DAILY BRIEF
世界で今起きていること
Quartz読者の皆さん、おはようございます。8月16日火曜日、今朝の「世界で今起きていること」をお届けします。
- 中国の中央銀行は、主要な貸出金利を0.10%引き下げた。中国人民銀行は予想に反して、1年物中期貸出制度(MLF)の金利を2.85%から2.75%に引き下げました。中国経済の減速を伝えるニュースを受けて、原油価格は急落しました(詳しくは次項で)。
China’s central bank cut a key lending rate by 10 basis points. It hadn’t signaled any immediate plans for rate cuts, and oil prices plunged on the news of the country’s slowing economy. (See more below). - ウォルマートとParamount+がストリーミング契約を締結した。エンターテイメント大手、パラマウント・グローバル(Paramount Global)のストリーミングサービス「Paramount+」は、小売大手、ウォルマート(Walmart)の有料会員サービス「Walmart+」の加入者向け特典となります。この動きは、アマゾンへの挑戦として広く受け止められています(ウォルマートの予定されている決算については次項で)。
Walmart and Paramount+ struck a streaming deal. The entertainment company’s content will be a perk for Walmart’s subscribers in what’s largely seen as a challenge to Amazon. (More on Walmart’s upcoming earnings below). - ナレンドラ・モディは、インドを25年以内に先進国にすると約束した。英国からの独立75周年を迎えた独立記念日にあたって、モディ首相はインドに対する世界の見方が変わりつつあると述べました。
Narendra Modi pledged to turn India into a developed country in 25 years. On the 75th anniversary of India’s independence from British rule, the prime minister said the world’s view of India was changing. - ケニアの大統領選挙は、ウィリアム・ルトが僅差で勝利した。今回、各投票所での手書きの集計結果用紙が初めてオンラインで掲載されました。ただ、ハッキングの懸念があったため、最終的な結果発表は遅れました。
William Ruto narrowly won Kenya’s presidential election. Despite the votes being uploaded online for the first time ever, the delay in announcement of the election outcome came amid hacking fears. - 中国の航空会社が米国の株式市場から撤退するかもしれない。中国の国有企業5社による米市場撤退の決定に続き、中国東方航空と中国南方航空という数百万ドル規模の撤退の可能性が出てきたことで、米中両国が財務情報開示ルールで合意できるかどうか、懐疑的な見方が強まっています。
China’s airlines could exit from US stock markets. The possible multimillion-dollar exit added skepticism that both countries can reach an agreement on disclosure rules. - タイは、今後5年間で2兆2,000億バーツ(約8.2兆円)を産業界に投資すると発表した。タイは経済成長の促進を目指しており、この投資は電気自動車と医療技術をターゲットとしています。
Thailand said it’ll invest 2.2 trillion baht ($62 billion) in industry over the next five years. The investments will target electric vehicles and medical technology as the country aims to boost economic growth. - ウラジーミル・プーチンは、北朝鮮の金正恩との関係強化を提案した。ロシアのプーチン大統領の北朝鮮へのメッセージは、ロシアがウクライナでの戦争への武器供給を増やそうとするなかで出されたものです。
Vladimir Putin offered to expand relations with North Korea’s Kim Jong Un. The Russian president’s message to North Korea comes as the Kremlin looks to increase weapon supply for its war in Ukraine. - タリバンによるアフガニスタン掌握から1年。女性は高等教育へのアクセスを含む基本的な権利を奪われ続けており、何万人ものアフガニスタン人が国を去ろうとしていますが、いまだ不安定な状態に置かれています。
The Taliban has ruled in Afghanistan for a year. Women continue to be denied their basic rights, including access to higher education, and tens of thousands of Afghans looking to leave remain in limbo.
What to watch for
その決算からわかること
今日、そして明日と、米国の二大小売大手であるウォルマート(Walmart)およびターゲット(Target)の決算発表が予定されています。両社の決算は、業界がいま置かれている状況のみならず、米国全体の消費者動向を示す鐘のようなものといえるでしょう。
ウォルマートもターゲットも、衣料品などの価格を下げざるを得なくなっており、利益警告を出しています。これらの消費財について、供給途絶を避けようと仕入れていたものの、結果として過剰在庫となっているのがその原因です。また、ウォルマートは米国最大の民間雇用主でもありますが、今月には約200人を削減しています。
アナリストによると、ウォルマートは前年同期比で増収減益になると予想されています。ターゲットについても同様のシナリオが予想されます。
小売企業の成長分野を詳しく見てみると、顧客の動向がインフレにどのように適応しているかがわかります。7月のインフレ率は上昇しませんでしたが、食品価格は依然として上昇しています。ウォルマートとターゲットの食料品売り場の売上は増加するでしょうが、その他の商品については在庫の山は減らせそうにありません。
can’t help worrying about...
インフレよりも大事
上でもお伝えしている通り、中国人民銀行は金利引き下げに踏み切りました。これは、市場やアナリストにとっては意外なものとして受け止められています。
中国政府はCOVID-19感染者の再拡大やパンデミックによるロックダウン、不動産のメルトダウンに直面しています。今回の戦略転換は、彼らがいかに困難な経済状況に直面しているかを示しているともいえるでしょう。
ただ、ここで問題にすべきは、この利下げが実際に中国経済を押し上げるのか、ということです。昨日発表された7月の主要経済指標が減速していることが示すように、それは険しい戦いになるでしょう。同月の小売売上高、工業生産高、固定資産投資は軒並み予想を大きく裏切るかたちになっています。
世界経済がインフレに揺れていますが、中国の中央銀行にとっての最優先事項は景気回復に他なりません。自国の経済エンジンを活性化させるという緊急課題を前にしては、インフレに対する銀行当局の懸念も後回しになるでしょう。
Surprising discoveries
世界のトリビア
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- スイスの芸術家が川のほとりにつくっている粘土彫刻は、干ばつのために拡大し続けている...。しかし、芸術家の心境は複雑です。雨で川の流れが復活してほしいと思う半面、雨が降れば粘土の世界は消えてしまいますから。
- …一方、猛暑によって難破船、ゴーストタウン、古代都市が姿を現した。例えば、スペインのガリシア地方では、1990年代初頭に水に覆われた街が再び出現しました。
- マテルは、ニッキー・ミナージュにインスパイアされた「Barbie-que」チップスについて商標訴訟を起こした。玩具大手のマテル(Mattel)は、このポテトチップスが、同社の「バービー」ブランドと混同されると訴えています。
- インスタントラーメンは「お手頃」ではなくなるかもしれない。タイの袋麺メーカーが14年間変わらなかった価格を上げようとしています。