Millennials:インフルエンサーの「生き残り」戦略

MILLENNIALS NOW

ミレニアルズの今

Quartz読者のみなさん、こんにちは。今日の「Millennials Now」では、「Stay Home」が引き起こしたインフルエンサーマーケティングの変化と今後のビジネスの見通しについてレポートします。

SAHIN YESILYAPARAK ON UNSPLASH
SAHIN YESILYAPARAK ON UNSPLASH

米労働省が3月26日発表したレポートによると、21日までの1週間で失業保険を申請した人は約330万人に上りました。これは、1970年以降で最も高い69万5,000人を記録した1982年の5倍近くになるようです。

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Image: BBC

また、「最も失業のリスクが高いのは、有色人種の人々と若年労働者である」という調査もあり、Z世代、ミレニアル世代を不安にさせる状況はさらに続いていくと予想されます。

Stay Home

家からの発信

3月30日(現地時間)に放映された米トークショー「The Late Late Show with James Corden」では、「Homefest: James Corden’s Late Late Show Special」と題して、Billie Eilish、John Legend、David Blaine、Andrea Bocelli、Dua Lipa、Ben Plattなどがテレビ電話で登場。

Dua Lipa/Instagram
Dua Lipa/Instagram

Dua Lipaは、自身のバックダンサーとバンドを集め、それぞれが自宅からパフォーマンスを届けました。これまでになかった斬新な発信方法は、この状況だからこそ生まれたものですが、少なくともパンデミックが収まるまでは音楽業界のなかでも主流になってくるでしょう。

また、ソーシャルメディアとテクノロジーを駆使し続けてきたZ世代やミレニアル世代のなかには、オンラインプラットフォームにしがみつきビジネスを続けようと考えている人たちが多くいます。感染を防ぐための外出制限は世界的に実施されていますが、セレブやインフルエンサーをはじめ多くの人々が「Stay Home」を実施し、Instagramを中心に発信しています。

インフルエンサー(インスタグラマー)たちは、避けられない大きな変化に直面しているのです。

Losing jobs

失業の危機?

そもそも「インフルエンサーマーケティング」に対する需要は、右肩上がりを続けてきました。

調査会社Izeaによると、Instagramのスポンサー付き投稿に対する平均価格は、2014年の134ドル(約14,000円)から2019年の1,642ドル(約176,000円)に上昇。

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YouTubeでも、2019年にはスポンサー付き投稿の対価は6,700ドル(約72万円)になっています。

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しかし、新型コロナウイルスの影響で、多くの企業はこれまでのインフルエンサービジネスを縮小し、イベントなども自粛。結果、インフルエンサーは失業状態になっています。

特に、飛行機に乗る旅行を主としているトラベルインフルエンサーに関しては、非常に厳しい状況になっています。

もともと、旅行業界での1ポストあたりの金額はほかの業界に比べ、非常に高くなっていて、5,335ドル(約572,000円)となっていました(2019年)。

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旅行ブログ「Away Lands」を婚約者とともに運営しているSederは、次のように話しています。

「ほとんどすべてのものがキャンセルされました。プレスツアーや旅行のプロモーションだけでなく、製品やライフスタイルに基づくキャンペーンもです。マーケティング部署は、先行きが見えないため、すべてをいったん停止しています」

Instagramで22万8,000人以上のフォロワーを抱える彼女は、今後数週間が自身のビジネスにとってどんな意味をもつのか確信がもてないとも話しています。

「どの起業も旅行キャンペーンを行っていないので、多くのインフルエンサーとブロガーは仕事を休止しています」と、トラベルインフルエンサーでブログ「2 Travel Dads」の創設者であるRob Taylorも話します。

「現在、私の友人の80%は失業中であり、新たな収入がないので、この2〜3週間で何をすべきかを理解しようとしています」

New opportunity

むしろ高まる需要

一方、新型コロナウイルスの影響で家にいる時間も長くなったため、ソーシャルプラットフォームの利用時間は増え、インフルエンサーのコンテンツへの関心が高まっていることも事実です。

インフルエンサーマーケティング・エージェンシーObviouslyによると、3月上旬の2週間で、Instagram投稿のハッシュタグ広告を使用した毎日の「いいね」数は76%増加し、第1四半期は2019年第4四半期のInstagramキャンペーンのインプレッションと比較して、22%増加しています。

ObviouslyのCEOであるMae Karwowskiは、「ブランドは、これが大きなチャンスであることを分かっていますが、メッセージを慎重に捉える必要があるということも理解しています。クリエイティブブリーフ(コンテンツ戦略)の表現方法やインフルエンサーとのコミュニケーション、キャンペーンを作成して『必要なコンテンツ』と『楽しさ』を不快にならないように提供する方法について、クライアントと対話しています」と述べています。

