Africa:フランス、アフリカに接近するも…

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Stories this week

今週のアフリカ

  1. 仏によるスタートアップ支援に疑問。8日(現地時間)に開催されたアフリカ・フランス首脳会議で、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はアフリカのスタートアップへの投資を目的に1億3,000万ユーロ(約173億円)規模の基金を新たに設立することを発表しました。しかし、この基金の運営や投資に関してどれだけアフリカ人の意見が反映されるかという点で疑問の声も上がっています
  2. アフリカ史に残る2つのビットコイン詐欺。暗号通貨の導入が最も急速に進んでいる地域のひとつであるアフリカでは、デジタル通貨の人気が詐欺にとっても有利にはたらいています。南アフリカでは2020年、5億8,000万ドル(約672億円)相当のビットコインがだまし取られる大規模な詐欺が発生しました。また2019年には、南アフリカで暗号投資プラットフォームを設立した兄弟が36億ドル(約4,120億円)相当のビットコインと共に姿を消すという事件も起きています
  3. あの買収から1年。急成長中のアフリカのテック企業が、世界最高の評価額を誇るスタートアップに買収されたら何が起こるのでしょう? ナイジェリア発のフィンテック企業であるPaystackが、Stripeに2億ドル(約230億円)で買収されてから約12か月。その間Paystackは製品のアップデートを重ねながら南アフリカにも進出し、アフリカ大陸全土で使われる決済サービスとなるための第一歩を踏み出しました。
  4. ナイジェリア、不正対策を強化。2020年にオンライン取引が急増したことに伴い、ナイジェリアではモバイルアプリからUSSDまで、あらゆる分野で金融詐欺が急増しています。こうした状況を受け、ナイジェリアの中央銀行は顧客データベースの管理を強化するための新しいガイドラインを発表しました

CHARTING THE GENDER GAP

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下の図は、創業者が男性のみのスタートアップ(左)と、創業者が女性のみのスタートアップ(右)、創業者が男女混合のスタートアップ(中央)への資金提供の割合を示した図です。2013年から2021年までのデータが基となっています。

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女性が創業し経営するアフリカのフィンテック企業のうち、少なくとも5社が2021年に100万ドル以上の資金調達を成功させています。こうした企業にかかわる女性の中には、2021年のアフリカにおける最も革新的なマインドの持ち主もいました。しかし、彼女たちの企業は資金調達という男性優位の舞台においてはいまだ極めて稀な存在であることが最新の調査で明らかになっています。

2013年以降の取引を調べたこの分析によると、この期間に投資された総額17億ドル(約1,945億円)のうち、創業者が女性のみの企業へわたったのはわずか3%で、76%は創業者が男性のみのチームに投資されていました。この傾向は2020年にも残っており、フィンテックなどの分野で最も顕著だといいます


Dealmaker

今週のディールメーカー

  • ナイジェリア電波塔の設置ビジネスを手がけるIHS Towersがニューヨーク証券取引所に上場し、初日に3億4,800万ドル(約340億円)を調達しました。今年創業20年目を迎えた同社は、一株17ドル(約1,945円)の株式の売却によって評価額70億ドル(約8,007億円)を達成しており、過去に株式を売却した投資家のなかには大手携帯通信会社のMTNも含まれています。IHS TowersのIPOは、ニューヨーク証券取引所におけるアフリカ企業のIPOとしては最大のものとなりました。
  • ケニアをはじめとする4つの新興市場で個人向けに小規模ローンを提供している創業10年のスタートアップTalaは、株式のみのシリーズEラウンドで1億4,500万ドル(約166億円)を調達しました。投資家にはUpstart、Stellar Development Foundation、Kindred Ventures、J. Safra Groupなどが名を連ねています。Talaは高金利で批判を受けていますが、現在600万人に27億ドル(約3,088億円)のローンを提供していると同社は主張しています。
  • ナイジェリアフィンテック企業Monoは、迅速なデューデリジェンスと積極的な投資戦略で知られる米国の投資会社Tiger Globalが主導する資金調達ラウンドで1,500万ドル(約17億1,585万円)を調達しました。Monoは2020年9月にオープンバンキングサービスを開始して以来3回目の増資を果たしています。また、Tiger Globalによるアフリカの企業への出資は、2021年のFlutterwaveとFairmoneyへの投資に続き3回目となりました。
  • 料理や掃除、洗濯といった家事代行サービスを提供するナイジェリアEdenは、英国のLocalGlobeとSamurai Incubate、Future Africa、Village Global、Rising Tide Africa、Enza Capitalが参加したラウンドで140万ドル(約1億6,012万円)を調達しました。Edenのサービスはラゴスでのみ提供されており、同社のサービスを1つ以上利用しているユーザーは現在600人いるということです。

