Thursday: MILLENNIALS NOW
ミレニアルズの今
テクノロジーの進化や、COVID-19のパンデミックやBLM運動、気候変動などの社会問題がもたらした、GenZのデートの新ルール。しかし、過程が多様になっても、最終的に求めている「こと」は変わっていないのかもしれません。
これからの“出会い”はどうなってくのでしょうか? テクノロジーの進化によって、デートの風景はすでに多様化しています。ほんの10年前ですら、スマホの画面で一度右にスワイプするだけで、将来の人生のパートナーに出会えるなんてことは、考えられませんでした。
「今後数年で、デートは非常に個性的なものになるでしょう」と言うのは、心理療法士のクリスティ・オーバーストリート(Kristie Overstreet)。博士号をもつクリニカルセクソロジストでもある彼女は、マッチングアプリサイト「Bumble」で次のようにも述べています。
「好きな食べ物を注文するように、ルックスから住んでいる場所まで、相手に対する自分の好みがはっきりします。幸せな人生を保証するものではありませんが、より効率よく人と出会える機会を与えてくれます」
VIRTUAL DATE
バーチャルデート満喫
若者を代表するZ世代(GenZ)が考えるデートのルールも、変わってきているようです。
固定電話を使ったことがなく、幼少期からスマホを手にしていたGenZは、会話の大半を「デジタル」で済ませます。18歳〜24歳が「どのようにデートしているか」、Think with Googleが2018年に調査したところ、そのコミュニケーションはビデオ通話やテキストが主要になっていることが分かりました。
18〜24歳までの半数以上(51%)が、ビデオやバーチャルデートを重要視していると回答。また、21%は、テキストでの会話そのものをデートとみなすこともあるといいます。
また、41%は、動画サイトを通じてマッチングアプリについて学んでいることも分かりました。これらの結果は25〜34歳のミレニアル世代に比べてもはるかに高く、GenZがいかにそれ以前の世代と異なるかを浮き彫りにしています。
Globalization and Diversity
多様性とグローバル化
とくに米国におけるGenZが、歴史上最も民族的・人種的に多様な世代であることはよく知られています。Pew Research Centerの調査によると、4人に1人がヒスパニック系、14%がアフリカ系アメリカ人、6%がアジア系。ジェンダーやアイデンティティに関する彼らの見解は広く、あらゆる種類の多様性を受け入れています。
先に挙げたThink with Googleの調査によると、64%が「マッチングアプリのおかげでデートする相手がより多様化した」と回答しているほか、65%は「自分の住んでいる場所以外の人とデートできるようになった」と答えています。
また、公共宗教研究所(PRRI)が発表した2020年米国価値観調査によると、米国人の3分の2以上が同性婚を支持しており、過去最高の数字になったことが分かりました。全米各州の2,500人以上の回答者を対象に、LGBTQの権利、移民、人種的正義、パンデミックなどの問題についての意見を聞いたところ、約70%の米国人が同性カップルに結婚する権利を認めることを支持していると回答。28%は反対していると答えています。
なお、2017年の同じ調査では、同性婚を支持していたのは61%。3年前と比べて9ポイント支持が高まったことがわかります。
POLITICS PONT OF VIEW
政治的視点
リベラルかつ革新的な考えをもっているとされるGenZ。米国ではBlack Lives Matter(BLM)運動の盛り上がりが顕著ですが、同世代が世界中の気候変動への抗議活動に参加していることを見ても、その傾向は明らかです。
GenZは、そうした行為がただの「パフォーマンス」ではなく「本心」から生まれていることを重視しています。『VICE』は「Wokefishing」(デートの相手に好印象を与えるために、革新的な活動を支持しているふりをすること)の傾向を調査していますが、実際、デート前にお互いの考えを「確認」するケースはよくあるようです。
自分と波長の合うパートナーを選ぼうとするのは当然のことですが、その傾向は、パンデミックやBLMでより先鋭化したようです。マッチングアプリ「Match」による独身者を対象とした調査Single in Americaの最新データは、10人に1人の若い独身者(GenZとミレニアル世代)が、「会話を始める前に」パートナー候補の政治的見解を知りたいと考えていることを示しています。
