Guides:#30 気候テックの神話・下

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A Guide to Guides

週刊だえん問答

Quartz読者のみなさん、こんにちは。世界はいま何に注目し、どう論じているのか。週末ニュースレターでは、米国版Quartzの特集〈Field Guides〉から1つをピックアップし、編集者の若林恵さんに解題していただきます。今週は先週に引き続き、「気候変動」をめぐる論点に挑みます。

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Image: ILLUSTRATION BY TSJISSE TALSMA

──前回に引き続き「気候テックの神話」というお題で、今回はその後編ということですが、前回はしかし、要領を得ない話でしたね(笑)。

あれ、そうでしたか。

──わかったような、わからないような。

まあ、そうですよね。自分もよくわかっていないですから(苦笑)。今回は、もう少し実際的な話にしたいと思っています。

──ぜひ、お願いします。

しかし、あれですね、菅内閣というのは、想像していた以上に厳しいですね。

──言ったそばから、本題から逸れる……。

いやあ、永田町・霞ヶ関の動向については、あまり腹を立てたりしないようにしているので、そこまで気にはしないのですが、昨日知人が送ってきてくれた記事を見て、「は?」と思ってしまい。そこから別の知人に尋ねてみたりしているうちに、久々に腹が立ってきてしまいまして。

──どうしたんですか。

こういう記事を読んだんですね。共同通信の〈政府、『Zoom』の利用を解禁:議員説明、質問通告に活用〉という記事です。

──ん? 禁止にしたのではなく、解禁? 意味がわかんないですね。

わからないんですよ。アメリカを筆頭にカナダ、英国、台湾などが政府機関でのZoom利用を禁じているところ、なぜこの期に及んで「解禁」なのかと思って、別の知り合いに「どういうこと?」って問い合わせてみたんです。そしたら、わたしは知らなかったのですが、NECがですね、日本国内でのZoomの販売代理をやっているんですね。それも、「第1号販売代理!」などと威張っていらっしゃる。

──え、なにそれ。

先の共同通信の記事によれば、「ズームを利用する際、議員とのやりとりが第三者に傍聴される可能性もあるとして『情報の機密性管理』を要請。機微な情報を扱う場合には別の会議システム『Webex』を利用し、省庁側で会議を主催するよう求めた」とあるので、おそらく指摘されている問題点を認識はしているようですが、それを認識した上で、わざわざ「導入解禁」を謳うところを見るとかえって裏がありそうに見えますよね。Zoomの脆弱性の問題で世界が揉めていたのは主に4月くらいの話で、その時点からずいぶんアップデートがあるようですので、興味ある方はこの記事〈Zoom security issues: Here’s everything that’s gone wrong (so far)〉を見ていただくといいかもしれません。

──なんなんでしょう、NECが泣きを入れて解禁してもらったと、そういう話ですか?

そこまでは言ってませんよ。とはいえ、こんな調子で「DXだ」「デジタル庁だ」とおっしゃってるわけですから、推して知るべしというところなのかもしれません。知り合いは「何周回遅れなんだ」と嘆いていましたが、周回遅れどころか、どこを向いてレースが進んでいるのかもわからないといったありさまのようにも思えます。

──なんだか、こちらまで腹が立ってきました(笑)。

Zoomは、確証はないものの中国政府との関係性が長らく疑われてもいますので、それ自体が政治的にもデリケートなトピックなはずですから、このニュースがもつメッセージ性が考慮されてもいいもののようには思います。この間にも、中国の外相にいいようにあしらわれたり、「RCEP」(地域的な包括的経済連携)の締結といったこともありましたので、そうした流れのなかでうっかりこうしたニュースを見ると、「日本はすでに中国の属国か」って気分にもなってきますね。実際、ソーシャルメディアではそうした声が大きくなっていますね。

──大丈夫なんでしょうか。

ついでにRCEPについては、いわゆる関税撤廃の話なのかと思っていましたが、報道によるとそれだけではないんですね。『BBC』のニュースからの引用です。

「RCEPでは20年以内に輸入品に対するさまざまな関税が段階的に撤廃される。関税削減に加えて、知的財産や通信、金融サービス、Eコマース(電子商取引)、専門サービスといった分野で共通ルールを設ける」(〈日本など15カ国、RCEPに署名 世界最大規模の自由貿易圏にBBC

──「知的財産、通信、金融、Eコマースで共通ルール」って、どう考えたらいいのでしょうか?

