Deep Dive: Crossing the borders
グローバル経済の地政学
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中国、米国、EU諸国に英国、ロシア、南アフリカ……。2021年に向けて世界のリーダーたちが発したことばを集めました。毎週水曜夕方のニュースレター「Deep Dive」では、今世界が直面しているビジネスの変化を捉えるトピックを深掘りしています(英語版はこちら)。
年末年始を迎えるにあたり、世界の指導者たちはソーシャルメディアや電波に乗せて、国民の明るい未来への願いを表明しました。
ある者は2020年に人類が払うことになった犠牲に想いを寄せ、苦難の1年を共に牽引してくれた国民に感謝しました。そして予想通り(?)、ドナルド・トランプ米大統領にとっては、COVID-19ワクチンの開発をすすめた官民プロジェクト「ワープ・スピード作戦」の成功について言及する機会となったようです。
各国のリーダーたちの、希望を感じさせてくれるようなことばを紹介します。
🇦🇺 Australia
「復興は順調」
いち早く、12月中旬に新年のメッセージを伝えたのは、オーストラリアのスコット・モリソン首相。2021年の景気回復について慎重ながらも楽観的なことばを表明しています。
「2021年は引き続き警戒する必要があります。多くの課題に直面していますが、復興は順調に進んでいます。すべてのオーストラリア人は安全かつ効果的なワクチンを利用できるようになり、それは2021年の景気回復のカギとなるでしょう。より多くのオーストラリア人が仕事に復帰し生活を回復させるべく、経済復興計画を継続していきます」
🇨🇳 China
「着実に前進を」
習近平は、大晦日におこなった演説で中国のことわざを引き合いに出しました。
「困難においてこそ勇気と忍耐力が発揮される。ヒスイも、磨かなければよりよいものにならない。岩に深く根を張った竹のように粘り強く、地に足をつけ、繁栄を目指して着実に前進していかなければならない」と語っています。
🇸🇬 Singapore
「光は見えている」
首相の李顕竜は、年始のお祝いを控えるよう市民に要請しています。
「いま、トンネルの向こうには光が見えています。しかし、十分な数の人びとにワクチン接種が行き渡るには、まだ時間がかかるでしょう。いまはまだ、祝福するときではありません。しかし、そのときは必ず訪れます」
🇷🇺 Russia
「ひとつの大きな家族」
プーチンは、新年の挨拶において医師、看護師、現場の医療スタッフに感謝の意を表すとともに、突きつけられた厳しい課題に言及しています。スピーチの最後、彼はこう発言しています。
「この瞬間は、身近な人たち、大切な人たち、国のすべての人たちの幸せと喜びを夢見よう。傍にいる人たちの信頼できるサポートを感じるとき、ロシアはひとつの大きな家族になる」
🏴 Scotland
「復興の年になる」
スコットランドの行政府首相ニコラ・スタージョンは、2021年がスコットランドにとって「復興の年」になるだろうと述べています。「最も暗い1年を振り返るとき、その先には光が見えてくる」と、彼女は語っています。
🇿🇦 South Africa
「最大の努力が必要」
南アフリカ共和国のシリル・ラマフォサ大統領は、現在自国を襲っている第2波について言及しています。
「これからの1年は、非常に困難な年になるでしょう。わたしたちはコロナウイルス感染の第2波の真っ只中にあり、状況は第1波よりもはるかに悪化しているかもしれません。効果的なワクチンの開発が進んでいることは大変喜ばしいことですが、パンデミックが収束するまでにはまだ時間がかかることもわかっています。今後1年間は、わたしたちにとって最大の努力が必要となります」
🇩🇪 Germany
「陰謀論は残酷」
13年間ドイツを率いてきたアンゲラ・メルケル首相は、2021年に首相を辞任する意向を公にしています。彼女は演説のなかで悲嘆にくれる人々への労りに満ちた発言をしました。
「過去15年間で、あらゆる国民がこれほど困難な年に直面したことはなかった。これは誇張だとは思いません。また、わたしたちは、大きな不安を抱えながらもこれほど多くの希望とともに新しい年を楽しみにしていたことはありませんでした」
メルケル首相は、「わたしたちは、その最期のときに寄り添うこともできずに愛する人を失った人たちがどれだけいるかを忘れてはなりません」と述べています。
