Christmas Brief
世界で今起きている事
Quartz読者の皆さん、おはようございます。米国の編集部は、クリスマスのお休みのため、2020年最後となる今日のDaily Breifは特別な内容でお送りします。 また、今週お届けした読み上げ音声について、簡単なアンケートを行っています。こちらもぜひご協力ください。新年は1月4日からお届けします。
- 新型コロナウイルスの変異種は各地に広がっている。ドイツ当局は、英国で広がっている新型コロナウイルスの変異種「B117」が、国内で初めて確認されたと発表しました。変異種は、シンガポールやアイルランド、イスラエルでも見つかっています。また、英国では、さらに感染力が強い別の変異種が確認され、感染経路と疑われる南アフリカからの入国を原則禁止しました。フランスは英国との国境封鎖を緩和しましたが、ドーバー海峡では検査のために多くのトラック運転手が足止めされています。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチによると、集団免疫獲得には人口の90%近くがワクチンを接種する必要があるかもしれないそうです。
- 英国とEUがようやく合意にこぎつけた。EUを離脱した後も英国を加盟国とほぼ同等に扱う「移行期間」が31日に終了するまで、わずか1週間でした。英国のEU離脱が決まってから4年半が過ぎ、「英海域でのEU漁船の漁業権」などをめぐり、交渉は期限切れ間近までもつれ込みましたが、「合意なき離脱」という最悪のシナリオは回避しました。英議会と欧州議会による採決は今後、行われます。
- アリババも独占禁止法違反の危機に直面している。中国の国家市場監督管理総局(SAMR)は、Eコマース最大手のアリババ(Alibaba、阿里巴巴)が取引業者に圧力をかけたことが独禁法違反にあたる可能性があるとしています。アリババ傘下の金融会社、アント・グループ(Ant Group)のIPOが中止になるなど、当局の圧力が強まるなか、中国人民銀行も近く、アントを指導するための会合を持つとしています。
- ドナルド・トランプ、混乱を残して休暇入り。退任前最後となるクリスマス休暇で別荘に向かった米大統領は23日、元選対本部長のポール・マナフォートら26人に対する恩赦を発表しました。トランプは22日にも15人に恩赦を与えたばかりです。一方、国防予算の大枠を定める国防権限法案については拒否権を行使すると表明。米議会は改めて採決を行う見通しですが、トランプは新型コロナウイルスをめぐる追加経済対策についても修正を要求しており、議会は休暇後も業務が山積しています。
- 韓国の検事総長が職務復帰。文在寅(ムン・ジェイン)大統領政権が検事総長を停職2カ月とした懲戒処分をめぐり、ソウル行政裁判所は処分の執行停止を認めました。文政権の関係する疑惑を捜査する検事総長と検察改革を進める法相の対立を背景に、懲戒委員会が停職処分を決めていました。文政権は、検察改革の目玉として、政府高官らの不正を捜査する「高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)」の設置を目指しています。
- 日本の前首相は起訴を回避した。夕食会での費用負担をめぐり、検察当局は安倍晋三の秘書を政治資金規正法違反罪で略式起訴しました。安倍は起訴されませんでしたが、事実と異なる説明をしていたことを謝罪しました。
👂21日(月)〜24日(木)までテスト配信した英語での読み上げ音声について、簡単なアンケートを行っています。読者の皆さんのご意見をお寄せいただけますと幸いです。
Charting World Inequality
ジニ係数にご用心
ジニ係数は所得格差を測る上で最もよく知られた指標で、係数が〈0〉なら富の分配が完全に公平であり、〈1〉に近づけばそれだけ所得格差が大きいことを示しています。つまり、数字が小さいほど平等な社会だと考えられているのです。
経済協力開発機構(OECD)や世界銀行といった国際機関が定期的に各国のジニ係数を算出し、公表しています。しかし、その欠点も指摘されています。単一の数字からは格差の詳細はわからないこと、補足する情報がないとほとんど意味をもたないことなどが指摘の根拠ですが、格差をより深く分析するためには他にも以下のような指標が知られています。
- 上位1%所得シェア:上位1%の高所得者層の所得総額が総所得に占める割合
- P90/P10:対象人口の所得を高低順に並べて100分割したとき、低い方から90番目(90パーセンタイル)と10番目(10パーセンタイル)を比較した数字。米国では〈6〉前後で、これは上位10%の高所得者層の所得総額が下位10%の低所得者層の6倍以上であることを意味する
- S80/S20:上位20%の高所得者層の所得総額と下位20%の低所得者層の所得総額の比率
- パルマ比率:上位10%の高所得者層の所得総額を、下位40%の低所得者層の所得総額で割った数字。一般的に、中所得者層の所得総額はGNIのおよそ半分を占め、残り半分は所得額で見て上位10%と下位10%に分割される
HIGH DRAMA
山場を迎える映画館
映画館は幾度となく、ディスラプトされる危機を生き延びてきました。テレビの出現をかわし、ベータマックス、VHS、DVDよりも長生きし、ホームシアターの進化に対抗してきました。1918年に起こった、スペイン風邪の大流行からさえも、映画館は生き延びてきたのです。しかし、消費者の習慣は、携帯機器や家庭での体験へと不可逆にシフトしているようです。加えて、すでに苦戦していたこの業界に(確かに中国は大丈夫でしたが、少なくとも米国では)、新型コロナウイルスが壊滅的な打撃を与えました。ハリウッドは今、映画の優先順位を調整しています。映画館は、ストリーミングとパンデミックのダブルパンチから、生還できるでしょうか?
Quartzのアダム・エプスタイン記者は、映画館の運命に迫った最新の〈Field Guides〉で、絶滅から逃れるための映画業界の最良の選択肢についてお届けしています。
SURPRISING DISCOVERIES
世界のトリビア
- 「久しぶり」のコロナウイルス感染が大問題。台湾のエバー航空が、253日ぶりの市中感染を引き起こしたニュージーランド人のパイロットを解雇しました。
- ネバーランド・ランチは永遠に。マイケル・ジャクソンが愛した場所は、当初の希望価格だった1億ドル(約103億円)の4分の1以下の2,200万ドル(約22.7億円)で売却されました。
- Squareは、Jay-ZのTidalが欲しい? ジャック・ドーシーが、今度は音楽ストリーミングサービスに興味を示しているようです。
- SpotifyのAIが教えてくれる、音楽のセンスの悪さ。あなたのプレイリストに冷たくコメントすることが話題になっています。
- カリブ海地域の先住民の遺伝子は、今も強く残っている。謎を紐解く、新しい研究が発表されました。
【今日の夕方は…】
毎週金曜夕方の「Deep Dive」では、今、そしてこれから世界で起きるビジネス変革の背景にあるカルチャーを深掘りします。今日は、パンデミックの影響がむしろプラスになった、音楽のインディーズシーンで起こっている新たなトレンドを、インドを例に追います。
🎧 Podcast最新回では、古川遥夏さんをゲストに、働き方、コミュニティーのこれからを考えます。Apple|Spotify
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