普通に考えると、中国のサービスがどんどん入ってくるようになるように思えます。あるいは、知的財産については、その権利の売買がある程度自由化していくということが含まれるのであれば、コンテンツ産業も中国資本に飲み込まれていくことも想定しうるのかもしれません。この連載の前々回だったかと思いますが、テンセントが向こう3年で、コンテンツに1兆6,000億円の資本投下を行うというニュースを紹介したと思いますが、そうした動きとRCEPがどうつながるのか、興味深いですよね。

──もはやそういう趨勢にあるってことなんでしょうか。

さあ。日本政府、というか菅内閣が今、どういう方針で何をやろうとしているのかわかりませんが、こうした流れを見ていると自称保守のみなさまが政権を「売国奴」と罵るのもさもありなんという気がしますね。

──デジタル庁に外国人を登用するともいわれていますが、こうした流れで見ると、ここで言う「外国人」は、中国人を意味するんですかね。

さあ。「デジタル庁」と威勢よくブチあげて、いきなり人材不足で白旗を上げているようにしか見えないダサさは措いておくにしても、そうでないのだとすると、政権がどこぞの国なりに適当に空手形を切ったのではないかと勘ぐりたくもなります。わたしは特になんのシンパシーもないですが、それこそ右派の論客であられる有本香さんという方が「デジタル庁で何をどうするかということが明らかにされないうちに、『海外から人材を受け入れる』ということだけが明らかにされるということは、順序が違うような気がします」とおっしゃっていて、まあ、それはその通りですよね。先にそんなことだけ決めて明かしているのは、なんか目論見があるように見えますよね。

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──とほほ。その一方で、「マイナンバーと銀行口座の紐付け」みたいな話を政府が見送った、なんていうニュースも報じられていますから、もう、なんというか「何してるの?」って感じですよね。

「ミスター・マイナンバー」と呼ばれている、「内閣官房番号制度推進室」の方のインタビューが6月に掲載されていまして、銀行口座との紐付けの意義が語られています。が、まあ、これで説得される人はなかなかいないでしょうね。見送りになって当然としか思えませんが、どうするんでしょうね。

──情けなや……。

そんなに安全だと言い張るなら、自分のマイナンバーをソーシャルメディアででも公開したらいいと思いますけどね。

──あはは。

いや冗談抜きで、エストニアのある行政職員は、出席したイベントのプレゼンの場でごくあたりまえのように公開していましたよ。

──ええ。大丈夫なんですか?

大丈夫なんですよ。インドなどでもそうなのですが、「デジタルID」というものは、それ自体では「本人確認」以上の情報は保持していないので、考え方としてはただの「住所」もしくは「宛名」なんですよね。住所や宛名を知ったからといって「家」に入る「鍵」が付与されるわけではない、というのが、海外などで聞くデジタルIDの基本的な説明なんですけどね。

──はあ。

それと比べると、「マイナンバー制度が始まって5年だが、マイナンバー由来のプライバシーや財産の被害は起こっていない」という説明は、そもそも説明になっていませんし結果をもって意義が正当化されるという論法にしかなっていませんよね。また、「金融機関とマイナンバーの情報が紐づいたとしても、それで国に情報がもたらされることはない」と言われていますが、どういう仕組みでそう言えるのか説明もありませんから、これも「言っているだけ」にしか聞こえません。しかも国税庁の人間ですからね、言っているのが。

──あはは。嫌われるのが仕事の人たちですもんね。そりゃ人選ミスだ(笑)。

「国民の理解を深める」以前の問題かもしれません。

──やることなすこと、ズレてますね。

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で、そろそろ本題の「気候テック」に入ろうと思うのですが、今回の特集の趣旨は、この間、中国が2060年に脱炭素化完了を謳い、それに引っ張られるかたちで日本も2050年というゴールを発表したように、コロナによって世界的なエネルギーシフトが一気に加速し、これまで「グリーンテック」「クリーンテック」と言われていたものが装いも新たに「気候テック」(Climate-tech)という言い方でクローズアップされ、一種の投資ブームが起きているということなんですが、これがなぜ重要な動きなのか、今一度認識しておいた方がいいと思うんですね。

──はい。

まずここで紹介したいのは、〈変容する世界のエネルギー地政図:IRENA Geopolitics 解説記事〉という記事でして、これは、「IRENA」(International Renewable Energy Agency)という再生エネルギーに関する国際機関がまとめた「エネルギートランスフォーメーションの地政学」というレポートをサマリーしたものです。