気候変動に関する問題もまた然り。マッチングアプリ「OKCupid」では“thunberging”(名前の由来は、もちろんスウェーデンの環境活動家Greta Thunberg、グレタ・トゥーンベリです)なることばが生まれ、多く出現しています。
同アプリのユーザープロフィールで「気候変動」が登場する数は、過去2年間で240%増加。「Tinder」でも、GenZの利用者が2019年に最も言及したトピックに「環境」「気候変動」「社会正義」が含まれていたことが分かっています
TO BE SECURED
曖昧さとフックアップ
とはいえ、マッチングアプリの登場でより簡単になった「フックアップ」(一夜限りの恋愛)は許容している様子。2019年の「Single in America」の調査では、GenZの70%が「堅実な恋愛をしたい」と回答しつつも、フックアップカルチャーが必ずしも悪いものだとは考えられていません。
彼らはマッチングアプリの価値を「ある時は人間関係のため、ある時は友だちのため。より可能性のある恋愛や性的なつながりをもつ方法」として捉えていると、「match」の顧問を務めるセックス研究家のジャスティン・ガルシア(Justin Garcia)は『USA Today』に対してコメントしています。
「reddit」では「Why is gen z so focused on hookup culture?」(なぜGenZはフックアップカルチャーを重要視するのか?)というスレッドも大盛り上がり。「誤解しないでほしいのは、わたしたちの世代は以前の世代に比べて“行き当たりばったり”かもしれないけれど、多様な趣味やライフスタイルをもっているってこと」「あくまでも持論だけど、たぶん多くの人が、結婚や交際で親が自滅していくのを見ていたからじゃないか」「フックアップカルチャーへの参加は、安定した長期的な交際ができるまでの“場所取り”」などといった意見が交わされています。
COMING BACK
消えたのに戻ってくる
人とつながりやすくなった一方で、“急に消える”のが簡単になったのも事実です。今、恋愛については突然姿を消す「ghosting」だけでなく、一度消えた人がまた現れる「zombieing」もトレンドとして上がっています。
zombieingについては、セックス専門家のマーラ・レネー・スチュワート(Marla Renee Stewart)が『Refinary29』で次のように述べています。
「“ゾンビ化”する人びとの動機はさまざま。退屈だからかもしれません。誰かがゾンビになっている場合、それは彼らがエンターテイメントの中に戻りたいという願望があるからでしょう」
また、リレーションシップを築くためのアプリ「Clarity(クラリティ)」の専門家でもあるケイト・バレストリエリ(Kate Balestrieri)は同誌に対し、
「zombieingは、“注意を求める行動”と呼んでいます。自分への反応を得ることができるかどうかを確認したいのです。自分自身についての価値を低く感じている場合、その検証方法として”戻ってくる”のです」
もちろん、逃したチャンスを取り戻すためだったりする場合もあるかもしれませんが、恋愛における関係性の「ライト」さを伺えるような、現代らしいトレンドであることは間違いなさそうです。
NOT “THE ONE”
運命の人はいない
ミレニアル世代にとって“ラブコメ”は慣れ親しんだ存在で、その両親も20代で結婚しているケースが多いとされています。ゆえに「運命の人」の存在を疑わない傾向にあるとする調査結果もありますが、GenZはそうではありません。
「20代前半はカジュアルなセックスを重視するけれど、20代後半から30代前半には落ち着こうと思う。結婚して子どもを持つことを考える前に、自分の好きなものを見つけて、自分の中の“システム化されたもの”を解放することに重点を置いている」と、『VICE』に対して述べたのは、23歳のソフィー(Sphie)。
「『運命の人』なんて概念は全く理解できない。存在するかどうかもわからないし、ましてやマッチングアプリで出会える可能性がどれくらいあるのか。わたしたちの世代は、人間関係がうまくいくように努力することが大切だと気付き始めている」ともコメントしています。
WANT TO GET MARRIED
でも、結婚はしたい?
