Daily Brief:米国、ロシア産原油輸入を禁止

High stakes

Daily Brief

世界で今起きている事

おはようございます。今朝も「世界で今起きている事」をお伝えします。米国では、バイデン大統領が一歩踏み込んだ決定を下しました。

President Joe Biden speaks by phone in the Oval Office.
High stakes
Image: Reuters/Leah Millis
  1. 米国と英国はロシア産原油の輸入を禁止する。EUはこの制裁に加わりませんが、ロシア産原油への依存からの脱却を計画しています。米国の生産者は、原油の生産量を増やすのは難しいとしていますが、ほとんどの米国人は、ガソリン代が高くなってもかまわないと調査に答えています。一方、ロシア関連の資源開発からの撤退を表明していた英石油大手のシェル(Shell)は、ロシア産原油の購入は続けるとしていましたが、8日、原油の購入停止を発表しました。
    The US and UK will ban Russian oil. While the EU won’t join in the sanctions, it does have a plan to wean itself off the stuff (TIM LINK TK?). US producers say it will be difficult to increase their oil output, but most Americans say they don’t mind paying more for gas. Meanwhile, Shell reversed course again on buying from Russia.
  2. ロシアがマリウポリからの避難ルートを砲撃した。ウクライナ南東部のマリウポリと同様に、ロシアが避難ルートを開設したとしていた北東部のスミでは、インド人留学生を含む数千人が街から避難することができました。EUがより多くの難民の流入に備えるなか、米国の情報当局者は議会の公聴会で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がロシア軍による攻撃をエスカレートさせる可能性が高いと語りました。
    Russia shelled an evacuation route from Mariupol. Thousands of others, including Indian students, were able to leave Sumy. US intelligence officials told Congress Russian president Vladimir Putin is likely to escalate his country’s attacks, as the EU prepares for more refugees.
  3. マクドナルドがロシアの全店舗を閉鎖。ファストフード大手の米マクドナルド(McDonald’s)は、ロシア国内の850店舗を一時的に閉鎖するとしています。一方、食品・日用品大手の英ユニリーバ(Unilever)と米コカ・コーラ(Coca-Cola)はロシアとのビジネスを一時的に停止しています。
    McDonald’s is closing its Russian restaurants. The company said 850 locations would temporarily go dark. Meanwhile, Unilever and Coca-Cola are pausing business with Russia.
  4. 国連の人権問題担当者が新疆に向かう。国連のミシェル・バチェレ人権高等弁務官は、5月に新疆ウイグル自治区を訪問することで中国当局と合意に達しました
    The UN’s human rights chief is headed to Xinjiang. Michelle Bachelet reached a deal with Beijing to visit in May.
  5. EUの裁判所は、英国に対する数十億ユーロの罰金を支持した。欧州委員会は、かつてのEU加盟国である英国が、過少申告された輸入品に対して十分な関税を徴収していなかったため、EUに損害を与えたと主張しています。
    An EU court upheld a multibillion-euro fine for the UK. The European Commission alleges its erstwhile member failed to collect enough customs duties on under-valued imports.
  6. アップルが新しい廉価版iPhoneを発表。8日に行われたアップルのイベントでは、新型iPad Air、次世代のAppleシリコンチップのほか、動画配信サービス「アップルTV+」でメジャーリーグの試合を放送するという米大リーグ機構(MLB)との新しいパートナーシップも紹介されました。
    Apple showed off a new budget iPhone. A company event yesterday also featured a new iPad Air, a new Apple Silicon chip, and a new partnership with Major League Baseball.
  7. インドは今月、国際線定期旅客便の運航を再開する。この2年間は便数が激減していました。
    India will restart regular international air travel this month. The number of flights has been drastically reduced for two years.
  8. イーロン・マスクは自身のツイートをめぐる和解からの離脱を希望している。米電気自動車メーカー、テスラ(Tesla)の創業者であるイーロン・マスクは、株主らに影響のある情報を発信する際には会社側の事前承認を得るよう義務づける内容の2018年の米証券取引委員会(SEC)との合意は、彼の言論の自由を侵害していると述べました。
    Elon Musk wants out of the settlement over his tweets. The Tesla founder said the 2018 deal with the US Securities and Exchange Commission is infringing on his free speech rights.

