Daily Brief
世界で今起きている事
おはようございます。今週も「世界で今起きている事」をお伝えします。
- 安倍元首相のレガシーである自民党が選挙に大勝。日本の元首相、安倍晋三の銃撃事件が暗い影を落とすなか行われた参議院選挙で、自民党が改選過半数を確保しました(詳しくは次項で)。
Abe’s legacy won at the ballot box. The Liberal Democratic Party secured a majority in Japan’s upper house after an election overshadowed by the assassination of former prime minister Shinzo Abe (see more below). - スリランカの人びとは新しいリーダーを求めた。ラニル・ウィクラマシンハ首相とゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の公邸などを占拠した抗議者たちは、2人が辞任するまで立ち去らないと述べました。両者は辞任の意向を発表しましたが、権力の移行方法についてはまだ協議中です。
Sri Lankans demanded new leaders. Protestors occupying the homes of the prime minister and president said they won’t leave until the two step down; both said they will resign, but a transition of power is still being hashed out. - ロシアはさらに多くの民間人を砲撃した。ロシアがドネツク州への大規模な攻勢に向けた準備を進めるなか、集合住宅へのミサイル攻撃で少なくとも15人が死亡しました。一方、ウクライナ軍は、ロシア軍の背後にある弾薬庫などの目標を破壊するために、米国製の高機動ロケット砲システム(HIMARS)を使用し始めています。
Russia bombed more civilians. A missile strike on an apartment building in Donetsk killed at least 15 people as Russia prepares to resume its offensive there. Ukrainian forces, meanwhile, have begun using US-built rockets to destroy targets behind Russian lines. - マスクとツイッターは法廷に立つことになる。米EVメーカー、テスラ(Tesla)CEOのイーロン・マスクの弁護士は、マスクがソーシャルメディアのツイッターを440億ドル(約5.9兆円)で買収するという署名済みの契約を撤回する意向であることを明らかにしました。しかし、ツイッターのブレット・テイラー(Bret Taylor)会長は、買収契約を履行させるために法的措置を講じるとしています。
Musk and Twitter will head to court. Elon Musk’s lawyers said he wanted out of his signed agreement to purchase the social media site for $44 billion, but Twitter’s chair said it would fight to force Musk to close the deal. - ヨーロッパはノルドストリームの点検に慎重。ロシアからヨーロッパに天然ガスを運ぶ主要パイプラインの「ノルドストリーム1」は、定期点検のために10日間にわたって停止する予定ですが、ドイツの政府関係者と企業は、ウクライナ制裁をめぐる対立で、パイプラインでの供給が無期限に止められることを恐れています。
Europe is wary of a Nord Stream fix. The primary pipeline bringing natural gas to Europe from Russia will shut down for 10 days of routine maintenance, but German officials and companies fear the spigot will be turned off indefinitely due to conflicts over Ukraine sanctions. - ウーバーの卑劣な歴史がリークされた。『The Guardian』が入手した文書には、ライドシェアのパイオニアであるウーバー(Uber)のなりふり構わない政治戦術、当時フランスの経済産業デジタル相だったエマニュエル・マクロン大統領との秘密の関係、そして、同社の機密データへのアクセスを遮断する「キルスイッチ」を使っていかに規制当局を欺いたのかという経緯が記されています。
Uber’s sordid history was leaked. Documents given to the Guardian show the rideshare pioneer’s bare knuckle political tactics, secret relationship with French president Emmanuel Macron, and how it duped regulators with a “kill switch.” - エレーナ・ルバキナとノバク・ジョコビッチがウィンブルドンを制した。ルバキナは四大大会初優勝、ジョコビッチは大会4連覇を果たしました。
Elena Rybakina and Novak Djokovic won Wimbledon. It was Rybakina’s first time winning the women’s tournament, while Djokovic took home his fourth men’s title in a row.
What to watch for
憲法改正の足音
昨日(10日)の参院選では、自民党が大勝。これにより、日本は憲法改正への道を歩み始めたといえるでしょう。日本国憲法は、この種の文書としては世界でも最も古く、また改正の手が及んでいない文書です。
憲法改正は、先日襲撃され亡くなった安倍晋三元首相が長年提唱し、岸田文雄首相が支持してきた目標でもあります。が、改正には賛否両論あり、日本を民主主義から遠ざけ、明治時代のような過去の体制へと向かわせる可能性があると言う人もいます。朝日新聞の調査によると、国民の意見は完全に割れています。
自民党の提案には、天皇を国家元首として認め、自衛隊を明記し、第二次世界大戦以来義務づけられた形式的な平和主義を終わらせることが含まれています。憲法改正には、自民党と他の改正派が参議院で3分の2の多数を獲得する必要がありますが、自民党は昨日の選挙でまさにこれを達成したことになります。
The magic of movies marketed by meme
バズる映画のひみつ
生粋のエンターテナー、タイカ・ワイティティ監督の『ソー:ラブ&サンダー』が先週末に公開され、世界で興行収入3.2億ドル(約435億円)を記録しました。この数字は、パンデミックが始まって以来の公開作として、少なく見積もっても3位に(同じくマーベル作品の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に次いで)つける勢いです(ただし、レビューは読まないほうがいいでしょう!)。
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の“特急エレベーター”のおかげで、自動的に興行収入上位に送り込まれている観もありますが、『ソー』の数字がここまで伸びた裏側にはソーシャルメディア上でのミームが大きく影響しています。米国ではユニバーサル・ピクチャーズの『ミニオンズ フィーバー』が4日に公開。同作は当初の予想を上回る好調な滑り出しを見せていますが、その好調の裏側にあるのは、Z世代を中心にした、スーツなどの正装で映画館に行く「Gentleminions(ジェントル・ミニオンズ)」というトレンドです。
ハリウッドが若年層に効果的なマーケティングを行うには、今日のソーシャルメディア活用が不可欠です。そして、その“コード”はいまだ解析されていません。ソニー・ピクチャーズが今年公開した『モービウス』は、公開時こそ人気が振るわなかったもののデジタル配信が開始してからミーム化しネット上で話題に。それを受け、一部劇場での再上演が企画されましたが、どうやらまたしても大失敗に終わったようです。
SURPRISING DISCOVERIES
世界のトリビア
- 最適な宇宙空間の形は円錐形。そう語るのは、人工重力を備えた宇宙施設を開発する日本の研究者たちです。
- 控えめな官僚が、人類最強の宇宙望遠鏡を救った。グレッグ・ロビンソン(Greg Robinson)は計画が大幅に遅れ、予算も超過していたNASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の責任者となり、このミッションを危機から救いました。
- いまこそ、ソーラーパネルのリサイクルを。かつて古い太陽光発電パネルは廃棄されていましたが、コスト面や技術の進歩により、回収する価値が高まっています。
- ロシアの「元マック」でフライドポテト不足。ロシアのウクライナ侵攻に伴い、米国の象徴的なフランチャイズであるマクドナルド(McDonald’s)に取って代わった「フクースナ・イ・トーチカ」(おいしい。それだけ)は、十分なジャガイモを手に入れることができていません。
- 全米最大の公共墓地は、みんなのためにある。米国人の死に対する考え方の変化は、ニューヨークのハート島にある墓地が果たす役割を大きくしています。
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