Millennials:退屈なビットコイン

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MILLENNIALS NOW

ミレニアルズの今

Quartz読者のみなさん、こんにちは。毎週木曜日の夕方は、「ミレニアル世代」のトレンドを、注目のビジネスニュースとともに紹介していきます。英語版(参考)はこちら

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ミレニアル世代は、ネットフリックスやディズニーの株を購入するよりも、ビットコインに投資するという結果が先日、明らかになったが、そのビットコインが最近、落ち込みを見せている。仮想通貨の代表格であるビットコインは過去2カ月間、7千ドルと9千ドルの間を変動するにとどまり、時折その域を出ることはあっても長続きしなかった。

価格が2万ドルまで上がった2年前の驚異的な伸びと比べると、仮想通貨市場には活気がない。また、高値も底値も十分伸びきらず、ブームとバストの発生も頻繁ではなくなっている。

New Chapter (新しい幕開け)

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「仮想通貨市場は全体的にイベント駆動型の傾向があり、ここ数カ月は相場を動かすような出来事が起こっていない」と、仮想通貨による募金を可能にするスタートアップ企業、CoinListの代表アンディ・ブロンバーグは説明する。10月、CoinListは事業継続に向けて1千万ドル(約11億円)の資金を調達した。

ブロンバーグは、市場が新たな段階に入ろうとしていると指摘する。

「興味深いのは、ビットコインと他の仮想市場との相関性が減ってきており、ビットコインの背景や価値、人気がより際立ってきている」こと。また、「相関性が減ってきているということは、次に仮想通貨市場が大きく変動する時は全体が、というよりもビットコインかその他のどちらかが動く、という構図になる可能性が高い」ということだ。

ただ、これはまだ推測の域を出ず、メインストリームの投資家たちの説得材料としては不十分だ。確かなのは、ビットコインは相対的に見て盛り上がりを欠く、ということだ。

今年の1月から3月にかけて、ビットコインの価格も停滞を見せていた。

3カ月近くのあいだ、3千ドル台を行き来していたのだ。フェイスブックが独自デジタル通貨Libraの計画を発表した今年の中間期に来てようやく停滞を脱したが、一方でLibraのローンチは計画通りには進んでいない様子だ。

Unpredictable situation

今後は安定か?

■ビットコインの高値と安値(表)

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我々は、この状況をどう見るべきか?

S&P 500が年初来、リターンを20%とした年にビットコインは90%のリターンを出した。それに比べて、今年は最高潮ではなかったものの、「Crypto Winter(暗号通貨の冬)」または停滞期であったとも言えない。2019年は驚くほどに安定していた時期もあり、ある意味予測不可能な年であったと言える。

もちろん、ビットコインは他の平均的な株式と比べるとまだまだ変動が激しく、「安定」という言葉も相対的ではあるのだが……。

この動きを「若返り期」と呼ぶには言い過ぎかもしれないが、ビットコイン市場は再び芽を出し始めている。強いていうなら、2019年度、ビットコインは金の救世主でも破壊者でもないことを証明したと言える。その他の仮想通貨が軒並みつまづいていた中で、ビットコインは持ち堪えた

もしかするとそれで十分なのかもしれない。

This week’s top stories

今週の注目ニュース5選

  1. インポッシブル・フーズが急成長。最新の調査で、植物由来の人工肉や乳製品を製造・開発するアメリカの「IMPOSSIBLE FOODS」が、2019年に急成長した会社の第4位にランクインしている。1位はフードデリバリーサービスの「DoorDash」、2位はアルコール飲料「White Claw」、3位はデリバリーサービスの「Postmates」となっている。
  2. ミレニアル世代は旅行もミニマムに。2020年の旅行トレンドレポートによると、「マイクロケーション」が今、人気となっている。マイクロケーションは短期間で多くの目的地を周る、4泊未満のレジャー旅行のことを意味し、このトレンドを牽引しているのは常に時間に追われているミレニアル世代ということだ。
  3. 米ラッパーのジュース・ワールドが死去。12月8日、米シカゴのミッドウェイ空港で、ラッパーのジュースワールドが21歳の若さで亡くなった。TMZによると、飛行機でカリフォルニアからシカゴに到着後、空港内を歩いている最中に発作を引き起こしたという。直接の死因はまだ分かっていないが、ジュースの元彼女の証言などから、彼はさまざまな薬物を普段から摂取していたようだ。
  4. バンクシーからのクリスマスプレゼント。アーティストのバンクシーは、12月9日、自身のインスタグラムで「God bless Birmingham.」のコメントと共に新作の壁画を発表した。新作は、バーミンガムのとある地区に描かれ、ホームレスを思わせる男性が大きな荷物を枕にしてベンチに寝転ぶ様子と、背後にあるれんがの壁に描かれた2頭のトナカイが映し出されている。
  5. グレタさんが「ガキ」呼ばわりされる。 温暖化対策に懐疑的なブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は、12月10日、スウェーデンの高校生環境活動家グレタ・トゥンベリさんを「ガキ」と発言。これを受け、グレタさんは自身のツイッターの自己紹介欄を「ピラリャ(ポルトガル語で『ガキ』の意)」と一時変更し、“大人の対応”をしたと話題になった。

【今週の特集】

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(翻訳・編集:福津くるみ、写真:ロイター)