Guides:#34 働き手たちのアクティビズム・下

Guides:#34 働き手たちのアクティビズム・下

A Guide to Guides

週刊だえん問答

米国版Quartzの特集〈Field Guides〉から1つをピックアップし、編集者の若林恵さんが解題する週末のニュースレター「だえん問答」。メール1通には収まりきらなかった今年最後の「だえん問答」、後編です。

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Image: ILLUSTRATION BY THOMAS WHITE

このニュースレターは、1分違いでお送りしている「Guides:#34 働き手たちのアクティビズム・上」の続きです。

──日本でも「ESG」だ、「ステークホルダーキャピタリズム」だとことばだけは勇ましいですが、こうした動きがいかに企業というもの、そのものに対して根源的な転換を迫っているのか、経営上層部において、どれだけ真剣に考慮されているのか、心もとない感じしかしませんね。

「新世代のワーカーたちはいかにエンプロイー・アクティビズムを再燃させたか」(How a new generation of workers has revitalized employee activism)という記事は、新しいアクティビズムが、いかにこれまでの「労働運動」と異なっているかを解説していますが、まず大きな特徴として、こうした運動が、組合といった組織体によって束ねられているのではなく、セルフオーガナイズ、つまり自生的に組織されるものであることを指摘しています。加えて、なぜこの動きがここまで大きなものになっているのか、その背景として、6つの要件をあげています。おそらく、これは日本でも同じ状況だと思いますので、いま企業とワーカーの間で起きていて、これからも継続していくであろう変化を理解する上で、これは重く受け止めておいた方がいいのかもしれません。ざっと列挙しましょうか。

──いいですね。

  1. 企業は優秀な若者を惹きつけようと「パーパス」(目的)を謳うようになった。
  2. 政治家を変えるよりも、企業を動かす方が社会変革として効果的
  3. 格差が、人びとをより具体的な行動へと人びとを導いている
  4. テックユートピアは搾取工場(sweatshop)でしかなかった
  5. 労働法がもはや機能していない
  6. アフィ二ティ・グループが同じようなアイデンティティや体験をもつワーカーをつなぐようになった

──面白いです。〈1〉については、いま盛んに日本でも企業が「パーパス」や「ビジョン」などを語り始めてはいますが、これは諸刃の剣になりうるということですよね。「パーパス」を謳った以上、それにきちんとコミットしないと社員から非難を浴びると。

先の反対運動などを見ていると、これまでの労働運動と大きく異なるのは、プロテストのテーマが、具体的なビジネス内容にまで踏み込んでいることですよね。つまり米軍やペンタゴンからの受託仕事に対する反対が公然と表明されることになったことです。これは〈2〉の問題とも連動していますが、単に労働環境の問題を越えてビジネス上の経営方針にまで関わるものとなってきますので、会社としては頭が痛いところだと思います。ただ、とはいえ「世界をよくする」といったことを「目的」として掲げてしまっていて、それをエサに採用などもしてしまっていれば、「ビジネスの中立性」といった逃げ口上もだんだん通用しなくなって行きます。

──そうですね。

「企業のトップはいかにエンプロイー・アクティビズムに対処すべきか」(How corporate leaders can respond to employee activism)という記事には、興味深い事例が掲載されていまして、Chefというソフトウェア企業が、移民・関税執行局、税関・国境警備局の仕事を受託したことを受けて、それに反対したワーカーが、社内のデジタルインフラをシャットダウンするという事件が2019年にあったそうです。当時、これらの当局の移民政策に強い批判が集まっていたことから、社員から経営層に対して、非常に大きな非難が出たのですが、CEOは、これらの声に、まず、こう応答したそうです。

「政府から受託するプロジェクトに対して、その部門や省庁からのものはやってよく、どれがダメなのかを選択することは、適正でもなく、実際的でもなく、かつわたしたちのミッションに沿うものでもない」(Barry Crist「Chef’s Position on Customer Engagement in the Public and Private Sectors」2019年9月19日、CHEF BLOG)

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──いかにも企業のトップが言いそうなことですね。

ところが、これに対して、システムをシャットダウンさせたワーカーは『TechCrunch』上で、自分のやった行為に違法性はないことを確認した上で、こう反論しています。

「CEOが公開した返答はまったく逆だと思います。自分たちのつくったソフトウェアがいかに、どのような目的で使われるかを自社のモラル・コンパス(倫理の指針)にしたがって見極めることは、ビジネスにおける責任だと思います」(Ron Miller「Programmer who took down open-source pieces over Chef ICE contract responds」2019年9月23日、TechCrunch)

──で、どうなったんでしょう?

