Need to Know: Coronavirus
コロナに向き合う世界
Quartz読者のみなさん、おはようございます。週末版のニュースレターでは、新型コロナウイルスの感染拡大に向き合う世界の「今」をお伝えしています。
今日お送りするのは、アフリカの政府高官たちが自国の医療機関から目を逸らしているという事実や米国で確認されている「2000年問題」以来の現象。そのほか、家から出られずにいる週末の皆さんの気持ちを高めるエンタテインメントコンテンツもお伝えします。英語版(参考)はこちら。
Treat yourself
政府高官自ら…
ナイジェリアでは、州知事3人と大統領のチーフスタッフがSARS-CoV-2の陽性反応を示しました。海外への渡航が厳しく制限されるなか、彼ら政府高官は、自分の国で治療を受けるという「いつもとは異なる現実」に直面しなければなりませんでした。
ナイジェリアの歴史には、高官が自国の病院を避け、海外で治療を受けた例が数多くあります。2015年には、石油産出量が豊富なアクワアイボム州の前知事ゴッドウィル・アクパビオ(Godswill Akpabio)が交通事故に遭い、ロンドンで治療を受けようとしましたが、それは州都に300億ナイラ(7,600万ドル)を費やした病院を建設してからわずか4カ月後のことでした。
2017年、大統領のムハマドゥ・ブハリ(Muhammadu Buhari)は、政府高官が海外に治療を求めることに対し、公には反対の立場を取っていたにもかかわらず、154日間に渡りロンドンに滞在し、未公表のまま治療を受けていました。ブハリの前任者の一人であるウマル・ムサ・ヤルアドゥア(Umaru Musa Yar’adua)は、サウジアラビアで数カ月間の治療を受けたのち、2010年に官邸にて亡くなっています。
これはナイジェリアだけではありません。アンゴラ、カメルーン、ガボン、ジンバブエなどの元・現大統領はいずれも他国で治療を受けており、2008〜2014年の7年間で在職中に亡くなった12人のアフリカの指導者のうち、6人が海外で治療を受けていました。
政府高官が近づかないようにしているナイジェリアの医療制度が資金不足に陥っているのは、よく知られているところです。
ナイジェリアの医師は人口5,000人あたり1人の割合で、WHOが推奨する600人に1人という割合を大きく下回っています。検査値の低さが際立っているにもかかわらず新型コロナウイルスの感染者は急増しており、大規模なアウトブレイクが発生した場合、地元の病が大混乱に陥ることが懸念されています。
テック系スタートアップや民間企業が未成熟なインフラを補おうとしている一方で、リソース不足も浮き彫りになっています。治療のための医療機器は、約2億人の国民に対して、わずか100 台未満の人工呼吸器しか登録されていないのです。
地元の病院に対する国民の信頼を損ね、海外での医療のために納税者の資金を使い込み、何年も経過しています。政府の役人たちは、彼らの監視下で停滞し続けている公衆衛生システムの欠点を、この状況下ではっきりと思い知らされているのです。
#WorldCupAtHome
試合ができない一方で
世界中でサッカーの試合開催が中止を余儀なくされているなか、FIFA(国際サッカー連盟)は #WorldCupAtHome と題したキャンペーンを展開。これまでのFIFAワールドカップとFIFA女子ワールドカップの試合の中から「もう一度見たい試合」をTwitterで募集し選ばれた30試合のフルマッチをYouTubeチャンネルで順次配信しています。現在までに配信されている試合の中から、厳選しピックアップしたW杯のベストゲームを紹介します。
- ブラジル×フランス(2006年ドイツ大会準決勝) 全盛期のロナウジーニョを筆頭に、ロナウド、カカ、アドリアーノ、ロビーニョと豪華な顔ぶれが揃うブラジルは、下馬評では圧倒的な優勝候補。対するフランスは、今大会での引退を表明していたジダンに花道をとチームが結束。接戦を制したフランスは決勝に進むことになりますが、続くイタリアとの決勝戦で、世界を激震させたジダンのあの事件が起こります。
- アメリカ×ドイツ(2015年カナダ大会準決勝/女子) 前回大会で日本に破れ準優勝に終わったアメリカと、アメリカと同じ最多2度の優勝回数を誇るドイツが準決勝で対戦。アメリカのラピノー、モーガンといった強力な前線陣が何度もドイツゴールを襲うも、ドイツの守備陣はゴールを割らせず。一方のアメリカも当時「世界最高のキーパー」と呼ばれていたソロを中心にドイツのチャンスを何度も防ぎます。そして試合は、両国の意地とプライドがぶつかり合う荒れた展開に。
- アルゼンチン×ブラジル(1990年イタリア大会決勝トーナメント1回戦) マラドーナが「神の手ゴール」「5人抜き」で一世を風靡した1986年メキシコ大会から4年が経ち、チームメンバーが決して揃っているとは言えないアルゼンチン。何とか予選を突破した彼らの前に現れたのが、因縁のライバルであり、大会最多優勝回数を誇る王国ブラジル。試合がブラジル優勢に進むなか、防戦一方のアルゼンチンは決死のディフェンスでゴールを死守。そして試合も残り時間わずかとなったタイミングで、ボールがマラドーナに。試合は佳境に入ります。
- スペイン×オランダ(2014年ブラジル大会グループリーグ) 前回大会の決勝カードがグループリーグ初戦で実現。前回は、イニエスタの劇的なゴールでスペインが優勝を果たしましたが、今回は誰も予想できなかった展開に。前半、あえなくPKを献上したオランダですが、試合を振り返ってみると、この時点でスペインはオランダのファン・ハール監督の術中にはまっていたのです。前半のうちにファン・ペルシーのサッカー史に残るアクロバティックなゴールで追いつくと、後半には、スペイン守備陣が完全崩壊。まさかの大敗を喫してしまいます。
- ブラジル×フランス(1986年メキシコ大会準々決勝) 「W杯史上最高の試合」とも評されるこの試合。スター選手揃いのブラジルに、将軍プラティニを擁し「シャンパン・フットボール」と称された華麗なサッカーを展開するフランスが準々決勝で激突しました。試合は、両者攻めては守り、我慢に我慢を重ねる展開が続きます。そんななか、怪我でベンチスタートだったブラジルの10番、ジーコが登場。早々に作ったチャンスでPKを獲得し、勝ったかのように喜ぶブラジルメンバーでしたが、ジーコはこのPKを外してしまいます。うなだれるジーコを慰めるプラティニ。結局、延長戦を終えても決着せず、PK戦に突入。しかし、このPK戦でもドラマが待っていました。
like it’s 1999
現金への信頼
株価が急落し、米国経済が不況に陥るなか、3月25日終了時点で1週間の現金の流通量が1.8%増加し、絶対値ベースでも1.86兆ドルまで達しています。
これは、Y2K問題によって人々がコンピュータシステムが誤動作を起こすことを懸念していた1999年12月以来、週間での最大の上昇幅です。
Essential Reading
知っておきたいこと
- 世界の感染者数🌏は1,767,855人で、401,873人の回復が報告されています(4/12 7:00現在)。
- 米疾病管理予防センター(CDC)は、どのようにあのよく目にするウイルスのイメージをつくりあげたのでしょうか?
- 米国の学生ローンの支払いは延長されています。ただし、それは例外だらけのようのようです。
- 大富豪が新型コロナウイルスについてどんな“貢献”をしているか、追い続けている人がいます。
(翻訳・執筆・編集:小西悠介、福田滉平、年吉聡太)
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