Africa:女性起業家よ、ためらわずに一歩前へ

Africa:女性起業家よ、ためらわずに一歩前へ
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わたしは女性が経営・主導する南アフリカのテックスタートアップを支援する女性エンジェル投資家グループ「Dazzle」のメンバーとして、よく資金調達のピッチに出席します。そのなかで、ある夫婦のチームが印象に残っています。妻のほうはシャイで、ピッチでは最初に自己紹介をしたきり沈黙していました。一方の夫はピッチの主導権を握り、自分たちのビジネスについて雄弁に語り、ほとんどの質問に答えてみせました。

そこでの妻の役割は、「女性を支援する」というわたしたちのジェンダーに関する投資基準を満たすための建前に過ぎない──。ピッチが終わるころには、そこにいた誰もがそう考えていました。結局この夫婦への出資はなりませんでした。

しかし後日、妻のほうから「もっと話すべきだった」という連絡がきたのです。彼女曰く、自分はプレゼンテーションがひどく下手だと感じており、自分のアイデアとビジネスであるにもかかわらず、それをプレゼンテーションするのは夫のほうが上手いと思ったというのです。

こうした状況において、自信の有無は大きな影響を与えます求人に応募する男性が女性よりも多いのも自信のなさに起因しており、これは女性のほうが男性よりも適格だった場合ですら当てはまります。女性が積極的に昇進を求めないのも、インポスター症候群(自分自身の力で成功しているにもかかわらず、それを肯定できず自身を過小評価してしまう心理状態に陥ること)が男性よりも女性、特に有色人種の女性に多いのも、このためです。女性創業者が目立たない理由もまた、ここにあります。

目立たないところでただ仕事に励み、そうかといって必ずしも自分の手柄にはならないという役回りを、多くの女性は好んでいるように感じます。わたしたち女性は、世界的なプラットフォームから講演の依頼があっても、自分たちはテーマについて十分に知らないのではないかと断ってしまいます。仕事に関するインタビューの申し込みがあっても、まだ十分にやり遂げていないと感じて断ってしまったり、旅行やネットワーキングの機会を時間がないという理由で断ってしまうこともあります。自分の最大の敵は自分自身ということが、往々にしてあるのです。

以前、毎日盛大なファンファーレとともに出社してくる上司がいました。彼女は自分の成功や挑戦をチームに声を大にして語り、オフィスという世界で大胆に生きていました。好むと好まざるとにかかわらず、そうして彼女は注目され、大きく羽ばたいていったのです。わたしはもっと多くの女性にそうした生き方をしてほしいと思っています。必要なのは、大胆に勇敢に生きること。あとは、ナイキが言うように「just do it.」(行動あるのみ)です。

わたしにとって、今年は「イエス」という年です。ウェビナーにも、取材にも、ピッチの機会にも、カンファレンスにも、ミーティングにも「イエス」と答える。そうすることによって、「女性は起業したり、ビジネスを率いたり、成長させたりする準備ができていない」というナラティブをまとめて変えることができるからです。わたしたちはもう準備万端です。そして、これからどんどん表舞台に立っていくのです。──Moky Makura(Africa No Filter エクゼクティブディレクター、Quartz Africa 2021 イノベーター


QUARTZ AFRICA INNOVATORS 2021

アフリカの女性開拓者

Africa innovators 2021 logo

先週公開した「Quartz Africa Innovators」リストでは、12カ国、15分野で活躍する20人以上の女性たちを紹介しました。Quartzではさらに、女性主導のイニシアチブによって変化が起きている分野を伝えるべく、QUARTZの記者たちによるエッセイシリーズをお届けしています。


Stories this week

今週のアフリカ

  1. 大規模な解雇。ナイジェリアの企業3,000社近くを対象とした国連開発計画の調査で、新型コロナウイルスのパンデミックによりフルタイムで働いていた従業員の5分の1が2020年に解雇されていたことが明らかになりました。収益が減少し運営コストが増すなか、企業は人員削減を選択した可能性が高いということです
  2. AfCFTAが輸送・物流を促進。アフリカ大陸自由貿易協定(AfCFTA)によってアフリカ域内の貿易が容易になることが見込まれるなか、アフリカの運輸・物流分野の投資先としての魅力が増しています
  3. 空を目指して。アフリカ大陸各地で、超高層ビルの建設計画が複数進んでいます。その高さは、いまある最大級のビルに匹敵するとのことです。こうした建設計画は「経済的に持続不可能」「計画が不十分」「野心的過ぎる」あるいは「間違いなく失敗する」といった批判を受けることがありますが、大規模な投資の対象ともなっています。
  4. キャッシュレスへ突き進むアフリカ。多国籍電話通信企業のMTNと決済サービスを提供するフィンテック企業Flutterwaveの業務提携により、銀行口座をもたないアフリカの何百万人という人びとにモバイルウォレットが提供されるようになるでしょう。最近ではケニアの通信会社であるSafaricomがエチオピアに進出するなどの動きもあり、銀行口座を持たずともメインストリームの金融サービスにアクセスできる手段が増えています。
  5. フィンテックを活用してソーラーランタンを売る。エージェントバンクはナイジェリアの農村部にまで金融サービスを届け、遠隔地にいる顧客たちの入出金ニーズに対応しています。こうしたなか、ナイジェリアを拠点とするフィンテック企業、Infibranchesはこのネットワークを使って人びとにソーラーホームシステムを提供しています
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CHARTING BINGE-WATCHING

