsightsのエディターであるScott Harveyは、「マッチするためにとにかくスワイプしないといけないし、マッチする数を稼いでデートし、そしてそれを次のデートに繋げなければならない。そういった行動は、とても労力を使うし、イライラしてきます。それで、ユーザーは次第にデートアプリに失望して退会していくのです」と話しています。
このように、上り調子であるデートアプリですが、2019年はもう少し違ったディスカッションがされています。ミレニアルズ向けのメディアであるGlamourやViceは、デートアプリを使わない出会い方にシフトしている記事を紹介していますし、アメリカのデートコーチであるCamille Virginiaは「The Offline Dating Method」と題した、アプリを使わずに出会う方法を紹介する本を出版しています。
The best way to meet…
賢く出会うためには
ただ、オフラインデートにシフトしているミレニアル世代がいるとはいえど、アメリカにおけるデートアプリの需要は、ここ数年スローですがまだ伸びています。そして、少なくとも2,500万人以上がデートアプリを毎月使っていて、この数字も2018年よりも5.3%増えています。アナリストは、デートアプリのマーケットにおいて、さまざまなアプリを使い分けるユーザーが新規ユーザーよりも多いと分析しています。
また、Sensor Tower Dataによると、2018年2月から2019年2月まで、アメリカでは人気の上位10アプリにおける収益が合計で6億7,900万ドル(約740億円)で、Tinderは前年の62%増、Bumbleは135%増という数字になっています。そのため、今後もデートアプリ市場においてのビジネスは、引き続き拡大していくと考えられます。
いずれにせよ、デートアプリでもリアルでも、出会い方は本人が納得する方法を選ぶのがベストです。
This week’s top stories
今週の注目ニュース5選
- 消費が環境汚染に…罪悪感を消すアプリ。中高年ならば、自ら小切手を切って世界の恵まれない子や環境保護団体に支援をする導線は自然だが、ミレニアル世代は違う。自分の買ったスタバのカップのせいでゴミが増えると背徳感を覚えつつも、その習慣になった消費をやめない。11月にリリースされた習慣記録アプリ「Momentum(モメンタム)」は、そんな若者を罪の意識から救ってくれる。ユーザーは、寄付を自動化する「ルール」で、例えば給料の2%を貧困対策グループに割り当てたり、関心のある問題解決へ自分の口座を紐づけて寄付できる。
- 世代格差は埋められるのか。経済学者のGray Kimbroughが連邦準備制度経済データ(FRED)をもとに、世代ごとのライフイベントに起因する財政状況を分析・比較した結果、世代間不平等の実態が浮き彫りになった。団塊世代は35歳で、国の富のうち21%を所有し、X世代は同9%。ミレニアル世代が35歳を迎えるのは2023年頃だが、現時点でわずか3.2パーセントで、X世代に追いつくにはあと4年で富を3倍に、団塊世代レベルを目指すならば7倍にする必要がある。
- ネットユーザーへサンタクロースから警告。クリスマスを前に、サンタクロースは子供たちへのプレゼントリストよりも私たちの個人データの保護について頭を悩ませているようだ。サンタ曰く、「サンタは、お客様がリクエストしたパーソナライズされた製品またはサービスを提供する目的で、サードパーティの個人データを使用する。中略、サードパーティはインターネットを介した情報のやり取りが本質的に安全ではないことを分かってる」。ワクワクしながらネットでプレゼント探しをしている人は要注意。
- 若者に愛される極小ホテル。ニューヨーク州中部のキャッスル山地に、にわかに話題となっているスポットがある。母娘によって運営される小さなリゾートホテル「Think Big! A Tiny House Resort」は、ミレニアル世代の求めるものが詰まっている。まず、学生ローンの返済に追われるミレニアル世代には郊外に大邸宅を買う余裕なんてないが、Tiny House Resortは現実に支払える値段であること、そして彼らは住宅の大きさよりも利便性と品質を重視し、さらにGigworkerなど働き方が多様化する中で、緑に囲まれた土地でユニークな体験をしながら遠隔で働くことができる。リチャージしたいミレニアル世代にとって打って付けの施設だ。
- 住宅と世界旅行が同じ値段でも「価値」は? 2015年に退職して以来、世界中を旅しながら生活するトロント出身にカップルは、その生活が1年を過ぎた頃、ニューヨークのような物価の高い都市に定住するのと旅生活の費用が大して変わらないことに気付いた。経済的独立と早期退職を目指すトレンド「F.I.R.E」に賛同する彼らも、以前は保守的な考えだったというが、エンジニアという仕事柄、人件費の安い国に自分の仕事が奪われていくことを実感した際に俗に言う「安定」なんて意味がないと考えた。
【今週の特集】
Quartz(英語版)の今週の特集は、「Disrupting Dimentia(認知症をディスラプトせよ)」です。長寿化が進み、高齢人口が増えていくなかで、痴呆症をいかにマネジしていくのかは、世界共通の課題。Quartz Japanの購読者は、英語のオリジナル特集もお読みいただけます。
(写真:ロイター、League Live)