HERE’S WHAT YOU NEED TO KNOW
世界で今起きている事
Quartz読者の皆さん、おはようございます。失踪していたソウル市長が、遺体で発見されるというショッキングなニュースが入ってきたなか、連日お伝えしている、中国をめぐる状況はますます混沌の様相を見せています。今週最後のDaily Briefをお届けします(英語版はこちら)。

- ソウル市長が遺体で見つかった。朴元淳(パク・ウォンスン)の娘が失踪を届け出てから数時間後、警察が朴市長の遺体を発見しました。事件性をうかがわせる痕跡はなかったそうです。朴市長はセクハラ疑惑に直面していました。
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The mayor of Seoul was found dead. Several hours after Park Won-soon’s daughter reported him missing, police found the mayor’s body. There were reportedly no signs of foul play. Park had been facing allegations of sexual harassment. - 米国がまもなく、中国サプライヤーに対する連邦政府の調達規制を正式導入。米国政府は、Huawei(ファーウェイ、華為技術)やZTE(中興通訊)を含む5社の製品やサービスの利用を禁止します。大西洋の向こう側では、英国の通信大手は、Huaweiの製品を排除するには5年はかかると指摘しています。一方、米国は、ウイグル自治区への対応をめぐり、中国共産党幹部ら4人を制裁対象に指定しました。香港では、香港国家安全維持法違反となる恐れがあるにもかかわらず、野党は9月に予定されている立法会(議会)選挙の予備選を週末(11、12日)に実施しようとしています。
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The US is close to issuing federal contract rules on Chinese suppliers. The government will ban the use of products and services from five companies, including Huawei and ZTE. Across the Atlantic, UK telecoms said they will need five years to decouple from Huawei. Meanwhile, the US sanctioned four Chinese officials over the country’s treatment of Uyghurs. In Hong Kong, opposition parties plan to go ahead with weekend primaries despite fears of violating the new security law. - 中国発の他のニュースによると…。中国の全国統一で行われる大学入学試験は、1カ月延期された後、今日をもって終了します。電子たばこメーカーのSmoore Internationalは、報道によると9億1,800万ドルを調達した後、香港証券取引所で取引を開始。QuantumCSek(国盾量子)は上海証券取引所のSTAR(科創板)市場でのデビューで、取引初日の上昇率が924%と、記録を塗り替えました。また、アメリカン航空とユナイテッド航空は、香港当局が新たに義務付けたCOVID-19の検査規則を理由に、香港便の運航再開をキャンセルしました。
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In other news out of China… The country’s national college entrance exam ends today after a one-month delay. E-cigarette maker Smoore begins trading on the Hong Kong Stock exchange after reportedly raising $918 million, while QuantumCTek skyrocketed a record 924% in its debut on Shanghai’s Star market board. And American Airlines and United Airlines have canceled flights to Hong Kong over new Covid-19 testing rules. - TikTokが透明性レポートを発表。2019年後半、同アプリは規約に違反したとして4,900万本の動画を削除しました。TikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス、北京字節跳動科技)は、海外に新本社を設立するなど、中国からアプリをさらに遠ざける方法を検討していると報じられています。一方、木曜日(9日)に発生したTikTokの不具合により、動画の再生回数と「いいね」が0にリセットされました。
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TikTok issued a transparency report. In the second half of 2019, the app removed 49 million videos for violating its terms. TikTok’s parent ByteDance is reportedly considering ways to further distance the app from China, including setting up a new HQ outside the country. Meanwhile, a TikTok glitch on Thursday reset video views and like counts to zero. - Voice of Americaで働く外国人はビザを失うことになる。米政府系放送局のVOA(ボイス・オブ・アメリカ)は、ジャーナリスト数十人のビザを延長する予定はないと報じられています。このニュースは、大学生の計画を台無しにし、大学を経営破綻させ、STEM(科学・技術・工学・数学)研究を頓挫させる恐れのある、最近の米国ビザの取り扱い変更に続くものです。
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Foreign nationals working for Voice of America will lose their visas. The agency reportedly doesn’t plan to extend visas for dozens of journalists. The news follows other recent US visa changes, which threaten to upend college students’ plans, bankrupt universities, and derail STEM research.