──面白そう。

詳細はぜひ記事を読んでいただきたいのですが、記事の骨子を簡単に抜き出すと、こうなります。

「レポートでは、化石燃料を中心に形成されたこれまでのエネルギー地政図が、自然エネルギーの急速な普及拡大によってどのように変容しつつあるのか、また、その変容が世界の国や地域のリーダーたちにどのような対応を迫ることになるのかが述べられています」

「自然エネルギーが主流化する時代に入り、国同士の関係や位置づけは再構成されていきます。国際関係における競争力の源泉のひとつは経済ですが、自然エネルギーに関しては技術の面で世界的なリーダーになることが大きな意味をもつようになります。このような競争力の変化が規定する国際関係は非常に複雑であるものの、レポートでは変化の速度を読み解く上では『イノベーション』がカギとなることが指摘されています」

「技術イノベーションをリードする国は、世界的なエネルギー転換の恩恵をもっとも享受すると見られています。これについて、いまや自然エネルギー技術のイノベーションにおける超大国となった中国に敵う国はいません。中国は太陽光パネル、風力発電、電気自動車などを世界でもっとも製造し、輸出し、導入しており、世界のエネルギー転換の最前線となっています。風力発電の部品、結晶シリコン太陽光発電モジュール、LEDパッケージ、リチウムイオン電池の製造付加価値を示す図5は、中国の圧倒的な競争力を表しています」(古屋将太〈変容する世界のエネルギー地政図:IRENA Geopolitics 解説記事SYNODOS

──中国が「気候テック」の圧倒的なリーダーであることは、過去にも触れられていましたが、記事中で「図5」として紹介されている「自然エネルギー設備製造による付加価値」という図を見ると、本当にビビりますね。

衝撃的といっていい数値だと思いますが、中国が400億ドルに近い数値で、遠く離れた2位は60億ドル程度ということですから、もうすでにして一人勝ちの様相です。ただ、これを見て「おっ」となるのは、その2位が日本だという点です。

──あ。ほんとだ。2位日本、3位ドイツ、4位アメリカがほぼ同水準で、少し下がって5位韓国、6位台湾、という順序ですね。

というレポート内容を受けて、記事は日本の取るべき針路を概説するのですが、これはおおよそこんな内容です。

「では、変容する世界のエネルギー地政図のなかで、日本は今後どのような方向性に進む可能性があるのでしょうか。

ひとつの大きなリスクは、政治経済のリーダー層が、このレポートで示された変化の流れや速度を見誤り、分散型の自然エネルギーがもたらす競争の機会を見逃し、世界のなかで日本が立ち位置を失ってしまうことです」

「日本が分散型への転換に向けた一進一退に時間をかけている間に、中国をはじめとする世界の国々は急速に自然エネルギーを増やし、技術の覇権を競い、新たな影響力を獲得する動きを推し進めています。そして、その変化のスピードは年々速まっているため、気付いたときには日本は見る影もない、という状況に陥ってしまうことが予見されます。世界の急速な変化を認識することは難しく、また、変化は人々の認識を追い越して次々と先へ進んでいくため、政治経済のリーダー層は特に積極的に認識をアップデートすることが必要です」

「一方で、日本は東アジアで自然エネルギーを通じた信頼の構築と相互連携をリードする役割を担える可能性もあります。国レベルでは歴史問題や領土問題をめぐって緊張関係があるものの、3.11後に国内各地で立ち上がった地域主導型の自然エネルギーの取り組みには、韓国や台湾などから視察も多く、日本が知見を共有できる重要な分野となりつつあります」(引用同上)

──ふむ。なるほど。さきのランキングを見ると、東アジアは大きなポテンシャルをもっているわけですから、日本がそこにおいてリーダーたりえる可能性はなくもないということですね。希望を感じます。

もちろん、そこにおいては、「政治経済のリーダー層は特に積極的に認識をアップデートすることが必要」という部分が極めて重要にはなってきますから、前回お話したように、経済リーダーであるべきはずの人が「気候変動は陰謀論だ」とか言っている事態は、もう目が当てられません。ただでさえ経済の浮揚の手立てのない日本にとって、再生エネルギー分野は絶好のビジネスチャンスになるはずです。にもかかわらず、「陰謀論だ」と言ってその現実を見ず、ビジネスチャンスを逃しているのだとすると、ビジネス界のビジネスセンスやビジネス力は、よほど無能に近いということになります。仮に気候変動が「陰謀論」だとしても、それにしたたかに乗っかってビジネスするのがビジネスセクターの仕事じゃないですか。

