DAILY BRIEF
世界で今起きていること
Quartz読者の皆さん、おはようございます。8月17日水曜日、今朝の「世界で今起きていること」をお届けします。
- 中国のフードデリバリー大手、メイトゥアンの株価が9％下落した。テンセント・ホールディングス（騰訊控股、Tencent Holdings）が、保有するメイトゥアン（Meituan、美団）の240億ドル（約3.2兆円）相当の株式の大半を売却することを検討しているというロイター通信の報道を受け、株価が下落しました（テンセントの決算について詳しくは次項「What to watch for」で）。
Shares of China’s food delivery giant Meituan fell 9%. The drop followed news from Reuters that Tencent is looking to sell most of its $24 billion stake in the company. (See more about Tencent’s earnings below). - 熱波により、中国の製造拠点のひとつで工場が閉鎖を余儀なくされた。中国全土で数十の都市が40℃を超える気温に耐えるなか、四川省は6日間にわたって工場の操業を停止するよう命じました。
A heatwave forced factories to shut down at one of China’s manufacturing hubs. Factories in Sichuan closed for six days as dozens of cities across the country endure 40°C (104°F) temperatures. - ウォール街はロシア債の取引に備えている…。米財務省がこれらの資産を売却しても対ロ制裁違反にあたらないことを確認したことから、主要金融機関は、顧客のために取引業務を再開しました。
Wall Street geared up for Russia debt trading… After the US Treasury confirmed selling those assets wouldn’t be a breach of sanctions, major banks sought to arrange trades for their clients. - …そして、ウォルマートの決算ではうれしい驚きが。米小売大手のウォルマート（Walmart）は、高インフレが続くなか、安い商品を買うために店舗を訪れる高収入の顧客が増えているとしています。
…and was happily surprised by Walmart’s earnings. The retail behemoth said it’s seeing more high-earning customers visit its storesto buy cheaper goods during high inflation. - アメリカン航空は、ブーム社の超音速機20機を購入するための予約金を支払った。米新興企業、ブーム・スーパーソニック（Boom Supersonic）の超音速機「オーバーチュア」の準備が整えば、大西洋横断便の所要時間が半分に短縮されるはずです。
American Airlines put down a deposit on 20 Boom supersonic jets. The aircrafts, when ready, should cut the travel time of trans-Atlantic flights by half. - BMWは、死亡事故への自動運転車の関与に異議を唱えた。自動車メーカーのBMWは、ドイツでの死亡事故に同社の自動運転車が関与したとする警察の報告書に反論しました。
BMW disputed the involvement of a self-driving car in a fatal crash. The automaker contradicted a police report describing the accident involving an autonomous test vehicle. - テッドベーカーはABGからの2億5,500万ドルの買収提案を受け入れた。さまざまな小売ブランドを所有する米投資ファンドのオーセンティック・ブランズ・グループ（Authentic Brands Group、ABG）は、その広大なポートフォリオに新たなブランドを加えることになります。
Ted Baker accepted a $255 million takeover offer from Authentic Brands Group. The American retail group is adding yet another brand to its sprawling portfolio.
What to watch for
テンセントの不安
テンセント・ホールディングスの現状は、決してよくはないようです──同社が実際にメイトゥアン（美団、Meituan）の株式の大半を売却するかどうかは別として。
巨大な影響力をもつアプリ「WeChat」を運営する中国のゲーム／ソーシャルメディア大手テンセントは本日17日、第2四半期の業績を発表する予定です。その数字は、中国経済がCOVID-19のロックダウンからの回復に苦慮していることを示すシグナルのひとつになりそうです。
テンセントの収益は、2020年に入ってから毎四半期、予想を下回っています。アナリスト筋によると、最新決算では同社初の収益減となる可能性があるとみられており、その数字は1,322億元（195億ドル）、つまり前年比4％の落ち込みとなりそうです。
投資家が注視しているのは、同社の売上の約3分の1を占めると同時に規制の圧力に阻まれてきたゲーム事業の推移です。テンセントのもうひとつの大きな稼ぎ頭である広告事業についても、各ブランドがマクロ経済における逆風のなかでコスト削減に動いているため、枯渇すると予想されています。
crypto itself is not, but...
お高い「.ETH」
クリプトによる“土地買収”が絶賛進行中──ただし、今回は「柴犬」をテーマにしたコインが登場するわけではありません。
Ethereum Name Service（ENS）は、インターネットにおけるドメイン名のような仕組みをイーサリアムブロックチェーンで実現するサービスです。ENSで管理されている.ethドメインは、イーサリアムブロックチェーンの取引のほか保有資産を公開するためのプロフィールとして機能し、NFTとして販売することも可能です。
7月、ENSは記録的な数字を報告しました。.ethドメイン名37万8,804件が登録、2万5,000件が更新されました。その純利益は約390万ドル（約5.2億円）にも及びます。
なかでも、3〜4ケタのENSドメイン（123.ethや1234.ethといった具合）は、オンライン・ソーシャル・コミュニティへの“入場チケット”。「999クラブ」、あるいは「10kクラブ」といったWeb3ソーシャルクラブも生まれており、このドメインをもっていれば互いに自画自賛しあう場に参加できます。しかし、問題はその値段が決して安くはないという点で、これらのドメインを取得するには何万ドルもの費用がかかります。
このブームは、暗号産業全体が奇妙な時期に差し掛かっているのを示しているともいえます。ドメインに関する売上は増加している一方で、暗号資産の大半は目減りしているのです。もっとも、ドメイン名を買い上げて一儲けしようという投機ブームは、数十年前のインターネット起業家が通ってきた道ともいえるのですが。
Surprising discoveries
世界のトリビア
- 無料の生理用品へのアクセスは、いまやスコットランドでは法的権利だ。この種の法律としては、世界初とみられます。
- 絶滅したタスマニアタイガーを復活させるために、セレブ投資家たちが手を組んだ。この野心的なプロジェクトは、ヘムズワース兄弟やパリス・ヒルトンなどが支援するスタートアップによって進められています。
- フロリダの空は混みすぎだ。軍事演習、宇宙船の打ち上げ、プライベートジェット、そして厳しい天候が、商業便の運航を妨げています。
- ブタの皮膚のタンパク質から作られた角膜の移植はうまく機能しそう。臨床試験で視力が回復したことから、臓器提供に代わる、より安価で手軽な手段として期待されています。
- 英国で最も新しい博物館の目玉展示。開館したばかりのヨークシャー自然史博物館に展示されていた化石は、1億8,000万年前のもので、英国で発見された脊椎動物の胚として最古のものであることがわかりました。