China:中国映画はハリウッドを超えるか

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Because China

すべてを変える中国

Quartz読者のみなさん、こんにちは。

今、世界第2の経済大国であり、テクノロジー大国となった中国。Quartzは、中国がいかに世界中であらゆる産業を変えまくっているのか、その現場を追い続けています。

火曜日の夕方はその映像シリーズ「Because China」。昨日発表された米アカデミー賞では、韓国映画『パラサイト』が非英語映画として初の作品賞を含む4冠に輝きましたが、今週は中国の映画産業についてです。

(👇のサムネイル画像をクリックするとメンバーシップ会員限定の動画《7分36秒》をご覧いただけます)

いま中国では、かつてないほど多くの映画作品が制作され、またかつてないほど多くの人々が映画館に足を運んでいます。

中国にある映画館のスクリーン数はアメリカを超え、中国国内での映画の興行収入は2020年までにアメリカを追い抜くと考えられています。

花開く中国映画は中国と世界に何をもたらすのか

What a flourishing homegrown film industry means for China and the world

近年、大ヒットした中国映画、『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』『オペレーション:レッド・シー』『流転の地球』の興行収入は、5億ドル(約550億円)を超え、ここ数年でも最も収益を上げた映画に数えられています。

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この偉業をより印象づけるのが、これら映画の収入の大半が中国国内の市場で上げられたものだということです。

中国の映画熱の高まりを見たハリウッドの映画スタジオは、中国における外国映画の上映枠をめぐって争い、中国政府にアピールするために脚本を変えたり、中国企業と共同制作したりしています。数年前までは、中国でいちばん観られた映画は常にハリウッド映画でしたが、2018年の興行成績トップ10のうち5作品は、中国映画でした。

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中国の映画産業を統括する中国共産党中央宣伝部は、中国映画の国内外での名声を高めようと目論んでいます。2035年までに、中国は興行収入1,500万ドル(約16億5,000万円)以上の映画を100作品以上制作することを目標としています。

これは中国のよさを伝え、中国に好印象をもってもらおうという、中国のソフトパワー戦略の一環です。2018年には、44作品がこの水準に達しました。

中国映画の興行成績が成長している一方で、ハリウッド映画『ランボー』を彷彿とさせる『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』は、中国を過度に礼賛する内容で、海外ではヒットしませんでした。

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しかし、これも変わりつつあります。

2019年に中国で初めて多額の予算を投じて制作されたSF映画『流転の地球』は7億ドル(約770億円)以上の興行収入を記録し、世界の限られた劇場で公開されたのち、Netflixで配信されました。またAmazonは、長編SF小説『三体』の権利を10億ドル(約1,100億円)で取得しています。

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今回のBecause Chinaでは、中国が映画産業にどう向き合っているのか、その最前線を追いました。

中国映画は、世界にどのような影響を与えるのでしょうか。ストーリーのすべてはこちらからご覧いただけます《7分36秒》。

This week’s top news

注目の中国ニュース4選

  1. ハリウッド超えの夢、絶たれる。2020年中に、アメリカの興行収入を上回ると見られていた中国の映画市場が苦境に立たされています。新型コロナウイルスが流行したため、多くの集客を見込める旧正月に合わせた主要な新作映画のリリースは延期され、1月24日以降、中国国内7万の映画館が閉鎖されています。2019年、中国では、旧正月中における映画のチケット売上が年間売上の約8%を占めていました。
  2. 中国政府がフランスに牽制。中国政府は9日、フランス政府に対して、次世代5Gネットワークをめぐって、「透明性のある基準と対応を、すべての企業に同じように行う」よう求めました。フランスの主要通信会社であるOrangeは、5GネットワークからHuaweiを除外し、代わりにNokiaとEricssonを選択するとする声明を1月31日に発表しています。
  3. 中国スマホ大手がアプリストアに参入。中国の携帯電話メーカーのHuawei、Oppo、Vivo、Xiaomiは共同で、「Global Developer Service Alliance」という名前のもと、Google Playに取って代わるアプリストアの開発を進めています。プロトタイプのウェブサイトでは、最初にインド、インドネシア、ロシア、マレーシアなど9つの国と地域でスタートするとしています。今回の4社を合わせたスマホの売上シェアは、2019年第4四半期で世界の40.1%を占めていました。
  4. 自社工場でマスク製造へ。AppleのiPhoneの製造も手掛ける、台湾の電子機器受託生産大手のFoxconnは、2月10日から、自社の生産ラインの一部を変更してマスクの生産を開始するとWeChat上で発表しました。今月末までに1日あたり200万枚の生産を目指し、従業員に行き渡ったあとは、従業員以外への供給も視野に入れているといいます。ほかにも、中国のEVメーカーBYDが、1日あたりマスク500万枚と消毒剤5万本の生産体制を今月内に整備すると発表したほか、米自動車会社GMと中国の上海汽車集団の合弁会社である、上汽通用五菱汽車も、1日あたり170万枚を目標に、自社工場の14のラインを変更してマスクの生産に取り掛かると発表しています。

今週の特集

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今週のQuartz(英語版)の特集は「Retail versus Amazon(Amazon VS 小売り)」です。圧倒的なスケールで小売業界を変えてきたアマゾンは、次にどこを目指していくのか。その野望のすべてをQuartzがレポートしていきます。

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