「わずかな数の無責任な人びとがウイルスを否定しているが、そのことがCOVID-19の後遺症と戦っている生存者たちにとってどれほど苦しいものか。わたしには想像することしかできない」と付け加えたメルケル。「陰謀論は危険なだけでなく、そうした(後遺症と戦う)人びとにとって残酷なものなのです」とも語っています。
🇫🇷 France
「ワクチンに希望」
エマニュエル・マクロン大統領の演説は、警告を呼びかけるような内容でした。「今年最初の数カ月は困難なものになるでしょう。伝染病は少なくとも春まで、この国の生活に多くの負担を強いることになる」
一方で、経済の明るい未来も指摘し、「ワクチン接種を望むすべてフランス人が、ワクチン接種を受けることができるよう」にするための歩みを緩めないことを誓っています。また、「人類の創意工夫がわずか1年でもたらしたこのワクチンに、希望がある」と述べています。
🇬🇧 UK
「一体感を再発見した」
英国首相のボリス・ジョンソンは、同国でアストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発したワクチンを「希望の烽火(のろし)」だと語っています。
2020年を振り返り、「政府が人々にどのように生活するか、どのくらいの期間手を洗うか、どのくらいの世帯が一緒に会えるかを指示することを強要された年」であると述べたボリス。さらに、次のように述べています。
「あまりにも多くの愛する人を失った年だった。だからこそ、悲惨な2020年にさよならを言えるのを喜ぶ人はたくさんいるでしょう。しかし、その前に思い出して欲しいのは、この年はわたしたちが一体感やコミュニティ精神を再発見した年でもあるということです。NHS(国民保健サービス)のスタッフやケアホームワーカーの勇気と自己犠牲を讃えた年であり、何世代にもわたって直面してきた苦境のなかで国を動かし続けようと労働者たちが手を尽くした年でもありました」
Brexitについては、「この国にとって驚くべき瞬間。わたしたちは自由を手にしたし、それを最大限に活用するのもわたしたち次第」だと語っています。
🇨🇦 Canada
「無意味な暴力行為」
カナダのジャスティン・トルドー首相は、パンデミックの間にカナダ人が示した回復力について話したが、2020年のコビド関連以外の課題についてもコメントし、次のように述べています。
「わたしたちのコミュニティに壊滅的な影響を与える無意味な暴力行為がありました。人種差別に遭ったカナダ人、あるいは先住民から、心を痛める話や正義を求める声を聞きました。その声は、わたしたちの国の人種差別、差別、不正に対処するべく、いますぐ行動するよう要請しています」
彼は国民に対し、政府のワクチンに対する取り組みについても伝えています。「2021年、わたしたちは新たな希望とともにCOVID-19との闘いを続けます。カナダ人はすでに安全で効果的なワクチンの投与を受け始めています。わたしたちは、どの国よりも多様なワクチンのポートフォリオをもっており、すべてのカナダ人が1日でも早くワクチンに無料でアクセスできるように、州や準州、先住民コミュニティやパートナーと協力して活動を続けています」
🇺🇸 US
「感謝の電話が…」
演説動画をTwitterに投稿したドナルド・トランプ大統領。この1年で「信じられないほどの根性、強さ、粘り強さ、決意」を示した米国人に感謝の意を表しました。そして自分自身について次のように語っています。
「あらゆる専門家が『絶対に考えられない』と言っていた。トランプは大げさだ、ありえない』と言っていた。そして、われわれはやり遂げた……年末をはるか待たずして。医学的な奇跡が必要だと言われていたが、まさにその通り。これから数年先まで、彼らはこの話をするだろう……われわれがワクチンについて成し遂げた偉大で素晴らしいことについて」
「通常、ワクチンの開発には10年かかる」と続けるトランプ。「『ワープ・スピード作戦』のおかげで、わずか9カ月でワクチンを開発した。われわれはすでに全国的なワクチン接種プログラムを開始し、世界中にワクチンを送っている。世界は恩恵を受け、みんながわたしに感謝の電話をかけてきている」とも語っています。
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