Millennials:セレブも大好き「CBD」とは?

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ミレニアルの今を知る

Quart読者のみなさん、こんにちは。毎週木曜日の夕方は、「ミレニアル世代」のトレンドを、注目のビジネスニュース4本とともに紹介していきます。

The Vet CBD Pet Cannabis Company booth is seen at CatCon in Pasadena, California, U.S. August 5, 2018. REUTERS/Lucy Nicholson – RC1DB253F970
The Vet CBD Pet Cannabis Company booth is seen at CatCon in Pasadena, California, U.S. August 5, 2018. REUTERS/Lucy Nicholson – RC1DB253F970

今、世界では「CBD」が、一つのブームになっています。

といっても、日本であまり聞いたことがないかもしれませんが、例えば、アメリカでは、一つのバズワードとなり、兆円単位のお金が動く巨大産業となりつつあります。

飲料、食品に、化粧品にCBDが添加されるようになり、俳優や歌手らセレブたちがCBDの企業を立ち上げたほか、「CBDは21世紀のカフェインである」と言う人が出るほど。いわゆる「バブル」の様相を呈しはじめています。

今日は、Quartzが伝える世界のミレニアル世代のトレンドの1回目として、このCBDについて取り上げたいと思います。

So what is CBD?

CBDってなんだ?

では、そもそもCBDとは何なのか?

一言でいえば、「大麻」の成分の一つです。自然植物の大麻には、THC(テトラヒドロカンナビノール)とCBD(カンナビジオール)の2つの主成分があります。

  • THC:こちらには大麻と聞いて思い浮かべるような、いわゆる「High(ハイ)」となる成分が含まれています。
  • CBD:ヒーリング効果、医療用、アルツハイマーやパーキンソン病といった難病をはじめ、関節痛や精神的な症状を緩和する成分が含まれている、とされています。

欧米では、これらの効果を期待して、人間だけでなく犬や猫用のCBD製品もあるほどです。まず、医療用から始まり、今あらゆるビジネスに入り込みだしたという流れです。

ちなみに、日本では、THCは大麻取締法によって所持や譲渡、栽培が禁止されています。医療目的であっても規制対象になっています。THCが含まれている医療大麻でも、日本では「大麻」としてみなされ、現在の法律では違法となります。CBDは、法律で禁じられている「大麻」から除外されているものとして、規制されていません。

Legalization of Cannabis(大麻合法化)

Hand holding pipette with CBD oil on wooden table with copy space
Hand holding pipette with CBD oil on wooden table with copy space

なぜ、今CBDが一気に注目を集めているのか。

その背景には、アメリカやカナダで進む大麻合法化の動きが関係しています。コロラド州などでの娯楽用大麻解禁で、マリファナが大きなビジネスとなっているアメリカでは、2018年、CBDなどがFarm Bill(農業法案)で合法化されました。

アメリカ食品医薬品局(FDA)も、大麻由来の医薬品として抗てんかん薬「Epidiolex」を条件付きで初めて承認しました。

こうした法律の後押しも受け、カンナビスは一気に一大ビジネスとして成長します。リサーチ会社『The Brightfield Group』によると、2018年の大麻売上が5.9億ドル(約640億円)から2019年は一気にその約10倍である57億ドル(約6,150億円)にのぼると予測しています。

2022年までには、さらにその4倍の220億ドル(約2兆3,800億円)へと跳ね上がる可能性を指摘しているほどです。

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つまり、いわゆるマリファナとして使用されるTHCではなく、リラックス効果を求めて使用されるCBDは、大きなお金を生み出す産業として各業界から大注目を浴びているのです。

Oil, Drink, Pets(すべてCBDの世界)

このCBDブームに真っ先に飛びついたのが、美容業界です。

CBDは優れた抗炎症特性を持つとされ、湿疹やアトピー、乾癬、かゆみ止めなどにも効果があると言われています。リップクリームやマスク、ソープなど、なんでもあります。アメリカでは2018年から、コスメショップ『セフォラ』にてCBD関連の美容プロダクト取扱をスタートさせ、「ロード ジョーンズ」の製品や「ハイビューティ」を発売しています。

また、大手のドラッグストア『CVS』や『Walgreens』でも2019年から商品の取り扱いをスタート。他にもパッケージデザインにこだわったものもあり、「クッシュクイーン」はバスボムやローション、シャワージェルといったCBDを含むお風呂グッズを展開しています。

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さらには、男性向けのグルーミング商品やヘアケア用品までもが登場し、何でもアリの様相です。

飲料品でも、新商品が続々出ていて、スパークリングドリンク「Spring」やビールブランド「Coalition Brewing」、コーヒーブランド「Strava Coffee」などがあります。CBD入のグミも売られています。