What to watch for

石油業界の不安要素

石油業界にとって、連日、かつて経験することのなかった事態が起きています。米国は8日(現地時間)、ロシアのウクライナへの侵攻に対する制裁として、ロシア産原油の輸入を禁止する経済制裁を発動しました。欧州もまた、代替エネルギーの確保に奔走しています。原油価格は高騰しています。ロシアを除く世界の石油・ガス会社は「大儲け」を見込んでおり、欧州諸国の政策立案者は、自然エネルギーへの移行より早く進めようとしています

一方で、石油・ガス会社は相次ぐ訴訟の渦中にあります。炭素排出による害を知りながら気候変動政策に逆行する動きをしたとして追及されているのです。

今日、米マサチューセッツ州最高裁判所では、石油メジャーのエクソンモービル(Exxon Mobil)が口頭弁論を行う予定です。マサチューセッツ州は2019年、エクソンが気候変動に関して消費者・投資家の誤解を招くキャンペーンを行ったとして同社を提訴していました。同様の訴えがニューヨーク州をはじめとする複数の州で起きていますが、エクソンは言論の自由を盾に自社の正当性を主張。ニューヨーク州からの訴えは棄却されましたが、他の州での争いは、いまだ続いています。マサチューセッツ州での結果がみえるまでは、数カ月はかかる見込みです。


platitudes for IWD

口だけのエンパワー

昨日8日は「国際女性デー」で、多くの企業がソーシャルメディア上で女性社員への熱い賛辞を贈っていました。曰く「女性はパワフルだ!」「女性はたくましい」「女性は素晴らしい」……。しかし、あるTwitterボットが、全く異なる真実を指摘しています。それは、「女性の賃金はまだまだ低い」ということです。

英国の有志がつくったTwitterボット @paygapapp は、企業・団体が国際女性デーについてツイートするたびに、その企業・団体における男女労働者の収入格差がどれだけあるかをポストするもの。ボット制作者のひとりはQuartzのメール取材に対し「データをみる限り、企業の女性への支持を表明する投稿が行動で裏づけされていることはほとんどない」と語っています。

Image for article titled Daily Brief:米国、ロシア産原油輸入を禁止
Image: TWITTER

2020年のデータによると、英国における男女の賃金格差は、数字で平均15.4%。米国でもその格差は大きく、ピュー・リサーチ・センターが2020年に行った調査によると、女性の収入は男性に比べて16%も少ないことがわかっています。ちなみに経済協力開発機構(OECD)が2020年に発表した調査結果によると、日本における男女の賃金格差は22.5%。これは、G7加盟国のなかでも最も高い数字です。


SURPRISING DISCOVERIES

世界のトリビア

  1. 『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の上映会に生きたコウモリを持ち込んだ人がいた。この空飛ぶ哺乳類が、この映画についてどう思ったかは不明です。
  2. 新たに確認された古代イカの一種は、ジョー・バイデン米大統領にちなんで名前が付けられた。しかし、結局のところ新種ではないかもしれないとの指摘もあります。
  3. 米テキサス州オースティンの公園で、偽の監視カメラが撤去された。「監視されているかもしれない」という錯覚を与えるだけでは、犯罪を抑止することはできませんでした。
  4. ツタンカーメン王の「隕石からつくられた短剣」はエジプト製ではない。ミタンニ王国から贈られたものかもしれません。

📫 Quartz Japanは一日2通のニュースレターを配信しています。

🎧 Quartz Japanでは平日毎朝のニュースレター「Daily Brief」のトップニュースを声でお届けするPodcastも配信しています。

👀 TwitterFacebookでも最新ニュースをお届け。

👇 このニュースレターはTwitter、Facebookでシェアできます。転送も、どうぞご自由に(転送された方へ! 登録はこちらから)。