Special:2021年、世界を変えた40社

Special:2021年、世界を変えた40社

Special

今年、世界を変えた40社

Quartz Japanメンバーの皆さん、こんばんは。今夜、そして明日の夜にお届けする2021年末の特別企画ニュースレター。第1弾は、Quartzが選んだ「2021年を代表する40社」です。顔ぶれを眺めて今年1年を振り返ってみるのもいいものですよ!

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社

40社それぞれにチャートや解説を加えたスライド版がダウンロードできます。こちらからアクセスしてみてください!(PC推奨)

#1/40 Tencent

中国SNSの巨人

音楽ストリーミング、ゲーム、Eコマース、チャットアプリ──。これらの機能はすべて、ある企業の巨大な資金力によって実現されています。スーパーアプリ「WeChat」を運営するソーシャルメディアとゲームの巨人、Tencent(テンセント)です。

中国の大手テック企業の中で最も積極的に投資を行っている同社は「中国のソフトバンク」とも呼ばれており、その異名に違わぬ大きな野心を抱いています。

  • 🚗 Tesla(テスラ):2017年、TencentはTeslaの株式の5パーセントを取得しました。
  • 🎮 Riot Games(ライアットゲームズ):2015年、Tencentは『リーグ・オブ・レジェンド』で知られるRiot Gamesを完全子会社化しました。
  • 🕹 Activision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード):Tencentは『コール オブ デューティ』シリーズなどを開発したActivision Blizzardの少数株式を保有しています。
  • 🤹 Epic Games(エピックゲームズ):2012年、TencentはEpic Gamesの株式を大量に取得しました。
  • 📲 Snap(スナップ):2017年、テンセントは写真・動画共有アプリを運営するSnapの株式の12%を取得しました。
  • 💻 Reddit(レディット):Redditが3億ドル(約340億円)を調達した2019年の投資ラウンドで、Tencentはリードインベスターを務めました。
  • 🎧 Spotify(スポティファイ):2017年、Tencent傘下の音楽配信企業Tencent Music Entertainment Group(テンセント・ミュージック・エンターテイメント・グループ)とSpotifyが株式交換をおこないました
  • 🎼 Universal Music(ユニバーサル ミュージック):TencentはUniversal Musicの株式の20%を保有しています。

#2/40 Jumia

アフリカのアマゾン

いまから9年前、Jumia(ジュミア)は電子機器やファッションアイテムを注文したい人のためのウェブサイトとして誕生しました。その使命はアフリカのeコマースを牽引する企業になることであり、事業もその目的に沿って構築されています。

しかし、野心が大きくなるにつれ損失も大きくなっていきました。その額は実に10億ドル(約1,134億円)にのぼります。Jumiaは現在、「2022年までに黒字化する」という経営陣の目標を達成する方法を模索しているところです。


#3/40 Tesla

クルマもエネルギーも

Tesla(テスラ)は自らをエネルギー企業と位置づけた史上初の自動車メーカーです。最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスクいわく、その目的は世界を「太陽光発電による経済」へと導くことにあります。

それ以来、Teslaはバッテリーやソーラーパネル、自動運転ソフトウェア、屋根用のソーラータイル、(The Boring Companyによる)地下輸送システム、さらには恒星間航行にまで進出しています。2018年にはTeslaの「Model 3」がスペースXの大型ロケット「ファルコンヘビー」に載せられ、火星へと旅立ちました。

こうした野心のいくつかは、会社を何度か倒産させかけています。しかし、いつかその努力が報われる日が来るかもしれません。


#4/40 Spotify

ポッドキャスト革命

2020年4月から10月にかけて、Spotify(スポティファイ)の時価総額は230億ドル(約2兆6,109億円)の企業から470億ドル(約5兆3,354億円)へと跳ね上がりました。なぜか? それは投資家たちが、Spotifyはポッドキャスト版のNetflixになると見込んだからです。

Spotifyの課題は、競合他社とほぼ同じ方法で音楽を提供していることでした。しかし、Spotifyでしか聴けないポッドキャストがあれば、同社は真に差別化された製品を提供できるようになります。ポッドキャストが好きなユーザーであれば、会員登録せざるを得なくなるでしょう。

そうして熱心なユーザーの割合が増えれば、Spotifyが音楽レーベルを必要としているのと同じように、音楽レーベルもまたSpotifyを必要とするようになるかもしれません。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: Spotifyの時価総額。有名MCのジョー・ローガンとのパートナーシップで急伸

