Thursday: MILLENNIALS NOW
ミレニアルズの今
トランプか、バイデンか。米大統領選の投開票を前に、有権者の10人に1人を占めるZ世代の有権者が結果に与える影響に関心が集まっています。本日は、多様な時代を生きる若者たちの、大統領選へ向けた動きを追います。
11月3日(現地時間)に行われる米大統領選の投開票。新型コロナウイルスの影響もあり、期日前投票は4年前を上回る6,000万人以上にのぼっているといるといいます。
そんななか、注目を集めるのは「若者」の票のゆくえ。投票資格のあるZ世代の有権者は2,300万人以上で、2016年の選挙で投票のときよりも約1,600万人増加。一方、ミレニアル世代は、6,300万人以上が投票権をもっています。とくに今年は、有権者の10人に1人を占めるZ世代の投票結果が与える影響に関心が高まっています。
というのも、投票資格のある米国人全体に占める割合に関する最新の調査によると、2020年、ミレニアル世代とZ世代(1981年以降に生まれた若年層)が、ベビーブーム世代とそれ以前の世代(1964年以前に生まれた高齢者)に初めて肩を並べることになるからです。
ONE-IN-FIVE
多様な有権者
世界の不確実性が増すなか、社会を担っていく若者の動向が注目されるのはどこの国でも同じでしょう。とりわけ米国では、どの世代よりも多様な人種が集まるZ世代の声は、非常に重要になります。
国勢調査局のデータに基づくPew Research Centerの分析によると、Z世代の有権者(18〜23歳)の5人に1人(22%)がヒスパニック系。もっとも大きな割合を占める白人は55%ですが、ヒスパニックに次いで黒人が14%、アジア系が5%、その他の人種や多民族が5%と続きます。
従来、投票率は年齢が上がるにつれて高くなる傾向にあるとされてきました。つまり、若い世代の投票率が年配のそれと比べて低いのが一般的。2018年の中間選挙でもZ世代の10人に3人が投票していますが、この数字はミレニアル世代の有権者の投票率(42%)よりも低く、全有権者の投票率(53%)を大幅に下回っていました。
しかし、2020年に入りパンデミック、Black Lives Matter(BLM)を経た若者にとって、「投票すること」はこれまで以上に大きな意味をなすようになっているようです。
NEED TO CHANGE
変わる意識
Z世代にとって、パンデミックとBLMが「生涯で最も影響力のあるできごと」だと認識されている、と指摘する調査結果があります。
Morning Consultによる13〜23歳までの米国人1,000人を対象とした調査によると、Z世代の75%が新型コロナウイルスのパンデミックが自分たちの世界観に大きな影響を与えたと回答。BLMに対しても68%が同様に答えていますが、その6月の数字は、4月と比較して21%も上昇しています(ジョージ・フロイドさんの殺害事件は5月25日に発生)。
政治情勢の変化に伴い、前回の大統領選でドナルド・トランプが勝利したことも、Z世代にとって重要性を増しているようです。同じMorning Consultの調査で、Z世代の63%がトランプの当選は自分たちの世界観に大きな影響を与えたと答えており、その数字は2カ月で8%上昇しています。
また、BLMは、人びとをジョー・バイデン支持へと向かわせる出来事だったことも指摘されています。BLMを機に、Z世代(ここでは18〜23歳)の53%がバイデンに投票する可能性が高くなったと回答している一方、トランプへの投票についてはわずか13%。ちなみに全成人においては、43%がバイデンに投票する可能性が高くなり、29%はトランプに投票する可能性が高くなったという結果になっています。
1996年以降に生まれたZ世代の有権者619人を対象に行われたMorning Consult Political Intelligenceの調査(9月18〜20日)では、ジョー・バイデンを支持する人が65%、トランプが27%と回答しています。
先述した通り、米国におけるZ世代は多様性豊かな世代です。9月時点で、バイデンに投票すると答えた非白人は74%、対するトランプ支持は17%という結果に。また、「ジェンダーエクイティ」の観点から選挙戦をみるならば、女性のバイデン支持も68%と高くなっている点も注目すべきでしょう(トランプ支持は21%)。
TO VOTE
投票を促す
受け身ではなく、行動に移すのがZ世代。バイデンを支持する若者たちは、「打倒トランプ」をスローガンに掲げ、キャンペーンを進めています。
CNNによると、Dream Defenders、March For Our Lives、Sunrise Movement、United We Dream Actionといった組織の主催者が連携し、「Count On Us」というプラットフォームを生み、人種的正義や気候的正義、移民の権利、銃規制を主張する若者たちにコミュニティの場を提供しているといいます。
このネットワークには、何十万人もの若者が参加しているようです。投開票が行われる11月3日までのあいだ、Count On Usは、フォーンバンク、テキストバンク、ソーシャルメディアキャンペーン、対面での行動など、有権者と直接的に接触することを通じて、メンバーのネットワークを動かしていこうとしています。主催者によると、彼らは集団の力を利用し、今年の選挙やそれ以降の選挙で、彼らの足跡を残すために力を合わせているといいます。
他にも、バイデンへの投票を促すために設立されたビューティブランド「Biden Beauty(バイデン・ビューティ)」も誕生し、話題になっています。いったい誰が設立したかは明らかになっていませんが、同ウェブサイトによると、販売された商品からなるすべての収益は、民主党全国委員会(Democratic National Committee=DNC)に寄付されるといいます。なお、同ブランドはバイデンキャンペーンまたはDNCと提携しているわけでないとされています。
Celebrity Supporters
セレブも参加
有名人も若者の投票を促すのに一役買っているようです。
元ファーストレディのミシェル・オバマをはじめ、トム・ハンクス、リン=マニュエル・ミランダ、ジャネール・モネイ、クリス・ポール、フェイス・ヒル、ティム・マグロウが2018年に共同で立ち上げた非営利団体「When We All Vote」は、人びとの選挙への参加を促すべく、データドリブンなアプローチを用いて、投票をめぐる文化を変えようとしています。
「若者は非常に強力な有権者集団であり、もし彼ら全員が投票したなら、この国の流れを真に変えられます」と、同グループのコミュニケーション、文化、メディアパートナーシップ担当チーフオフィサーであるステファニー・ヤングはNPRに対して話してます。
ヤングは、若者へのアプローチとして、彼らに人気のあるブログやソーシャルメディアなどで彼らを巻き込む必要性を強調しています。その一例がオバマによるInstagramライブで、開催されたインフルエンサーたちとの対談は若者の注目を集めました。
Instagramでは、多くのセレブたちが自分たちが投票済みである発信し、投票を促しています。Z世代では、ジョーイ・キング、ヤラ・シャヒディ、エル・ファニングなどのポストをはじめ、ビリー・アイリッシュは自身のウェブサイトにて投票するよう発信しています。
WHO SUPPORTS?