Photo by Maddi Bazzocco on Unsplash
Photo by Maddi Bazzocco on Unsplash

インフルエンサーマーケティングの専門家は、今後、数週間でインフルエンサーマーケティングが増加すると推測しています。インフルエンサーの多くは、制作スタッフがいなくても自分でコンテンツを制作できるからです。

「インフルエンサーは、他の人に会わずにコンテンツを作成して公開できるため、マーケティングミックスの一部になります」と、インフルエンサーマーケティングプラットフォームFohrの創設者、James Nordは述べています。

もっとも、人々のソーシャルメディア利用が増加している一方で、投稿に対して広告主が支払う料金は短期的には劇的に低下し、今後も低下し続ける可能性も指摘されています。

Change the strategy

直接収入を得る

広告主はまた、自宅で撮影される“DIY広告コンテンツ”が、サステイナビリティが重視される時代に特に適しているとしています。

インフルエンサーやマーケティング担当者は、戦略を変え始めています。D2Cなどの長期的なビジネスや、コンサルティング、教育、コーチングなどのオルタナティブな収益源にフォーカスしようとしています。これは、YouTubeに動画をアップし続け、コンテンツを自宅で制作するインフルエンサーの“ルーツ”に通じるものといえます。

実際に今、ビデオブロガーやYouTuberがクリエイターのためのプラットフォーム「Patreon」に参加し始めています。同社の発表によると、3月の最初の3週間で3万人以上のクリエイターがこのプラットフォームと契約したことが分かりました。

Patreon
Patreon

一方のブランドは、パンデミック下においてもマーケティングキャンペーンを実行する方法を模索しています。

「ブランドは、マーケティングに対して非常に敏感になっています。家から出られずにいるインフルエンサーにどうアプローチするか考える必要があるでしょう」と、インフルエンサーマーケティング会社Villageの創設者、Vickie Segarは話しています。

Online Shopping

ECへの流入

SNSを使ったマーケティングが、オンラインショッピングへのビジネスへも流入しています。

Adobe Analyticsが3月31日に発表した分析では、3月1〜11日までと、同月13〜15日までのオンラインショッピングの成長率を比較。米国のオンラインストアトップ100社のうち80社を含む数千社の小売業者を対象にしたところ、オンラインショッピングの利用が25%増加しています。

また、衣料品だとTシャツやスウェットパンツを着る人が増加し、快適なラウンジウェアの売上が上昇。Tシャツ今後も、機能的でシンプルな服の需要へとシフトしていくことも考えられます(多くのファッションブランドや百貨店では、オンラインでの買い物を促すためのスペシャルセールも行っています)。

Kylie Jenner/Instagram
Kylie Jenner/Instagram

セレブたちも「Stay Home」のなかで、ラウンジウエアやホームウエアを着用したものを投稿。1.6億人のフォロワー数を誇るセレブ、Kylie Jennerもそのひとりですが、こうしたインフルエンサーの投稿が今後、オンラインショッピングへの売上増加へとつながっていくでしょう。

家にいるとどうしてもネットサーフィンをしがちになり、今までよりもアンテナをはってしまいがちです。インフルエンサーではない私たちにとっての注意点は、思わずポチポチしすぎてお金を使いすぎないようにすること…です。

This week’s top stories

今週の注目ニュース4選

  1. 囚人釈放。ニューヨーク市は、囚人の間でのコロナウイルスの蔓延を抑制するために、ライカーズ島刑務所から900人を釈放しました。ビル・デ・ブラシオ市長の発表は3月31日(現地時間)の午後に発表。ライカーズ島刑務所は市で最も悪名高い刑務所でも知られますが、警備員と被拘留者で確認されたCOVID-19の感染者数が増加していることで懸念されていました。
  2. アメリカで先週、最も見られたTV番組。 Nielsenによると、CBSの人気ゲーム番組「Let’s Make a Deal」が11年前に俳優のWayne Bradyをホストとして迎えたとき以来、1週間で最も見られたことが分かりました。
  3. 業界にも新型コロナウイルスが広がる。パンデミックの影響が拡大するさまざまな業界。こちらから、新型コロナウイルス感染したアメリカのセレブリティ、アスリート、政治家などのリストを見ることができます。
  4. 新進気鋭のエコなスタートアップ。カリフォルニア州リバモアを拠点とするスタートアップのVericoolは、プラスチック製のクーラーとパッケージを植物由来の製品に置き換えたプロダクトを開発。今回、同社は1,910万ドル(約20億円)の資金を新たに調達しました。同社によると、同社の技術は100%再生紙繊維とその他の植物由来の素材を使用しており、リサイクル可能で堆肥化可能です。

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