#5/40 Casper

睡眠をディスラプト

2014年にCasper(キャスパー)が睡眠の世界(あるいはマットレスの世界)を“ディスラプト“すべく創業したとき、その後の波乱万丈の展開を予想できた人は少なかったでしょう。

創業から数年で、同社はマットレスは実店舗よりもオンラインで購入したほうが良いと多くの人を説得しました。いまや同社は、競合他社がひしめく10億ドル規模のビジネスの先駆者となっています。

2020年2月に上場を果たした際の市場の反応は期待はずれなものでしたが、その後のパンデミックで業績はわずかに改善しました。


#6/40 WeWork

返り咲きなるか?

2020年3月、WeWork(ウィワーク)は上場を試みました。しかし、パンデミックで世界中のオフィスが閉鎖に追い込まれることなど同社は想定していなかったでしょう。

とはいえ、これはWeWorkの長期的な展望にとってさほど悪いことでもないかもしれません。ZoomやSlackでやりとりしている間、オフィスワーカーたちはオフィスに戻ることの意義について考えていたからです。商業不動産のアナリストたちは、コワーキングスペースの未来は明るいと考えています。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: WeWorkのメンバー来訪数を指数化

#7/40 AstraZeneca

一発逆転?

オックスフォード大学ジェンナー研究所が新型コロナウイルスのワクチン開発でAstraZeneca(アストラゼネカ)と提携することを発表すると、アナリストたちは首をかしげました。グラクソ・スミスクラインのような英国のほかの製薬企業と違い、アストラゼネカはワクチン開発で特に秀でているわけではなかったからです。

むしろ同社は比較的小さな企業であり、その歴史は波乱に満ちたものでした。つい最近の2012年まで、同社は深刻な問題を抱えていたのです。しかしその動向に目を向けると、同社は21世紀の製薬会社として成功するための青写真を描いていることがわかります。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: アストラゼネカとグラクソ・スミスクラインの株価の変動

#8/40 Coinbase

暗号通貨に賭ける

Coinbase(コインベース)の創業者であるブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)の勝因は大きく分けて2つあります。ひとつは、ビットコインがいずれ1兆ドル(約110兆円)規模のビジネスチャンスになると早々に気づいたこと。もうひとつは、一般の人々がビットコインにアクセスするためには、規制に配慮したシンプルな方法が必要であるという点に目を付けたことです。

米国最大の暗号資産取引所であるCoinbaseは、彼のそんなビジョンから生まれました。そして2021年4月の上場により、38歳のアームストロングは地球上で最も裕福な人間のひとりとなったのです。


#9/40 AMC Entertainment

「ミーム」の次は?

「混雑した場所」での体験をビジネスモデルの核としていた映画館チェーン大手のAMCは、早々にパンデミックの犠牲になった企業のひとつです。2020年末時点で、同社の将来の見通しはかなり暗いものに思われました。

しかし、2021年1月になると同社の株価が上昇に転じます。これは、人びとが映画館に突然集まってきたからではありません。個人投資家がミーム銘柄となった同社の株に特別な関心をもったからです。AMCの業績はいまだに2019年の数字を大きく下回っており、同社が危機を脱したとは言えません。しかし、暗黒時代を乗り越えさせてくれた個人投資家たちをAMCの経営陣は受け入れています。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: AMCの時価総額

#10/40 Boeing

離陸の準備はOK?

2019年、Boeing(ボーイング)の「737 MAX」が2度にわたって墜落事故を起こし、合わせて350人近くが犠牲になったことが世界中で報道されました。公衆の安全にかかわるこの失敗は、アメリカの資本主義モデルの欠陥を如実に表すものだと多くの人が考えました。しかし、旅行業界がパンデミックの打撃を受けるなかで、Boeingは評判を取り戻そうとしています。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: 青帯は、いわゆる「受注残」

#11/40 Roblox

次世代ゲーム企業

10代や20代と一緒に暮らしていなければ、Roblox(ロブロックス)という名前に聞き覚えがないかもしれません。もし一緒に暮らしているならば、むしろRobloxのこと以外は耳にしないという人もいるでしょう。3,100万人以上のデイリーユーザーを抱えるこの無料のプラットフォームでは、プレイヤーたちが仮想世界で1,200万のゲームを楽しみ、アバターをカスタマイズし、謎を解いたりホテルを建てたりエイリアンを倒したりしています。

