Daily Brief:先の見えない上海ロックダウン

When would the cases peak?

Daily Brief

世界で今起きている事

おはようございます。今週も「世界で今起きている事」をお伝えします。コロナ禍が、中国の経済成長に大きな影を落としています。

A police officer in a protective suit keeps watch near a bridge in Shanghai
When would the cases peak?
Image: Reuters/Aly Song
  1. マリウポリの製鉄所のウクライナ兵は、ロシア軍への降伏を拒否した。ロシア軍は降伏の期限を4月17日としましたが、ウクライナの軍隊は巨大なアゾフスタル製鉄所に立てこもっています
    Ukrainian soldiers at a Mariupol steel mill refused to surrender to Russian forces. Troops remain at the giant Azovstal steel works despite an April 17 deadline set by the Russian military to surrender.
  2. 教皇はイースターの演説で、ウクライナでの「残酷で無意味な」戦争を非難した。ローマ教皇フランシスコはまた、核戦争の脅威についても懸念を表明しました。
    The Pope decried the “cruel and senseless” war in Ukraine during his Easter address. He also voiced concerns about the threat of nuclear war.
  3. イーロン・マスクが2018年に行ったテスラの株式非公開化についてのツイートをめぐり、裁判官は数十億ドルの損害賠償を求めるテスラ株主を支持した。連邦判事は、裁判に向けての準備を進めるにあたり、合理的な陪審員であればマスクの発言は「誤解を招く」と判断されるだろう、との考えを示しました。
    A judge ruled in favor of Tesla shareholders seeking billions of dollars in damages after Musk tweeted about taking Tesla private in 2018. A federal judge found any reasonable jury would find his statements “misleading” as the case heads to trial.
  4. 4月18日の申告期限を前に、米国の納税者の約40%が所在不明となっている。米内国歳入庁(IRS)は、4月8日現在で1億300万件以上の申告を処理したと発表しました。昨年は、1億6,900万人以上の納税者が申告を行っています。
    Some 40% of US taxpayers were unaccounted for ahead of the April 18 filing deadline. The IRS said it had processed more than 103 million returns as of April 8. Last year, more than 169 million taxpayers filed returns.
  5. 中国のライドシェアリング大手、ディディは来月、米証券取引所からの上場廃止についての投票を行う。中国当局が大手テック企業に対する規制を強めるなか、ディディ(Didi、滴滴出行)は、5月23日に臨時株主総会を開き、上場廃止についての採決を行うと発表しました。
    Chinese ride-hailing giant DiDi will vote next month to delist from the US stock exchange. The company said it will meet May 23 to vote on delisting amid Beijing’s regulatory crackdown on big tech.

What to watch for

中国の「危機感」

Image for article titled Daily Brief:先の見えない上海ロックダウン
Image: Reuters/Tingshu Wang

今年3月に設定された中国の2022年のGDP成長率5.5%という目標は、過去30年間でみると決して野心的すぎる目標とはいえません。しかし、ロックダウンが続くなか、さらにロシアのウクライナ侵攻も加わり、目標達成はすでに厳しくなっています

テック産業の中心地である深圳では3月、1週間のロックダウン措置がとられました。金融の中心地である上海はいまも無期限のロックダウン下にあり、テスラを含め、企業の生産は減速/停止しています。先月の時点で、フランスの投資銀行ナティクシス(Natixis)は、こうしたコロナ対策が流動性を急激に低下させているとして、第1四半期(1-3月)の中国経済成長率が1.8%ポイント押し下げられる可能性があると予測しています

しかし、中国経済に対する警告のなかでも最も強力なものといえば、首相の李克強から発せられたものでしょう。李首相は先週開催されたセミナーで、成長に対する下向きの圧力が強まっており、地方当局はインフラプロジェクトや減税などの刺激策を「危機感」をもって進めなければならないと発言しています


BUYING FOOD IN SHANGHAI

金やアプリがあっても

An Ele.me delivery worker hands a bag to a resident behind barriers in Shanghai.
Image: Reuters/Aly Song

目覚ましが鳴ったそばからスマホを手に取り、宅配アプリで注文をする(ニンジンでも鶏肉でも、とにかく何でも)。しかし数分後には「本日の配達枠はすべて埋まっています」というメッセージが表示される。そこで別のアプリを開いて同じ作業をやり直す。その繰り返し──。これがいまの「中国で最も洗練された都市」での生活です。

ロックダウンにおける食品流通は、これまで常に課題として挙げられてきました。が、上海の場合はあまりに突然でかつ期間も長いため、危機的状況に陥っています。従来であれば注文ができたはずのスーパーが閉店し、トラック運転手も追い返されたりあるいは入庫を渋ったりしています。比較的裕福な住民でさえ、食料不足を訴える投稿をして共同購入グループに参加したりもしています。「WeChat」では、肉を手に入れるのにアルコールを、ジャガイモを手に入れるのに歯磨き粉をといった具合の交換条件が提示されているようです。

「朝5時55分に起きて6時に注文しようとしたとしても、購入ボタンを押し続けたところでエラーが出るばかりで、注文が通るかどうかはわかりません。それで、6時5分にはすべての食料品がなくなっています」(上海のビジネス開発ディレクター、Guo Ziwei


SURPRISING DISCOVERIES

世界のトリビア

  1. ニューヨーク公共図書館(NYPL)は、禁書のほとんどを読者が利用できるようにする。この新しい取り組みにより、13歳以上の読者は会員でなくとも、NYPLのアプリを通じて一般的な禁書に無料でアクセスできるようになりました
  2. Times New Romanなどの人気のコンピュータフォントがロシアでブロックされた。ArialやHelveticaなどのフォントを所有する米モノタイプ・イメージング(Monotype Imaging)は、ロシアのユーザーに対して同社のカタログをブロックしたことを認めました。
  3. 一発屋を超える存在になるための鍵は、目新しさかもしれない。スタンフォード大学の心理学者による新しい研究では、一発屋として知られるブラインド・メロンのヒット曲「No Rain」と、常に売り上げが好調なシャナイア・トゥエインの音楽カタログとの違いを検証しています。
  4. コンドルが100年以上ぶりに北カリフォルニアの空に帰ってくる。先住民のユロック族は、絶滅の危機に瀕しているコンドルを野生に戻す取り組みを進めてきました
  5. 腸内細菌は動物の脳と「直結」している。パスツール研究所が、腸内細菌が血流中の分子を通じて動物の食欲や体温を調節している証拠を発見したようです
  6. 多発性硬化症(MS)患者に希望の光。米国の科学者がMS患者の脳を調査した結果、T細胞として知られる免疫機能がMSの症状を止めたり、改善させたりする可能性があることを発見しています

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