チャートでみる

東アフリカ市場における加入者増加を目指すNetflixは、ケニアのAndroidスマートフォンユーザー向けに無料プランの提供を始めました。このキャンペーンをきっかけに最終的には有料プランに加入してほしいと、同社のウェブサイトは説明しています。「まだNetflixをご覧になったことがない人にとって(ケニアの多くの人は観たことがないでしょう)、これは弊社のサービスを体験するまたとない機会です」

無料プランの開始は、アフリカ大陸における定額制ビデオオンデマンドサービス市場のシェア拡大を目指すNetflixの大きな動きと言えます。すでにNetflixは、アフリカに進出した動画配信プラットフォームのなかでは最大の加入者数を誇っており、2026年までその地位は不動だろうと予測されています。しかし、その後は国内外のプラットフォームとの競争により、シェアの縮小が見込まれているとのことです。

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Dealmaker

今週のディールメーカー

  • アフリカで電力ソリューションを提供するZola Electricは製品開発と市場拡大のために、借入とエクイティ型ファンディングを組み合わせて9,000万ドル(約100億4,000万円)を調達しました。TotalEnergies Ventures、Helios Investment Partners、オランダ開発銀行(FMO)、SunFunderをはじめとする多くの投資家が出資しています。
  • エジプトのeコマース企業であるCartonaが、プレシリーズAラウンドで450万ドル(約5億200万円)を調達しました。ドバイのベンチャーキャピタルGlobal Venturesがリード投資家となり、Kepple Africa、T5 Capital、その他のエンジェル投資家たちが参加しました。Cartonaによると、3万店のマーチャントが登録している同社のプラットフォームでは、これまで40万件以上、6,400万ドル(約71億4,200万円)相当の注文が処理されているとのことです。
  • ナイジェリアの食品加工会社であるReelfruitは、シリーズAラウンドで300万ドル(約3億3,500万円)の資金調達に成功しました。資金は同社の新しい工場の建設に充てられ、毎月30トンのドライフルーツを生産する予定だといいます。今回の資金調達では投資会社のAlitheia IDFが200万ドル(約2億2,300万円)を出資し、ほかにSamata Capital、Flying Doctor Healthcare Investment Companyなどが参加しています。

Other things we liked

その他の気になること

  • 米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)にアフリカ出身のリーダーを。米国のジョー・バイデン大統領は、同政権が進める70億ドル(約7,700億円)規模のエイズ救済プログラムのリーダーに、カメルーン人のウイルス学者のジョン・ンケンガソン(John Nkengasong)を指名する予定だと『The New York Times』紙のアプールヴァ・マンダヴィリ(Apoorva Mandavilli)が伝えています。2016年からアフリカ疾病対策予防センター(Africa CDC)を率いてきたンケンガソンは、アフリカ人としては初めてのこの役職に就くことになります。
  • ギグワークの影響。ギグワークプラットフォームは、ライフスタイルや生計、労働形態に変革をもたらしています。テックメディア『Rest of World』で、ホームサービスアプリ「SmartMaid」でベビーシッターや家政婦として活動するノマググ・シバンダ(Nomagugu Sibanda)が、同メディアのノーマ・ヤング(Norma Young)に対し、デジタル化によって自分の生活がどのように変化したかを語っています
  • 先行きが見えないアルジェリア政権。アルジェリアのアブデルアジズ・ブーテフリカ前大統領が2019年、脳卒中で就業不能と思われたにもかかわらず大統領の第5期を目指すと表明したとき、アルジェリアの市民たちは誰が実権を握っているのかと抗議の声を挙げましたた。『Africa Is a Country』の記事の中でマイケル・デ・ヴァルピリエール Michael de Vulpillieres)は、「Hirak」(ヒラク)と呼ばれるこれらの抗議活動が、ブーテフリカ大統領の死後も続いている理由を説明しています
  • チェルシーFCのアフリカ人スターたち。チャンピオンズリーグの覇者であり、プレミアリーグの首位に立つチェルシー。このチームで活躍する選手の中には、望めばアフリカ諸国の代表チームに入れる選手が多数います。エド・ダブ(Ed Dove)は、そのうちの9人をリストアップしています

ICYMI

TODOリスト


🎵 今週の「Weekly Africa」は、セネガルのシンガーMaremaが歌う「Femme d’affaires」(働く女性の意)を聴きながらお届けしました。日本版の翻訳は川鍋明日香、編集は年吉聡太が担当しました。


🎧 Podcastは新シリーズ「お悩み相談 グローバルだけど」最新話公開。好物のウナギが絶滅危惧種だと知った方からのお悩み。人間が生きるために避けて通れない「食べる」という行為と、自分と違う意見をもった他者との向き合い方について考えます。お悩み・お便りもこちらから。AppleSpotify

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