Robloxのユーザー属性からは、明るい未来が予感されます。同社が今後もティーンエイジャーたちを惹きつけ続けることができれば、市場を寡占しているほかのソーシャルメディアにいずれ対抗できるようになるかもしれません。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: Robloxユーザーの年齢層

#12/40 Discord

みんなのチャットアプリ

SlackとAOLインスタントメッセンジャーとZoomと怪しげなチャットルームを組み合わせたものを想像してみてください。それがDiscord(ディスコード)のおおよその姿と言えるでしょう。Discordは「サーバー」と呼ばれる閉鎖型のコミュニティを中心に構築された汎用チャットアプリで、さまざまな用途に対応しています。

2015年にサービスを開始したDiscordは、まずゲーマーたちの間で人気を集めました。ゲームについて話し合ったり、お互いのプレイを見せあったりするためにアプリが使われ始めたのです。いまではユーザー層も広がり、Discordは企業としても成長を遂げましたが、その一方でモデレーションや安全性の問題も大きくなっています。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: Discordアプリのダウンロード数の推移

#13/40 Shein

中国発の最先端

ソーシャルメディアを熟知していること、世界最大の製造拠点に近いこと、そしてZ世代の好みを素早く把握すること。これらを実践し、Shein(シーイン)は世界で最も注目される小売業者のひとつとなりました。 Sheinは次のような方法でインターネットを使ってトレンドを先取りしています。

1️⃣ 最も検索された単語を国ごとに調べ、消費者の好みを追跡する
2️⃣ 消費者の検索情報とデザインデータベースをサプライヤーに提供する
3️⃣ サプライヤーが競合他社よりも早い7~11日の期間で生産を完了する
4️⃣ 実店舗をもたないがゆえに少数生産によるテストマーケティングを実施できる
5️⃣ 超低価格を売りにし、常にクーポンも宣伝する
6️⃣ SNSを使うZ世代たちがPR投稿ではないかたちでSheinを宣伝してくれるので、Sheinは顧客の好みに関するデータをさらに収集し、 1️⃣で使えるようになる


#14/40 Twitch

ライブ配信の王者

アマゾン傘下のTwitch(トゥイッチ)は、ゲーマーがプレイの様子をライブ配信するプラットフォームであり、この分野では誰もが認める王者です。ゲーム実況の91%はTwitchで配信されており、1日のどの時間帯で見ても200万人以上がこのプラットフォームで配信を視聴しています。

また、Twitchはセレブリティと消費者の距離も縮めています。Z世代の多くにとってTwitchは映画館であり、そのアイドルである20代の人気ストリーマーたちは家でドリトスを食べながら『コール オブ デューティ』のプレイ動画を配信しているのです。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: Twtichでの月間視聴時間は伸び続けている

#15/40 Reddit

IPOなるか

噂されているIPOに備え、Reddit(レディット)はコンテンツの管理を強化し始めました。しかし、それは簡単なことではありません。Redditのユーザーは気に入らないポリシーに対して全面的に反発し、モデレーターたちがフォーラムをロックした結果、サイトの大部分がオフライン状態に陥ったのです。この一件は、悪名高いプラットフォームを制御することがいかに難しいかを表しています。


#16/40 Lynas

破壊者の使命

携帯電話を始め、多数の電子機器の重要な構成要素となっているレアアース。Lynas(ライナス)は、中国企業を除いた世界のレアアース生産企業のなかで最大手の座についています。その使命は、世界のレアアースのサプライチェーンに多様性をもたらし、重要な金属における中国への依存度を下げることです。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: ネオジム・プラセオジム(NdPr)のマーケットシェア

#17/40 ARK

株式市場を制する

名ストックピッカーであり、ARK Investment Managementの創業者でもあるキャシー・ウッドは、未来を見通すことで有名になった人物です。彼女はこれまで、蓄電池やゲノムシーケンスといった技術が経済をどう変えていくかを予測してみせました。そんな彼女の企業の目を見張るようなリターンはカルト的な人気を呼び、数百億ドル(数兆円)もの投資資金を集めています。

彼女はただの幸運のもち主で、いつかははじける金融バブルに後押しされているだけなのでしょうか?それとも、本当に魔法を使えるのでしょうか?