結局CEOは、契約を1年で終わらせ、かつそこで得た収益をチャリティに寄付することを表明し、社内方針を転換しました。その際にCEOはこう書いています。

「私や何人かの経営陣は社内方針に反対していながらも、社員の要望にしたがって自分たちの立ち位置を決定することを行いませんでした。何年にもわたって社員たちが会社の方針の転換を求めて建設的に声をあげてくれてきたことに、いま改めて感謝します」(Barry Crist「An Important Update from Chef」2019年9月23日、CHEF BLOG)

──いい話ですね。そうやって、政府のしょうもない政策を理由に受託企業を断る企業などが出てくると、たしかに政府に対しても一定のプレッシャーにはなりますね。

どうなんでしょうね。日本ですと、公共事業はよほどおいしい金づると見なされているようにも見えますから、勇気をもって断る企業があるのかどうか怪しいですし、テック企業についていえば、インフラ系の企業はどこも国策企業みたいなものでしょうから、最初から一心同体のようでもありそうですし。

──たしかに。

というのも、先のChefの態度とは真逆の態度を取った企業もありまして、暗号通貨の交換所を運営しているコインベース(Coinbase)という企業は、黒人社員から、なぜ会社としてBlack Lives Matter運動への立場を表明しないのか、と突き上げられて、CEOが、「我が社はapoliticalだ」と答え、かつ、社内で政治的なイシューを語ることを禁じるポリシーを打ち出し、そのポリシーが気に入らない者は4〜6カ月の退職金をもって辞めてもらう、としました

──それはそれで強気ですね。

結局、5%、60人ほどの社員がそれで退職したそうですが、この対応はシリコンバレー内でも大きな論議を巻き起こし、ジャック・ドーシーなどが非難するツイートを投稿したそうですが、ジャック・ドーシーはそのなかで、「暗号通貨はそれ自体がアクティビズムじゃないか」と書いています

──なるほど。面白い議論ですね。

コインベースは、暗号通貨というものそれ自体がポリティカルなもので、自分たちがそれでビジネスをしている以上、その政治性について議論することは構わないとしていますが、そうだとすると、社内で論議していい政治的な議題は何で、何がダメなのかを誰がどうやって決めるのか、という問題が出てきてしまうんですね。CEOは、それに対して「社員の良き判断にまかせたい」として回答しています。

──日本政府のコロナ対策みたいですね。

CEOがもし、社員の良き判断に委ねるということを本気で実行しようと思うなら、「何が社員として良き判断」なのか自体を、社員たちが議論して決定しなくてはならないことになりますから、とするなら、結局は社内にオープンな議論の環境がないと困るわけですよね。

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──難しいですね。

おそらくいま見た2つのケースのそれぞれの応答には、それぞれに対して共感する方がいると思いますし、どちらが正しいかを厳格に判断するのは難しいところもあるとは思いますが、ここで問題になっている「ビジネスの中立性」というものについて、いま、非常に大きな岐路にわたしたちが立っているということは、よくよく考えた方がいいのだろうとは思います。