──そうですよね。「陰謀論」とかいってクダを巻いているだけなら、とっとと退場したらいいんですよね。

おっしゃる通りですね。ちなみに、今年の「Good Design賞」には自分の信頼する方々がたくさん審査員に入っているのですが、今お話したような危機意識を反映したものになっています。広義の「気候テック」と呼べるプロダクトやサービスが上位に入賞していまして、大賞の「WOTA BOX」(WOTA)という自律分散型水循環システムや、金賞のポリエステルのリサイクルを実現した「BRING」(日本環境設計)という事業や、デジタルファブリケーションを用いてつくられた商業施設「まれびとの家」(VUILD)といった事業は、地味ではありながら、日本の技術力やデザイン力がいいかたちで表現されたものだと感じます。

──いいですね。海外からも引き合いがありそうですね。

あると思いますね。聞けば「BRING」は、海外のアパレル企業だったかと提携が進んでいると言いますし、こうした企業やサービスを日本経済の真ん中にどんどん送り込んでいくことを、ほんとうは国全体としてやっていくべきなんですよね。

──いつまで家電とクルマを日本経済の真ん中に置いているのかと思いますもんね。

いい加減に、価値軸を変えた方がいいですよね。変われない大企業は、もはや社会のお荷物でしかないと社会全体として認識した方がいいと思いますし、先の記事にあったような「変化の速度や流れ」が見えない「リーダー」は、ほんとうにとっとと退いていただいて、のんびりNetflixでも観ているか、地道に自分のコミュニティに貢献するなどして過ごしていただきたいですね。

──今回は珍しく攻撃的ですね。

これまで割とオブラートに包んで遠回しに言ってきたのですが、急激に世界が動いているなか、のほほんとしたバカどもに任せておく時間は、もはやないような気がしてきました。

──あはは。

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というなかで、今回の〈Field Guides〉で注目されているのは「金融」なんですね。

──と言いますと。

前回のグリーンテックブームは、結局のところ、それがデジタルテックへの投資のような短期リターンが望めない分野であることがわかった途端、投資家が離れてしまったんですね。今回の特集は、そうした投資家たちの短視眼を諌める格好で、〈気候危機を解決するのはシリコンバレーではなくウォール街(Wall Street is the key to solving the climate crisis—not Silicon Valley)〉という記事で、長年気候テックに投資してきたVCのインタビューを掲載し、こんなやり取りを紹介しています。

「(どのテクノロジーに投資するのかを決める基準があるかと訊かれて)退屈なものである必要がある。退屈であればあるほどいい。私たちが投資しているのは90年代に株式公開したような20年以上の実績があるような企業たちだ。初めのうちは誰もが燃料電池や水素は怖いと思っていたけれど、長い目で見れば、テクノロジーはどんどん成熟していく」

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──退屈であればあるほどいい、というのは面白いですね。

さらに面白いのは、最近の研究によれば、例えばソーラーエネルギーは、もはやどのエネルギーよりも安い投資対象になっているそうですが、それがなかなか広まらないのは、それがコストの問題ではないと指摘しているところで、インタビューを受けているVCは、「古いインフラを新しいインフラへと転換するために重要なのは、コスト効率ではまったくない」と結論付けています。

──何が重要なんですか?

グリッドのセットアップの仕方や、規制のフレームワーク、あるいは労働者の配置といったことが重要だと彼は言っていまして「イノベーション=金」と勘違いしているシリコンバレーのマインドセットが、この分野においていかに有害か語っています。さらに、〈気候テックスタートアップをファイナンスする方法(How to finance a climate tech startup)〉では、MITが2016年に発表したレポートを紹介していまして、ここでは、「VCモデルはクリーンテックには通用しない」とされています。

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──気候テックは、そもそもが資本集約的で、かつそれが成熟するまでに時間がかかるのだとすると、国の関与も重要になってくるでしょうし、さらには新しいタイプの資本調達の仕組みも必要になってきそうですね。

そうですね。〈投資家たちがシリコンバレーの気候ブームに賭けている理由(Why investors are betting on Silicon Valley’s second climate boom)〉では、来るべき都市環境をテーマに投資を行うような投資ファンド「Urban us」や、公共の研究所や大学のラボ発の研究に投資する「Activate」、あるいはノンプロフィットのアクセレレーター「Elemental Excelerator」といった新しいタイプのVCが注目を集めているとしていますし、さらにはフィランソロピー系の財団の影響力も強まっていることを明かしています。