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: ARKの急伸が目立つ

#18/40 BlackRock

危機への反応は抜群

BlackRock(ブラックロック)は銀行ではありません。しかし、機関投資家や資金運用会社、プライベートエクイティファームとしての顔をもつ同社は、巨額の資金を管理・監視しています。

2020年、同社は気候変動を投資評価の際の指標に加えました。そしていまのところ、その甲斐はあったようです。ブラックロックは過去2年間の株式市場でのパフォーマンスにおいて、他の主要な資産運用会社のほとんどを凌駕するほどの成果を上げています。


#19/40 Palantir

政府のデータを収集

Palantir(パランティア)は、軍や情報機関、グローバル企業にデータ管理ソフトウェアを提供するだけの企業ではありません。

いまの時代、政府は最高の技術を求めている一方で、最高の技術者たちは自分たちのツールが政府によってどう使われるかを再考しています。しかし、Palantirは製品と市場の適合性だけを指標に物事を考えています。パランティアは、正義が何を必要としているかを心配して時間を無駄にすることはないのです。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: Parantirはまだ利益は出していない

#20/40 McKinsey

再び輝けるか?

経営コンサルティングは、他社への助言で成り立っている数十億ドル(数千億円)規模の産業です。漠然としていて、時に物議を醸すこともあるこの産業において、マッキンゼー(マッキンゼー・アンド・カンパニー)は1世紀近くにわたり代表的存在として君臨してきました。

しかし近年、同社はクライアントの選び方から利益相反をはらんだ秘密の社内ヘッジファンドまで、数々のスキャンダルに見舞われています。償いのための努力はしていますが、スキャンダルの波は屈辱的です。輝きを取り戻せるかどうかは、まだわかりません。


#21/40 Oatly

プラントベースな未来

スウェーデンのオーツミルクメーカー・Oatly(オートリー)が2021年5月20日に上場を果たしたとき、人々は動向を注意深く見守りました。Oatlyの成功は、乳製品や肉類に代わる植物由来の製品に対する市場の関心を表すものだったのです。同社の企業価値は100億ドル(約1兆1,357億円)、株式公開価格は1株あたり17ドルと明らかな成功を収めていますが、Nestlé(ネスレ)やUnilever(ユニリーバ)といった巨大多国籍企業も対抗する姿勢を見せています。


#22/40 MasterClass

スターに学ぶ

ロックダウンの期間、MasterClass(マスタークラス)は飛躍的な成長を遂げました。セレブな講師陣、ハリウッド映画ばりの動画、魅力的な予告編、そしてパンデミックをきっかけに人々のなかに芽生えた高品質なオンライン学習への渇望などさまざまな要素が合わさり、元気のない大人たちがホームスクーリングに魅力を感じ始めたのです。


#23/40 Noom

コロナ下のダイエット

パンデミックで太ってしまったすべての人のために、Noom(ノーム)は存在しています。AIと人間によるコーチングを融合させたという同社のアプリは、心理学に基づいたカリキュラムによってユーザーが悪い習慣を辞める手助けをしてくれるのです。


#24/40 Coursera

みんなのカレッジ

リモートワークが増えるということは、リモートでの学習も増えるということ。これはCoursera(コーセラ)にとって朗報です。2012年の創業以来、Courseraは一流大学によるコースを4,000近く公開してきました。そして、そのほとんどが無料で視聴できます。同社のビジョンは、誰もが質の高い教育を受けられる世界を実現することです。2019年末から2021年第2四半期の間で、Courseraのユーザー数は87%の増加を見せました。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: Courseraの売上は右肩上がり

#25/40 Calm

不安なご時世だから

世界中の人々が瞑想し、リラックスし、眠れるようにするというミッションのもとに生まれたCalm(カーム)は、2012年の創業以来その使命をしっかり果たしてきました。2020年、同社は世の中のストレス要因からの解放を求める人びとや、従業員をサポートしたい雇用主からの支持を得ました。とはいえ、瞑想アプリが群雄割拠の様相を呈しているいま、Calmに一息つくひまはありません。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: セレブの「読み上げ」も人気の理由のひとつ

#26/40 Nio

中国電気自動車の星

2014年に設立されたNIOの中国語名は「蔚来」、原語では「青空の訪れ」を意味します。このことばは、深刻な大気汚染問題に対処する中国にとって、クリーンエネルギー推進を意味するものとしても使われています。そして実際に、中国国内のEVハブを目指そうという上海行政府からの支援と消費者の需要の高まりから、昨年2020年はNIOの「カムバックイヤー」となりました。