Southeast Asia’s first pandemic election
コロナ後初の総選挙
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シンガポールでは、今日、総選挙の投票が行われますが、1965年の独立以降、一族による指導の下で政権を握ってきた与党・人民行動党(PAP)の時代が続くと予想されています。
一方で、金融ハブのライバルである香港で起きている、グローバル企業にとっての新たな政治的リスクが、都市国家としての利益につながる可能性はあるものの、リー・シェンロン首相は依然として、厳しい経済見通しと失敗したコロナ対応の責任を負わなければなりません。
首相と疎遠となった弟が支持する政党も含め、シンガポールの政党数は多いにもかかわらず、人権団体は長らく、シンガポールの選挙には真の意味で競争が働いていないと警告してきました。シンガポールは、選挙区の分散化、監視の欠如、そして、法外に高い候補者登録費用などを含む問題を抱えています。そして、今年の選挙には、さらに2つの障害があります。
1つに、パンデミックによって、物理的な集会が禁止され、選挙運動はソーシャルメディアに制限されています。野党はこれが自分たちに不利だと主張している一方、与党はハンデをなくすものだとしています。
これは、2つ目の障害であり、昨年10月に施行され物議を醸した、いわゆる「フェイクニュース防止法」がなければ、そうだったかもしれません。しかし、野党の関係者や報道機関はすでに違反で告発されており、オンライン上の投稿に「訂正」の通知を記載するように命じられています。
Charting US spending on Covid-19 research
膨らむコロナ研究費
7月6日、米国政府は、2021年初頭までの1億回接種分のCOVID-19ワクチン製造を支援するため、製薬会社Novartexに、16億ドル(約1,716億円)を投資すると発表しました。しかし、これは米国で行われた、新型コロナウイルスに関する医学研究への直近の大型投資の一つに過ぎません。2月11日以降、米政府は50億ドル(約5,362億円)以上の投資を行い、そのほとんどがワクチン開発に使われています。
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The next five years of…
保険のニューノーマル
US版Quartzでは「The New Normal」と題した特集を実施。ビジネスやヘルスケア、アートやアカデミアなど、54人の専門家に「コロナ後の5年」を訊きました。Quartz JapanのDaily Briefではその一部を紹介。今朝は、米保険会社、ジョン・ハンコックCEOのBrooks Tingleが語る「5年後の保険」をお届けします。
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私はパンデミックの結果、生命保険が格段に購入しやすくなると考えています。むしろ、私たちはより慎重で保守的になるため、生命保険に入るのは難しくなると思われているかもしれませんね。私は、現代のデジタル経済において、生命保険は最も購入が難しい商品だと、いつも冗談を言っています。もちろん、家を購入するのは難しくて時間もかかりますが、不動産業者は所有契約をまとめる前に血液や尿のサンプルを求めることはありません。
生命保険に加入したい場合は、長い申請書に必要事項を記入し、誰かの訪問を受けるか、医師の診察を受け、バイタルサイン、身長、体重をチェックし、採血を受けてもらう必要があります。その後、誰かが「あなたに保険をかける用意ができました」と告げるまで、長い時間がかかります。
在宅命令が出されている最中は、誰も不要不急の目的で、検査スタッフが自宅を訪問したり、自分が病院へ行ったりすることを望んでいませんでした。ほとんどの人は、こうした状況下でこのような面倒な問題に対処したくないと考えていたのです。
業界としては、誰かの保険契約を引き受け、保障を提供するための従来型のインプットは、必ずしも必要ではないと考え始めています。現在は、その代わりに電子医療記録やその他のデータポイントを活用しており、オンラインで適用するためのよりデジタル化されたプロセス構築に取り組んでいます。
5年後には、生命保険に加入する際に侵襲的な手続きを取るのは、一般的というよりむしろ例外になっているだろうと私は予測しています。
You Asked about gene therapy
遺伝子治療の現在地
遺伝子工学の分野で、CRISPR-Cas 9(クリスパー・キャスナイン)やその他の遺伝子編集プロセスを使った研究は行われていますか? そうでないとしたら、なぜでしょうか? 財政の問題なのか、時間が足りないのか、それともわからないことが多いからでしょうか? (Normさんからのご質問)
回答者:CRISPRは、過去10年の間にバイオテクノロジー研究室の定番となった話題の遺伝子編集酵素で、先天性失明、鎌状赤血球症、さまざまな形態のがん、HIVなど、多くの治療に有望であることが示されています。しかし、これらの知見はすべて、これまでに行われた実験や臨床試験で得られたもので、現在のところ、CRISPRの適用を希望する患者がいたとしても利用できる状況にはなっていません。
しかし、FDA(米食品医薬品局) は、バイオエンジニアリング企業のSherlock Biosciences(シャーロック・バイオサイエンシズ)が開発した検査キットに、緊急使用許可を与えました。今回の検査法で特に注目すべきなのは、同社がCRISPRの商用利用はこれが初めてだと主張している点です。
では、比較的新しい検査法─9カ月前には存在しなかった病気の検査法─が、どうやって最初にラインを切り、病院にたどり着いたのでしょうか? 同社の検査では、CRISPRは体内に戻される細胞に使用されるわけではなく、体内に直接注入されることもありません。遺伝子治療は、研究者が予測できないような影響を人体に及ぼすことがあるため、こうした手法については、規制当局が許可をためらう可能性が高いでしょう。
Surprising Discoveries
世界のトリビア
- 再生可能エネルギーの次の大物。日産で開発に関わった技術者はリチウムイオン電池より90%安いバッテリー生産を目指し、科学者たちは雨粒を動力源とする発電機を設計しました。
- 数学者がヤンキースタジアムでファンを安全に保つ方法を計算した。ソーシャルディスタンシング(社会的距離)ガイドラインに基づき、全体の11%の座席だけを利用すべきだとしています。
- AIがマグロの品質を判定。アプリのTUNA SCOPE(ツナスコープ)は、寿司ネタにできるマグロかどうかを教えてくれます。
- Heinzは、あなたにケチャップとマヨネーズのアイスクリームを作ってほしいと思っている。5種類の調味料ベースのフローズンデザートのキットを販売しています。
- 裏庭のパッティンググリーンがお金持ちの間で大流行。パンデミックの間、彼らはショートゲームを練習する方法を探していました。
【今日の夕方は…】
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COVID-19の移動制限が世界で緩和されるなか、人々が通勤や移動、そして抗議運動のために街に繰り出し始めています。
本日7月10日(金)のPMメール、New Normalは、19世紀半ばにコレラとの戦いと二月革命を経て再開発された、パリの街から考える「パンデミック後の都市計画」についてお届けします。
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