米ウェディングサイト「the knot(ザ・ノット)」の調査によると、GenZを含む18〜29歳までの世代と一部ミレニアル世代の80%は「結婚する日」について考えていて、それは2〜5年以内になると予測しているようです。
彼らは伝統的な「家族の価値観」を共有したいと考えており、実に69%が、家族は「人間関係において最も重要な要素」だと評価しています。さらには半数近くが、結婚のロールモデルとして、自分の両親を挙げているほどです。
同時に、回答者の約半数が、結婚前に経済的に自立し、安定したキャリアに就きたいと考えており、4分の3は結婚前から配偶者と同居するべきだと考え、半数以上が結婚前の同居を必須としています。
一方、TD Ameritradeが2019年に行った調査によると、15〜21歳までのGenZの58%が結婚を考えていると回答(3%がすでに結婚)。22歳〜28歳までのヤングミレニアル世代は19%がすでに結婚していて、50%の人が結婚予定であることが分かっています。
「reddit」でもGenZの結婚観に関してはさまざまな意見が飛び交っています。しかし、GenZは多様な方法でデートし、ボーイフレンドやガールフレンドを見つけ、相手に求めるものや関係性が変わったとしても、意識的には結婚がまだ当たり前の概念として捉えられているのかもしれません。
This week’s top stories
今週のニュース4選
- マクドナルドも人工肉採用へ。米McDonald’s(マクドナルド)は来年、植物由来の肉を使用したハンバーガーやチキンなどを含む「McPlant(マックプラント)」を展開すると発表しました。一方、Burger King(バーガーキング)は昨年、Impossible Foods(インポッシブル・フーズ)の「Impossible Whopper(インポッシブル・ホッパー)」、White Castle(ホワイトキャッスル)は2018年に「Impossible Slider(インポッシブル・スライダー)」を発売しています。さらに、KFCは昨年からBeyond Meat(ビヨンドミート)との提携で「Beyond Fried Chicken(ビヨンドフライドチキン)」を提供しています。ライバルにようやく追いつき始めている、と言えるでしょう。
- 「万引き」コミュニティが伝えたいこと。TikTokでは、“万引き”のオンラインコミュニティ「Borrowing TikTok」が匿名で立ち上がっています。共有されるのはいわゆる“ハウツー”ですが、Borrowing TikTokは物を盗む方法を教えるだけではないというのが関係者たちの主張。資本主義に対する疑問から始まった政治的メッセージでもあるというのです。
- セレブも御用達「若者のバーキン」。2010年代の最も重要なアクセサリーのひとつに数えられている、Telfer(テルファー)のアイコニックな「テルファーバッグ」。リベリア系米国人のデザイナーTelfar Clemens(テルファー・クレメンス)が手がける同ブランドのバッグは、若者からの支持も篤い米下院議員、Alexandria Ocasio-Cortez(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)のお墨付きでもあります。他にも、Oprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)がお気に入りと公言するなど、さらに人気が高まりそうです。
- イヌが人間の老化の「モデル」に? イヌの性格が、時間の経過とともに変化することが研究者によって発見されました。ヒトと同じように、イヌの性格も変化していくとのこと。イヌが年を取るなかでDNAに何が起こるか、思春期に、あるいは老年期にはどう行動するのか…。これらを知ることで、人間の老化についても学ぶことができるといいます。
👤 アカウントページで登録メールアドレスを変更いただいても、ニュースレターのお届け先は変更されません。メールアドレス変更の際にはアカウントページで設定後、こちらのアドレスまでご連絡ください。
🎧 Podcastも、ぜひチェックを。Spotify|Apple
📨 Twitter、Facebookでも最新ニュースをお届け。
👇 のボタンから、このニュースレターをTwitter、Facebookでシェアできます。ニュースレターの転送もご自由に(転送された方へ! 登録はこちらからどうぞ)。