Daily Brief:カニエの大統領選出馬、その真意は

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世界で今起きている事

Quartz読者の皆さん、おはようございます。米国の編集部は、独立記念日でお休みです。今日、明日のDaily Briefはいつもの英語併記はお休みですが、特別な内容でお送りします。

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Image: REUTERS/KEVIN LAMARQUE
  1. ドナルド・トランプ、新型コロナウイルス対応を自画自賛。独立記念日の土曜日(4日)、記念式典でトランプ米大統領は、新型コロナ対応で米国が「進歩」したとし、「年末よりもずっと前」にワクチンが開発できる、との観測を示しました。また、「急進左派」との戦いを宣言。前日には、米国の1日当たりの新規感染者数が5万7,000人超と過去最多を記録し、地元のワシントン市長は、感染拡大防止のために自宅で過ごすよう呼びかけていましたが、トランプは花火の打ち上げを強行しました。米国各地では発砲事件が発生し、シカゴでは7歳の少女を含む少なくとも17人の死亡が確認されました。
  2. IntelがJioに2.55億ドル出資へ。米半導体大手Intel(インテル)は、インド大手財閥、Reliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)傘下の大手通信会社、Jio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)の株式を約2億5,500万ドル(約275億円)で取得すると発表しました。Jioにはこれまでに、Facebookのほか、General Atlantic(ゼネラル・アトランティック)、Silver Lake(シルバー・レイク)などの投資会社が相次いで出資しています。
  3. カニエ、大統領選への出馬を「示唆」。4日(現地時間)、ラッパーのカニエ・ウェストは「大統領選に出馬する」とツイート。米Twitterのトレンドランキングをはじめ、「Kanye」のワードが世界のニュースメディアに踊ることになりました。もっとも、連邦選挙管理委員会(FEC)への申請がなされた形跡はなく、確たる選挙組織の存在も確認されていません。かねてより2024年の大統領選挙への立候補を口にしてきたカニエですが、2018年にはホワイトハウスにてトランプと会談、彼の政策を賞賛していました。突然の出馬宣言は、浮動票を分散させることでトランプ再選を狙うものだとする声もあがっています。
  4. エチオピアでの「抗議」で少なくとも166人が死亡。男性歌手が射殺されたことを受けて、各地でデモが拡大し、これまでに1,000人以上が逮捕されています。6月29日に射殺されたハチャル・フンデッサは、最大民族のオロモ出身で、民族の地位向上を訴え続け、2018年には同じオロモ出身のアビー・アハメドが首相に就任していました。抗議の広がりを受け、当局はインターネットを遮断しています。
  5. 香港をめぐり世界の分断が進んでいる。香港国家安全維持法で逮捕された10人について、警察当局がDNAを採取していたことが判明し、公立図書館では民主派メンバーの書籍が閲覧できなくなりました。国連人権理事会では、キューバが53カ国を代表して中国への支持を表明する一方、英国や日本を含む27カ国は強い懸念を示す共同声明を発表。英紙テレグラフは、ボリス・ジョンソン英首相は、中国企業であるHuawei(ファーウェイ、華為技術)による5Gへの参入許可を、段階的に取り消す方針だと報じています。

Charting self-employed women

自営する女性と支援策

2009年の世界金融危機以降、英国における労働者の多くが自営業、個人事業主にならざるをえませんでした。そのなかでも女性の割合が高かったのは、予算削減にみまわれた公共部門の仕事の多くを女性が担っていたからだと、マンチェスター・メトロポリタン大学の教授で雇用の研究をしているジュリア・ラウスは言います。

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ラウス教授によると、ロックダウンで学校が閉鎖されたことで、女性の多くが育児を担うことが増え、自らのキャリアのバランスをとれなくなっているとも言います。パンデミックに対して、英国政府は、GDPの約15%に相当する労働者支援策を打ち出しています。が、すべての個人事業主をフォローできるはずもなく、多くの女性労働者が苦境に立たされる可能性があります。


BIDEN VS. TRUMP: SPACE BUSINESS

宇宙政策のゆくえ

2020年の米大統領選挙は「月か火星か」が決定的な争点ではありませんが、選出される次期大統領は宇宙探査のみならず、米国の技術的・経済的優位性を形作ることになり、注目に値するテーマです。

ほとんどの議員は、NASA(米航空宇宙局)やその請負業者が自分たちの選挙区に施設を持っている場合にのみ、NASAについて調査します。民主党候補と目されるジョー・バイデンの地元であるデラウェア州はそうした施設はないため、彼が関心を持っているのは次世代宇宙発射システムよりもAmtrak(アムトラック、全米鉄道公社)であり、バラク・オバマのナンバー2として宇宙政策に関与したという記録はほとんどありません

これまでのところ、ドナルド・トランプ大統領はオバマの宇宙政策をおおむね採用しています。大きな違いは、史上初の女性飛行士を含む宇宙飛行士を月面に帰還させる有人月面着陸計画「アルテミス」を加速させたことです。それ以外では、トランプ政権時代の最大のトレンドは、官民パートナーシップと固定価格契約の推進です。そしてもちろん、宇宙軍もです。

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大統領選挙後の米国の宇宙開発はどのようになるのでしょうか? スペースビジネスのニュースレター(英語)に登録して、宇宙の世界に飛び込んでください。


The next five years of…

教育のニューノーマル

US版Quartzでは「The New Normal」と題した特集を実施。ビジネスやヘルスケア、アートやアカデミアなど、54人の専門家に「コロナ後の5年」を訊きました。Quartz JapanのDaily Briefではその一部を紹介。今朝は、レゴ財団CEOのジョン・グッドウィンの語る「5年後の教育」をお届けします。

5年後、今まで慣れ親しんだ教室の姿は劇的に変わっていることでしょう。しかし、子どもたちに次代のリーダーとして活躍するために必要なスキルと知識を提供する責任に、変わりはありません。

では、今、どのようにして学習者を指導し、準備するのがベストなのでしょうか?

教育者は、伝統的な学力に加えて、創造性や批判的思考、社会性といったスキルを授業計画の一部として取り入れることになるでしょう。成績の高い/低いでレッテルを貼るような評価ではなく、実際に体験することに重点を置くことが、教育者には必要です。

学校閉鎖はあらゆる家庭に大きな影響を与え、ストレスを生み出しました。しかし、この困難な人生経験を通して学び得た能力は、私たちがより機敏になること、より適応できるようになることを意味しています。

教室の内外での創造性と遊びを統合することで、子どもたちの発達に主体性を与え、問題を解決し、新しいことに挑戦して失敗してまた挑戦することができるような、より大きな意味での学習体験が立ち現れることでしょう。

受動的でときに無関心すらあった学習を、能動的で魅力的なものへ。私たちは5年後、今のこの瞬間を振り返り、教育へのよりよい、より全体的なアプローチの先駆けとなった変革期であったのだと認識するはずです。

──ジョン・グッドウィン(レゴ財団CEO)


【今日の夕方は…】

Apple App Store logo
Under threat.
Image: AP Photo/Patrick Semansky, File

本日7月6日(月)のPMメール「Next Startups(次なるスタートアップ)」では、「Appleに立ち向かうメールサービス」を紹介。利用者の個人情報を利用して大金を稼ぐ巨大SNSへの不信感が広まっているなか、Appleの収益構造にも疑惑の目が向けられています。今回は、そのきっかけとなった次世代メールサービスの大本命「HEY」を紹介します。


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