トランプ派は?
一方で、Z世代の有権者の27%がトランプに投票する予定だということが、Morning Consultによる調査で明らかになっています。トランプのリーダーシップを「感動的」なものとして見ている人がいるのも事実です。
「彼の大胆不敵さは、わたしには刺激的に映ります。確かにポリティカリー・コレクトネスを欠いてはいますが、誰が何と言おうと気にしない姿勢には感心しています」と、ペンシルバニア州立大学で政治学と犯罪学を学ぶアビー・ウィンコット(Abby Wincott)は、『Journey』に対して述べています。
しかしながら、バイデン優勢を伝える別の調査もあります。タフツ大学の研究センターCIRCLEの調査によると、2018年に共和党を支持した若い有権者の5人に1人近くが、今年はバイデンを支持する予定だといいます。
NPRによると、ジョージタウン大学の20歳の学生であるマイク・ブロド(Mike Brodo)は、共和党員が正しく問題に向き合っていないため、若い共和党員がしだいに離れていっていると示唆。とくに、気候変動、LGBTQの権利、人種的不公平などにおける共和党の姿勢が問われていることが指摘されています。ブロドと若い共和党員たちは最近、不満をもつ若い共和党員にリーチすることを目的としたグループ「gen z gop」を立ち上げたともNPRは伝えています。
4年前の選挙の際は「トランプに大反対」だったものの、今年は100%トランプに投票するという声もあるようです。
DOES IT REALLY WORK?
若者の力で変わる?
State of Changeの予測によると、2036年、全有権者の55%がミレニアル世代とZ世代によって占められるとされています。2028年までには、高齢者と白人が多く住んでいるといわれるコロラド州やジョージア州、テキサス州、アリゾナ州だけでなく、ミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルバニア州、ミネソタ州、オハイオ州、アイオワ州でも、彼ら若い世代が有権者の少なくとも40%を占めるようになると考えられています。
これは共和党にとって憂慮すべき傾向であると、『The Atlantic』では論評。Pew Research Centerによる別の調査で、アナリストは「ミレニアル世代と同様に、Z世代は問題解決のために企業や個人よりも政府に期待する傾向が高い。そして、そのほとんどが、国内における人種や民族の多様性が高まっていることをよいことだと考えており、彼らは前の世代よりも米国を他国よりも優れていると考える傾向が少なくなっている」と述べています。
世代の人口割合や多様性ということを考えると、これからの米国を担っていく若者たちの票の重要さは、いや増すばかりなのです。
This week’s top stories
今週の注目ニュース4選
- より快適なメールボックスに。スタートアップMailmanが、Gmailユーザーが自分の受信箱をよりよくコントロールできるようにするためのサービスを発表しました。新しいプラットフォーム、新しいアドレスを使う必要がある他社ツールとは異なり、同サービスは既存のGmailアカウントと連携して、迷惑メールのブロック、Eメールの一括配信などを行うことができます。
- ドリンクを「断捨離」。Coca-Cola(コカ・コーラ)は最も収益性の高い製品にフォーカスするために、取り扱う200ブランドを販売中止することを決めました。リストには、Tab、Zico coconut water、Odwalla、Coca-Cola Life、Diet Coke Feisty Cherry、North Neck Ginger Ale、Delaware Punchなどが含まれているといいます。
- 億万長者のラッパーがマリファナブランドをスタート。「Monogram(モノグラム)」を立ち上げたのは、ビヨンセ(Beyoncé)の夫としても知られるジェイZ(Jay-Z)。カリフォルニアを拠点にするマリファナのマーケットプレイス「Caliva(カリバ)」と提携しているといいます。ウェブサイトがすでに公開されていますが、販売する製品、発売日などの情報はまだありません。
- ファッションは死んでいない。コロナウイルスの影響で大打撃を受けているファッション業界ですが、このパンデミックで改めて、目まぐるしく変化する動きや生産過程を見直す人たちもいます。新しいブランドも設立されている現状をみるに、若い世代にとっては特に、「大きいことが必ずしもよいとは限らない」時代になっていることが明らかになったのかもしれません。
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