Other things we liked

その他の気になること

19th-century looters. (Commons/Reginald Kerr Granville)
19th-century looters. (Commons/Reginald Kerr Granville)
  • アフリカンアートの簒奪者。パリからベルリンまで、アフリカンアートは欧米のあちこちの美術館に散らばっています。Nosmot Badamosiは『Al Jazeera』の記事の中で、英国がいかにアフリカ人の反奴隷制の感情を利用してアフリカの美術品を略奪してきたかを語っています
  • アフリカの民話に新しい命を吹き込む。Netflixと国連教育科学文化機関(UNESCO)は、「アフリカで最も愛される民話」を元とした6本の短編作品を制作するアフリカのフィルムメーカーを探しています。この取り組みは、アフリカのコンテンツを世界に広めようとするNetflixの取り組みの一環です。2022年に公開予定のこの新たな作品について、『The Guardian』のLizzy Daviesが伝えています
  • モバイルマネーで音楽を購入する。銀行口座よりも携帯電話をもっている人の方が多いと言われるアフリカ。Nqobile DludlaとSupantha Mukherjeeは『Reuters』の記事の中で、音楽ストリーミング業者が通信会社と提携し、モバイルマネーを使ってサービスの利用料を払えるようにする計画だと伝えています
  • いかにしてアフリカは歴史から消されたのか。近代世界の創造は主にヨーロッパ人の功績とされていますが、そうしたものの源はアフリカの思想やアフリカ人の生活にこそあったのだと、Howard Frenchは新著『Born in Blackness』に著しています。『The Guardian』がその抜粋を掲載しています
  • アフリカンテックにみる中国の面影。『TechCabal』のDaniel Adeyemiは、中国の影響力が拡大するなかアフリカのテクノロジーがどのような影響を受けているかを、Huaweiを例に検証しています。

one more 💡 thing

自助への道

10月初め、アフリカ17カ国の財務大臣は国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事への支持を発表しました。ゲオルギエヴァに関しては、世界銀行の最高経営責任者(CEO)だった時代に、中国に有利になるようデータを改ざんするようスタッフに指示を出した疑惑が浮上しています

2021年9月の調査では、ゲオルギエヴァが世界銀行の報告書「Doing Business」のデータ改ざんで中心的な役割を果たしていたことが判明しています。この疑惑によりゲオルギエヴァのIMFでの進退も問われることになりましたが、IMF理事会は10月11日、不正に関する「決定的な証拠がない」として彼女の続投を発表しています。

アフリカ17カ国の財務大臣たちは声明の中で、これまでゲオルギエヴァとIMFがおこなってきた債務免除などの貧困国救済の取り組み、および2020年に実施したアフリカ経済への300億ドル(約3兆4,300億円)以上の拠出を称賛しました。同声明で大臣らはゲオルギエヴァを「誠実さとエネルギーを示し、進歩的な助言をくれた真のパートナー」と評し、データの改ざん疑惑に関する公正な調査を求めています。

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Image: Kristalina Georgieva, REUTERS

ボツワナ共和国を除き、声明を発表した国々は2020年にIMFから数百万ドルの財政支援と債務免除の救済を受けました。特筆すべきものとしては、エジプトへの80億ドル(約9,147億円)、ナイジェリアへの34億ドル(約3,890億円)、スーダンへの24.7億ドル(約2,824億円)の支援などが挙げられます。またこの17カ国は、ゲオルギエヴァが世界銀行に在任中に「Doing Business」のランキングで平均11位の順位を上げています。

中国に本社を置くアフリカ主導の国際開発コンサルタント会社Development ReimaginedでCEOを勤めるハンナ・ライダーは、アフリカの財務大臣たちはゲオルギエヴァに注目するのではなく、独自のアジェンダを設定し、「Doing Business」に関するバイアスや改革の必要性といった「より本質的な」問題に取り組むことができたはずだと述べています。

そうしたなか、あえてゲオルギエヴァに焦点をあてるという大臣たちの選択は、ライダーに言わせてみれば「協調のプロセスを進化させる必要がある」ことを如実に表しているのだといいます。

──Carlos Mureithi, east Africa correspondent


🎵 今週の「Weekly Africa」は、ガボン共和国のOliver N’Gomaによる「Ngé」を聴きながらお届けしました。日本版の翻訳は川鍋明日香、編集は年吉聡太が担当しました。


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