Daily Brief:いよいよ介入、英中銀

9月29日、世界で今起きていること。イングランド銀行は、市場の安定化を図るため、日本円にして約10.1兆円に上る長期国債の一時買い入れを開始すると発表しました。

DAILY BRIEF

世界で今起きていること

Quartz読者の皆さん、おはようございます。9月29日の「世界で今起きていること」をお届けします。日本版ニュースレターの配信は今週で終了します。詳しくはニュースレター末尾よりご確認ください。

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Photo: DANIEL LEAL (Getty Images)
  1. イングランド銀行が債券市場に介入した。英中央銀行のイングランド銀行は、市場の安定化を図るため、650億ポンド(約10.1兆円)に上る長期国債の一時買い入れを開始すると発表しました。
    The Bank of England intervened in the bond market. It has committed about £65billion ($69 billion) to buy long-dated bonds as it seeks to stabilize the market.
  2. 中国の人民元が14年ぶりの安値をつけた。先週、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げしたのに対して中国人民銀行は利下げを実施して金利差が開いており、一時1ドル=7.23元まで下落しました。China’s yuan hit a 14-year low. It fell to about 7.23to the dollar following the US Federal Reserve’s interest rate hike last week.
  3. EUは、新たなロシア制裁案を発表した。このパッケージ案には、ロシア産原油への価格上限の設定、一部の鉄鋼の輸入禁止、半導体の輸出制限などが含まれています。
    The EU announced a new Russia sanctions plan. The proposed package includes an oil price cap, a ban on some steel imports, and chip export restrictions.
  4. シンガポールのSATSは、世界最大の航空貨物取扱会社となる。空港サービス会社のSATSは11億4,000万ドル(約1,640億円)でフランスのワールドワイド・フライト・サービス(WFS)を買収すると発表しました。これによるネットワークの拡大で、数量ベースで国際航空貨物の50%以上をカバーすることになります。
    Singapore’s SATS will become the world’s largest air cargo handler. The carrier’s $1.14 billion purchase of World Flight Services will expand its network to cover over 50% of global air cargo volume.
  5. 初の米太平洋諸島首脳会議は、波乱の船出に。ソロモン諸島は共同首脳宣言に署名しない意向で、ミクロネシアは米国の財政支援が「不十分」と判断しました。
    The first US-Pacific Islands summit got off to a rough start. The Solomon Islands refused to endorse a joint declaration, while Micronesia found US financial support“insufficient.”
  6. シェルがナイジェリアの太陽光発電会社を買収。英石油大手のシェル(Shell)は、ナイジェリアのデイスター・パワー(Daystar Power)を買収しましたが、金額は公表していません。これは、石油メジャーにとってアフリカの自然エネルギー分野で初めての買収です。
    Shell bought a Nigeria-based solar company. It purchased DaystarPower for an undisclosed sum, marking the oil giant’s first acquisition in the African renewables sector.

What to watch for

メタバース、いかほど?

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Screenshot: NIKE

ナイキはメタバースに向け、歩み寄るどころか疾走しているようです。同社がゲームプラットフォーム「Roblox」に開設した「ナイキランド(Nikeland)」には、開設以来5カ月で約700万人のユーザーが訪れているほか、NFTスタジオのRTFKTを数百万ドルかけて買収しています

これらデジタル上での躍進は、低迷する大手スニーカーメーカーの業績回復に貢献できるのでしょうか。本日(29日)に発表される同社の第1四半期決算が、そのヒントを与えてくれるかもしれません。

ナイキは、メタバースからの収益という点では他の主要ブランドをはるかに凌いでいます。ライバルのアディダスが得た収益は1,100万ドル(約15.8億円)ですが、ナイキは1億8,500万ドル(約266.6億円)を稼ぎ出しています。もっとも、この数字は、ナイキ全体をみれば大海の一滴にすぎません。業績がさほど振るわない年であっても、同社は毎四半期120億ドル(約1.7兆円)以上を稼いでいます。

今年のナイキには、生産量があまり振るわないだけでなく、供給過剰の問題やドル高による国際市場からの収益の減少が見られます。そんななかでのメタバースにおける成功は、ナイキの株価を上昇させ、投資家の顔を明るくしてくれるような話題にはなれるのかもしれません。


Don’t WhatsApp about finances

WhatsAppしちゃだめ

実際に働く身からすれば、仕事のことでクライアントや同僚とテキストメッセージやWhatsAppメッセージのやりとりをするのは便利なことこのうえないのですが…これは米国では“違法”とみなされます

UBSやゴールドマン・サックスなど金融大手16社が、こうしたやり取りを野放しにしたとして、合計18億ドル(約2,590億円)の罰金に直面しています。

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Graphic: Quartz

パンデミックによってリモートワークが拡がりましたが、それはバンカーも同様です。今回の問題もパンデミックが深刻化させたケースといえるもので、何も新入社員の間だけで起きたわけでもないようです。米証券取引委員会(SEC)および商品先物取引委員会(CFTC)の調査では、従業員に対してメッセージの削除を指示する者もいたとして、複数の常務取締役やトレーディングデスクの責任者が名指しで指摘されています。

複数の金融機関で職員が更迭され、通信規制を守っていない職員のボーナス削減に踏み切っています。また、この問題を管理するためだけの社員を雇うことにした会社もあるようです。まさか、求人掲示板で「銀行のWhatsApp担当」を見ることになる日が来るとは…。


Surprising discoveries

世界のトリビア

  1. 専門家は、火星ではなくまずは金星に最初に飛ぶべきだと主張している。火星の表面は鉛を溶かすほど熱いかもしれませんが、わたしたちの姉妹惑星は火星よりもずっと身近なところにあるのです。
  2. 古代の鳥は必ずしも「ドードー」(怠け者)ではなかったのかも。8,000万年前の鳥の頭蓋骨を調査した結果、神経細胞の確かな発火が確認されました
  3. NFT市場の救世主は「Phygital(ファイギタル)」アート? PhysicalとDigitalを掛け合わせた造語ですが、そのダサい呼び名ゆえに、一部のアートコレクターからは敬遠されそうです。
  4. 電気飛行機、空を飛ぶ。このプロトタイプは、初の完全電気商用機につながりそうです。
  5. さよなら、カナリアイエロー。ブラジルといえば黄色のサッカーユニフォームですが、極右政党がそのユニフォームを使用したことでそのシンボルとしての強さは損なわれてしまいました

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