──「お金をもらってやっているだけなんで」という言い訳が、果たしてどこまで有効でありうるのか、ということですよね。

これはここで何度も言ってきたことでもありますが、製品なりを納品しておしまい、でやって来れた時代であれば、そのロジックもそれで完結していたはずですが、いまはむしろ、製品がもたらす「インパクト」や「アウトカム」をきちんと査定しろ、ということになってきており、納品したものがもたらす結果や影響も含めて企業の責任範疇になってきていますので、「あとは知りません」というわけにも行きません。かつ、世の中のデジタル化が一層進行していけば行くほど、デジタルインフラの開発・管理・運用は重要になって行きますが、それが進行していけばいくほど、テックはますますただの下働きになっていくわけでして、それが、モラルコンパスのない「なんでも受託しますよ!」といった便利屋に堕していけばいくほど、テックの仕事は、奴隷化していくようにも思いますので、テック企業がワーカーたちとどういった関係性を構築しうるのかは、重大な問題のように思います。

──先にあげた6つの要件のうち〈4〉にあたる部分の話ですよね。

はい。そんなシステムを入れても誰も得しないようなシステムを売りつけていくようなことをやり続けていれば、当然、ワーカーのモチベーションは下がっていくはずです。ちなみに、2018年のグーグルのストライキを主導したクレア・ステイプルトンは、たとえ労働環境が過酷なものでなかったとしても、ワーカーたちは、「テック仕事がブルシット・ジョブでしかない」ことに気づくだろうと指摘しています。

──デジタルテクノロジーが、新たな官僚主義とブルシット・ジョブとを大量に生み出す可能性があるとしていたデヴィッド・グレーバーの予見が、ここでも。

ステイプルトンは、続けて、こう語っています。

「企業が大きくなり裕福になっていくにしたがって、経営陣が当初のリベラルで進歩的な考えを保つのは難しくなります。そして、中間管理職よりも下のランクの働き手は、自分の役割に意味を見出していくことが困難になっていくのです」

──とほほ。官僚主義が、ただ強化されていくだけという。

クレア・ステイプルトンは、このストライキのあと、企業側からかなり熾烈な報復にあい、結果Googleを追われることとなりましたが、その顛末は『ELLE』に彼女自身が寄稿した手記に詳細に綴られていますので、ご興味のある方は、ぜひ読んでみていただきたいのですが、結構エグいなと思ったのは、このストライキのあとグーグルが策定した新しい「コミュニティ・ガイドライン」において、社内の小グループで政治を論じることを禁じたことです。

──ひどいですね。

ここでようやく先の6つの要点の〈6〉の話になるのですが、ここまで見てきたようなアクティビズムが、ここまで大きな力をもつようになったことのひとつの大きな要因は、やはりデジタルテクノロジーでもあったわけですよね。つまり、それがもたらした最大の効用は、同じアイデンティティや経験をもつ人たちが、可視化され、お互い同士つながることができるようになったことですよね。

──そうですね。

最初の方でお話したHRテック的なものとか、あるいはグーグルの新しいコミュニティ・ガイドラインのような、問題のある管理手法に共通しているのは、ワーカー同士が連帯することを嫌っているところにあるように思うんです。つまり、ワーカーと企業とが1対1でつながっていて、ワーカー同士では隣のワーカーが何をやっているかが見えないようにするのは、管理体制側にとっては一番都合がいいことなんですね。そうすることによって、全体を把握できるのが管理側だけになりますので、全体に関わる意思決定を完全にブラックボックス化することが可能になるわけです。

──ああ、たしかに。

官僚的な組織体のピラミッド構造は、個々人を分断して、ひとりずつサイロに入れて、上からの情報しか入ってこないようにすることで、一番効率よく作動するんですね。であればこそ、そうした組織は、人びとが「横でつながること」を嫌がるんだと思うんです。ところが、デジタルネットワークは、それをたやすく実現してしまいますし、全体に対して声をあげることも簡単に可能にしてしまいます。

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──そうですよね。それは、これまでの組織の根本原理と真っ向から対立するものとしてもあるわけですね。

またまたお名前を出して恐縮なのですが、先日、武邑先生が、バルセロナの市民参加型の民主主義についてお話をされていて、市民主導で政策立案を可能にする「デシディム(Decidim)」というオンラインフォーラム/プラットフォームについて解説されていたのを聞いたのでが、こうした市民からの政策提言のような仕組みは、特段新しいものではないのだと思うのですが、おそらくこうした仕組みがデジタルテクノロジーによってアップデートされうるのだとすれば、それが、広場のような空間で、全員の前で、繰り広げられるところにあるように思うんです。

