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Because China
世界の中国化を追う
Quartz読者のみなさん、こんにちは。
今、世界第2の経済大国であり、テクノロジー大国となった中国。Quartzは、中国がいかに世界中であらゆる産業を変えまくっているのか、その現場を追い続けています。
火曜日の夕方はその映像シリーズ「Because China」をお楽しみください(👇をクリックしていただくと動画に飛びます)。
中国人は、わずかこの20年弱で、世界で最大の観光客を誇るようになりました。
昨年、中国人が旅行に使ったお金の総額は2700億ドルにのぼり、これはアメリカ人の約2倍の額に上ります。
しかし、中国人の爆発的な旅行現象が始まったのは、つい最近のことだということはあまり知られていません。中国で海外旅行が解禁されたのは、90年代に入ってからのことで、2001年当時はわずか1200万人でした。それが、2018年には、1億5000万人にまで凄まじい勢いで増えました。
「こんな速度で世界の観光産業が成長した事例は過去にない」。米テンプル大学の米アジア旅行ホスピタリティ研究所でディレクターを務めるロバート・シャン・リー氏はこう語ります。
Reshaping the travel economy
国や企業もこの機会を逃すまいと様々な施策を行っています。
イギリスの観光局は、「ザ・シャード」の名前で知られる観光名所、シャード・ロンドン・ブリッジの名前に「摘星塔」という中国語の名前を付け、中国人観光客を呼び込もうとキャンペーンを展開しています。ほかにも世界的なホテルチェーンが、バーで麺料理を提供するなど中国人向けのサービスを届けようと試行錯誤を続けています。
観光産業がビジネスチャンスを捉えようと進化する一方で、中国人観光客も同時に進化しています。
「買い物狂いの中国人観光客」というステレオタイプなイメージがある団体ツアーでの旅行から、旅行サイトや、WeChatをベースとしたサービスで自らカスタマイズすることが可能となり、自分の好みに合わせて旅行に行く中国人が増えているというのです。
「中国ではオンラインでも、とりわけソーシャルメディアの利用が広まっていることで、SNSをどう制するかが勝負になっています」
そう語るのは、欧州旅行委員会のエグゼクティブ・ディレクター、エドゥアルド・サンタンデールです。EUは2019年に6.8%の中国人観光客の増加を見込んでいます。
中国人による観光ブームは、まだ終わりそうにありません。驚くべきことに、アメリカ人のパスポート保有率が40%、イギリス人で70%の中、中国人のパスポート保有率はいまだ10%に満たないのです。しかし、このブームを追うリスクも存在します。
中国政府は、観光規制を政治カードに使ってきた歴史があり、特に中国人がよく訪れる中国の近隣国はその影響を強く受けることになります。
今回、Quartzの「Because China」のチームは、日本と韓国で取材を敢行し、中国人がどのようにして観光産業を再定義するほどの力を持つようになったのか、その理由を探りました。
This week’s top news
注目の中国ニュース4選
- TikTokがEコマースを実験中。香港でのIPOも噂される中国バイトダンスのショート動画アプリ「TikTok」が、一部のユーザーに対して、Eコマース(EC)サイトへの誘導を許可しはじめた。現状では、あくまで「実験」だが、インフルエンサーによる収益を大きく変える可能性がある。
- 中国、2020年火星進出へ実験成功。来年7月に打ち上げ予定の火星無人探査ミッションに先駆け、河北省で行われた実験で、最も難易度が高いとされる着陸機の空中浮揚や障害物回避の実験が行われ、成功したという。
- 5Gの無人運転販売車が登場。湖北省・武漢の歩行者天国に飲み物やおやつを満載した3台の5G無人運転の販売機(中国語)が現れた。利用者が、販売車の前か横で手を振ると停車する。商品の代金はQRコードをスキャンし決済完了。
- アリババ支援のEVベンチャーが4億ドル調達。中国の電気自動車(EV)メーカーのXpeng Motors(小鵬)が、大手スマホメーカーのシャオミ(小米)などから4億ドル(約440億円)を調達した。シャオミのレイ・ジュン(雷軍)CEOは、「スマホとスマートカーをつなぐテクノロジーを開発していく」と話している。
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