Daily Brief:イーロン・マスクの不安な未来

8月4日、世界で今起きていること。中国が台湾を事実上封鎖する軍事演習を実施、オランダが水不足を宣言、ロンドンの平均家賃が1年間で15%も上昇など

DAILY BRIEF

世界で今起きていること

Quartz読者の皆さん、おはようございます。8月4日木曜日、今朝のDaily Briefをお届けします。

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Photo: Brendan McDermid (Reuters)
  1. 中国は、台湾を事実上封鎖する軍事演習を実施へ。演習は米国のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問したことに対抗するもので、日曜日(7日)まで実施されます。ペロシは、台湾への米国のコミットメントは「依然として揺るぎないものだ」とコメントしています。
    China will launch military drills effectively blockading Taiwan. The exercises will extend until Sunday as a response to US House speaker Nancy Pelosi’s visit, who made comments that the US commitment to Taiwan “remains ironclad.”
  2. オランダが水不足を宣言。オランダは降雨不足によって干ばつに見舞われています。フランスでは、仏電力公社(EDF)が、原子力発電所の冷却に使われる川の水温が上昇しすぎないように、発電量を削減しました。一方、ヨーロッパの重要な航路であるライン川は、水量が少なくなっているた閉鎖される可能性が出てきています。
    The Netherlands declared a water shortage. Lack of rainfall has led to a drought. In France, energy supplier EDF cut nuclear power production to keep rivers, which cool the plants, from overheating. Meanwhile, Europe’s Rhine River, a key shipping route, may closedue to low water levels.
  3. OPECプラスは、原油生産量の小幅増産に合意した。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は、日量10万バレルの増産を決めました。米国のジョー・バイデン政権の増産要請に対し、わずかな増産にとどまったことから、アナリストは「バイデン外交への侮辱」と呼んでいます
    OPEC+ agreed to a small rise in crude oil production. Output will increase by 100,000 barrels per day in what analysts have called an insult to Biden’s diplomacy.
  4. インド当局は、ビボが2億8,000万ドル(約374億円)の関税を回避したと発表した。中国スマートフォン大手、ビボ(Vivo)のインドオフィスは先月、マネーロンダリングの疑いで家宅捜索を受けていました。
    Indian authorities stated Vivo avoided $280 million in customs duties. The Chinese phone vendor’s offices in India were raided last month following allegations of money laundering.
  5. ロンドンの平均家賃は、1年間で15%も上昇した。英ルームシェア仲介アプリ大手、スペアルーム(SpareRoom)のデータによると、裕福な地域よりも貧しい地域の方がより大きな打撃を受けています。
    London’s average room rent increased by 15% in a year. Data from SpareRoom also shows that poorer areas have been harder hitthan affluent neighborhoods.
  6. オーストラリアの農地で発見された落下物はスペースXのものだった。部品は2020年のミッションのものである可能性が高いようです。イーロン・マスク率いる宇宙開発企業、スペースX(SpaceX)は、同社の部品であることをまだ認めていません
    Fallen debris found on Australian farmland belongs to SpaceX. The parts are likely from a 2020 mission. Elon Musk’s company has yet to claim ownership.

What to watch for

中国企業のリスク

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Photo: Tingshu Wang (Reuters)

中国EC大手のアリババ(Alibaba、阿里巴巴)の成長は、かつて中国経済のダイナミズムを象徴するものでした。現在、アナリストは同社が発表する四半期決算が初の減収になると予想しており、中国企業がローカル、グローバルともに厳しい状況に直面していることを示す一例となっています。

アリババの決算報告は、今日(4日)の市場取引開始前に発表される予定ですが、これに先立ち、米証券取引委員会(SEC)は、アリババが監査基準を満たしていないため上場廃止のリスクがあると発表しています。これは、2014年の新規株式公開(IPO)がニューヨーク証券取引所で最大規模だった同社にとっては、驚くべき展開です。

SECの要請に応じるかどうかは、米当局が要求する監査書類へのアクセスに中国政府が応じるかどうか(現在、開示を検討しているとも報じられています)にかかっており、アリババが完全にコントロールできるわけではありません。一方、アリババは香港でプライマリー上場を申請しており、手続きが完了すればニューヨークとの重複上場となります。


What’s making Elon nervous?

マスクを不安にするもの

スペースXとテスラ(Tesla)の創業者の気まぐれな脳内で何が起こっているのかは、誰にもわかりません。実際のところ、いったい何がイーロン・マスクを翻弄しているのでしょう? 専門家に聞いてみました。

  • 😰 カタリーン・マコーミック判事。ツイッターの買収計画中止をめぐる審理で、デラウェア州の裁判所の判断によっては、マスクは単に損害賠償を支払うだけでなく、440億ドル(約5.8兆円)の取引を完了させるよう命じられる可能性があります。
  • 😬 SEC。米国の規制当局は現在、マスクと弟のキンバル・マスクがインサイダー取引規制に違反したかどうか、そして、マスクがツイッター株の大量購入の報告をするまで2週間以上かかったことが違法行為にあたるかどうかを調査しています。
  • 😳 ルイジ・クリスポ。この株主は、マスクがツイッターとの契約と同社株主に対する受託者責任(フィデューシャリー・デューティー)に違反しているとして、訴えています。もし集団訴訟に発展すれば、この訴訟はマスクに深刻な問題をもたらす可能性があります。
  • 🙀 テスラ株主。もしマスクが裁判で負けた場合、テスラの株主は何をするかわかりません。また、マスクはテスラ株を担保に差し出す必要があります。

Surprising discoveries

世界のトリビア

  1. 南フランスで数千羽のレース鳩が姿を消した。ベルギーの愛好家はその理由として、夏の嵐が致命的であったかもしれないと述べています。
  2. 精子も卵子もない状態で、胚がつくられた。この研究は、将来的に人間の代替臓器を育てるのに役立つかもしれません。
  3. ハードセルツァーの人気は終わった。炭酸飲料市場は飽和状態になっています。
  4. 映画『バットガール』がコスト問題でお蔵入り。情報筋によれば、劇場公開もストリーミング配信も、財政的に賢明な判断ではないと結論付けられたようです。
  5. 難破船から350年前のスペインの財宝が回収された。その中には、かつて騎士が所有していたエメラルドと金のペンダントも含まれていました。

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