──なんとなくわかります。企業や役所に対するクレームを直接言うのではなく、パブリックな空間で語ることができる、ということですよね。ソーシャルメディアの力は、基本そこに宿るわけですよね。

もちろん、その良し悪しもあるかとは思いますが、これまでであれば、個々のクレームを1対1で処理していれば、それで済んでいたものが、ソーシャルメディアで暴露されてしまうと、同じ体験をもつ人たちが簡単に組織されてしまうわけですよね。そのことによって、対応も個別にやれていたものが一律で応対せざるを得なくなりますので、たとえば、こっちにはお詫びに5万円を払ったけれど、こっちは1万円で済ませたといった応対もできなくなります。

──たしかに。

世間的にはそんなに大きなイシューでもないかとは思いますが、カルチャー雑誌界隈では、先日から『ラティーナ』という音楽雑誌が、執筆者の許諾なく、雑誌の過去記事をオンラインで販売していたことが発覚し、大炎上しているのですが、抗議の声をあげた一部の執筆者たちがソーシャルメディアで経緯を明らかにしたことから、おそらくは個別になだめすかそうとしていた会社側の動きが、全体に向けて晒されることになってしまったんですね。「こっちにはこういう内容のメールがきたようだ」「こっちには来てない」といったことが、ソーシャルメディア上で、それこそ読者にまで明らかになってしまっているのですが、ここでもひとつの大きな問題は、情報の全体像を把握しているのがあくまでも企業側であることで、ステークホルダーである筆者たちは分断されたまま、個別に横の連携を取りながら個別に情報を収集し、個別に事態そのものの全体像を想像するしかない、ということのように見えます。

──情報を個別化することで、自分たちの都合のいいように情報をコントロールすることができてしまう、ということですよね。

そうなんです。デジタルテクノロジーは、そうしたコントロールを許してしまうものにもなりかねないんですね。

──そうですよね。1対1でやりとりをさせられている限りは、反対意見はなかった、と言われても確かめようがないわけですし、自分と同じ意見の人がいたのかもわかりませんよね。

その一方で、体験を共有し、横につながるツールでもありますので、そうした横の連帯のためのツールを「デジタルツールが働き手たちを動員するのを助けている」(Digital tools are helping employees mobilize the workforce)という記事は紹介していますが、もちろんデジタルツールが完全にオフラインアクティビズムを代替できるわけでもない、と注意を喚起してもいます。

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──諜報合戦みたいになってきそうですしね。

そうですね。結局のところ、問題は、それ以前のところになるのかなと思うところはありまして、文化人類学者の松村圭一郎さんが、雑誌『群像』の連載「国家とアナキズム」で非常に面白い指摘をされていたので、最後にそれを引用させていただけたらと思います。

──はい。

「『政策』という観念は、他者に自分たちの意向を強要する国家や統治機構の存在を前提としている。それは特権階級によってでっち上げられたもので、『人びとが自らの問題を解決する』という本来の『政治』の思想とは相容れない。グレーバーはそう主張する。

『民主主義』といえば、私たちはすぐ多数決のことだと思ってしまう。しかし、グレーバーは『民主主義の非西洋的起源について』で、その『多数派民主主義』が可能になるのは、『決定事項を実行に移す強制力を持った装置』があるからだと論じている」(松村圭一郎「国家とアナキズム」『群像』2020年9月号)

──ふむ。

つまりわたしの理解では、ここで言われていることは「ポリシー=政策」というものは、それを強制的に実行できる機構があってはじめて存在するものだということで、その中身を議論し、こうしたらいいと声をあげることがみんなにできたとしても、あくまでもそれを実行するのは、あくまでも「自分たちではない誰か」、なんですね。ですから結果として、わたしたちは決して「自分たちで問題を解決する」ことができないんです。政策を提案することはできても、実行はできない、という根本的な問題があって、グレーバーは、それは本来的な意味での「政治」ではないと語っているわけです。