中国のEVメーカーの中には、成功を収めつつある企業ももちろんあります。しかしいま、自らにインスピレーションを与えてくれた企業──テスラとの競争がますます激しくなっています。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: なんとか持ち直しているNIO

#27/40 Sustenir Agriculture

自給自足に貢献

シンガポール生まれのベンジャミン・スワン(Benjamin Swan)は、輸入野菜を買うよりもはるかに炭素排出量の少ないサラダ用の野菜をつくろうと決意。スワンとビジネスパートナーの創業ストーリーは、地下室での実験から始まります。
海外で学んだ栽培技術を駆使して実験を重ね、古い建物を改造して環境への影響をできるだけ少なくした垂直農園を、小さな国土の中に設置しています。


#28/40 Controlled Thermal Resources

地球の熱で地球を動かす

Controlled Thermal Resources (CTR)は、地中奥深くから熱を掘り出す企業です。太陽光発電や風力発電が再生可能エネルギーとして脚光を浴びるなか、わたしたちは足元にある、雨の日も風の日も使えるクリーンで豊富な無限のエネルギーを軽視してきたのではないでしょうか? CTRは、新たな地熱発電所をカリフォルニア州ソルトン海の近くに建造しています。


#29/40 NextEra

自然エネルギーの波に乗る

95年の歴史をもつNextEra(ネクステラ・エナジー)は、風力発電と太陽光発電を供給する企業として世界最大級の規模を誇ります。米フロリダ州に本社を置く同社は、同業2位の企業に比べて2倍以上の施設を管理しています。


#30/40 Chewy

あなたの愛犬も大好き

パンデミック時には、何百万もの人が新たにペットを飼い始め、ペット用グッズを買いそろえました。幸いなことに、Chewyにはその準備が整っていたのです。Chewy(チュウイー)の創業は2011年ですが、その事業内容には、懐疑的な見方をする人も大勢いました。

Amazonは超効率的な倉庫システムのもと、数限りなくペット用品を供給しているというのに、どうやってそれに対抗できるのか?という疑問も、もっともです。その答えは、カスタマーサービスにあります。Chewyの強みは、顧客との密な関係にあります。現在、同社はオンラインペット用品業界で34%のシェアを誇っています(あとは利益を出すだけ)。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社

#31/40 Paytm

インドのモバイル決済の巨人

2011年当時のPaytm(ペイティーエム)は、モバイルを利用した消費者向けサービス(テレビチャンネルの受信契約など)を提供する、あまり知られていない企業でした。しかし、それから2020年までに同社は、ソフトバンク、アリババ、ウォーレン・バフェットなどの投資家を迎え、毎日1,000万件のトランザクションを処理する、インドで最も価値のある新興企業に成長したのです。

現在、インドはフィンテック分野が著しく成長しています。Paytmは、Googleをはじめ並み居る競合を抑え、自分たちの成長を維持する必要に迫られています。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: インドでのトランザクション

#32/40 Klarna

Eコマースに「柔軟性」を

手元に十分な資金がなくても、高価な商品を購入したいと思ったことは? スウェーデン企業Klarna(クラーナ)は、その手助けをしてくれる企業です。同社は、商品を購入したあとで分割で支払う「BNPL:Buy Now Pay Later」分野のパイオニアとして最もよく知られており、現在ヨーロッパで最も注目を集めるスタートアップです。

Klarnaがいまの地位を築いた背景には、同社が買い物客に課金するのではなく、小売業者に処理手数料を課すことにあります。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: いま注目のBNPL企業

#33/40 Robinhood

ミーム銘柄、大ヒット

手数料の割引、新世代トレーダーへのアプローチ、金融の民主化……。Robinhood(ロビンフッド)は、まさに「証券会社のディスラプト」を実現した企業です。設立7年にして破竹の勢いで成長するその姿は、業界に衝撃を与えています。今年7月には上場も。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: 小口投資者向けブローカーが伸び続けている

#34/40 Stripe

これからのEコマース

アイルランド人兄弟、パトリック・コリソン(Patrick Collison)とジョン・コリソン(John Collison)が起業した、何十億ドルもの商取引を支えるStripe(ストライプ)。同社は、2009年、コリソン兄弟が決済の煩わしさに悩む開発者のためにと立ち上げたのが始まりです。

現在、Stripeは、複数サービスを展開し「ビジネス運営のためのワンストップショップ」を実現しようとしています。同社のミッションは、単に「決済のメガカンパニー」になることではありません。「インターネットのGDPを増やすこと」「ネット世界の “経済インフラ ”を構築すること」を目指しているのです。


