Deep Dive: New Cool
これからのクール
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Quartz読者のみなさん、こんにちは。この数年で大成長を遂げた「TikTok」に、コンテンツに関連する人種差別の問題が浮かび上がっています。GenZに人気のアプリが「クール」であり続けることはできるのでしょうか? 英語版はこちら(参考)。
TikTokは、その信念として「ダイバーシティ、インクルージョン、オーセンティシティ」を掲げているといいますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?
これらのキーワードは、同社のコミュニティガイドラインに書かれていて、急成長を遂げたプラットフォームに投稿する際に何が許容され、何が許容されないのかを規定するものとして用いられています。
contents moderation
否定はするものの
しかし、それを疑問視する声が上がっています。ニューヨークを拠点とするランジェリーブランド「アドアミー(Adore Me)」はTwitterにおいて「プラスサイズ、黒人、および、または異なる障害をもつモデルや有色人種の女性をフィーチャーしたTikTok上のコンテンツが定期的に削除されているのを見てきました」と指摘しています。
Adore Meは、「インクルーシブでボディポジティブ」なイメージでビジネスを築き上げてきました。同社は、TikTokが削除したとする動画のサンプルをTwitter上に公開しています。これらの動画には、体のラインがカーヴィで、かつ、非白人の女性が多く含まれています。
TikTokはこの指摘に反論。声明を発表し、広報担当者は「TikTokは多様なコミュニティの育成に努めており、体型、サイズ、または能力に基づいてコンテンツを操作することはない」と述べています。
TIME TO EXPLAIN
真実はいかに?
中国の企業バイトダンス(ByteDance、北京字節跳動科技)が運営するTikTokはいま、巨大なソーシャルメディアプラットフォームへと成長し、米国では月間1億人以上、世界では7億人以上のユーザーを抱えています。
ドナルド・トランプ前大統領政権下では、国内での使用を禁止するという問題へと発展したことでも話題になりましたが(その後、措置の発動は見送りに)、マーケティングチャネルとしての重要性を増し続けています。
企業にとって、自分たちの動画がユーザーの「トップ画面」に出るかどうかは、TikTokのレコメンデーションアルゴリズムやモデレーター頼りです。
TikTokは、Adore Meの動画コンテンツすべてをプラットフォームから削除したわけではないのでしょう。その証拠に、同社のTikTokアカウントには、さまざまなサイズ、人種の女性が下着を着用している動画が数多く残っています。Adore Meはまた、Twitterのスレッドで、TikTokによる「でたらめなコンテンツ削除は業界内でよく知られている」と認識しているとも述べています。
しかし、Adore Meは、同社がTikTokで経験したことは、他ソーシャルメディアプラットフォームと比べるとまったく異なるものだと指摘し、この種の動画の削除が「TikTok上でより拡大している傾向のひとつ」だと言います。
FIGHT RACISM
人種差別と戦う
昨年3月には、アフリカ系米国人シンガーのリゾ(Lizzo)は、彼女の水着姿の動画が削除されたとしてTikTokを非難しました。しかし、対するTikTokは、「彼女が水着姿だったから」ではなく「性的に露骨なコンテンツに関するポリシーに違反しているため」動画を削除したと反論しました。
この一件の直後、『The Intercept』は、「肥満」や「普通ではない体型」、「醜い顔立ち」や「みすぼらしく、ぼろぼろな」状態のユーザーが映ったコンテンツを制限するようにモデレーターに指示するTikTokの内部文書を公開しました。
これに対するTikTokの回答は、同ガイドラインの一部が「当初、いじめ防止を目的としたもの」で、『The Intercept』によって公開された時点では「もう使われていなかい」というものでした。しかし、その文書にいじめについての言及はなかったと、一方の『The Intercept』は伝えています。
TikTokは、昨年6月にはBlack Lives Matter運動を推進し、ジョージ・フロイドの警察による殺害に抗議する黒人ユーザーを検閲したとの告発を受けて、再び“守り”に入りました。同社は謝罪したものの、それを「技術的な不具合」のせいにしています。しかし、7月には、数人の黒人クリエイターが、自分たちのコンテンツがまだ平等に扱われていないと感じていると、『Time』に語っています。
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COLUMN: PANDEMIC LOVE
動画ファーストアプリ
2020年は、GenZとミレニアル世代にとって「出会い」が大きく変わった年。パンデミックををきっかけに、マッチングアプリの人気がさらに高まりました。『YPulse』の「Finding Love Post-COVID」のトレンドレポートによると、COVID-19以降、18~39歳の40%がマッチングアプリやサイトをより頻繁に利用するようになったと答え、18歳以上の43%は、アプリやサイトのみを使ってデートしていると回答しています。マッチングアプリ「ヒンジ(Hinge)」ではアプリ内でのビデオ通話を追加したほか、「バンブル(Bumble)」は、パンデミックで動画機能の使用が大幅に増加したと報告しています(『Quratz』でもパンデミックにおける「出会い」について特集しています)。
もともと、GenZにTikTokが人気であるように、若者にとって動画は親和性の高いものです。今年新たに誕生したGenZ向けのマッチングアプリ「Lolly」では、ユーザーが自分のストーリーについて短い形式の動画コンテンツを使って投稿します。「TikTok meets Tinder」に最も近いものだという指摘もありますが、「静的な写真よりも動画の方が魅力的でおもしろい」ため、動画ファーストなアプリが誕生したといいます。
(翻訳・編集:福津くるみ)
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