──そうか。自己決定できたとしても実行ができないわけですね。

そうなんです。そういう根源的な矛盾がある限り、わたしたちには「自律的」に生きることが阻害されているということにもなるのかと思うのですが、これは行政のみならず、企業というものをめぐってわたしたちが直面している根源的な問題で、それを問わない限り、巷で盛んに言われている「デジタル化」も「分散化」も、ブルシット・ジョブをさらに生み出すだけのことになっていくだけなのかもしれません。「政治」とは、自分たちの手で自分たちの問題を解決することである、というのは重要な指摘だと思うんです。いまの「政治」って結局「自分たちの問題を誰かに解決してもらうための働きかけ」でしかなくなってしまっているわけですよね。現状の制度化では、それしか方法がないのはそうなのかもしれませんが、デシディムに代表される、バルセロナで起きているような変革は、本来そうあるべきはずの「自分たちの手で自分たちの問題を解決する」ものとして「政治」というものを取り戻そうという運動のように見えますし、そこが本質なんだと思います。

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──日本はどうでしょうね。コロナも当面収まりそうもないですし、オリンピックも控えてわけのわからないデジタル化やスマート化も進行しそうですから、ますます世の中のブルシット化が進むことを覚悟しておいたほうがいいんですかね。

一番辛いのは、そうしたことを推進しているのが、悪意すらない、ただのマヌケなのかもしれないという点ですね。ただ、市民や働き手の側には大きな変化の機運もありまして、コロナ禍のなかで、市民に一番大きな行動の変化が起きたのは日本だという記事がつい先日公開されていましたが、Change.orgの調査によると、コロナを通じて署名活動が劇的に増えた国が日本なのだそうです。

──へえ。面白い。

  • 新規で立ち上がったキャンペーン数(219.67%増加)
  • 賛同数(150.56%増加)
  • 新規ユーザー数(41.37%増加)

だそうです。

──いいですね。

ですよね。それこそ足立区の議員さんがLGBTQコミュニティをくさして炎上し、ごねた末に謝罪をしたようなことがありましたが、ああいうのも、これまででしたら、謝罪もせずに済んでいたようにも思いますが、少なくとも、そうした失言が、逃げられないリスクとなることは徐々に認識されつつあるのではないでしょうか。

──そう思っていなさそうな政治家や企業がいくつも思い浮かびますが(笑)。

自分たちの都合で幕引きを図ろうとしても、これまでのようにはそれができなくなっているということは、どんどん身にしみてわかってくるようになると思いますよ。

──だといいですが。ご自身としては、2021年は、どんな1年にしたいですか?

これも冒頭にお話したことと関連しますが、もっと旅したほうがいいのかな、と思ってはいまして。会社でキャンピングカーを買いたいんですよね。どこででも配信とかできるような。

──どうしてですか?

手短に言いますと、多拠点生活みたいなことについて自分なりに考えてみたところ、そもそも「拠点」っていう考え方がつまらんのだろうという気がしまして、興味あるとしたら無拠点かなあ、と思っただけわけです。で、行った先々でできそうなことを考えよう、と、そういうプロジェクトをやってみたいですね。

──いいじゃないですか。

ちなみに余談ですが、この間「プロジェクト」ということばについて、友人と話していたのですが、「プロジェクト」って、日本語で書くと「投企」と書きますが、これは哲学用語でサルトルが使ったものだそうで、「未来に向かって自らを投げること」を意味するというんですね。それ、なんかしっくりきちゃったんです。

──未来に向かって自らを投げる。いいじゃないですか。2021年はそれで行きましょう。

そうしましょうか(笑)。

若林恵(わかばやし・けい) 1971年生まれ。『WIRED』日本版編集長(2012〜17年)を務めたのち、2018年、黒鳥社を設立。NY在住のジャーナリスト 佐久間裕美子さんとともホストを務める「こんにちは未来」をはじめさまざまなポッドキャストをプロデュース。


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