📈 なぜなに? ティッカーの研究

AAPL、MSFT、META……その記号は、金融情報に革命を起こし、「ウォール街とメインストリートとの格差を著しく縮小させた」立役者ともいえる存在です。
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Photo: Spencer Platt (Reuters)

『CNBC』や『Fox Business』といったビジネスニュースチャンネルを見ていると、画面の下にはいつも、「ストックティッカー」(ティッカーシンボル)が優雅に流れています。Apple Inc. (AAPL) 174.15 ↓ 0.40・Microsoft Corp. (MSFT) $290.17 ↓ 1.15……といった具合にすらすらと流れていく、あれです。

株式や金融商品、あるいは為替や暗号通貨について語るとき、これらの略称は頻繁に登場します。素人には一見分かりにくい数字とアルファベットと記号の羅列ですが、それらからは具体的な知識を得られます。例えば「BTCを売ってGMEを月に連れて行く」と言ったらば、それはつまり「ビットコインを売って、ビデオゲーム販売会社でミームストックのゲームストップに投資している」を意味するわけです。

いまでこそテレビやコンピュータの画面に表示されているティッカーですが、かつては機械から吐き出される物理的なテープでした。「ティッカーテープ」は1863年に発明され、1867年にニューヨーク証券取引所(NYSE)に導入されましたが、これこそが金融情報の普及に革命を起こし、NYSE曰く「ウォール街とメインストリートとの格差を著しく縮小させた」立役者なのです。


By the digits

数字でみる

  • 10万ドル:1867年にゴールド&ストック・テレグラフがティッカーマシン(印刷電信機)の発明者エドワード・カラハンに支払った金額
  • 4万ドル:トーマス・エジソンがカラハンのマシンの改良版と関連発明を販売したことで得た金額。エジソンはこの資金をもとにニューアークの研究所を開設
  • 1,000台:1880年代、ニューヨークの銀行家やブローカーのオフィスに設置されたマシンの台数
  • 1万1,039:米国取引所に登録されているティッカーシンボル件数(2021年時点)
  • 5ケタ:Nasdaqでのティッカーの文字数制限。NYSEでは4文字

A symbol of evolution

進化するティッカー

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Photo: Spencer Platt (Getty Images)

ティッカーマシーン創世記は、ある雨の日に始まりました。電信技術の研究をしていた発明家エドワード・キャラハンが証券取引所のビルのエントランスで雨宿りをしていると、メッセンジャーに足蹴にされそうになったのです。当時は「銀行家やブローカーが金や株の値段を知るには、フリーランスのメッセンジャーボーイを各取引所に走らせて最新の相場を確認するほかなかった」と、キャラハンの息子はのちに『New Yorker』に語っています。

キャラハンが発明したティッカーマシンは「ティッカーテープ」と呼ばれる細長い紙テープに銘柄の記号と価格を表示するもので、これにより取引時間は大幅に短縮され、取引の精度も向上しました。

20世紀後半になると、ティッカーマシンはコンピュータに取って代わられます。しかしティッカーシンボルそのものの役割はそのまま残っています。例えば、ケロッグを〈K〉の一語で表現できるとなれば、わざわざ〈Kellogg〉と表記する必要はありません。コカ・コーラは〈KO〉、テスラは〈TSLA〉、ディズニーは〈DIS〉と表示されます。

より冴えた表現を使う企業もあります。ハーレーダビッドソンは〈HOG〉ですし、より分かりやすい例を挙げるならチーズケーキファクトリーは〈CAKE〉、サザビーズは〈BID〉などといった具合に、個人投資家にアピールしたい企業にとってはブランディングのチャンスにもなります。

Twitterをみていても、金融やビジネス関連のトピックを開けばティッカーが至るところで再現されます。ただしこのソーシャルメディアの場合、2012年にハッシュタグならぬ「キャッシュタグ」が導入されています。例えばアルファベットのティッカー〈GOOG〉であれば〈$GOOG〉と表示されますが、これによってと特定のティッカーについての情報が集約され、その銘柄に関連するツイートを閲覧できるようなっています


Pop Quiz

ここで問題です

アミューズメントパークの老舗企業シダーフェア・エンタテインメント(Cedar Fair Entertainment)のティッカーは、次のうちどれでしょう?

  1. OHIO
  2. WOOD
  3. RIDE
  4. FUN
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Photo: Evans/Three Lions (Getty Images)

正解はニュースレターの最後で!


Brief History

ティッカー小史

  • 1792年: NYSE開設
  • 1863年:エドワード・キャラハンがティッカーマシンを発明
  • 1867年:NYSEで初めてティッカーが公開
  • 1873年:エジソンが改良版のマシンを開発
  • 1878年:NYSEに初めて電話が導入されr
  • 1929年:ブラックチューズデーで株式市場が大暴落。その際、ティッカーが急激な値動きについていけなかったことはよく知られている
  • 1961年:トレーダーが株価を照会できるQuotronマシンの導入
  • 1966年:NYSEがコンピュータ化されたティッカーシステムに移行
  • 1989年:CNBCがティッカーのテレビでの放映を開始
  • 2012年:ツイッターがキャッシュタグを導入

Symbolic Change

ティッカーを変えるとき

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Photo: Spencer Platt (Getty Images)

企業がティッカーを変更する理由はさまざまです。合併や買収、あるいは上場廃止があれば、ティッカーは変更されます。そして、リブランディングの際に変更されることもあります。

米アルミ缶大手のボール(Ball Corporation)は今年、上場50周年を記念して〈BLL〉から〈BALL〉に変更しています(2011年以降4文字のティッカーが使えるように。ちなみに第1号はLinkedInの〈LNKD〉)。

社名の変更にあわせてティッカーを変更することもあります。今年6月、フェイスブックは新社名「Meta Platforms Inc.」に変更しましたが、ティッカーをFBからMETAに変更しています。これは、話題のメタバースと自社との結びつきを強調する、広い意味でのマーケティングキャンペーンといえるでしょう。


One 📺 Thing

ちなみに……

米国のテレビ放送で一般的なニュースのテロップが流れるようになったのは、1950年代まで遡ります。状況が大きく変わったきっかけは、2001年9月11日の同時多発テロでした。これ以降、ケーブルニュースネットワークでは常時テロップが流れるようになっています。


クイズの正解は、④〈FUN〉でした!


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