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MILLENNIALS NOW
ミレニアルズの今
Quartz読者のみなさん、こんにちは。今年最後の木曜日となりましたが、PMメール「Millennials Now」では、2019年、ソーシャルメディアから火が点いた、知られざるファッショントレンドについてお届けします。
Googleが毎年公開している「Year in Search(検索で振り返る)」の2019年度版が発表されました。
アメリカでは、TV番組枠で「Game of Thrones」、映画枠で「Avengers: Endgame」、そして音楽枠でLil Nas Xの「Old Town Road」といったように今年話題をさらった人気コンテンツがトップに名を連ねています。
一方で、興味深かったのが、ファッション枠です。
ここでは、まだ日本では多くの人達が聞き慣れないある言葉が、上位を独占しました。それは「E-girl」と「E-boy」というキーワードです(日本で聞き馴染みのあるグループは関係ありません)。
例えば、着こなしのアイデアでは「E-girl outfit」と「E-boy outfit」が1位と2位に。一方でファッションスタイルでは「E-girl style」と「E-boy style」はそれぞれ2位、3位にランクインしています。
■ファッショントレンドサーチランキング
- Camp style
- E-girl style
- E-boy style
- Steampunk style
- Harajuku style
- Preppy style
- Yankii style
- Vintage style
- VSCO girl style
- Emo style
■ファッションスタイルサーチランキング
- E-girl outfit
- E-boy outfit
- Soft girl outfit
- Biker shorts outfit
- VSCO girl outfit
- Dickies outfit
- White jeans outfit
- Fila outfit
- Champion outfit
- Leather pants outfit
What is E-girl and E-boy?
E-girlとE-boyとは?
では、一体、この「E-girl」「E-boy」とは何でしょうか?
2019年の上半期から次第に使われるようになったワード。このトレンドは、TikTokから生まれました。アメリカでは、2018年8月にTikTokが本格的にローンチし、それ以来、2,300万ドル(約25億円)の売上があると言われています。
「E-girl」「E-boy」の「E」は「Electoronic」を意味するもの。奇妙なこだわりと独特なアイロニーがあるティーンエージャーたちで、彼らは主にTikTokに姿を現し、たまにInstagramやTwitchにも登場します。ソーシャルメディアとインターネットの中で生きている、もしかしたら。あまり外出はせず、寝室にこもってネットサーフィンをしているようなタイプかもしれません。
たとえば、E-girlの特徴としては
- 濃く引かれた黒のアイライン
- ピンクやグリーンなどのヘアカラー
- 長すぎない髪
- 音楽バンドのTシャツ、メッシュのトップ、カラフルなヘアクリップ、アニメに出てくるようなフレアスカート、ハイウエストのパンツ
- 音楽はビリー・アイリッシュやリル・ピープを好む
といったようなものが挙げられます。
一方のE-boyは、E-girlとは少し違っています。
- 黒い服を好む
- スケートカルチャーやヒップホップ、アニメ、コスプレといった要素も入れる
- 髪の毛はボサボサめ
The background of the trend (背景)
こういったトレンドが生まれたのも、ジェネレーションZ世代がソーシャルメディアなどのオンラインのネットワークに依存し、まわりからの「いいね」をもらうことに過敏である、そして、自分自身の辛さを伝えることと、アイデンティティを表現することとして生まれたと、オンラインメディアVOXのRebecca Jenningsは分析しています。
「E-girlやE-boyは、学校用の服を着るのではなく、自分の好きなものを着て、ソーシャルメディアの中での存在意義を確立しています」。
悲観さが見え隠れするE-girlとE-boyは、ジェネレーションZ世代の中で人気のトレンドになっている「VSCO girl」(加工アプリVSCOから生まれたワード)のような、レイドバックでアウトドアなスタイルとは全く異なるものです。つまり、Googleの検索でE-girlやE-boyが1位という結果は、若者が現実の世界で何かを失っているとも言えるでしょう。
Trends come from internet
トレンドはネットから
インターネットは今、トレンドが生まれ、その新しいものが世界中に広まっていく場所になっています。
メディアNew YorkerでJia Tolentinoは最近、「Instagram Face(インスタグラム顔)」について語っています。
「毛穴のない肌とふっくらした顔、高い頬骨。猫のような目と漫画のような長いまつげがある。小さく整った鼻と、ボリュームのある唇がある。これは、Instagramでのいいねを稼ぐための見せ方。実際に、このような加工をして女性は写真を掲載し、さらにその顔を手を入れるために整形する人までいるのです」。
2050年のアメリカの美しい女性像を現していて、アメリカのセレブリティであるキム・カーダシアンやモデルのベラ・ハディッド、ケンダル・ジェナーがそのお手本になっています。
これまでは、現実の世界が優先され、デジタルの世界がそれに続きました。
しかし、時代は変わっています。ファッションデザイナーはソーシャルメディアで服がどのように見えるかということを優先して考えたり、コマースサイトではどれが一番よく見えるか、ということを考えています。つまり、人々にとってデジタルの世界がもっと重要なものになってしまっているのです。
This week’s top stories
今週の注目ニュース5選
- NikeのJordan Brandが絶好調。NikeのJordan Brandが、第二四半期で売上高が単独では初となる10億ドル(約1,100億円)に達した。Jordan Brandの社長であるCraig Williamsは「パフォーマンスの改革、ウィメンズカテゴリ、アパレルにフォーカスし、世界的な市場の拡大を続けてきた」とコメントしている。
- ミレニアルズが整形手術をする割合が過去最高に。American Society of Aesthetic Plastic Surgeryによると、アメリカとカナダに住む34歳以下の人々は、51歳から64歳までの人よりも整形手術をしている確率が高いことが分かった。これは、若い人々の両親が時期尚早にシワができたり、若年期に太陽にさらされすぎたりしたのを見て、彼らが治療ではなく予防を求めているためだという。
- アメリカのビューティブランドがTikTokのインフルエンサーをホリデーキャンペーンに起用。
EOS ProductsやNarsといったアメリカのビューティブランドは今、TikTokのマーケティングに注力している。TikTokの人気インフルエンサー、Charli D’Amelioなどを起用し、#awesomekissのハッシュタグと共にホリデーキャンペーンを展開してる。 - ミレニアルズが新年のナイトアウトにかけるお金はいくら? チケットサイトEventbriteの最新調査によると、アメリカのミレニアルズは2020年幕開け前の大晦日から1日にかけて、平均で228.10ドル(約25,000円)を使うようだ。ミレニアルズはお金を使わない世代とも言われているが、アメリカ人の平均が185.60ドル(約20,000円)なので、約42ドル(約4,600円)高いとされる。
- 2010年代の最悪な健康トレンドは? 2010年代も、さまざまな健康トレンドが登場したが、本当に効果があるのかどうか、謎なものも多くあったはず。コラーゲン、チアシード、キヌアなどの食材からマインドフルネス、瞑想といったメンタルバランスまでさまざま。さて、あなたにとって最悪は健康トレンドは何?
(写真:ロイター、Instagram)