India:大国インド版「食える仕事」トップ15

[qz-japan-author usernames=”nksharma,norietoriyama”]

India Explosion

爆発するインディア

Quartz読者のみなさん、こんにちは。毎週金曜日の夕方は、次なる巨大市場「インド」の今と、注目のニュースを伝えていきます。英語版(参考)はこちら

Image for article titled India:大国インド版「食える仕事」トップ15

「右肩上がり」「次の市場」とポジティブな言葉が飛び交う一方で、ここ数年インドの国内経済と労働市場には悲観的な空気が立ち込めている。

2019年度第2四半期(7~9月)の実質GDP成長率(推測値)は前年同期比4.5%と、2018年度第1四半期(4~6月)以降6四半期連続で減速。これは、2012年度第4四半期(2013年1~3月)4.3%以来の落ち込みようだ。

国内消費も冷え込むなど、切羽詰まった状況で再選を果たした、ナレンドラ・モディ首相の最重要課題と目されているのが「雇用」。ただ、統計の取り方が頻繁に変わるインドで雇用実態の把握は難しい。

そんな中でも確実に言えるのは、インドの働き口がパンクしそうだという事実。年間に1,200万人ほどが新たに就労年齢に達するが、労働参加率は50%に届くかどうかという水準で、少なくとも年間600万人規模の新規雇用を創出しなければならないのだ。それも、今すぐに。

TOP 15 EMERGING JOBS

求められる仕事

雇用対策待った無しのインドでニーズがある仕事はないのか? 12月10日、世界最大級のビジネスSNS「LinkedIn(リンクトイン)」が来年インドで需要が見込まれる職業ランキングを発表した。

Image for article titled India:大国インド版「食える仕事」トップ15

同社がまとめた「Emerging Jobs 2020」によると注目は、ブロックチェーン開発者、人工知能(AI)スペシャリスト、Javascript開発者だ。

来年インドで需要のある仕事とエリア

  1. ブロックチェーン開発者/バンガロール、ニューデリー、ハイデラバード
  2. AIスペシャリスト/バンガロール、プネー、ハイデラバード
  3. Javascript開発者/バンガロール、ムンバイ、ハイデラバード
  4. ロボットプロセス自動化コンサルタント/バンガロール、ムンバイ
  5. バックエンド開発者/バンガロール、グルグラム、ムンバイ
  6. グロースマネージャー/グルグラム、ノイダ、バンガロール
  7. サイト・リライアビリティ・エンジニア(SRE)/バンガロール、プネー、ハイデラバード
  8. カスタマー・サクセス・スペシャリスト(CSM)/バンガロール、ムンバイ、ニューデリー
  9. フルスタックエンジニア/バンガロール、ハイデラバード、ムンバイ
  10. ロボットエンジニア/バンガロール、チェンナイ、グルグラム
  11. サイバーセキュリティ・スペシャリスト/バンガロール、ムンバイ、グルグラム
  12. Python開発者/バンガロール、ムンバイ、ハイデラバード
  13. デジタルマーケティング・スペシャリスト/ムンバイ、バンガロール、ニューデリー
  14. フロントエンドエンジニア/バンガロール、チェンナイ、ムンバイ
  15. リードジェネレーション・スペシャリスト/バンガロール、プネー、グルグラム

※調査結果は、LinkedInのパブリックプロファイルと過去5年間のインドでフルタイムで働くユーザーのデータに基づく。

これらの新しい職業を雇用する主要業界は、情報技術とサービス、コンピューターソフトウェア、インターネットがトップ3となっている。

「デジタル・トランザクション(BtoCで行われる、紙を使わないオンラインまたは自動化された取引)が拡大しているのを受け、経済界はブロックチェーンへの投資を増やしている」とインドのタレントマネジメント・ソリューション責任者であるRuchee Anand氏は話す。「さまざまな業界で自動化が実現されれば、AIスペシャリストは2番目に需要のある仕事になるだろう」

PEOPLE SKILLS/ソフトスキルが大切

技術的なノウハウを持つ人材が求められる一方で、忘れてはならないことがある。それは、ソフトスキルの重要性だ。 「急速なデジタル化にもかかわらず、チーム管理や顧客維持などのソフトスキルは引き続き求められており、その重要性を示している」と。

Image for article titled India:大国インド版「食える仕事」トップ15

オラクルと調査会社「Future Workplace」が共同で実施した調査からも同様の指摘がされている。

レポートによると、インドでの産業用ロボットの売り上げはこの1年で39%増加。職場に産業用ロボットが浸透し、自動化できる部分の仕事の担い手は人間からロボットに取って代わるシナリオはよく聞く。ここから、ロボットに置き換えれられない仕事やスキルも読み取れる。

感情を理解してくれる、指導力、職場のカルチャーを作り出すこと──テクノロジーが進化する一方で、人間力の進化も求められていることを忘れてはならない。

This week’s top stories

インド注目ニュース5選

  1. インド人が最もググったこと。4月〜5月にかけて行われた5年に1度の下院総選挙の影響はグーグルの検索ランキングにまで浸み出した。ハウツー検索で多かったのは投票方法に関するもので、「有権者リストの名前を確認する方法」と「投票ブースを知る方法」など。同時に発表されたインドで今年最もググられた人物は、2月にカシミール地方の自国領空内で撃墜されたインド空軍機のパイロット、Abhinandan Varthamanだった。
  2. 世俗国家インド、死す。ナチスを引き合いに批判されていた、イスラム教徒以外に市民権を付与する法案が可決したことを受け、波紋が広まっている。野党はモディ首相率いる与党インド人民党(BJP)が宗教対立をあおっている、世俗国家としてのインドの考えに反しているとして激しく批判。BJPは経済停滞への不安を反ムスリムの機運を盛り上げることによって和らげようとしているように見える。野党インド連合ムスリム連盟は同法案の違法であることの宣言を求め最高裁に請願している。
  3. Netflixとディズニーの熾烈な戦い。「Netflix(ネットフリックス)」はインドでのコンテンツ制作に460億円を投じ、ライバルたちに攻勢をかける。12月6日、Netflix最高責任者のReed Hastingsが自ら、今年から来年にかけてインドでのコンテンツ制作およびライセンシング事業に、300億ルピー(約460億円)を投資する計画を明かした。ボストンコンサルティンググループ(BCG)によると、ビデオオンデマンド(VOD)の市場規模は今後4年間で最大50億ドル(約5,400億円)まで成長する見通し。
  4. 同意なく個人データへのアクセス可能に。12月11日、現地メディアが伝えたところによると、政府が制定を進める個人情報保護法で本人の同意なく個人情報が使用される可能性がある。同意なしでの使用が認められるのは、違法行為の防止・摘発といった「合理的な目的」がある場合。
  5. 日本の衛星を搭載したロケット打ち上げ成功。インドの主力ロケットであるPSLV-C48は12月11日、サティシュ・ダワン宇宙センターから打ち上げられ、搭載していた9つの外国の衛星を軌道に乗せることに成功。日本の衛星開発企業、QPS研究所によるレーダー地球観測衛星「イザナギ(QPS-SAR初号機)」も含まれていた。1999年以来、インドが打ち上げた外国の衛星の数は319に上る

【今週の特集】

Image for article titled India:大国インド版「食える仕事」トップ15

Quartz(英語版)の今週の特集は、「Beyond the Fintech Hype(フィンテック、ブームを超えて)」です。Quartzの金融とテックの取材班が、真の次世代企業へと迫る力作です。Quartz Japanの購読者は、英語のオリジナル特集もお読みいただけます。

(翻訳・編集:鳥山愛恵、写真:ロイター)