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──アメリカは、ビッグビジネスと見ると、金融の仕組みなども柔軟に動きますね。

その辺のスピード感はさすがという感じはしますよね。ちなみに〈VCが支援している気候テックベンチャー(The climate technologies venture capitalists are backing)〉という記事には、現在注目を集めているベンチャーがリスト化されていますので、面白いので見ておきましょうか。

──いいですね。

  • 電気自動車:NIO、Tesla、Rivian、 Lucid、Nicola、Byton、WM Motor、Xpeng
  • 物流:Nuro、Starship、Boxbot
  • マイクロモビリティ:Micro-mobility、Lime、Bird、Ofo、Hellobike、Mobike
  • 航空:Wright Electric、Joby、Eviation、Kitty Hawk、Ampaire、Lilium
  • インフラ・データ:Populus、StormSensor、Overstory
  • 食・代用タンパク質:Impossible Foods、Beyond Meat、Memphis Meats、Ripple Foods、Clean Crop Technologies、Apeel
  • 精密農業:Climate Corporation、Indigo Agriculture
  • リモートセンシング:Descartes Labs、TellusLabs
  • 林業:SilviaTerra、DroneSeed、Wren
  • エネルギー効率:Alturus、Ecomedes、Advanced Energy Solutions、Malta
  • 発電:Tesla/Solar City、Bboxx、Oxford Photovoltaics、Fenix International、Net Power
  • バッテリー:Quantumscape、Quidnet Energy、Lilac Solutions、Form Energy
  • 原子力:General Fusion、Commonwealth Fusion Systems
  • 合成燃料:Prometheus、Nexus Fuels
  • マテリアル:Modern Meadow、Ginkgo Bioworks、Zymergen、Mobius、Monolith Materials、Particle Works、Visolis
  • 産業エネルギー・処理:LanzaTech、Charm Industrial、Sundrop Fuels、Solugen、Dearman、Skyre、Sublime Systems、Via Separations
  • ビル効率:EcoFactor、Verdigris、Katerra、Uplight Energy、Curb、Enlighted
  • CO2:Carbon Engineering、Global Thermostat、Carbon Engineering、Climeworks、Verdox、Mosaic Materials
  • CO2廃棄:Opus12
  • CO2削減プロダクト:CarbonCure、Solidia
  • ジオエンジニアリング:Project Vesta、Ocean-Based Climate Solutions
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──すごいリストですね。

先にインタビューに登場したVCの方が言うように、エネルギー転換というのは「古いインフラを新しいインフラに変える」ということですから、これはもう国家的な一大事業になるわけです。しかも、日本は、デジタルインフラの整備の道筋もロクに立っていないところで、並行してこの大整備をやらなくてはいけないわけですから、もうほんとうに気が遠くなるような話ですよね。

──できる気がしないですね。

いい企業や起業家が出てきていて、地道ながらそれなりの成果も出ているわけですから、それらを国や自治体がちゃんとレバレッジして小さなところからでも変えていけば、そこから道筋が開けていくような気もするんですけどね。バカなトップが、子どもみたいに目に見える成果ばかりを欲しがるからロクなことにならないんですよね。どうせ、結果だって生きているうちに見られないのだから、早いところ次世代にどんどん渡していったらいいんですよ。

──どうせ見られないって、乱暴な(笑)。

そりゃあ、そうじゃないですか。「2050年にゼロ」宣言にしても、現在の内閣にいる人のほとんどが、結果を見ることはできないと決まっているわけで、どうせ自分の手柄にはならないわけですから、とっとと優秀な後続に任せればいいんですよ。って、永田町や霞ヶ関に優秀な後続がいれば、の話ですが。

若林恵(わかばやし・けい) 1971年生まれ。『WIRED』日本版編集長(2012〜17年)を務めたのち、2018年、黒鳥社を設立。NY在住のジャーナリスト 佐久間裕美子さんとともホストを務める「こんにちは未来」をはじめさまざまなポッドキャストをプロデュース。


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本連載をまとめた1冊『週刊だえん問答 コロナの迷宮』が12月8日に発売されます。これまでニュースレターでお届けした全27話に加え、書き下ろし序文やあとがき、さらに台湾のIT大臣オードリー・タンとの対話を収録しています。


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