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Because China
すべてを変える中国
Quartz読者のみなさん、こんにちは。
今、世界第2の経済大国であり、テクノロジー大国となった中国。Quartzは、中国がいかに世界中であらゆる産業を変えまくっているのか、その現場を追い続けています。
火曜日の夕方はその映像シリーズ「Because China」をお楽しみください(👇をクリックしていただくと動画に飛びます)。
中国では、言論統制が広く存在することは周知の事実です。
中国人のネットでの言論に自由が確保されていないことは、誰もが知っているところで、中国で公開されるハリウッド映画は中国人向けに改変され、政治的な内容は許されません。
no longer just a China problem
しかし、ここ最近、中国の検閲の手が中国国外にも及んでいるという事実を目の当たりにする出来事が起きています。
学者や映画関係者、音楽家、セレブ、また企業や組織にいたるまで、彼らの中国の外での発言までもが、中国政府と中国の消費者を前に、変化しているのです。
きっかけとなったのは、中国で最も有名なNBAチーム、ヒューストン・ロケッツのジェネラル・マネージャー、ダリル・モリーの極めて正当なツイートでした。
「自由のために闘おう。香港とともに立ち上がろう」
(“fight for freedom, stand with Hong Kong”)
影響を最小限にするため、このツイートは、NBAのPRによってすぐに削除されました。にもかかわらず、中国の国営放送である中国中央電視台(CCTV)はNBAのプレシーズンゲームの放送契約をキャンセル。民間企業でも、インターネット企業のテンセントが、プレシーズンゲームを同様に放送しないと発表したのです。(その後、放送を再開)
この様な例は、ほかにも多く存在し、こうした発言をしてしまった後、彼らが発表する「中国の方に不快な思いをさせてしまった(Hurting the feelings of the Chinese people.)」という言葉は、もはや常套句となっています。
そして、謝罪を述べた後は、「我々は1つの中国を常に支持し、中国の領土主権を尊重します」(マクドナルドの声明)や、「我々は中国を愛し、断固として中国の領土と主権を尊重します」(ヴェルサーチェの声明)と発表するのです。
どうして、非暴力による民主主義的なツイートによる支持を、アメリカ人たちは謝罪し、中国の権威主義的な力を前に、抑圧されなければならないのか?
今回の「Because China」では、このような問いを立てました。
中国政府による強い圧力は、その答えの1つです。
しかし、それは答えの一部に過ぎません。この現象の本質を理解するために、Quartzでは、専門家や、実際に中国での公演を規制された香港ポップスの歌手に取材を実施。
中国における強硬なナショナリズムが、SNSの成長や、中国人の消費者行動の高まり、さらにはグローバル企業の中国人顧客への依存と結びついて、「自由」について少しでも触れれば 「中国人に不快な思いをさせる」、その現状をレポートしました。
This week’s top news
注目の中国ニュース4選
- 外国製品の締め出しを強化。中国政府は、すべての政府機関と公的機関に、外国製のコンピューター機器とソフトウェアを、3年以内に国内製に変更するよう指示したとFTが報じた。2000万から3000万台を取り替える必要があり、2020年に30%、2021年に50%、2022年に20%の切り替えを目指すことから、通称「3-5-2」と呼ばれているという。
- 中国が学力トップに。OECD(経済協力開発機構)が3年ごとに行っている、PISA調査(学習到達度調査)の2018年の結果が発表され、中国が読解力、数学的応用力、科学的応用力の全3分野でいずれもトップを記録した。一方で、国内で最も裕福な北京市、上海市、江蘇省、浙江省の4地域だけでの調査実施には疑問の声も上がっている。
- テスラの順調な中国進出。テスラのモデル3が中国工業情報省の定める、補助金支給を推奨する「新エネルギー車」のリストに追加された。テスラは約20億ドル(約2123億円)を投じ、自社工場「ギガファクトリー3」を上海に建設中で、来年1月までの出荷を目指している。10月末の第3四半期の決算では、上海でのモデル3の試作が予定より早く開始されたと発表していた。
- ゲノム編集ベビーの研究論文が初公開。昨年、中国の研究者のフー・ジェンクイが「CRISPR-Cas9」というゲノム編集技術で誕生させた、HIVに耐性のある双子についての研究論文がMITテクノロジーレビューに初めて公開された。しかし、専門家らは、意図したゲノム編集は成功しておらず、意図しない遺伝子変異が起こっている可能性も指摘している。
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