このブームには、セレブリティも一役買っています。

  • ジョン・レジェンド(俳優・歌手):2019年9月、CBDブランド「Plus Hemp」とのパートナーシップを契約。配合している量によって用途を変えた3種類のグミを発売しています。
  • コートニー・カーダシアン(セレブ):同じ2019年9月、名門カーダシアン一家の一人であるコートニーは、オンラインサイト「Poosh」とスキンケアブランド「Hora Skin Care」をスタート。CBDオイルや、オイルとダーマローラー(美容目的で使用される機器)のセットを販売しています。デザインもスタイリッシュなので、女性のファンを今後、虜にしていくのは間違いなさそうです。

日本でもブームの兆し

先述のように、大麻は厳格に規制されている日本でも、CBDは規制対象になっていません。このため、すでにCBDオイルやクリームなどが発売されており、美容業界でも知られ始めてます。

特に、女性が悩みがちな頭痛や生理痛、不眠症など、そういった普段の生活を助けてくれると謳っているので、2019年になってからは、美容業界でも注目されています。ビューティ・コスメショップやオンラインストアでも、CBDを使ったオイルやクリームなどを購入することができます。

Popular Among Millennials(ミレニアルたちに人気)

調査会社「The Harris Poll」がアメリカで約2,000人を対象に調査したところによると、アメリカでのCBD使用者は、若い世代に多く見られるという結果になっています。

18歳から34歳までのグループでは10%、35歳から44歳までのグループでは12%になります。今後、CBDの新しいマーケットが拡大するにつれて、ミレニアル世代の使用者はもっと増えるだろうと予想されています。

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なお、すでに85%以上のアメリカ人がCBDについて聞いたことがある、そして5人に1人が実際に試したことがあるという結果に。CBDユーザーの55%以上は、リラクゼーション目的、50%はストレス解消、そして45%は不眠解消のために使用しているといいます。

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ちなみに、ミレニアル世代がこのようなCBD製品に興味を持つ理由としては、ベイビーブーマー世代やジェネレーションX世代よりもストレスを感じやすいということが原因にもなっているようです。

Is this just a bubble?

バブル崩壊の兆しも?

しかし、こうしたブームというのは、常に過剰なビジネスを伴うものです。CBDが何にでも効くような「万能薬」と言ったイメージがばらまかれ、ビジネスばかりが先行してしまっている現状は否めません。

アメリカ政府も、これを懸念していて、FDAは、CBDのような原材料を食料品に混ぜたり、健康補助食品として販売することに関して警告。今年7月にはニューヨーク市が、CBD添加の食物の提供や販売の禁止を決めました。

そもそも、CBDの成分への過剰な期待もあります。CBDが実際に精神的な症状を緩和するものや医療用として効果があるという科学的根拠については、はまだ解明できていない部分がたくさんあります。

また、CBDは、医薬品として処方した量を摂取した場合の効果が期待できるわけですが、実際のところ、ほとんどのCBD製品には適切な用量が記載されていないのが実情です。現在進んでいる研究によってCBDのさらなる効果が実証される可能性はもちろんありますが、現状では、規制当局が医薬品として承認したのは、まだ一つだけという認識は大事です。

CBDは、2018年末ごろから一気に盛り上がり、むしろ今は「バブルまっしぐら」との声もあります。大麻を取り扱う企業の株価が、昨年から一気に上がったあと、もうすでに落ち込んでいるからです。

このため、ブームに乗っかっただけの怪しい商品が駆逐されていくはずです。一方で、今後どのようにCBDビジネスが拡大していくかどうかは、さらなる研究の確立と、それに基づいた商品がきちんと展開されていくことにかかっています。また、消費者が信頼できる正しい製品を見極めていくといったことも必要になっていくでしょう。

This week’s top stories

今週の注目4ニュース

  1. アディダスとプラダがコラボレーション。12月から「Prada for adidas」を世界同時発売へ。スポーツブランドとしてのアディダスの伝統とテクノロジーの融合と、「メイド・イン・イタリー」の代名詞であるラグジュアリーブランド・プラダの品質に対するこだわりを統合していく。
  2. 「Disney+」がスタート。11月12日、ディズニーによる独自の動画ストリーミングサービスが開始。最初はアメリカ、カナダ、オランダのみで展開し、ディズニーの他にピクサー、マーベル、スター・ウォーズシリーズ、ナショナルジオグラフィックなど多数のコンテンツを配信する。リリース初日は最大8400件ほどのエラー報告も。
  3. ナイキが、アマゾンでの直接販売を終了。11月12日、ナイキが、アマゾンでのスニーカーと衣料品の直接販売を終了すると発表した。2017年から試験的に始まったパートナーシップが、2年で終止符を打った。理由は、「ナイキが、消費者とのより密接なつながりやパートナーシップを築いていきたい」ため。
  4. インスタグラムが、TikTok似の機能。ブラジル限定で新機能「Cenas(”Scenes”)」を展開。これは、15秒の動画に音楽を付けられるもの。ブラジルではインスタグラムの使用人口が多いほか、音楽のカルチャーやクリエイターのコミュニティが大きいことから、試験的にこの機能を追加することに決まった。