#35/40 Ant Financial

お金のAmazon

デジタル決済会社、銀行、投資や保険のプラットフォーム、その他もろもろ(結婚許可証など)をAlipayという一つのアプリにまとめあげたのが「アリペイ」です。

Ant(アント)は、何百万人もの中国人を金融システムに引き込み、労働者階級には手の届かなかった投資や保険にアクセスできるようにしたのです。彼らがそれを実現できたのは、「スクラッチからつくった」からでした(米国や欧州の新興企業が夢物語としか思っていなかったのに)。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: 巨大プラットフォーム、Alipay

#36/40 StockX

転売はステキな商売

新作スニーカーを手に入れようと奔走し、買えずじまいで終わっていた人たちが、StockX(ストックX)にたどり着くのは時間の問題でした。StockXは、そんな彼らがプレミア価格で購入できるリセール・マーケットプレイスです。

スニーカーの取引所として名を馳せたStockXの評価額は、2021年4月、38億ドルにまでなりました。その野望は常にクツよりも巨大で、すでに電子機器/ガジェットなど他の分野でも成功を収めつつあります。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: スニーカーのリセール市場の成長予測

#37/40 Costco

楽しいお買い物

他のスーパーマーケットであれば冷静だった人たちも、いざCostco(コストコ)を訪れると、いらないはずの品物もカート一杯に積んで帰っていきます。そんなコストコの魔法には、ひとつだけ注意点が。それは、「いらないものも売ってしまう」という、ほとんど謎ともいえる彼らの能力が「対面販売」に大きく依存しているということです。

コストコの収益源は、顧客からの年会費(最低60ドル)と、自社ブランドの消費財「カークランドシグネチャー」の販売を含む売上高の2つです。このモデルそのものは特にユニークなものでもありませんが、コストコを訪れる買い物客の心理を考えてみると、その組み合わせには大きな説得力を感じます。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: 日用品小売の年間売上を比較

#38/40 Krispy Kreme

自分へのご褒美

2016年に上場廃止となった84年の歴史をもつドーナツメーカー、Krispy Kreme(クリスピークリーム)は、2021年7月、2度目の上場を果たしました。CEOのマイケル・タターズフィールド(Michael Tattersfield)は、以来、このブランドは変貌を遂げたと語っています。

Eコマース事業を拡大し、フランチャイズ企業を買収して生産を効率化。製品を「1人前」で売るのではなく、「まとめて購入するもの」と強調したのです。クリスピークリームは、自分たちの商品を「記念日にふさわしいもの」と位置づけることで、スターバックスやダンキンドーナツといった競合のファストフードチェーンとの差別化を図ろうとしているのです。


#39/40 Farfetch

ラグジュアリーなEC

2008年に設立されたFarfetch(ファーフェッチ)は、世界中にある小さなファッションブティックが、それぞれ独自のECサイトを構築・維持することなく、商品をオンラインで販売するための手段として設立されました。

Farfetchでは商品の衣料品を撮影してマーケットプレイスに掲載。個々のブティックが商品を顧客に発送すると、Farfetchがその代金を受け取る仕組みです。このコンセプトが功を奏し、同社は2015年までに10億ドルの評価額を獲得しました。

以来、同社は、世界中の買い物客により多くの商品を販売するだけでなく、自社のポートフォリオに事業を追加し、ファッション企業により多くのサービスを提供し、主要ブランドと直接取引するなど、これまで以上に大きな目標に照準を合わせています。

Image for article titled Special:2021年、世界を変えた40社
Image: プラットフォームとしての売上も大きい

#40/40 Cameo

いま会えるセレブ

例えば、セレブに友人の誕生日を祝ってもらう。例えば、結婚前の友人を尋問してもらう。そんなことを可能にするCameo(カメオ)は、2017年のローンチ以来、10億ドル規模のビジネスに成長しています。

カメオの共同設立者兼CEOのスティーヴン・ガラニス(Steven Galanis)は、自分たちのミッションを「地球上で最もパーソナライズされた本物のファンのつながり」をつくることだと語っています。インターネットによって、セレブと交流したいというファンの渇望は加速し、その結果、いまやあらゆるセレブは「オンラインインフルエンサー」と化している観もありますが……。


📆 年末のニュースレター配信は12/28夜まで。12/29〜1/3は、朝・夜の配信をお休みさせていただく予定です。